ネタバレがあります。
本編を楽しんだ後に閲覧することをオススメします。
あらすじ
深夜、四国太平洋岸でデストロンは輸送機から投下されたアタッシュケースを回収していた。
ケースの中身はデストロン中南米基地から送られた「SS装置」というもの。
SS装置はその設計内容を知る技師でなければ組み立てられないものであり、日本支部アジトに持ち帰られたSS装置は技師の「深沢秀雄」と助手の「塚本」によって組み立てが開始される。
彼らはデストロンに誘拐され利用されている技師である。だが2人はデストロンに忠誠を誓ったフリをしており脱走の機会をうかがっていた。
そしてついにそのチャンスがSS装置の組み立てを担当することで訪れる。
組み立てを開始した2人は構成員が持ち場に散らばったのを見計らってSS装置のキットを爆発。
その隙に深沢は脱走に成功、塚本は脱走に失敗したが表情に余裕が見える。
ドクトル・Gは憤慨し深沢を処刑するよう命令するが、塚本は深沢を殺せば設計図は戻らないことを明かしたため塚本含め一時的ではあるが処刑はまぬがれる。
そしてこのアジトはどうやら四国にあるようでドクトル・Gは深沢を生け捕りにするため四国中に網を張るよう指示する。
次の日、深沢は「奥道後ロープウェイ」周辺で倒れているところをライダー少年隊員の「健一」に発見され、事件が発覚する。
四国占領大作戦
今回デストロンはこれまであまりにもライダー少年隊にアジトがバレてしまうためか四国にアジトを構えて作戦に挑む。
首領もここまでしたのだからバレないようにとドクトル・Gに念を押すが先に結果を申し上げるとバレます(笑)
理由はこの後、アジトで起こる事件が発端となる。
今回デストロンは中南米から輸送機で運んだ「SS装置」と呼ばれる機械を組み立てて何かを企んでいるようだ。
そしてその組み立て担当がデストロンの科学陣らしからぬノーマスクで素の人間状態だと思ったら、彼らは常人であり「深沢秀雄」と助手の「塚本」という技師だ。
彼らはデストロンに忠誠を誓ったフリをしつつ脱走の機会をうかがっていた。
そしてそのチャンスが今、訪れた。
2人はSS装置に細工を施して爆発させ、深沢は脱走に成功。塚本は逃げ遅れてしまうが、強気の姿勢を崩さない。
なぜなら脱走に成功した深沢を殺してしまえば、脱走の際に奪ったSS装置の設計図がわからなくなってしまうからだ。
仕方がないのでドクトル・Gは2人の抹殺を一旦中止し、四国中に構成員を張り巡らせる。
すみませ~ん!中南米の方に設計図のコピーってありません?
えっ!こちらに送ったのが原本でコピーはとっていない?そうですか…お疲れ様で~す、失礼しま~す。
とかなってそう…
まあどちらにせよSS装置は爆発したので設計図があってもすぐには組み立てられないだろう。
それに爆発で燃えたSS装置キットの消火が間に合ったかも不明だし…
次の日「奥道後ロープウェイ」に姉と遊びにきていたライダー少年隊員の「健一」はロープウェイの通る下の草むらで行き倒れた男性を発見する。
その男こそ昨日、デストロンから脱走した深沢だ。
深沢はうなされてデストロンの名を口にする。
それを聞いた健一はライダー少年隊に関係する内容かもしれないと話しを聞く。
深沢の話しだとデストロンは四国を狙って悪さを企んでいるらしいことがわかる。
深沢から聞いた話しを健一はここ松山から広島支部へ連絡。広島支部は大阪、名古屋、静岡へと伝言ゲーム式に通信を送り、そして最後に東京本部へと報告が入る。
だがその背後で黒服の男が会話を聴き目を光らせていた…おそらくはデストロンの手先であろう…
詳しい支部の場所は後述しますが、ライダー少年隊って全国にこんなにも支部があるんですね!
そして支部の多さも驚きだが、報告の際に隊員が使用する無線ペンダントの性能の良さといったら!
いやいや…色々な支部をはしごしてやっと東京本部に繋がるってどこが性能良いの?携帯電話、スマホで良くない?と思うかもしれません。
ですが時は1970年代、携帯電話もない時代に緊急で連絡を取る手段としてこれ以上の手段はない。
それにあの薄型のペンダントを無線機として機能させているのがまず凄い。
さらには健一が連絡した広島支部だって松山から直線距離にして70km近くはある。
その距離を通信できる無線機は高出力のアマチュア無線並の性能といってよいだろう。
通常それほど高出力の無線機を構えようとしたらあのペンダントの大きさでは到底済まない。
人間が携帯できるうんぬんの前に部屋の何畳分というスペースが必要となる。
いや~当時の日本の高度経済成長期、そして技術革新、小型化技術の凄さがこのペンダントを通して大げさではありますが伝わってきますね。
旅は道連れ世は情け、袖振り合いたくない悪との縁
健一を始めとし各地の隊員を通してデストロンの計画を知ったライダー少年隊本部は志郎、藤兵衛、純子、シゲルとベストメンバー?で四国へ向かう。
もう純子とシゲルは留守番させるほうがうるさそうだし、留守番中に人質に取られるよりかはマシという考えに至ったのか今回は四国遠征に同行。
最近は志郎も純子がついてくることをあまりうるさく言わなくなった。
変に動き回られるより、自身の目の届くところにいてもらった方が逆に安心・安全だと悟ったのかもしれない。
ライダー少年隊は四国へ向かうためカーフェリー「おくどうご2」に乗船する。
甲板では純子とシゲルが輪投げゲームを楽しんでいる。
藤兵衛は人の気も知らないでと呆れるが今から緊張しているよりかは良い。
だが藤兵衛は歴戦の戦士。事件解決までは気を抜けず「まさかこのフェリーにいやしないだろうな?(デストロンが)」と決して警戒を緩めない。それがフラグとなる…
それに比べてどこか志郎は穏やかだ。
確かにこれからデストロンとの戦いが始まるが、いや…始まるからこそ純子とシゲルの楽しそうな姿が志郎にとっては一時でも最大の癒しなのかもしれない。
しかも志郎も志郎で船旅するからって船長ファッションに身を包んじゃうんだからなかなかノリノリである。
ちなみにこの「おくどうご2」は1973年4月に就航したばかりのフェリー。
20話(今回)の放送が同年6月30日なので4月から6月の間に撮影されたとなると出来立てほやほやの新フェリーで撮影したことになる。
放送当時「このフェリー実はV3も乗船しました!」とか宣伝してたのかな?
「母ちゃん!見てここからギロチンザウルスが海に落とされたんだよ!」とか「父ちゃん!純子とシゲルがやっていた輪投げやりたい!」とかそういう会話があったのかな?
だがそんな安らぎを妨げるように怪しい黒服の男がこちらに目を光らせているのを目撃したため、志郎は後をつける。
男も志郎にマークされたと気づくやいなや足取りを速めて船内を逃げ回る。
藤兵衛も志郎の様子がおかしいことを察知し隊員と共に船室に非難する。
志郎は男が逃げ込んだと思われる船室に入るがもぬけの殻。しまったと思ったその瞬間、トイレ?に隠れていた男が死角をついて志郎に襲い掛かる。
そして志郎をベッドに押し倒した男の正体は怪人「ギロチンザウルス」だった。
ギロチンザウルスはその名の通り右手にギロチンを装備しており、その切れ味は志郎がガードした机を簡単に真っ二つにするほどだ。
船室外に出てなんとか態勢を立て直そうとする志郎だがギロチンザウルスのパワーに圧倒され船から海になげだされてしまう。
志郎が船内から消えた今、残るはライダー少年隊員だと船室で待機していた3人を襲い拘束する。
志郎の正体またもバレかける
志郎は海に落とされ、隊員も拘束。甲板でギロチンザウルスの処刑が始まる…
絶体絶命のピンチだが3人は希望を捨てない!きっと志郎とV3が助けにきてくれる!
そう信じる3人にギロチンザウルスは「風見志郎は海に落ちた!V3が出るハズもない!」と希望を打ち砕く。
このシーンのギロチンザウルス凄いこと言ってません?
ギロチンザウルスの発言を要約すると「志郎は海に落ちたからV3は出てこない=V3は志郎」という意味の発言だ。
これ藤兵衛以外の2人はスルーオブスルーオブスルーしてるけどヤバい発言ですよね?
せっかく12話「純子が怪人の花嫁に!?」の最後で強引にV3=志郎という疑いもみ消したのに…私、見ていてバレた?と思いましたもん!
バレてなさそうだから良かったけど、この出来事を加味してV3が戦っているならその攻撃は正義の鉄拳じゃなくて「てめぇ!余計なことを!」という怒りと焦り、私情が絡んだ鉄拳なのではと想像してしまう。
今回は悪の手先だから思いっきり殴ってたけど、12話でも純子のストーカーが純子に志郎の正体をバラした際には殴りたくてしょうがなかっただろう。
一般人だし純子の前だったからその場は我慢したけど、藤兵衛に心情を明かした際には「純子さんにだけは…俺が改造人間であることを知らせたくなかった…俺は彼女の心を傷つけたくなかったんですよ!」と語気を荒げている。
この勢いだと純子の前じゃなきゃ殴ってたかもな…と想像してしまいます。
まあその後、ストーカーは怪人化してドリルモグラとなったのでその際に怒りの鉄拳をぶつけていただろうけど。
だが、そこへV3が登場する。
実は志郎は船から落ちたフリをして油断させていたようだ(ガッツリ落ちていたように思えたが…ここはギロチンザウルスと同意見)。
V3は船内の構造を利用して立体的な戦闘を行い戦闘員を翻弄。
今度はお返しにとギロチンザウルスを海に投げ落とし船内からデストロンを排除することに成功。
デストロンの動きはライダー少年隊の四国上陸を阻むためだと見たV3(志郎)はそれが失敗した今、今度は深沢を狙うに違いないと考え、四国に上陸すると同時に3人より先にバイクで深沢が保護されている「ホテル奥道後」へと急行する。
デストロンの包囲網で散歩
ホテル奥道後に到着した志郎は深沢の発見者であるライダー少年隊の健一と接触。
深沢はホテル内にいると伝えられホテルに向かう。
そしてロビーを歩いているとなぜか「東京よりお越しの風見志郎様。小包が届いております。フロントまでおいでください」というアナウンスが入る。
…?別に何にも頼んでないけど?
そんな表情を見せた志郎だが、ちょうどロビーにいた志郎はすぐにフロントに確認。
受け取った小包は本当に小さく手のひらサイズしかない。
なんだろう?と思いつつもまずは深沢と接触しなければと客室へ向かう。
わたくしお恥ずかしながらホテルは修学旅行以外に泊まったことがないのでホテルの預かりサービスを知らなかったんですね。
このサービスは旅行先だと確かに便利ですね。
それにしても本来宿泊予定もなかった志郎に荷物が届くなんて怪しい…
志郎の四国上陸を知るのはライダー少年隊とデストロンだけだ。
宛先もないしデストロンの罠か?
だが客室に深沢の姿はない。健一の姉いわく、深沢はホテルの敷地内を散歩するといって1人で出ていったそうだ。
それは危ない!なにしてんねん!
深沢はホテル奥道後の敷地「湧ヶ淵」を散歩、その敷地の設備として建っている「錦晴殿」に入る。
しかし深沢が入ると錦晴殿の扉は自動的に閉まり閉じ込められてしまう。
そして急に襖の上にいたクモが「デストロンの張り巡らせた糸からは逃げられんのだ!(クモだけに)」と喋りだす。
次の瞬間、襖が開き深沢の目の前には右腕に大きな注射器を装備した怪人が現れる。
奴の名は怪人「ドクバリグモ」。
ドクバリグモはSS装置の在処を聞き出すために深沢を襲う。
も~深沢は自分の立場を分かってない!
今は追われている身なのにホテルの敷地内とはいえ1人で外出なんて軽率な行動だ…
ちなみに深沢が「京都の金閣寺とそっくり」と言っていた建物は湧ヶ淵にある「錦晴殿」だ。
錦晴殿は1966年(昭和41年)に完成したもので焼失前の金閣を復元したものだそうだ。
だが2001年(平成13年)6月の大雨による土砂災害で流失し現在は見ることができない。
焼失した金閣寺を復元したのにまた土砂災害で失ってしまうなんて…
金閣寺ってなにかあるんですかね(霊的な)。
確かにデストロンに捕まり、地下に閉じ込められる生活を送ってきた深沢はストレスも半端じゃなかっただろうから気晴らしも大切だ。
だけどアジトにはまだ助手の塚本が捕まっている。
塚本も我慢して助けを持っているだろうからここはグッと堪えてほしかった。
デストロンの悪事を世界に広めるための生き証人、塚本にとっても最後の希望なんだから…
確かにこんな立派な建物なら見てみたいけども!
深沢を見つけるため湧ヶ淵を捜索していた志郎の耳にも深沢の断末魔をとらえたため志郎も錦晴殿がある方向に急ぐ。
だが、道中デストロン戦闘員の邪魔が入り少し遅れて到着。
怪人の姿は消えており、深沢はなんとか無事だったようだ。
だが、深沢の首元には真っ黒な注射痕が…ドクバリグモなので毒を注入されたと見るべきだが、深沢の容態はいかに…
深沢を連れてホテルに戻った志郎が周辺の見回りを終えた後、深沢は目覚める。
あらためて志郎は深沢がどこに捕まっていたのかと尋ねる。
深沢はアジトを抜け出して地上に出ると「松山城」が見えたという。
それを聞いた志郎はデストロンのアジトは松山城にあるかもと考え調査に繰り出す。
バイクを発進させる前に志郎はふと先ほどの小包を思い出し開封する。
すると中から黒い化粧箱が現れる。そして箱を開けるとそこには鎖付きの古びた銀のメダルが入っていた。
このメダルに関しての手紙や説明書などは一切ないため、志郎は「あとでゆっくり調べよ」とメダルをしまい、松山城へ向かう。
志郎が松山城へ向かったため安全のためにシゲルと健一は張り切ってホテルの巡回にあたる。
ホテルの客室に残った藤兵衛、純子、健一の姉、そして奥の部屋で休む深沢は志郎の吉報を待つ。
だが突然、部屋の中から不気味な声が響く。
3人はあたりを見回すと純子が部屋に飾られた絵の額縁に目を光らせたクモがいるのを発見する。
藤兵衛が新聞紙で叩き落とそうとするとクモは人間大のドクバリグモへと変化した。
藤兵衛は深沢を連れて逃げるよう2人に指示を出す。
2人は奥の部屋で休んでいる深沢を連れ出そうとドアを開けると目の前に深沢が立っていた。
だが深沢は純子を拘束し「俺のようにデストロンに忠誠を誓え!」と豹変する。
どうやら深沢は先ほど錦晴殿でドクバリグモに襲われた際に注射器で「コントロールヴィルス」なる液体を注入されており、その液体を注入された人間はドクバリグモの命令通りに動くようになるというもの。
深沢をコントロールヴィルスでコントロールしたついでに設計図の場所を聞けば良かったのでは?
それとも、もう聞いた上での今なのかな?
つまり、ドクバリグモは錦晴殿で深沢に注射をしたあと、わざと深沢を解放して志郎を松山城に向かわせるよう仕向け、志郎とライダー少年隊が別行動となるようにしたというわけだ。
そして次にドクバリグモの注射器が迫るは立花藤兵衛…
大天守への囮作戦
一方その頃、ホテルでの騒動を知らない志郎は松山城周辺に到着していた。
松山城は標高132メートルの場所にあるため、徒歩で登ることもできるがロープウェイやリフトを使用して登る。
流石の志郎もバイクでブンブンと登るわけにもいかないのでリフトに乗って移動。
これがまたカッコ良すぎて逆に浮いていてシュールであり、これほど動きのない志郎も珍しいというシーンだ。
だがバイクで登るのを自重したと言いつつ松山城の戦いで逃亡したギロチンザウルスを追う時にはハリケーンで松山城を思いっ切り駆け抜けている。
まあその後すぐハリケーンは飛行モードに入ったのでロープウェイ・リフト・登山道の人には迷惑をかけていないと思うけど。
志郎は松山城にあるのではというデストロンのアジトを探して周辺を調査する。
そこへ例の黒服が現れ志郎を取り囲む。
おそらくデストロンの戦闘員であろうその男たちをかわし松山城を舞台に鬼ごっこを開始する。
なかなか志郎をとらえられない戦闘員に苛立ちを隠せないギロチンザウルスだが、ここで鬼ごっこは終わりのようだ。
幹部怪人が現れた志郎は臨戦態勢をとりV3に変身する。
志郎はアジトの場所を聞き出すためにギロチンザウルスが顔を出すタイミングをうかがっていたのだ。
そして松山城敷地を舞台に戦闘員を蹴散らし、ギロチンザウルスを追い込んだV3はアジトの場所を聞き出すため尋問を開始する。
と…そこへシゲルから緊急連絡が入り、ホテルから藤兵衛と純子がデストロンにさらわれたことを知る。
しまった!こちらは囮か!と思ったその一瞬をつきギロチンザウルスは口から火炎を吐き、目くらましでその場から退散する。
V3はV3ホッパーで逃亡したデストロンの車を索敵しハリケーンで追跡。
そしてその車が向かった先は「来島どっく大西工場」だった。
ちなみに今回ライダー少年隊が泊っているホテル奥道後はかつて来島どっくグループが開発・運営をしていたリゾートホテルだ。
そのため今回のロケ地もタイアップだったのかもしれない。
工場敷地に入ると車からはギロチンザウルスと他戦闘員は忽然と姿を消す。
V3がギロチンザウルスを探し敷地内をさまよっていると、工場施設のありとあらゆるところから戦闘員が襲撃をかけてV3の行く手を阻む。
ある程度時間稼ぎが完了したギロチンザウルスは造船クレーンの運転室の上に人質3人を連れて現れる。
ギロチンザウルスは抵抗するならここから3人を落とすとV3を脅す。
ギロチンザウルスは人質解放条件として「貴様(V3)をギロチンにかける!その条件で3人は助かる…」とV3に提示。その条件をV3は飲む。
ギロチンザウルスは無抵抗のV3を痛めつけたあと、戦闘員にV3を抑えつけさせる。
そしてギロチンザウルスの右腕のギロチンがゆっくりと確実にV3の喉元へ迫る…
危うし!V3!
ストーリーの転換点と考察
デストロンが健一の無線通信を妨害できなかったこと
展望台で健一とその姉が深沢と話している時、こちらを見ていたおそらくデストロンの構成員と思われる黒服。
あの黒服なら健一が無線で連絡しようとする前にそれを妨害することができたのでは?と感じた。
この連絡がなければライダー少年隊本部に四国占領の情報が漏れることはなかったかもしれない。
だがあの時、デストロンは深沢捜索のため構成員を四国全体に散らばらせていたため、黒服は単独行動であり、救援を呼ぶ暇がなかった可能性がある。
つまり深沢、健一、その姉を襲うには人員が足りなかったため、あの場では襲わずライダー少年隊本部にはもう四国占領の情報が入るものとし、彼らが四国にくるかもよという情報だけ持ち帰った。
そういった事情を考慮すると黒服の行動も大きな転換点ではなく、バレるべくしてバレたと、そういうことですね。
むしろライダー少年隊の四国上陸情報は本当だったため、あの状況で黒服の彼は最低限の仕事をしたと言ってもよいだろう。
だけど双眼鏡を覗いて風景を楽しんでいる場合ちゃうやろ!というぐらいは思いましたけどね(笑)
デストロンに追われる身の深沢が散歩に出かけたこと
上述したが、いくらデストロンに囚われの身として過ごしストレスが溜まっていたからとはいえ、まだアジトには助手の塚本が捕まっているのだから自重してほしかったところ。
その結果、深沢自身はドクバリグモのコントロールヴィルスで操られて、お世話になっている藤兵衛、純子、健一の姉を人質として危険に巻き込む結果となった。
そして今、人質となった3人を解放するためにV3(志郎)がピンチに陥っている…
この行動は軽率だった…
注目の特撮表現
少年仮面ライダー隊の通信網表現
今回、デストロンから脱走し行き倒れていた技師の深沢を発見したライダー少年隊松山支部の健一は現在深沢が抱えている状況を東京本部に伝えるため、まずは無線ペンダントの有効範囲である広島の隊員(支部)に連絡。
そこから広島→大阪→名古屋(愛知)→静岡を経て東京本部に伝言ゲームで情報を伝えている。
こう見るとライダー少年隊員たちは本当に優秀だ。
伝言ゲームって1次情報から2次、3次とたくさん間を挟むほど、内容が歪められていくことが多い中、彼らは本部までリレー形式で正確に情報を伝えている。
これは本当に凄い!
その様子を日本地図をもとにライダー少年隊支部がある地域をなぞるように映し、それと同時に各支部の隊員を順番に映していくことで遠く離れた松山から東京本部までリレー形式で情報が届いているということを表現している。
それにしても日本地図に記されたライダー少年隊の支部は本部を除いて19個もあるのが驚きだ。
しかも意外と関東は東京本部だけというのにも驚いた。
こう見ると沖縄支部はないのでライダー少年隊の捜査網に引っかかりたくないのであれば、デストロンには沖縄にアジトを構えることをオススメする。
沖縄の他にもここには支部は不要と判断しているのか案外支部がない地域もあり(そもそも一介の自警団が20地域に支部があるのが驚きだが)それをデストロンに知られるとまずいとは感じた。
・北海道:札幌
・東北:青森、秋田、宮城、福島
・関東:東京(本部)
・中部:新潟、石川、長野、静岡、名古屋(愛知)
・近畿:京都、大阪
・中国:岡山、広島
・四国:高知、松山(愛媛)
・九州:福岡、長崎、鹿児島
大型ロケ地での大アクション
今回は大型タイアップということでまずは四国上陸前のフェリーでの船上戦。
これは船で移動して正解ですね(ライダー少年隊的には失敗だが)。
仮に飛行機で移動したらそのままスルッと四国上陸を果たしていたので、こんなにも移動中の戦いを見ることができなかった。
志郎がバイクなので途中まで3人は飛行機、志郎は陸路を通り四国に入る時だけ船の可能性はあったかも。
当時「おくどうご2」は神戸港ー今治港という航路だったそうなので兵庫までは飛行機?新幹線?かな?
また松山城では敷地内での戦闘シーンはもちろん、V3を天守閣に立たせてそこからジャンプさせるというゴージャスなカット。
そして松山城を背にハリケーンで颯爽走り去るV3。
最後は来島どっく大西工場で造船所ならではの鉄骨やクレーン群を使ったアクション、そして海のそばということも相まって戦闘員を海に投げる投げる!
次回も今回の続きなので、まだまだ普段見られないような演出が見れるかも?
特撮満足度(★で5段階評価)
特撮満足度
アクション:★★★★☆
猛烈度:★★★☆☆
敵の強さ:★★★☆☆
ロケーション:★★★★★
仕掛け:★★★☆☆
第20話の名言・迷言・珍言・失言
風見志郎「人目を避けて突然行動を起こす…クスッデストロンらしいや…」
「デストロンめ!いつのまに四国に上陸してきたのか…」という藤兵衛に対して志郎が返したセリフだ。
1話「ライダー3号 その名はV3!」でデストロンはその人目を避けていたところを志郎に見られてしまったため、デストロンは志郎を狙われるようになったという経緯があるので、志郎の語る「デストロンらしさ」はダブルライダーよりも参考になるかも。
逆にいえば人目を避けて行動を起こす奴らのらしさを語れるのは不幸でもあり、幸運ではないが運が良いことでもある。
なぜなら語れるほど付き合いが長く、付き合いが長いということは幸運にも毎回デストロンの魔の手から逃れていることにもなる。
そういうことに巻き込まれる状況は不幸だが、アンチデストロンとしては巻き込まれたほうが倒すチャンスが増えるという意味では好都合。
良いことと悪いことはバランスよく起こるなんて言いますが、志郎の場合その波長が緩やかではなくギザギザしていると思う。
つまり、志郎は瞬間瞬間にラッキーアンラッキーを繰り返しているような日々ということです。
デストロンに捕まったからアンラッキーと思っていたら、隙が生まれて脱出できたラッキー!だけど人質を取られてアンラッキーと思ったら、隙が生まれて怪人倒せたラッキー!みたいな繰り返し…
デストロンと関わる、生き残るということはそれだけ目まぐるしい幸と不幸の波が必要なのだろう。
あれ…これってもしかして不幸?
いえいえ…ちょっとずつだがデストロンの戦力を削って幸に近づいている…と思いたい…そう思わなきゃやってられませんよね…
純子「負けちゃダメよシゲル!きっと志郎さんが助けにくるわ!」、シゲル「V3だって僕たちを守ってくれるはずだ!」
この姉弟2人のセリフからは同じ人物だけど期待するものへの違いが感じられる。
シゲルがV3に期待する気持ちはわかる。みんなのヒーローだし強いもん。
だけど純子は圧倒的に強いV3を差し置いて志郎が助けにきてくれることを期待している。
これはどういうことか?
シンプルに言うと純子にとってのヒーローが風見志郎だからだ。
もちろんいつもピンチから救ってくれるV3には感謝している。
だけど彼らヒーローはピンチの時だけ駆けつける。ちょっと皮肉だけどね…
それはとても尊いことだ。
だが純子が求めて志郎に感じているヒーロー像は「いつも一番にそばにいてくれる」ということだ。
もちろんV3としていつもそばにいるけど、純子はV3を志郎だとは知らない(たびたびバレそうだけどね)。
では自分がピンチの時、誰が一番に駆けつけてくれるか…それが純子のヒーロー風見志郎なのだ。
つまり純子から見たV3は志郎が駆け付けた後にいつも出てくる、悪い言い方をすれば2番手のヒーローなのだ。
怪人を倒したという結果ではなく、だから…よくあるじゃないですか…「自分にだけ特別に優しい男性が好き」これですよ。
それだけ純子は1話「ライダー3号 その名はV3!」で志郎に助けてもらったことが強烈に印象に残ってるんですよ…
恋愛漫画なんてそうですよね…
私見ですけど2番目に主人公に惚れた・アプローチしたキャラクターって「絶対こいつの方が恋人としていいだろ!」って思っていても、どうしたって最悪の出会いでも最初に出会ったキャラクターに勝てないじゃないですか…あれ結構見てて辛いんですよね…
それだけ最初の出会いの衝撃度って後続が超えられないということ。
それに戦いの時だけではなく、笑い合う時も不安な時も喧嘩する時もそばで見守ってくれる存在。
それが風見志郎なんです。
つまり結婚式で神父に誓う「病める時も健やかなる時も」がこれにあたりますね。
ようは病める時だけそばにいる人に全員惚れるなら医者はモテモテだっていう話しですよ(収入面では確かにモテモテだけど…)。
健やかなる時、つまりどうだっていい時にもそばで自分を見ててくれる人がいいんですよ…ストーカーとかじゃないよ?
ようは純子のヒーロー像は腕っぷしの強さだけじゃなくて、志郎のような心の強さ・暖かさに感じているということです。
だからこそ純子はV3よりまず志郎が駆けつけてくれると期待していたのだと思います!
カッコイイな…
そういえば11話「悪魔の爪がV3をねらう!!」で志郎がV3では?という疑いが出た時「私…あなたが例えV3だったとしても…ううん…それなら尚更あなたに…」と純子の言葉に力がこもっていたのもこれらの想いからかもしれません。
ちょっと砕けて言うと「あなたが例えV3だったとしても…いや…むしろ私のヒーローベスト1、2位が同一人物だったのならもうそれは殿堂入り。尚更推しに死んでほしくない!」とかね(ふざけてすいません)。
ロケ地(執筆者の調べ)
・「奥道後ロープウェイ」
・「カーフェリーおくどうご2」
・「ホテル奥道(現:奥道後 壱湯の守)」
・「錦晴殿(湧ヶ淵)」
・「松山城」
・「来島どっく大西工場(現:新来島どっく)」
次回予告より(第21話「生きていたダブルライダー」)
次回のデストロンからの刺客は引き続き怪人「ギロチンザウルス」と今回途中参加の怪人「ドクバリグモ」。
「ドクバリグモ」は「クモ」と「注射器」の特性を持った怪人だ。
ドクバリグモはすでに今回「小さなクモへの変身能力」や右手の注射器から注入する「コントロールヴィルス」で人間を操ることができる能力を披露した。
ドクバリグモはお前たちもと言いながら藤兵衛たちにはヴィルスは打たずに人質として拘束する。
そして人質解放のためにギロチンザウルスに自らの首を差し出すV3。
だが窮地に追い込まれたV3の頭の中で懐かしい声が響く。
そう…ダブルライダーがV3の頭の中に話しかけてきたのだ。
そしてV3に腕をクロスし細胞強化装置を働かせるよう促す。
おそらくだが、今回志郎に届いた小包の中に入っていた「R」という文字が入ったメダルもダブルライダーからの贈り物だろう。
そしてそのメダルが細胞強化装置の起動キーとなっているのか、メダルを腰の装置にスキャン?している場面が映し出されている。
しかしまた…14話「ダブルライダー 秘密のかたみ」のように回りくどいお知らせ方法だこと…
感想・まとめ
さあ始まりました!四国占領編!
今回はライダー少年隊も普段の本部を飛び出し大活躍!…と思いきや、やはり人質として捕まってしまう藤兵衛一行。
やはり人質を取られると弱い正義の味方。
反撃のチャンスはあるのか?そもそも反撃したら人質が殺されるのだから反撃のしようもない。
反撃して一気に助けるにしても人質は高所おり、人数も3人いる。
仮に1人、1人時間差で突き落とされたらV3でも救出は困難。
こんな時にダブルライダーもいてくれたらちょうど3人なのに…と思っていたら次回はダブルライダーが生きているということで助け舟を出してくれるようだ。
今回は個人的に四国上陸までの間に船内でひと悶着あるのが良かった。
基本こういうシーンってカットされていて、東京にいると思ったら次の瞬間「はい!やってまいりました四国松山!」みたいな感じで編集されてしまうんですよね。
前作でも今作でも船や港のシーンは多いが、基本的には船から降りた後、陸での戦いが主なので今回の船上でのひと時、そして戦いは新鮮で面白かった。
今は無き「錦晴殿」も映像で見ることができて得した気分!
こういうロケ地って後年なくなっていることが多いので毎度申し上げますがそれを見たり調べたりするのも視聴の醍醐味なんですよね。
昭和レトロが流行っている現在、レトロ風を楽しむだけじゃなく、こういった時代の「空気」も感じられる映像を見ることもレトロを楽しむ上でオススメですよ!
今回判明したこと
・少年仮面ライダー隊は現時点で日本全国に本部と支部を合わせて20ヶ所の拠点がある
・ライダー少年隊のペンダントの無線性能は出力が高いアマチュア無線並
・志郎はTPO順守(船に乗るからなのか船長ファッションで四国に向かう)
・V3のマスクは無線と直接通信ができる(受信の際は「Oシグナル」が点滅する)
・デストロンは人間を操ることのできる「コントロールヴィルス」という液体を持っている