ネタバレがあります。
本編を楽しんだ後に閲覧することをオススメします。
第1話「ライダー3号 その名はV3!」考察(ネタバレあり)
あらすじ
仮面ライダーの活躍でゲルショッカーは全滅。
世界は平和を取り戻し穏やかな時を刻んでいた。
だが悪の温床が消えたわけじゃない。今日も世界のどこかで悪は息をひそめている…
ある夜、バイクを走らせていた青年が工事作業員が倒れているのを発見する。
だが安否確認のため作業員を抱きかかえると肉体はみるみるうちに溶けていきその場には服だけが残るという奇怪な現象が発生する。
これは一体…混乱と恐怖が渦巻く中、突如何者かの車が青年を襲う。
なんとか危険を回避するが次の日になってもあの奇怪な事件が脳裏にこびりついて離れない。
そんな冴えない様子の兄を見て妹は後ろから驚かせる。
驚いた青年は朝食のコーヒーをカップごと床に落としてしまう。
だが次の瞬間、コーヒーと思われた液体はガソリンに火が付いたかのように燃え上がる。
青年の名前は「風見志郎」。
志郎はその奇怪な出来事、そしてコーヒーに入った成分を調べてもらうため城北大学生化学研究室の先輩「本郷猛」のもとを訪ねる。
そして成分を分析した結果、なんとその液体はチベット産の「ルガー」という猛毒であることが判明。
あの夜だ…あの夜から志郎は命を2回も狙われている。
まるで偶然であるとは思えない…そして猛はこのやり口に心当たりがある…
この平和な日常に得体の知れない何かが近づいているという確証の無い不安と予感を内包しながら物語は幕を開ける。
4度も命を狙われる青年
仮面ライダー(初代)でゲルショッカーを壊滅させた仮面ライダー「本郷猛」と「一文字隼人」。
ダブルライダーとライダー少年隊の活躍により世界に平和が訪れる。
ライダー少年隊の任でしばらく活動を縮小していた立花レーシングクラブも再開されレーサー育成に集中できる幸福な日々。
前作の主人公「本郷猛」も「風見志郎」という後輩ができ、レーシングクラブ会長「立花藤兵衛」との夢である「世界グランプリレース」に向けて邁進していることだろう。
志郎は猛が籍を置く「城北大学 生化学研究室」の後輩にもあたる人物だ。
そんな志郎はある出来事を目撃したことから2度も命を狙われることになる。
志郎が目撃したものは「人間の溶解」つまり人間が溶けてしまう怪奇現象を目撃したのだ。
1度目は目撃者を良しとしない何者かによる車での襲撃。
2度目は朝食のコーヒーにチベット産の「ルガー」という猛毒を盛られるという被害にあう。
チベット産の猛毒「ルガー」は本作オリジナルの毒物で体内に入ると肉体組織は焼けただれてしまう。
あえて作中オリジナルの猛毒ルガーの起源を考察するため「ルガーP08」という自動拳銃に注目した。
この銃はドイツ帝国で開発された自動拳銃である。
ドイツ…ナチスドイツ…この国から連想されるのは前作での悪の組織「ショッカー」と「ゲルショッカー」だ。
奴らの影がちらつく…
そしてルガーP08に使用されている弾丸「パラベラム弾」のパラベラムはラテン語で「戦争に備える」という意味であるようで、これから始まる激闘の日々を想像させる。
志郎の命が狙われるだけならただの凶悪犯の仕業である可能性がある。
だが志郎が目撃した「人間が溶ける」という現象…この得体の知れない手口は奴らしかいない…
しかし、奴らはダブルライダーの活躍で全滅させたはず…
猛も藤兵衛をそう信じていた…信じたかった…だが不安は拭い去れない…
そしてその不安を遮るように爆音が鳴り響く!
志郎がモトクロスコースをもう1周とバイクを走り出させたコース中で爆撃にあう。
これで3度目…先ほどまで楽観的だった藤兵衛もさすがに危機感をあらわにする。
猛は志郎のもとへ。藤兵衛は救急車を呼ぶ。
志郎は意識があるものの危険な状態だ。現場に一文字も駆けつけたため志郎を一文字に任せて猛は現場周辺を調査することに。
そんな猛の様子をうかがうように草むらの影では志郎を爆撃をしたと思われるカメの背中にバズーカを乗せたような姿の怪人が潜んでいた…
調査に向かった猛が目にしたのは黒い三角頭巾の葬儀参列者。
近くに墓地も教会もない中、十字架、花輪を持った5人の参列者は十字架を立て、花輪を置き何かを唱え祈りを捧げる。
「デストロン…」
十字架なのでキリスト教の「アーメン」という祈りかと思いきや「デストロン」?
お祈りも早々に済ませた集団はその場を後にする。
参列者が去り猛は墓と思わしきその十字架を確認する。
そこにはなんとサソリマークがプリントされたプレートに「本郷猛の墓」と書かれた。
まるで志郎の次はお前だとと言わんばかりの挑発だ。
一文字隼人の墓は?
奴らにとって一文字隼人は脅威ではないというのか?
現場に救急車が到着したため志郎を乗せ、付き添いとして藤兵衛も乗り込み救急車は発進する。
猛は一文字のもとに戻り自身の墓があったことを報告する。
そこへなぜかまた救急車が到着する…ハっ!
しまった!志郎を搬送している救急車は志郎の命を狙う何者かの罠だ!
そしてまさに今、車内では志郎に対して4度目の暗殺が行われようとしていた。
車内では藤兵衛が救急隊員に気絶させられ、志郎には得体の知れないおそらく毒物であろうものを注入されようとしていた。
すんでのところで目を覚ました志郎は反撃し逆に尋問を仕掛ける。
だが救急隊員が口を割ろうとした瞬間、救急隊員は運転席から貫通してきた角のような鋭利なもので刺されて溶けてしまう…
この現象は!志郎が目撃した現象と同じものだ!これはやはり同一犯の仕業だろうか…
余談ですが今回、本郷猛のファッションを観て「チェ・ゲバラみたい」と感じました。
ゲバラは「キューバ革命」の指導者であった人物で今なお革命のシンボルとして影響力のある人物だ。
彼の凄みは信念と行動がぶれないまさに史上最高の「口先だけではなく行動でも示した人物」だ。
猛もゲバラのように信念と行動が一致しているという凄みがあることからゲバラを彷彿とさせるような服装にしたのではと考察してみる。
運命のいたずらに巻き込まれる少女
先頭にはリーダーであろう獣のような姿をした二足歩行の怪人。
そしてその後ろを黒いタイツにマスクを被った集団が続く。
白いつばつきニット帽にカメラと三脚を抱えて森を散策していた女性はその異様な光景を目にし、好奇心から後をつけることに。
だが建物に近づいたところで黒タイツの男が現れ追いかけられてしまう。
そこへ自身の暗殺計画を調査するためにバイクを走らせていた志郎に出会い助けを求める。
女性は志郎に訴えかけた後、黒タイツの男たちが消えたのを確認すると安堵からか糸が切れたように気絶してしまう。
放置もできないと志郎は風見家で保護することに。
彼女の名前は「珠純子」。彼女もまた見てはいけないものを目撃したとすれば志郎同様に狙われる可能性がある…
勘の鋭い一文字は志郎にすぐ帰宅するように促す。
風見家では純子が目を覚ましており一家で団らんしていた。
すると突然部屋が暗くなり壁の向こうから刃のようなものが貫通し壁が破壊される。
そして壁の向こうから赤いジャガーのような顔面に機械のような身体、そして両手に大きな鎌を持つ化け物が現れた。
父は必死に抵抗するもその大きな鎌に突き刺されてしまう。そして父が2度目に刺されると同時に駆けつけた志郎。
黒タイツの集団に囲まれる家族を助けようとするが他の黒いタイツ集団に拘束されてしまう。
そして志郎の目の前で母、妹が化け物に刺されていく。
こんなの…あんまりだ…最後に純子が刺される…
とその時、猛が駆けつけ純子を救出。
化け物は本郷猛の名を叫ぶ…やつはなぜ猛を知っているんだ?
そして本郷猛は変身する…そう…本郷猛は仮面ライダー1号なのだ!
風見志郎は本郷猛が仮面ライダー1号であることを知らなかったようだ。
つまり志郎は立花レーシングクラブには所属しているがこの時点ではライダー少年隊には所属していないようだ(ライダー少年隊本部の隊員は仮面ライダーの正体を知っているため)。
猛も人前で正体がばれてしまう変身をすることは避けてきたがゲルショッカーに勝利したことで心境の変化があったのだろうか?
改造人間となった悲しみから1歩強くなったのかもしれません。
仮面ライダー1号が敵を追い払い事態は治まったが志郎の家族が皆殺しにされてしまった…
父「風見達治」、母「風見綾」は温厚で優しい人だった…妹の「風見雪子」は兄想いでロマンチストな優しい少女だった…
なぜこの平和な家族がこんな理不尽な目にあわなければならないのだ!
復讐の鬼と化すか!?人間の心を失いかける青年
華族を皆殺しにされた志郎は激情する。
そして人間であることを捨て復讐の鬼と化し家族の仇を取ることを誓う。
人間であることを捨てる…それは物の例えだと思ったがそうではないようだ。
志郎は怒りで我を失いダブルライダーに懇願する。
「俺を改造人間にしてくれ!!」
志郎は人間であることを本当に捨て、ダブルライダーのような改造人間の力を欲している。
だがダブルライダーはそれを許さない。
復讐には力は貸せない、そして改造人間となる苦しみを2人だけにとどめたいという想いから志郎の懇願を断る。
そのかわりダブルライダーは志郎の悲しみ、無念を背負い戦うことを誓う。
ゲルショッカーで終わりではなかった!最後の暗黒組織「デストロン」
純子が見た化物の潜伏先であろうアジトに向かうダブルライダー。
アジトの周りにはまるでショッカー戦闘員のような戦闘員が配置されている。
ショッカー戦闘員と違うところは胸やベルトのマークがサソリマークであること。
サソリのマーク…そういえば猛の墓に添えられたカードにもサソリマークがあった。
どうやらサソリは奴らのシンボルのようだ。
ダブルライダーは見張りを倒しアジトに潜入するがすでにもぬけの殻。
2号が声張り上げ応答を要求するとサソリマークのエンブレムの向こうから聞きなれた声がする。
その声は!ゲルショッカー首領!生きていたのか!
正確には生きていたのではなくゲルショッカー首領は仮の姿であり、本物の首領は未だ健在だったということだ!
首領は現在は最後の組織を再構成した「デストロン」という悪の組織のトップ「デストロン首領」となっていた。
ゲルショッカー首領が仮の姿だとしたら【仮面ライダー(初代)】98話(終)「ゲルショッカー全滅! 首領の最後!!」であまり抵抗してこなかったのも納得ができる。
あまり抵抗しなかったのは人類に一時的でもかりそめの平和を与え油断させ、新組織の再編成準備を勘づかれないようにするためだろう。
もし【仮面ライダー(初代)】94話「ゲルショッカー首領の正体!!」で首領の正体が入ったデータを解析できていたらデストロンの存在も感知でき再編成される前に壊滅に追い込むこともできたのかもしれない。
ショッカー、ゲルショッカーと2つの組織をブラフにしていたとは…
いや…ブラフというよりかは仮面ライダーの存在がなければショッカーのみで世界征服は事足りていたのだろう。
そういう意味ではショッカー、ゲルショッカーと壊滅させた今、デストロンが最後の組織と首領が明言していることからあと一歩で真の平和が訪れるとも考えられる。
そして首領は世界征服の手始めにダブルライダーを始末するために「改造人間分解光線」を照射する。
かつて【仮面ライダー(初代)】67話「ショッカー首領出現!! ライダー危し」でも「アンドロガス」という改造人間の肉体組織を破壊するガスが登場したが今回はそれのビーム版だ。
この光線をアジトで照射するために味方改造人間を退避させていたためアジトはもぬけの殻だったのだ。
思いがけない形で志郎の望みが叶ってしまう…
光線を浴び逃げようにも身動きがとれないダブルライダーが分解されてしまうまであと10秒を切っていた。
そこへどうしても家族の敵討ちをしたいと考えたのであろう志郎もアジトへ侵入していた。
そこで見たものは光線によりもがき苦しむダブルライダー。
志郎は命を顧みずダブルライダーを光線の照射範囲外に突き飛ばす。
だがそのかわり志郎が光線に巻き込まれてしまう。
1号はすぐさま光線の発射源を発見し破壊。なんとか光線を停止させることに成功するが志郎の身体はボロボロだ。
それもそのはず、改造人間でも1分足らずで分解されよう光線を常人が一瞬でも受けたらどうなるかは想像に容易い。
命がけで自分たちを救ってくれた志郎を見殺しにしたくない!そんな想いからダブルライダーはある決断をする。
それは志郎に改造人間手術を施すことだ。
ダブルライダーの手術シーンを観てあらためて思ったこと。
それは一文字隼人も頭脳明晰であるということだ。
本作で頭脳明晰といえば本郷猛を思い浮かべる。
猛は【仮面ライダー(初代)】1話「怪奇蜘蛛男」でIQ600を誇るために改造人間手術の対象となった経緯がある。
であるならばその次に仮面ライダー殺しとして手術の対象となった一文字も同条件で選ばれた可能性が高い。
そのため高IQである一文字も志郎の手術に参加することができたのであろう。
一文字は頭が良いというよりかは勘が異常に鋭い場面が目立ち、研究者ではないため頭脳明晰なイメージが薄かったので今回の手術シーンは新鮮だった。
その後、改造人間適正の条件も緩和されたが初期の改造人間は手術にも耐えられる完璧超人が選ばれることが多かった印象だ。
ダブルライダーは望んでいなかったことだが思いがけず志郎の願望は成就される。
手術は無事終わりあとはエネルギーを充填するのみ。
ダブルライダーはダイナモを全開にありったけのエネルギーを志郎に送り込む。
だが突如電気系統が故障しアジトの崩壊がはじまる。
誕生!ダブルライダーの力を合わせたその名も仮面ライダーV3!
外では志郎を爆撃したカメの怪人がアジトもろともダブルライダーを葬ろうとバズーカ砲を連射していた。
突如電気系統が故障したのはこのためだったのだ。
アジトは大爆発を起こし木っ端微塵に…
だが仮面ライダーは不死身なのだ!
さすがは仮面ライダー!ゲルショッカーを壊滅させたヒーロー!強力なコンビネーションで次々と戦闘員を撃破していく。
考えてみれば仮面ライダー(初代)では1号、2号どちらかが日本の防衛、どちらかが海外へ遠征して各国の支部を叩くという役割だったのでそりゃ日本の防衛に2人もライダーがいれば心強いわな!
ちなみに新組織デストロンの戦闘員は常人の5倍もの力を持っているということ。
ゲルショッカー戦闘員は常人の4倍だったのでデストロンの戦闘員はさらにパワーアップしていることになる。
強くなったとはいえ戦闘員はダブルライダーの敵ではない。しかし、幹部怪人は違う…
ゲルショッカーの怪人でもあれだけ仮面ライダーを苦しめたのだ。強敵に違いない。
不安はあながち間違ってはおらずカメの怪人はとんでもない火力のバズーカ砲を発射する。
その威力は地響きがなるほど高くライダー少年隊の本部が揺れるほどだ。
しかも射程範囲が長く連射が可能であり今までの怪人がかわいく思えるほどだ。
爆発範囲も大きい上に連射されるためダブルライダーの回避も間に合わずだんだんと追い込まれていく。
ダブルライダーの動きが止まり怪人のバズーカ砲の照準が2人を捉える。
もうダメだ!と思ったその瞬間、彼は現れる。
緑の複眼に顔の中央には凹凸の白い模様の入った赤いマスク、ボディは仮面ライダーのボディを左右に開きその空白を赤が埋めたような見た目。
緑のスーツに白い手袋と赤いブーツ、襟がピンッと立った白いマフラー。
そして腰には2つの風車を備え、真ん中にVと3の印字がある。
風見志郎のエネルギー充填はアジト崩壊により間に合わなかったと思っていたが、改造手術は成功し彼は「仮面ライダーV3」となって蘇る!
仮面ライダーV3の緑、赤、白の配色は仮面ライダーの緑、1号の白、2号の赤を混ぜた、まさに1号と2号の特性を持った合成改造人間。
そしてこの配色はバイクトレーニングで風見志郎が着用していた赤に緑の線が入ったスーツと似た配色であり、おそらくあの時点で彼が本作の主人公(V3)であることを匂わせていたようだ。
1話視聴後に聴く「戦え! 仮面ライダーV3」に涙
今作のOPを確認すると色んなことがわかる。
まずはV3のベルトに風車が2つある。これは力と技の風車、つまり1号と2号の力のことを指している。
その2つの風車にならってベルトの名前は「ダブルタイフーン」。
命のベルトと呼ばれるゆえんは志郎が命をかけてことか、もしくは1号、2号が吹き込んだエネルギーが志郎に新たなる命を与えたという意味か。
そして1号、2号同様に専用マシンがあり、同様に翼を展開することで飛行、パラシュートを展開することで緊急ブレーキをかけることもできる仕様となっている。
そして歌詞の中の「父よ~母よ~妹よ~」はデストロンに殺された家族に対する志郎の悲しみの声、もしくはデストロンに立ち向かう決意・誓いのように聴こえ1話の視聴前と視聴後では受け取り手の心境が全然違ってくる歌詞で切なくなる。
それと打って変わってエンディングの「少年仮面ライダー隊の歌」はとても明るい曲だ。
これが出てくるということは本作もライダー少年隊が活躍する…いや…活動を再開せざる負えない状況になったとも言えるだろう。
「少年仮面ライダー隊の歌」は全編ライダー少年隊に当てはまるような歌詞となっている。
だがその中に1つ不思議な歌詞がある。
「東に!西に!大空に~!」
この歌詞は全国に散らばるライダー少年隊員が日夜、東に西に自転車を走らせて活動している様がわかる。
だが「大空に」!?は少し驚いた。飛ぶの!?
基本的に少年隊は少年少女で構成されているので移動も徒歩もしくは自転車オンリー。
大空が当てはまるとすれば前ライダー少年隊隊長「滝和也」がヘリに乗って捜査をしていたことからそのことを指している可能性もある。
それとも上記の歌詞の前に「マフラーなびかせ君と僕」とあるので僕は隊員のこと君は仮面ライダーV3のことを現し、V3のマシンが飛べることから大空にと言っているのかもしれない。
それかただ単に少年少女の明朗快活を表現するために大空というワードを使った可能性もある。
もしくは今後本当に隊員たちが空を飛ぶ!?それも面白いけどね!
風見志郎の人物像
仮面ライダーV3となったことで今作の主人公であることが判明した風見志郎。
前作の主人公本郷猛は頭脳明晰、運動神経抜群、冷静だが内なる闘志を秘めている。
一文字隼人は空手五段にフリーカメラマンでひょうきんな性格だが勘が異常に鋭い。
私が風見志郎に抱いた印象は非常に熱い男だが喧嘩っ早く、冷静さはあまりないようだ。
よく言えば若い闘志みなぎる青年だが悪く言えば1人にするとどこまでも猪突猛進で危なっかしい。
「ちっきしょう!」、「貴様にも打ってやろうか!」、「ようし…こうなったら俺1人でも探し出してやる!」、「復讐の鬼となって親父たちの仇は必ず取る!」などやられたらやり返さないと気が済まなく頭に血が上りやすい志郎を猛や一文字が度々なだめている(まあ4度も命を狙われれば仏だとしてもきれるけどね…)。
だが非常に正義感が強く、危険も顧みずにダブルライダーを助けている。
常人ながら格上相手でも怯まず向かっていく姿は前作で活躍したFBIの捜査官兼ライダー少年隊の隊長「滝和也」を彷彿とさせる。
まだ心の未熟さが垣間見えるものの猛のような完璧超人ではなく、伸びしろがあり成長が楽しみなキャラクターで非常に応援しがいがある主人公だ。
1号の技、2号の力を受け継ぎ、その未熟な心が強くなり心技体が揃った時、彼は最高の仮面ライダーになると私は信じている!
滝!ゲルショッカーが全滅して任務完了と思っていたが首領は生きていたぞ!
本国からまた日本に帰ってきてくれ!
ストーリーの転換点と考察
風見志郎の目撃
風見志郎がデストロンによる被害者を発見しなければ4度も命を狙われることはなかった。
しかし志郎は仮面ライダー1号本郷猛の後輩であり立花レーシングクラブ所属なので猛、一文字のどちらかがデストロンの野望に気づきその流れで遅かれ早かれ巻き込まれる可能性はあった。
だが家族を殺され、改造人間になることはなかったかもしれない。
風見雪子のいたずら
朝食の席で雪子がボーっとした志郎を驚かせたおかげで志郎は猛毒「ルガー」入りのコーヒーを飲まずに済んだ。
この出来事がなければ今頃志郎は暗殺され、ダブルライダーも改造人間分解光線で倒され、藤兵衛も殺されていただろう。
世界はデストロンに支配され人類は滅びていた。
平和と戦争の境界ってこのほんの些細なきっかけがあるかないかで紙一重なんだと思います。
風見家で純子を介抱したこと
デストロン目撃者である珠純子を風見家で介抱したことで純子を追ってきたデストロンが風見家を襲撃。
結果、志郎以外の家族全員を皆殺しにされてしまう。
純子を風見家ではなく、ライダー少年隊で保護していれば猛と一文字が常駐しており安全を確保できたかもしれない。
だが、志郎も目撃者の1人なので後々家族が狙われる可能性はあった。
しかし、あのタイミングで狙われなければ助けられたかもしれないのも確かである。
その後悔は志郎の中で永遠に消えない傷となるだろう。
志郎のアジト潜入
ダブルライダーに家族のために命を大切にすることを諭された志郎。
だがその程度で志郎の気はおさまらない。
結果、アジトに志郎が駆けつけたことでダブルライダーは命を救われる。
志郎の介入がなければ全てが終わっていたと言っても決して大袈裟ではない。
仮面ライダーが3人に増えたこと
これは言うまでもありませんがダブルライダーでも強力なところにトリプルライダーともなれば戦力アップ!デストロンの脅威となるだろう!
前作からの首領の立ち回り
ショッカー及びゲルショッカーを全滅させられたのは首領や構成員の慢心や実力不足。
だが組織再編成のために一度身を引いて偽りの平和を与え油断させた采配は見事なものだ。
仮の自分(首領)に注意を向けさせ、倒させてることで安心を与えたこともデストロンが力を蓄える上で重要な時間稼ぎとなっている。
そう考えると【仮面ライダー(初代)】94話「ゲルショッカー首領の正体!!」で首領の正体が入ったデータを入手したということは本当に首領を追い詰めていたということだ。
このデータを猛たちに見られデストロンの匂いを嗅ぎつけられていたら再編は叶わなかっただろう。
本作1話を視聴してあらためて初代94話は物語の重要なターニングポイントだったんだなと感じた。
「アンチショッカー同盟」のみなさん元気かな?
デストロンとして首領が復活したいま活動を再開するのかな?
注目の特撮表現
チベット産の猛毒「ルガー」の表現
本作オリジナルの「ルガー」という猛毒は体内に取り込むと肉体組織が焼きただれる。
この「焼きただれる」という猛毒の効果を表現するために志郎がこぼしたルガー入りのコーヒーは激しく燃え上がる。
コーヒーが燃え上がる様はガソリン等に点火して表現しているのだろう。
ルガーを体内に取り込んだら猛毒がこのように反応し肉体組織が焼きただれるよということを分かりやすく表現している。
パワーアップした爆発表現
今作から爆発表現もとい火薬の量が明らかに増量されている。
仮面ライダー(初代)の爆発3個分?ぐらいはあるだろう!と思ってしまった。
その影響か火力も3倍、スタントの危険度も3倍、画面の引きも3倍で爆撃を受ける仮面ライダーが小さく観える。
だがその効果は絶大で爆発の中バイクを走らせウィリーするV3のOPはめちゃくちゃカッコイイ!
V3のデザイン配色は初代ライダーより派手なため大爆発の中でも見劣りしない。
むしろ煙のねずみ色で背景が隠されることで派手なV3が映えて観える。
デストロンの恐ろしいさと仮面ライダーの勇ましさが同時に一画面に表現しているのは凄い!
改造人間分解光線表現
3つの電飾を順番に点灯させ、仮面ライダーに青、赤、緑の光を当てることで改造人間分解光線を表現している。
光線を照射された仮面ライダーや志郎に煙を焚くことで身体が分解しはじめていることを表現。
改造人間手術の様子(ダブルライダーバージョン)
手術内容自体はおそらくショッカーがダブルライダーを改造した時とそう変わらないものであろう。
そこにダブルライダーのエッセンスを足して誕生したのが仮面ライダーV3だ。
このシーンではダブルライダーがピンセットで志郎の身体に機械を埋め込んでいることがわかる。
仮面ライダー作品で改造手術というと遺伝子・細胞レベルでの改造として解釈されることも多く、ロボット兵器というよりかは生物兵器としての側面が色濃い。
これはおそらく石ノ森章太郎版の「漫画 仮面ライダー」を原点に設定されるためだろう。
そのため血管や細胞がビキビキと変化して変身や能力を発揮している描写が多いように思う。
だが今回のシーンを観る限りテレビ版の改造人間からは一部機械の構造もあることが判明する。
「セイブツダー」と思っていたら「キカイダー」だった感じですかね?
ライダー少年隊本部の地震表現
バズーカ砲の衝撃で揺れるライダー少年隊本部。
遠目からは模型の本部をジオラマの下から操作することでグラグラ揺れている様を表現している?
本部内の実写部分ではセットを揺らす、もしくはカメラを揺らして周りのものは糸で操作して動かしている?
仮面ライダーV3の決めポーズ
右手の甲を外に向け天に向かってVサイン!
そして左手を右腕の肘に添えて決めポーズ!
特撮満足度(★で5段階評価)
特撮満足度
アクション:★★★☆☆
猛烈度:★★★★★
敵の強さ:★★★★☆
ロケーション:★★☆☆☆
仕掛け:★★★☆☆
第1話の名言・迷言・珍言・失言
仮面ライダー1号「風見…お前の気持ちはよくわかる…しかし、個人の復讐のために力は貸せない」、2号「改造人間は私たち2人だけでいい!人間でありながら人間でない…その苦しみは私たち2人だけで十分なんだ!」
激情した志郎ですらぐうの音もでない正論。
そして気休めでもなく本当に気持ちがわかる。それが志郎にも伝わるからこそ説得力、重みが違う。
しかも力を貸せないのは決して突き放した発言ではないことが受け取れるのだ。
「人間でありながら人間ではない」というダブルライダーの苦しみを今の志郎では共感・理解できないからこそ自身の軽はずみな発言に黙るしかなかったのだ…
この2人の発言からはゲルショッカーを打ち倒しても癒えない傷を抱えて今も苦しんでいることがわかる。
だからこそこのシーンの2人の声は誰よりも優しく聞こえる。
仮面ライダー1号「デストロンを倒すまでは仮面ライダーは死なん!」
1号は前作でもたびたび「ショッカーを倒すまで死なん!」、「ゲルショッカーを倒すまで死なん!」と不死身宣言を更新し続けている。
そして今回新たな敵としてデストロンが登場したことで上記の宣言をし仮面ライダーの不死身期間は延長される。
次回予告がちょっと不穏だけどね…
仮面ライダーV3「仮面ライダーV3!」
新たなる伝説を予感させるこの一言!
そして仮面ライダー3号ではなくV3とするのがセンス抜群!
私の想像した名前の考察ですが、Vは1号、2号の力が合体する様を表し、3はもちろん3号の意味もあると思いますが個人的にはダブルタイフーンが命のベルトと称されることからデストロンに殺された家族3人分の想いが3に込められていると考えるとエモい。
新たなる物語の1号としてあえて3号を名乗らず新しい名前なのもグッド!
勝利(V)を失った家族3人に誓う仮面ライダー。それが仮面ライダーV3だ!
ロケ地(執筆者の調べ)
・「不明」
次回予告より(第2話「ダブルライダーの遺言状」)
次回のデストロンの刺客は怪人「ハサミジャガー」、「カメバズーカ」。
ハサミジャガーは「ジャガー」と「ハサミ」の特性を持った怪人。
カメバズーカ「カメ」と「バズーカ砲」の特性を持った怪人だ。
仮面ライダーV3でデストロンが扱う怪人は「機械合成怪人」というようで「生物」と「機械」を融合させることに成功している。
仮面ライダー(初代)でも負傷した怪人の腕に機械をアタッチメントとして取り付けることはあった。
しかし、デストロンでは身体の一部としてではなく、機械そのものを特性として付与することができるようだ。
カメバズーカは今回見せた強力なバズーカ砲に加えて体内に原子爆弾が仕込まれている。
予告で映し出されたキノコ雲はその爆発の影響か?
そしてタイトルにもある通り「ダブルライダーの遺言状」が本当ならダブルライダーの死を意味していることになる。
海に薄く映し出された猛と一文字はまるで幽霊が語りかけているようだ。
ダブルライダーはデストロンがいる限り死ななかったのではなかったのか!
だがダブルライダーの力を受け継いだV3がいる!希望は託されたのだ!
感想・まとめ
またも伝説が幕を開けた…いや開けてしまった仮面ライダーV3。
前作で平和となったはずが新たな敵の出現でというパターンは往々にしてありますが、まさか前作のラスボスが本命の仮の姿だったとは驚きました。
さらに強力となった悪の組織デストロンに合わせて演出の火力を上げてくるのも目に見えて番組のパワーアップ感があっていいですね!
やはり作品がヒットすると次回作がパワーアップするのは世の常ですがここまでとは!
個人的には世界線が繋がっているのも嬉しい点だ。
最近は続編であっても形を変えた新シリーズで初めて観ても楽しめるという謳い文句の作品が多い。
前作の伏線や謎を回収しないまま新シリーズに移行してしまうのは前作からの視聴者には寂しいところがある。
確かに世界線を同じにしたら前作の視聴者しかついていけないので新規ファンが獲得しにくいと言う意見も至極真っ当な意見だ。
しかし前作を観てくれた視聴者にこそ次回作を響かせてその熱量をもって他に広めてもらう必要があるとも思う。
その上である程度のサイクルで主人公を変えることで今作のような新鮮さが維持できると感じる。
個人的には世界線の統一を推していきたい面もあるが世界線を入れ替える大事さもあると思う。
特にこういった平和と正義の物語は同じ世界線でシリーズを続けてしまうと「いつまで経ってもこの世界は平和にならない」というジレンマに苛まれる。
「ヒーローがこんなに頑張っているのにいつになったらこの世界は平和になるんだ!」とフラストレーションがたまってくる。
そうしていつまで経っても平和にならない世界線を観ているうちに人の心は「頑張るって無駄なんだ」となりかねない。
子供に夢を与えていない!良くない!
なので別世界や平行世界に物語を切り替えて新シリーズとすることも大事だとも思う。
私が言いたいのは「もうちょっとこの物語みたいな~」と思った塩梅の間は同じ世界線の次回作を観たいという感じですかね。
今回判明したこと
・今作の主人公「風見志郎」は城北大学生化学研究室、そして立花レーシングクラブに在籍する青年で本郷猛の後輩にあたる
・風見家は父と母と志郎と妹の4人家族だが志郎以外デストロンに殺されてしまう
・仮面ライダー(初代)で見せたショッカー及びゲルショッカー首領の正体は仮の姿であった
・悪の新組織「デストロン」はショッカー及びゲルショッカー首領最後の組織であり、首領は新たに「デストロン首領」となる
・デストロンの科学技術では「改造人間分解光線」を開発したり、怪人に機械の特性を合成したり「機械合成怪人」を生み出すことできる
・ダブルライダー(本郷猛と一文字隼人)は改造手術を行うことができる(自分たちを再改造で強化してきたからできて当然か…)
・改造人間(少なくとも仮面ライダー)は身体の一部が機械で出来ている
・「仮面ライダーV3」は風見志郎を仮面ライダー1号、2号が改造手術を施した姿であり、ダブルライダーのエネルギーを送り込むことで誕生する
・新仮面ライダーの名は「仮面ライダーV3」