ネタバレがあります。
本編を楽しんだ後に閲覧することをオススメします。
あらすじ
「ブリザード…ユキオオカミよ…来たれ!」
キバ男爵が呪文を唱えると祭壇に吹雪が舞う。
その吹雪の中から怪人「ユキオオカミ」が産声をあげる…
深夜、「光化学スモッグ」を発明した科学者「寒川博士」はその研究を論文にまとめる作業を行っていた。
そんな父を手伝う娘の「寒川弓子」は父に休憩を提案する。
そして2人でお茶をしていると、どこからともなく太鼓の音が響き渡る。どこかでお祭りでもやっているのだろうか…
そこへ太鼓の音に被さるように電話の呼び鈴が鳴る。
電話の主は「珠純子」。弓子は純子の親友であり、純子は明日、現在博士と弓子がいる別荘にお邪魔する予定のようだ。
電話を終えた弓子は父の言いつけで夜風が入らぬよう窓を閉めようと窓際に近づく。
だが夜風に運ばれやってきた白いものが弓子の目に勢い良くは入り、弓子は痛みを訴える。
弓子の様子を心配しつつ博士も窓際に近づくとそこは季節外れの吹雪となっていた。
すると吹雪の中から怪物が現れ、博士と弓子はデストロンアジトへ連れ去られてしまった…
その目的は博士が開発した光化学スモッグを使った殺人計画に協力させるためだ。
当然そんな恐ろしいことに協力できないとキバ男爵の要求を断る博士。
そこでキバ男爵はデストロンに協力しない博士に見せしめを披露。
ユキオオカミに弓子の首筋を噛みつかせる。
そしてユキオオカミに噛みつかれ出血した弓子の血液を祭壇に捧げ、呪文を唱える。
すると弓子の血は呪いの血へと変化する。この呪いにより弓子は獣人のような姿へ変貌してしまう。
キバ男爵は人前でその姿になりたくなければ明日別荘に訪れる純子たちをアジトに連れてくるように命令を下す…
親友が獣人化!?まさに「けものフレンズ」
寒川親子襲撃から一夜明けた朝、藤兵衛、純子、シゲル、志郎は寒川家の別荘へと向かう。
別荘で4人を迎える弓子は葛藤する…親友とその友人たちを騙し悪の組織に差し出すなんて…
やっぱりそんなこと…そう呟いた時、キバ男爵は弓子にかかった呪いを発動させる。
すると弓子の身体はドンドン獣へと変化する…自身の置かれた立場を見せつけられた弓子は泣く泣くお茶に睡眠薬を仕込む。
今回、キバ男爵が弓子にかけた呪いはキバ男爵の意思で自由に発動させたり、無効化させることができるようだ。
「言うことを効かないと人前に出られない姿にするぞ!」という脅し文句にはピッタリの呪いだ。
この時代だと女性にとっては死活問題だろう。「こんな身体じゃお嫁にいけない」的な。
獣人世界の「BEASTARS」の世界観ならアリかも?
演劇とかでは便利そうだ。
「キバ男爵くん!シーン47、私オオカミ役だから変化よろしく!」みたいな(笑)
ところで弓子役の俳優さんは獣人化(オオカミ化)してしまうという役どころのためか「ウルフカット」なので今回の雰囲気に合っていると思う。
そして別荘に到着した一行は睡眠薬入りのお茶を振る舞われ、シゲル、純子、藤兵衛は次々と眠気に襲われる。
異様な雰囲気に気づいた志郎…睡眠薬の匂いに気づいたが時すでに遅し。
志郎も眠りに落ちてしまう。
4人が眠りに落ちたのを確認すべく博士は1人、1人をチェック。
だが改造人間である志郎に睡眠薬は効かない。
狸寝入りをしていた志郎は博士の腕を掴み問いただす。
「どういうつもりだ!」
動揺する博士を庇うように弓子は「実は…」と間に入る。
だがそれを遮るようにドアが開き、吹雪が室内に舞い込む。
そして吹雪の中から怪人「ユキオオカミ」が現れる。
そうか…やはりデストロンのしわざか!
志郎はV3に変身してユキオオカミを迎え撃つ。だが戦闘中、ユキオオカミに逃げられてしまう。
ユキオオカミの行方を追って周囲を捜索する志郎。
しかし捜索の隙を突かれユキオオカミの「ウルトラブリザード」を受けた志郎は凍って身動きがとれなくなりデストロンに捕らえられてしまう。
希望をゼロにする絶対零度
その頃、デストロンアジトではキバ男爵が藤兵衛たちに「殺人光化学スモッグ」の威力をデモンストレーションしていた。
戦闘員に光化学スモッグを噴射すると戦闘員はもだえ苦しむ。
そしてそこに特殊な光線を合わせると戦闘員は絶命し爆発する。
次はお前たちがこうなる番だ!と実験を見せつけたキバ男爵は一旦藤兵衛を牢屋に監禁。
光化学スモッグについては【仮面ライダー(初代)】72話「吸血モスキラス対二人ライダー」でも少し触れていますが「工場や車から排出される成分と紫外線が混ざり合うことでできる汚染物質」のことです。
健康に被害を及ぼす環境汚染の一種として1970年に認知され初めてから度々「光化学スモッグ注意報」として発令されていたようです。
そんな百害あって一利なしに思える物質を寒川博士はなぜ作り出そうとしたのか?
もしかしたら人工的に作り出すことができるようになることで、光化学スモッグを除去する方法も発明しようという道半ばなのかもしれないですね。
しかし藤兵衛たちは希望を捨てていない。ここに志郎がいないということは志郎は無事。志郎がきっと助けにきてくれる。そう信じる3人。
だがそれはキバ男爵よってすぐに打ち砕かれてしまう。
キバ男爵の合図と共に開かれた装置、その中には氷漬けで身動きがとれない志郎の姿があった。
絶望に打ちひしがれる3人。そこへ弓子が訪れる。
3人は弓子に牢屋を開くよう説得。
デストロンに逆らえない弓子だが、3人の説得により弓子はなんとか脱出の手助けを試みる。
しかし、うまくいかなかったのか場面は変わり、今だ監禁された3人は殺人光化学スモッグの餌食となろうとしていた。
弓子が3人の監禁を解こうと試みるシーン。結局試みるもせずに「処刑当日…」みたいなシーンに切り替わったけどこれはどういうことか?
弓子が牢屋を開けようとした時、若干手が獣化していた。そして泣き崩れる弓子。
つまりはキバ男爵は弓子の試みにも気づいているよ、牢屋を開けたらどうなるか…
そう脅したから弓子は牢屋を開けることを止めたということか…
牢屋の扉を開けようとした瞬間に手が獣化するなどの演出のほうが脅されて思いとどまった感が出て分かりやすかったかな…
博士に殺人光化学スモッグ装置のスイッチを入れるよう命令するキバ男爵だが、それを拒否する博士。
見かねたキバ男爵はユキオオカミにそれを指示。
藤兵衛、純子、シゲル、そしてそれをただ見ている事しかできない志郎。
まさに絶体絶命の大ピンチ…助かる可能性はゼロに思えた…
ダブルライダーの帰還…トリプルライダーの反撃
ユキオオカミの手がスイッチに近づく…そこへユキオオカミの行動を止めるかのようにどこからともなく何かが投げ込まれる。
誰だ!?と空気が一変する。
アジトの壁を突き破り現れたのはなんと本郷猛!
どうやら猛はキバ男爵を追ってはるばるオーストラリアから帰還。このピンチに間に合ったのだ!
猛は殺人光化学スモッグの発動を阻止。寒川親子を逃がした後、牢屋の窓ガラスを戦闘員が持っていた槍で粉砕し藤兵衛たちを救出。
キバ男爵相手に応戦する。
ここの本郷猛の登場シーンが凄いカッコイイ!
照明の影に映るシルエットでもわかるあの毛量。
その影が一歩踏み出すとその堀の深い濃い顔面が姿を現す。
次の瞬間ジャーンと始まる「レッツゴー!!ライダーキック」のイントロ!
そして久しぶりだな!もう大丈夫だ!と目配せするように志郎に目線を送る猛。
かっこよすぎだろ!
牢屋から脱出した藤兵衛は装置で凍らされた志郎をなんとかしようと絶対零度の装置に近づくがユキオオカミがそれを阻む。
この絶対零度装置は【仮面ライダー(初代)】97話「本郷猛 変身不可能!!」で登場し際も猛を変身不能にしたトラウマ的装置だ。
その時、つまりゲルショッカー時代の産物がデストロンで再利用されたというわけだ。
ただ絶対零度装置じゃない可能性もある。
なぜなら今回、実際に凍らせたのはユキオオカミのウルトラブリザードであるからだ。
そのためこの装置は冷凍状態を保つ、いわばクーラーボックス的な役割のみの可能性も考えられる。
だがそこへもう1人、アメリカから帰還した一文字隼人が登場!
ユキオオカミを蹴り飛ばし、志郎が冷凍されている装置を破壊、救出に成功する。
【仮面ライダーV3】21話「生きていたダブルライダー」ではダブルライダー共にオーストラリアにいると言っていたが、どこかのタイミングで一文字はアメリカに拠点を移したようだ。
本郷猛はオーストラリア、一文字はアメリカを担当。だが2人はアフリカの最高幹部キバ男爵を追って日本に帰還した。
これは私の想像だが、ダブルライダーはオーストラリア、アメリカのデストロンは倒した。だがノーマークだったもしくはキバ男爵を追ってと発言しているので、今度はアフリカのデストロンを倒そうと準備をしていたらたまたまキバ男爵が日本に渡ることを知り追ってきたのではと感じた。
電子頭脳で通信できるんだから先に言っといてくださいよ!本郷先輩!一文字さん!
そしてユキオオカミは志郎がキバ男爵は猛と一文字が相手する。
猛、一文字は仮面ライダーに変身。
ここの1号の変身音。長尺でカッコよくなってませんでした?
構えでシューーン…ポーズでシュピーーーン!とちょっと長めに鳴り、「ライダー…変身!」のかけ声のポーズがガシン!となり変身。
この効果音が今まで聞いたことがないような気がして新鮮でかっこよかった。
キバ男爵の相手は2号が引き受け、1号はみんなの援護に向かう。
2号は殺人光化学スモッグ装置を破壊。
1号は逃げながら戦う藤兵衛を援護。次々と戦闘員を蹴散らしていく。
志郎もV3に変身してユキオオカミを相手に激闘を繰り広げる。
V3に追いついた1号も戦いに加勢。
だが怪力ユキオオカミの戦闘力は思いのほか高く、2人がかりでもその凶暴性は止めることができない。
そして2号が2人に追いつき加勢することでやっと戦いは優勢モードへ突入。
1号がライダー返しを決めるが致命傷には至らず。
とにかくトリプルライダーで攻める!攻める!攻める!
そしてやっと訪れたユキオオカミの隙を突き、ダブルライダーはユキオオカミを空中に投げ出す。
それに合わせてV3もきりもみジャンプで跳び上がり、新必殺技「V3きりもみチョップ」を放ちユキオオカミを撃破する。
ユキオオカミを倒したことで弓子にかかっていた獣人化の呪いも解けて一件落着。
だがこの程度で引き下がるキバ男爵ではないと語るダブルライダー。
キバ男爵の恐ろしさはこんなものではない…
「正義のあるところ必ず勝利がある」と信じ、明日も戦うことを誓うトリプルライダーだった…
ストーリーの転換点と考察
ダブルライダーの帰還
もう今回はこれに尽きる!
志郎は捕らえられ、絶対零度の氷漬けで変身が不可能な状態。
ライダー少年隊の主要メンバーである藤兵衛、純子、シゲルも捕まり絶体絶命の大ピンチ。
もうダメか…ダブルライダー!何かアドバイスをくれ!そう心で叫んだのだが、まさかのご本人登場でアジト内が驚きに沸く。
そして寒川親子、ライダー少年隊のメンバー、志郎の救出に成功する。
ユキオオカミの戦闘力も非常に高く1人、2人がかりでもなかなか追い込むことが難しく、やっと3人がかりで撃破に成功している。
そういう意味でもダブルライダーが日本に帰還したのは大きい。
このまま日本に滞在して一緒に戦ってくれると良いのだが、デストロンは世界中で活動している。
また帰ってしまうのか?
だがダブルライダーはキバ男爵を追って日本に帰還したので少なくともキバ男爵を倒すまでは日本に残ってくれそうではある。
助かります!
注目の特撮表現
ブリザードの表現
儀式、ユキオオカミのウルトラブリザード攻撃、志郎の凍結と吹雪の表現は白い粉、もしくは場面によっては光に反射して光っているので細かい銀紙などを使用している?
弓子の獣人化表現
弓子の手に毛を付けた映像と付けていない映像を使い分けることで弓子が獣人化させられる様を表現している。
殺人光化学スモッグの表現
通常の煙を光化学スモッグとして表現し、そこにライトを当てることで煙に色がつく。
それを殺人光化学スモッグとして表現している。
V3の新必殺技「V3きりもみチョップ」の表現
V3がジャンプして横回転を加えることできりもみ回転。そしてチョップを繰り出す技。
特撮満足度(★で5段階評価)
特撮満足度
アクション:★★★★☆
猛烈度:★★★★★
敵の強さ:★★★★☆
ロケーション:★★★☆☆
仕掛け:★★★★☆
第33話の名言・迷言・珍言・失言
キバ男爵「あれはどこの都会でも見るスモッグにすぎん」
つまりだ…現在は滅多に出ない「光化学スモッグ注意報」だが当時、都会では当たり前に人体に影響を及ぼすほどの量の光化学スモッグが大気中にあったということだ。
悪い当たり前って恐ろしい…
仮面ライダーV3「正義のあるところ必ず勝利があると信じます」
そう…正義は必ず勝つわけではない…ひたすらそれを信じて戦うしかない。
「ドリフターズ」式ジャンケン「最初はグー、またまたグー。いかりや長介頭がパー、正義が勝つとは限らない。じゃんけんぽん!」このかけ声を知った時は子供ながら恐ろしさを感じたものです。
正義が勝つんじゃないの!?こう思わせてしまう世の中って…とちょっと絶望したものです。
ロケ地(執筆者の調べ)
・「不明」
次回予告より(第34話「危機一発! キバ男爵対三人ライダー!!」)
次回のデストロンからの刺客は怪人「原始タイガー」。
約100万年前に地球に君臨した猛獣の祖先「スミロドン」の特性を持った怪人だ。
これを書くあたって私は初めてスミロドンという猛獣を知りました。
スミロドンは「剣歯虎」つまり「サーベルタイガー」の一種で、かつて南北アメリカ大陸に生息していた実在の猛獣だそうです。
サーベルタイガーの一種というように非常に上顎のキバが大きく、非常に威圧的で強そうと感じる反面、ちゃんと獲物を突き刺したり、捕らえたりすることができるのか疑問に思うほどの長いキバだ。
ダブルライダーはキバ男爵を追って日本にきたため、次回以降も登場。
仮面ライダー不在のオーストラリア、アメリカが手薄になる一方でデストロンも戦力を日本に集中させているであろう動きなので、今後トリプルライダーを相手にしなければならないデストロンは苦戦を強いられることになるだろう。
これはデストロン崩壊が見えてきた!?
感想・まとめ
弱気ものを助けるヒーロー。
だがピンチの時、強きものであるヒーローは誰に助けてもらえばいいんだ?
ヒーローより強きものがいない中で誰が助けられる?
そういう時、先輩ヒーローの力が助けになる。
今回はそう思わせる回でした。
だけどそう考えると改めて先輩ヒーローがいなかった本郷猛の孤独というのは相当なものだったのでは?と想像できる。
私も初期の本郷猛は結構暗いなんて言いますけど、上記のことを書いていると先駆者ってとてつもなく孤独である、そりゃ浮かない雰囲気にもなるはと今までの楽観的な見方を反省した。
一文字隼人には悪いが同じ改造人間という立場の仲間ができてたことは少なくとも猛にとって心の支えになったはずだ。
趣味も1人で活動するのは孤独じゃないけど、他に同じ活動している人がいないのは孤独なのではないだろうかと少し感じた。
友達じゃないけど同志って大事だなってことかな?
今回判明したこと
・「光化学スモッグ」を作り出した「寒川博士」を父に持つ「寒川弓子」は純子の親友
・21話でダブルライダーはオーストラリアでデストロンと戦っているということになっていたが今回の時点で1号はオーストラリア、2号はアメリカで活動していたことが判明
・ダブルライダーはキバ男爵を追って日本に帰ってきた
・V3の新必殺技「V3きりもみチョップ」
・キバ男爵は魔法使い