ネタバレがあります。
本編を楽しんだ後に閲覧することをオススメします。
あらすじ
ゲルショッカーは本郷猛が変身ポーズをとる際の変身前と変身後の間に0.5秒間無力状態があることを発見。
その弱点をつく「変身ストップ装置 絶対零度」を「ディー博士」が開発する。
ヒルカメレオンの罠にハマった猛は絶対零度で変身を封じられ身動きが取れずに目の前で仲間が捕まり怪人復活の材料にされそうになってもどうすることもできなかった。
そして手術開始の合図が5秒前まで迫る…
忘れていた!いや…信じていたぞ!
猛は変身ストップ装置で身動きが取れず、滝と藤兵衛、隊員たちは拘束されており、手始めに手術材料となるユリは手術台に縛られている。
ちなみにユリの隣のベットにいた怪人は「クモライオン」。ユリの血液はクモライオンに使われる予定だったのか…
もはやユリを助けられるものはいない…そして手術開始のカウントは1秒を切る…
その刹那0.5秒間は本郷猛にとって人生で最も絶望した瞬間だろう。
だがその絶望を打ち破るのは人生最大の絶望を本郷猛に救われた男…
そう!一文字隼人!仮面ライダー2号!
「ライダー2号を忘れていたな?」
52話「おれの名は怪鳥人ギルガラスだ!」で一文字が南米に旅立つ際に「今度は貴様を助ける番だな!」と宣言した通り、ここ一番でお釣りがくるくらいの最大の借りを返す男。カッコイイ…
敵怪人の言葉にこれほど共感するのも珍しい。「いつの間にきた?」
一文字は94話「ゲルショッカー首領の正体!!」で猛とともに「ショッカーライダー」を倒し事件解決後、また南米に戻ったと思っていたし、実際不在だったのでどこから情報を聞きつけてきたのか視聴者も知りたいぐらいだ。
もしかしたら南米のアンチショッカー同盟に知らされて駆けつけたのかもしれない。
南米の同盟はゲルショッカーのコンピュータから最高機密情報を盗み出せるほど優秀なエージェントがいるようなので豊富な情報を持っていたに違いない。
ええい!経緯なんてどうでもいい!2号が来てくれたんだ!助かったんだ!
隊員たちを救出して退避させる2号にヒルカメレオンがあと5分でアジトは爆発すると宣告し姿を消す。
2号はすぐに変身ストップ装置を破壊して猛を救出。
「急げ!本郷、変身しろ!」
そうそう!事前に変身しておかないと今後の戦闘や万が一の爆発に耐えられないのもそうだが、また変身をストップされたらかなわんからな…
1号と2号は超聴覚を使い爆弾を捜索、刻一刻と刻まれる秒針が鳴り響く部屋を発見。
ダブルライダーパンチでも破れないそのドアを仮面ライダー1号、2号のダブル頭突き「ヘッドクラッシャー」で破壊。時限爆弾の影響での焦りかライダーダブルヘッドクラッシャーとは言う余裕はないようだ。
ボクシング漫画でファイターの強烈なパンチをオデコで軽々と止めるシーンをよくみる。
あれと同じで頭部は硬いというイメージ通りライダーの頭部も硬いようだ(まあ手は手袋でマスク(頭部)は実質ヘルメットだし硬いよね)。
ヒルカメレオンの妨害が入るも連携プレーで爆弾を解除しヒルカメレオンを捕獲する。
この赤い時限爆弾80話「ゲルショッカー出現! 仮面ライダー最後の日!!」で滝が運転するトラックにも仕掛けられた爆弾だが、滝暗殺にアジト1個を吹き飛ばすほどの爆弾を使用していたと思うと恐ろしい…それとも今回は火薬多め?
そしてアジトにブラック将軍の声が響き渡り、人体実験用囚人の解放を交換条件にヒルカメレオンの解放を提案。
仮面ライダーは提案に乗る。
交換場所は「パルパル遊園地」の「怪人展示館」で時間は明朝4時と指定される。
パルパル遊園地は1959年に「遠鉄舘山寺遊園地」として開業し、1971年に「遊園地パルパル」に改称して1997年から現在(2024年)までは「浜名湖パルパル」となっている実在する遊園地だ。
そんな子供たちの楽園に怪人展示館?パルパル遊園地はゲルショッカーのアジトなのか、それとも急造したでっち上げなのか…
私は「生誕50周年記念 THE仮面ライダー展」に行きましたが「生誕50周年記念 THE怪人展」なんていうのもあればファンとしてはそそられますね。
キャッチコピーは「バッタバッタ倒されて50年」とかどうでしょう?
怪人の総力戦
明朝4時少し前、パルパル遊園地の怪人展示館にヒルカメレオンを連れてくる猛と一文字。
2人がかりとはいえ未変身状態で怪人を拘束しているのが凄いということは置いておいて、早速怪人展示館へ。
そこには「イノカブトン」、「クモライオン」、「ムカデタイガー」、「ハエトリバチ」、「エイドクガー」といずれも仮面ライダーに倒され、かつ私見だと特に仮面ライダーを死地に追いやった怪人5体が厳選されて展示されている。
その精巧さには一文字もびっくり。
そして明朝4時、約束の時間にブラック将軍の声とともに電子掲示板「シルエトロン」が「ようこそ仮面ライダー」と表示して歓迎した後にブラック将軍のシルエットが映し出される。
ブラック将軍の姿はない…そう当然だ…なぜなら捕虜であるヒルカメレオンの正体こそブラック将軍だったのだから!
ヒルカメレオンはブラック将軍の声を腹話術で発声しており、いかにもヒルカメレオンとブラック将軍が別々の存在であるかのように振る舞っていたのだ。
さすがはカメレオン。声までカモフラージュするとは…
そして目の前の展示怪人も本物!アジト脱出後に明朝4時と条件を出したのは再生怪人を揃えるためだったようだ。その証拠にユリの血液を注入予定だったクモライオンの姿もある。
もしかしてこの再生怪人の5体という数は本来交換条件だった7人の囚人が犠牲になった結果の産物なのではないだろうか?
明朝4時までゲルショッカーに時間を与えたことが悔やまれるが仕方がない。
ただ猛と一文字が言うからには「ゲルショッカーの最高幹部は常に怪人であるはずだ!」、「その正体を見るために罠と知ってやってきたんだ!」ということだがこの辺のやりとりがよくわからなかった。
しかし怪人が常に最高幹部の正体とは限らないし、2人は「ヒルカメレオンが!?」、「ブラック将軍!?」と結構驚いていた。
なので一文字の「思った通りだな!」というのもハッタリかもしれない。でもこういう時ハッタリでも堂々としていた方が勝ちですね。
ブラック将軍もそのあまりにも根拠が乏しい自信でも「ええい!くそっ!」とたじろぎ逃走を図っている。
逃走した怪人はあとから追ってきた滝が追跡し、猛と滝はブラック将軍の追跡を開始する。
ブラック将軍が残したもの
戦いの舞台は遊園地パルパルの園内に移行。
様々なアトラクションを使った大アクション(詳しくは「今回の特撮表現の面白さ」で後述)。
そしてヒルカメレオンを追い詰める。
ヒルカメレオンは背景と同化して姿をくらますがそこから動く余力は残っておらず場所を特定されライダーダブルチョップを受けて瀕死の状態に。
ヒルカメレオンの変身状態は解除されブラック将軍が姿を現す。
ブラック将軍は苦しみながらも自身の方が囮であり、滝が追っている怪人こそ作戦の本命だと告白する。
なんとブラック将軍は最高幹部でありながら自らのプライドにかけて仮面ライダーの注意を引きつけ時間稼ぎをしていたのだ。
その心意気は怪人にも伝わっており「我らのブラック将軍は立派だった!自分の死は承知の上で最後の罠をかけたのだ!」と称えている。
そしてブラック将軍はその勇猛さを死に際にも発揮。
ダブルライダーから離れて捨て台詞を吐き、そしてダブルライダーを真っ直ぐ見ながら前のめりに死んでいった。
まさに武士の理想とする死にざま。
背中から倒れず、死に際ですら前進して前のめりで死にたいといった武に生きるものの魂が感じられる最後だった。
それだけに1号も思わず「ゲルショッカーの幹部はみなそれぞれ勇敢だった」と称えている。
そうなんだよね…それを無謀と捉えるかはさておき、一旦退散することはあっても逃げることはないという意味では勇敢だった。
仮面ライダーの処刑場
ブラック将軍が最後に残した罠。
それが今発動される。
怪人が乗ったトラックを追っていた滝は停車したトラックの荷台から怪人が消えたと錯覚させられ捕獲される。
そしてその別部隊の怪人にもライダー少年隊本部の隊員たちが捕獲されてしまう。
彼らが向かわされたのが「浜名湖大橋付近の海岸」。
捕虜となった彼らは浜名湖の地底湖にある「日本ゲルショッカー本部」で仮面ライダーを処刑するためのエサとして利用される。
そして猛と一文字にコンピュータ音声で作った偽の滝の声を使い浜名湖におびき寄せる。
今でこそというか1970年代から50年経ってやっとAIを使った自動音声で本人そっくりの声色を再現できるようになってきたところなのに、この時代でそれをやってしまうゲルショッカーの科学力は凄まじい。
パルパル遊園地で出てきた万博出展品の「シルエトロン」の技術が霞んで見えるほどだ。
急いで浜名湖に駆けつけたダブルライダーの前には5体の怪人が立ちはだかる。
今こそブラック将軍の遺言を果たす時!5体の怪人は一斉に襲い掛かる。
しかしサボテンバットはダブルライダーでバケツリレーのように投げられ撃破。
イノカブトンは1号のライダーキック、ハエトリバチは投げで池ポチャで撃破。
エイドクガーは2号のパンチで撃破。
ムカデタイガーはダブルライダー投げであっという間に撃破されてしまう。
ハエトリバチだけなぜかやられた時の爆発表現がないのは93話「8人の仮面ライダー」で1号に海に引きずり込まれて溺死みたいな形で撃破されたから最後も同じようにしたのだろうか?
全怪人を撃破後(クラゲウルフ、ウツボガメス、クモライオン、ガラオックスは尺の都合でカット?)急に大地は揺れ、カミナリが轟く。
そして浜名湖の空に赤い三角頭巾とマントを身につけた首領と思わしきものが映し出される。
これは空間ビデオか?
首領は捕らえた仲間たちを仮面ライダーに見せ「ライダー!仲間を助けにゆけ!」と命令。
えっいいの!?
だがそれは当然罠。仲間たちは必死にこちらへくるなとダブルライダーに呼びかける。
罠とわかっていても仲間を見捨てられないとわかっているであろう首領はダブルライダーが仲間のほうへ集中している隙に目から光線を放ち攻撃する。
光線を2発浴びたところでダブルライダーは力尽きる。
それを見た首領は引き上げる。だが、その後すぐにダブルライダーがアジトに侵入。
相対することになる。
首領を追い詰めたライダーは首領の三角頭巾を取りその正体を見る。
首領の顔はまるで神話に登場するゴルゴーンのようで、多くの蛇を顔中に巻き付かせている。蛇はゲルショッカーのエンブレムにも登場する生物だ。
鷲(わし)要素は?
意外なことに追い込まれた首領はダブルライダーに勝つ気はなく相打ち覚悟のようで、自らとともに地獄への道連れを狙っている。
そして強い光を放ち威嚇する。
ダブルライダーも負けじと反撃するが蛇で覆われた顔はブヨブヨしていてライダーパンチの威力が吸収されてしまって攻撃が通じない。
首領も毒ガス攻撃で反撃。
2号が首領の顔に掴みかかり抵抗すると蛇に覆われた顔が取れてしまう。あ…取れちゃった…
アパレルのマネキンであればヤベっと思うところだ。
だがその蛇の頭ですら正体を隠すマスクであった。
マスクの下は白い頭部に赤く血走る血管のような模様。そして一つ目という何とも形容しがたい姿をした悪魔が現れる。
真の正体を表したゲルショッカー首領!これからが本当の戦いだと思いきや首領は「ゲルショッカーの最後だ!私と一緒に死ね!」と叫ぶと飾られたゲルショッカーのエンブレムが爆発し、首領も爆発する…
その後残ったのは首領の本体と思わしき電子頭脳…これを解析すればと手を伸ばすがその時間はなくアジトは崩壊していった。
アジトの崩壊を見つめる仲間たち…仮面ライダーは首領とともに死んでしまったのか…そんなことが頭をよぎる。
だがサイクロン号のエンジンを響かせダブルライダーは帰ってくる!
やはり仮面ライダーは不死身なのだ!
ディー博士の行方
97話「本郷猛 変身不可能!!」で登場した「ディー博士」。
ゲルショッカー科学陣トップの科学者である彼はどこへ消えたのだろう?
ゲルショッカー全滅したと首領が表現したのならもう死んでいるのかもしれない。
怪人は全員倒し、戦闘員もおそらくゲルパー薬が枯渇して3時間後に息絶えるだろう。
だが最高幹部にゲルパー薬が盛られているという情報はない。
そして最高幹部はいずれも怪人。
科学陣のように非戦闘員ではないという考え方もできるが「死神博士」が怪人だった例もある。
旧ショッカーの使えない科学者たちと首領に切り捨てられる中でゲルショッカーでトップの科学者なのでかなりの地位だったことがうかがえる。
死神博士のように軍師であり博士ではなく純粋に博士なだけだったので怪人ではないのかもしれない。
だったらなおさらどうなったか気になる!
しかし、最終回間際に登場したから扱いに困るよね…
今生の別れじゃない!また絶対に日本にこいよ!
ショッカー及びゲルショッカー事件は解決した。
ということは滝和也の日本での任務が終わったということ…
つまりはFBIの本国に帰らなければならないのだ…滝兄ちゃん、滝隊長はずっと日本にいてくれると勝手に思っていたから寂しい…
猛と一文字が日本を去った時のように滝も別れが辛く、みんなに会うのをためらうほどだ。
ライダー少年隊はユリたちに引き継ぎおそらくは町の自警団として続けるようだ。
いつまた悪が現れるとも限らない。滝に会いたいがために悪を作り出すのは良くない良くない。
滝和也また絶対会おうな!
ゲルショッカー首領の…いや…首領とは一体…
ゲルショッカー首領の正体はゴルゴーン系かな?と思ったがその下にはさらに隻眼の悪魔が…
これは怪人に分類するのだろうか?
首から下部分こそシルエットが人間だがマントに隠れて最後までその全体像が明かされることはなかった。
仮面ライダーに多少は抵抗するものの首から下は使わないため格闘能力は不明。
ビーム光線は目にあたる部分から出ているようだが、毒ガスは体全体から噴き出しているように見える。
蛇に隻眼は様々な伝承が語り継がれているようだが、伝承からはこれといって首領の存在意義やあの形態である理由がいまいち見出せなかった(勉強不足)。
あの隻眼は蛇眼の意味である「冷酷な眼つき」、それにかけて邪眼という意味があるだけかもしれない。
あの形態である理由はいきなり姿を表したため考察が難しいが、首領の正体が何者であるかは全編視聴して感じたことからいくつかの説を唱えることができる。
ロボット説
まずは「ロボット説」。これは首領が爆発後に残骸として残った本体が関係している。
首領の1つ目の部分、あれはなにか頑丈な金属で覆われた球体、まるで電子頭脳、もしくは光線を放っていたことから防衛兵器にも思えた。
そのことから首領はロボット、それも軍事ロボットだったのではないかという説を唱えた。
しかし、そんなの首領の最後を見ればだいたい想像がつく。問題はここからだ。
このロボット(首領)が「どこ製」のロボットであるかが最大の焦点となる。
ゲルショッカーの本部は浜名湖の海底にあったので日本製ではないかという意見もあるだろう。
現に原作者の石ノ森章太郎氏が描いた「漫画版仮面ライダー」のラストでは「実はショッカーは国が生み出したコンピュータであり日本政府が黒幕だった」という結末になっている。
それになぞらえるならゲルショッカー首領は「日本製のロボット」だ。
だが待ってほしい。そもそも最初に首領が確認されたのはアンデス山脈のどこかのアジトだ。
そしてショッカー及びゲルショッカーは度々ナチスドイツとの繋がりを匂わせる。
私は全編を通して首領とナチスドイツとの繋がりで感じているものがあった。
それは「ナチスドイツって首領のいいなりで利用されている?」と。
仮にだ…仮にナチスドイツが黄金時代、優秀なコンピュータ兵器を生み出したとしよう。
その兵器にナチスドイツが「世界征服」という命令を埋め込んだどうなるか…
もしそれが人工知能AIとして本当に革新的なコンピュータであったら?
それは当然自我を持ち、学習する。
そしてナチスドイツに与えられた「世界征服」を達成するにはナチスドイツを解体して、コンピュータ自らトップになる必要があるという答えにコンピュータが行き着いたのならどうなるか。
コンピュータはやがて首領となりナチスドイツ解体後にナチスドイツから得ていた知識、科学力を使い世界征服を推し進めていったのではないかと考えられる。
不思議だったんですよね…首領が世界征服にこだわる理由。
でもいまいちわからなかった。
最初は超能力を持った人物がその特異性ゆえに同じ人間から差別など酷い扱いを受けて恨みを募らせたため、この超能力で世界征服して人間を支配してやろうという人間の意思により人間が実行しているものだと思っていた。
首領自身「愚かなる人間ども」という表現をするが「愚かなる生物ども」とは言わないので人間に特別恨みがあると感じていたからだ。
だが物語が進むにつれ、実は首領の意思や信念はなく、ただ単に命令された「世界征服」の実行しようとしているだけに思えてきたのだ。
自我があるようで世界征服にこだわる理由がない。それは単にナチスドイツの絶対命令が残っているだけだからとも考えられる。
そしてもう1つロボットだと唱える理由、先ほどのアンデス山脈のアジトに首領がいたという話しにも通じることで「首領は遠隔でしか指令を出せなかったのでは?」という疑問からくる説だ。
これは首領自身が動けない、もしくはアジト以外からの移動に適さないコンピュータであるからとも考えられる。
ネットワークが繋がっている限りどこにでも首領は現れる。だがネットワークが以外では姿を現すことができない。
そして今回現れた首領こそマザーコンピューターである本体だったという説だ。これは漫画版のラストとも整合性が取れる解釈だ。
であるならば最後の登場、そして死を選ぶというのはどういうことなのだろうか?
あまりにも仮面ライダーが倒せないものだから一度組織を練り直し再編を図るために仮死状態となったのだろうか?
コンピュータでいうところのスリープモードに入り、バックグラウンドで組織運営にも使っていたリソース(処理能力)を全て仮面ライダーの解析に当てるとか?
単純に考えればブラック将軍と同じく仮面ライダーに倒されるぐらいなら仮面ライダーを道連れに自死を選ぶという方がシンプルで明確だ。
結局私があれこれ考察しすぎで首領の思惑は案外単純かもしれない。
だがナチスドイツの解体の裏にはショッカーの誕生があったのではという陰謀論を考えてしまいワクワクが止まらないのだ。
宇宙からの飛来者説
上記のように人間の欲が生み出した悪魔という説が地球圏では一番濃厚かもしれない。
だが世界征服を企んでいるのは地球人だけではないかもしれないということ。
地球に飛来した宇宙人が地球の環境を気に入り何としてでも手に入れたい。
だが正体は明かしたくない。
そんな時、宇宙人の代行者として首領という宇宙技術が送り込まれたのではという説だ。
さらにそう思った理由として最後に首領が自爆した際に電子頭脳だけ壊れなかったことがある。
あれだけ派手に爆発したのに壊れない。もちろん頭脳なので頑丈にして守る必要がある。
しかし、その頑丈さには理由があって実は「地球上にはない頑丈な物質でつくられたもの」の可能性はないだろうか。
首領のよくわからない圧倒的カリスマ性も宇宙由来で宇宙を解明しきれていない人類、特に最高幹部にとっては宇宙の真理に触れたような感覚でカルト的信者になってしまっていたのではないだろうか?
首領にとって当たり前の知識が地球人にとっては真の境地に思えたのかもしれない。
1970年代、人類は1969年7月16日に「アポロ11号」が月面着陸してまだ日が浅い。
大阪万博が開催された時には「月の石」を見に長蛇の列ができたほどだ。
ショッカー構成員はそんな宇宙のその先に触れた時代の熱狂者たちと同じだったかもしれない。
自然からの脅威説
仮面ライダー…いや石ノ森章太郎作品ではたびたび環境問題について触れることがある。
もし首領が大袈裟だけど「ガイアの意思」だとしよう。
人間の私利私欲のために急速に減少する資源と人工物による環境破壊が盛んだった高度経済成長期。
それを見かねた地球が人間を首領のいう「愚かなる人間」と断定して、環境破壊を止める為の使者、もしくは人間に分かりやすい意思として首領を生み出しのではないかという説だ。
これは神目線の裁きに近いかもしれない。
しかし、この説は弱いと思っていて、なぜなら首領自身も環境破壊をしながら兵器を作り、自然を壊してでも作戦を遂行しようとするからだ。
地球の資源なのだから地球の使者である首領が使うのはおかしくはない。
もしくはブラック将軍のように地球も人間を始末するまでの間は身を切って「人間を始末するためだったら多少の環境汚染は耐える、人間がいなくなった後の平穏を思えば今は辛抱だ」と首領の環境破壊には目をつぶっているとも考えられる。
だがわたくし人間目線だとちょっとガイアの意思は組み取れなく、ちょっと現実的じゃない(現実じゃないけど)と考えてしまう。
だがこれだけは言える!
上記どの説でも共通するのは「真の首謀者が首領以外にいると思わせたくないという意図を感じる」ということ。
「ロボット説」だとしてもロボットが「○○製」と知られないことでどこの国の仕業か隠しているように思える。
「宇宙人説」でも地球外生命体というまだ不確実なもので断定はできない。
「自然からの脅威説」はそもそも地球の意思だと言われても信じがたい。
だが確実に言えることは94話「ゲルショッカー首領の正体!!」であんなにも必死に正体がわかるデータを取り戻そうとした首領がわずか4話で自ら姿を現したことが不自然であるということ。
今回出てきた正体も首領の正体はあれですチャンチャン!で終わらせて深入りさせないための囮では?と思えてしまう。
なんにせよ94話「ゲルショッカー首領の正体!!」で首領の正体が入ったテープの中を確認できなかったのがこれからの人類の痛手になるかもしれない。
ちょっと考察が長くなり私自身も頭で整理できない点がありお見苦しい文章だが、とりあえず今回はここまで。
最後になんとなく、なんとなくだけど気になる点がある。
それは蛇のマスク、そして首領の頭脳とも言える目の色だ。
両方とも赤と緑なんですよね…仮面ライダーも赤と緑がトレードマーク。
これって何か関係があるのだろうか?
ストーリーの転換点と考察
思ったよりゲルショッカー首領の反撃がなかったこと
首領は作中で確認できる限りだと、ビーム光線、強い光による目くらましに毒ガス攻撃、あとこれは曖昧だが瞬間移動能力(浜名湖の海岸でダブルライダーに光線を放った後、アジトに瞬間移動したかのような戻り方をしていたので)もある。
ダブルライダーに勝てるかは不明だが十分に抵抗できる能力があるように思う。
なんならビーム光線でダブルライダーを追い込んでいた。
だがダブルライダーがアジトに突入してきた時には光線といっても目くらまし、抵抗といっても射程が短い毒ガス攻撃。特に身体を動かして暴れる様子もない。
アジト爆発による道連れ狙いだったにせよ、もうちょっと抵抗してダブルライダーを弱らせていたら脱出する余力もなく文字通り道連れにできたのに…
正体もわからないのに行動もわからん。
もしかしたらダブルライダー、視聴者に謎を残すことが首領最大の反撃だったのかもしれません。
最後まで首領の正体がわからなかったこと
姿は現したものの首領の口から知りたいことは何も聞き出せなかった。
シンプルに考えると三角頭巾と蛇のマスクでわざわざ2重に素顔を隠していたのだから最後の隻眼の姿が真の正体と考えるのが妥当だ。そこで終わっても良かったかもしれない。
だが自爆した首領の本体、頭脳部分とも思えるパーツを仮面ライダーが見つけて手に取ろうとしたところでアジトが崩壊。
このシーンがあることでどうしても深読みしてしまう。
その頭脳を解析すればショッカー及びゲルショッカーの陰謀の全貌が明らかになったのではと…
注目の特撮表現
電光掲示板シルエトロン
遊園地パルパルの怪人展示館でブラック将軍と取引するためにヒルカメレオンを連れて来園した猛と一文字。
その怪人展示館の後ろに設置されていたのが電光掲示板「シルエトロン」だ。
シルエトロンは万博のレクリエーションルームで体験できたシステムでITVいわゆる監視カメラのシステムがとらえたシルエットを巨大スクリーンに映し出すものだ。
作中ではまず「ようこそ仮面ライダー」という文字が表示される。ここまでは普通の電光掲示板だがシルエトロンは人間の動きを感知してその動きを掲示板に反映させることができる。
この特徴を活かしてブラック将軍が階段の上から降りてくる姿をITVで撮影してシルエトロンに反映させることでどこからともなくブラック将軍が迫ってくるという緊張感を演出している。
遊園アクション
今回は実質10体(ライダーと戦闘をしているのは6体)の怪人が登場した回だったが、その中で一番激しい戦闘と言えばやはりヒルカメレオン(ブラック将軍)戦。
その戦いで仮面ライダーはジェットコースターが迫る中、線路の下にぶら下がり回避するアクション。
空中ブランコが激しく回る中、ブランコの座席に掴まり立ちしながらの戦い。
ジェットコースターが走る中、それに飛び乗りヒルカメレオンとの殴り合い。
どれも不安定かつ高速で動く場所での撮影となりカメラマンとスーツアクターの奮闘がうかがえるシーンです。
背景と同化したヒルカメレオンに攻撃が命中したことがわかる表現
ヒルカメレオンが同化し姿を隠した岩をヒルカメレオンが映ってない状態でチョップ。
その岩に火薬を仕込んで爆発させることで岩に同化して姿が見えないヒルカメレオンに命中したことがわかる表現となっている。
首領のビーム光線表現
首領の三角頭巾の中にライトを仕込んで光らせると三角頭巾に空けた穴から光が出て、それが光線が発射された合図となる。
そして海岸を走る仮面ライダーの周りで爆発を起こすことで光線が着弾したことを表現している。
首領のおどろおどろしさを表現
首領のゴルゴーンマスク、隻眼の悪魔も充分に首領の不気味さを表現している。
だがそれ以上に首領と相対した時、常に流れる「フォッフォッフォッフォ!」を少し濁らせたような不気味な音声が流れる。
これが最高にラスボス感を演出している。バックのBGMも不気味な音声より小さくしているのもグッド!音声以外は無音でも良かったぐらいだ。
特撮満足度(★で5段階評価)
特撮満足度
アクション:★★★★★
猛烈度:★★★★☆
敵の強さ:★★★☆☆
ロケーション:★★★☆☆
仕掛け:★★★★☆
第98話の名言・迷言・珍言・失言
一文字隼人「ゲルショッカーらしい場所を選んだな」
これは一文字が囚人解放場所に指定された遊園地パルパルを見ていったセリフだ。
ゲルショッカーらしいのが遊園地?
確かにショッカー及びゲルショッカーは何かと交渉の場所で遊園施設を指定してくることが多い。
そして事件発生場所も遊園施設であることが多い。
人も集まりやすく格好の狩場なのだろうが、目立ちやすいというデメリットもある。
それでもなぜ遊園施設を選ぶのか?
一文字が言うゲルショッカーらしいとは遊園地を指定するという「子供じみた発想」のことを表しているのかもしれない。
ブラック将軍「時間は良し!俺の役目は終わった!栄光のために私は死を選ぶ!」
敵ながらあっぱれとはこのことだ!
組織の栄光のためにブラック将軍自ら囮となり、部下に繋ぐ。
こんなこと現代で上に立つものができるだろうか?
何も上に自死してでも役割を全うしろとかそういうことを言いたいわけではない。
時には自ら盾となり部下に任せる。そういうことも必要かもしれないということだ。
剣も盾も部下に任せて自身は後方支援すらしない。そんなトップも多い。
ある意味でうらやましい。ブラック将軍はそれほどゲルショッカーに帰属意識を持っていたということだ。
正直今の世の中で帰属意識なんて持てないよ…
滝和也「俺は…みんなのことを決して忘れない…」本郷猛「滝…長く…辛い毎日だった…」一文字隼人「それが平和がよみがえった今、いい思い出になるさ!」立花藤兵衛「そうだとも!滝!きっとまた来いよ!」
平和がよみがえった今、FBI本国に帰らなければならない滝に贈る言葉だ。
それぞれのキャラクターの個性が反映された泣けるシーン。
滝が持つFBI捜査官としての弱点とも言える情の深さ、猛の相変わらずの悲壮感、一文字の前向きな陽キャ感、そして藤兵衛の父性による故郷感。
これらが合わさりこれまでの戦いで感じたもの手に入れたものの大きさを噛みしめさせる。
ナオキが「滝隊長!きっとまた来てくださいね!」というセリフも良い。
ライダー少年隊はユリたちに引き継がれたが彼らの隊長はずっと滝和也だと言ってくれているようだからだ。
そして後ろを振り返らず1人でターミナルへ向かう滝。
涙を見せたくなかったと思うと泣けてくる…
ぜってえまた来てくれよな!
ロケ地(執筆者の調べ)
・「遊園地パルパル(現:浜名湖パルパル)」
・「東京国際空港」
次回作記事予定
仮面ライダー(初代)の記事を見ていただきありがとうございます。
仮面ライダー(初代)は終わりますがシリーズはまだまだ続きます。
次回以降は仮面ライダー(初代)の劇場版、そして仮面ライダーV3の記事を執筆していけたらと思います。
これからもよろしくお願いいたします。
感想・まとめ
もう1話と思わせる最後だった…
これは私がその…犯人の動機が知りたい派だからですかね?
どうしても首領の世界征服の動悸とあまりダブルライダーに反撃しなかった理由が気になる。
仮に物語を終わらせるために駆け足で完結させたのならもったいない。
次回作への伏線ならもったいぶるなぁ~といった感想。
ブラック将軍の勇敢さを表現するために時間を使ってくれたと思えば全然出てこない首領の最後なんてあのぐらいあっさりでもいいのかもしれない。
今回仮面ライダー(初代)を全話視聴して一番良かったのは子供の時に怖かった仮面ライダーを全て視聴できたことだ。
こうして見るとやはり掴みが大事で一文字隼人編の14話まではとにかく話しも雰囲気も暗い。
一文字隼人の変身ポーズや明るいキャラクター性が垣間見える時期から子供たちに受け入れられてきた背景があったり、変身ブームが起きた理由もわかる。
私の幼少期は何となく子供ながら序盤の暗さに恐怖し音を上げていたのだと思う。
そういう意味だとあまり幼少期の子供に序盤の展開はオススメできないですね。
途中から立花レーシングクラブ、ライダー少年隊など地域コミュニティと連携したことで非日常すぎない物語となったのが良かったのかもしれません。
SFとはいえ非日常すぎるのは子供たちにとってはグロい。
だが大人になってまだ浅い知識だけど色々な考察ができて楽しかった。
これは続けていきたいのでこれからの記事も見てくださいね!
今回判明したこと
・ヒルカメレオンの正体はブラック将軍
・ゲルショッカーは組織が持つコンピュータで他人にそっくりの声色を作ることができる
・首領の正体は電子頭脳?
・ゲルショッカー全滅後、ライダー少年隊は継続、滝隊長はFBI本国に帰国
・今回で最終回(泣)