【仮面ライダー】37話「毒ガス怪人トリカブトのG作戦」感想・考察(ネタバレ有) 命がけのビラ貼りとサイン会

ネタバレがあります。

本編を楽しんだ後に閲覧することをオススメします。

東映 1971年

第37話「毒ガス怪人トリカブトのG作戦」感想・考察

バカップルちょっといいな…

トリカブト」の毒ガス実験の犠牲になるバカップルが昭和世代や平成初期世代が想像しそうなバカップルなのが凄く良い!

典型的な「ウフフフフ!」、「あっはははは!」と追いかけっこするカップル。

ベターだけど憧れたな~ミュージックビデオとかにも良く出てくる構図です。

海辺で水をかけあう、砂浜で追いかけっこ、2人だけでかくれんぼなど誰も邪魔できない2人だけの空間。

そんなバカップルですがリア充爆発しろとばかりにトリカブトの毒ガスで絶命してしまう…

なぜならショッカーは「殺人植物」の毒ガスを使い劇場や音楽会場など「密閉空間」でまとめて人間を葬ろうという「G作戦」を計画しており、そのテストにこのバカップルが選ばれてしまったのだ。

FBIは汚い

36話「いきかえったミイラ怪人エジプタス」のまきびし攻撃で故障したのか滝のバイクの調子が悪い…

その後ショッカー事件が判明したことで一文字と滝は出動する。

だが滝はまた一文字を出し抜こうと故障した自分のバイクを置き去りに一文字のバイクを奪い強引に出動する。

緊急事態にも関わらず手柄優先な滝に一文字は思わず「きたねえぞ!FBI!」と滝単体ではなく主語を大きくしてFBIのやり方に不満をもらす。

そのせいで事件の目撃者である「木元きもとミツル」の誘拐を許すことになる。

俺の責任だからと滝は言うがさすがの一文字も否定せずそりゃそうだ対応。

視聴者から観てもそりゃそうだ…

まあでもハリウッド映画のスパイとかは世界の運命や任務のため1分1秒が命取りなのでその辺の乗り物をサッと拝借して走っていったりしちゃうけど、今回は自分の手柄を優先したからちょっと違うけど。

 

ここで少し疑問が解消されたかもしれない。

一文字と滝が向かったミツルの家がある「東京都町田市」。そこにいくために33話「鋼鉄怪人アルマジロング」で考察した旧アミーゴの住所と思われる住所からミツルの家に行くには車で1時間、徒歩で5時間。

だが立花レーシングクラブの住所と思われる場所からミツルの家には車で20分、徒歩で1時間。

今回滝が一文字のバイクを拝借することで一文字の到着が遅れた。

到着速度からして徒歩ではないだろうが別バイクを借りたか、その後滝のバイクが直っていたことから滝のバイクを藤兵衛に見てもらってからきたから少し遅れたのだろう。

このことから14話「魔人サボテグロンの襲来」で滝に送られた藤兵衛からの発会式の招待状の住所はレーシングクラブのものではないことが濃厚となったように思う。

それでなければ滝が一文字のバイクを拝借することで一文字の到着は大幅に遅れて滝はトリカブトの溶液にやられていたかもしれない。

魂がこもった芸術の訴える力

五郎の同級生ミツルはショッカーの殺人を母親に信じてもらえずにいた。

ミツルは正義感か悔しさなのか街中にトリカブトの姿見を書き電柱に貼りつけて回った。

これがなかなか上手く、1度見ただけで描いたとは思えない程のクオリティだ。

この生々しく生き生きとした絵のおかげで一文字たちもミツルの訴えを信じるきっかけとなる。

才能あるぞ…

テレビの見過ぎは病人扱い

ミツルの訴えに病気を疑う母親はミツルを病院に連れていく。

病院では異常なし判定を頂いたが息子が狂ってしまったと思い自室に閉じ込める。

そして事件の調査するために訪問した滝に対しても息子の訴えと逆のことを話して息子の狂乱を悟られないように事実を捻じ曲げる。

家で着物を着るくらい裕福な家庭なのでご近所に知られたくないという保身があったのだろう。

木元さんのところの息子さん狂ったみたいよ」なんて噂になった日にはご近所に白い目で見られるだろうことを恐れたのだろう。

子供は結構しつこく訴えているのでさすがに信じてあげるのも親の勤めであるとは思う。

しかし、当時はSF特集などに影響を受ける子供が結構いたので「テレビの見過ぎだ」が流行語のように子供の幻想を正す教育手法としてもちいられていたので仕方なかろう。

今でもメディア、SNSの力で影響を受けて認知を歪ませてしまう人々が子供に限らず大人も振り回されているので親として心配なのは当然か…

素直に喜ばれると…弱い

怪しいトリカブトの花の贈り物。

藤兵衛も事件の匂いを感じたのか何か臭いとつぶやく。

しかし、マリとユリがトリカブトの花を見て「やっと会長もこの頃私たちのことを考えるようになったみたいね」と喜んでくれたので「まあな」と見栄をはる。

会長の気遣いと知って素直に喜ぶマリ、ユリの笑顔が可愛く、ついつい見栄をはる藤兵衛も娘に喜ばれると怪しい花のことなんてどうでも良くなるようだ。

トリカブトのガス攻撃は強力幹部怪人すら殺す威力

鷲沼スカイビル」の怪獣サイン会に出席してくれた怪人たちは「カニバブラー」、「ムカデラス」、「モグラング」、「アルマジロング」の再生4怪人。

ヒーローショーはショーで良いが怪人ショーなんてファンにとってはこれはこれで嬉しい。

しかし、24話「猛毒怪人キノコモルグの出撃!」で怪人に気づかなかった五郎でもさすがに見たことある怪人には気づいたようだ。

27話「ムカデラス怪人教室」で五郎を操り「ジュニアショッカー」なる軍団を結成しようとした「ムカデラス」がいたのだから忘れようもない。

目的はミツルをサイン会にきた五郎たち、その他友人と一緒にトリカブトの毒ガスで抹殺することだ。

しかし、仮面ライダーに毒ガス発動装置を奪われそれを受け取り子供の救出にきた滝は子供たちを部屋から脱出させたことを確認すると毒ガススイッチを起動させた。

するとあの仮面ライダーを苦しめた幹部怪人たち、何なら1度は一文字の心をくじけさせたアルマジロングですら一瞬で絶命していったのだ。

これだけでも毒ガスの威力を知るには十分すぎるほどだ。

毒ガスを吸った藤兵衛たちはよく窓を換気した程度で助かったな…

○○人いる!怪獣サイン会のホラー…

怪獣サイン会の異変

・怪獣サイン会の会場の椅子は3脚、参加怪人は4人

・サイン会参加人数は7人、ミツルを合わせて8人、サイン会場から脱出した人数は11人

・五郎はサインを貰うためにスケッチブックしか持っていなかったのに突如マジックのように現れた本にサインをもらおうと話している

・怪獣サイン会の案内人が怪獣が登場する時に「怪人」と言っちゃっている

ストーリーの転換点と考察

時間通りに作戦実行

怪獣サイン会での死刑執行時間は16時。

この作戦は仮面ライダーに開始5秒前に阻止されてしまう。

作戦実行時間を守る、まるで時限爆弾のように正確に実行する体質があだとなる。

子供たちやミツルが会場に集まり次第作戦実行で良かったじゃん…

時間を守るのは大事だけど準備が出来次第即実行のように柔軟な対応をしないと仮面ライダーはいつ何時くるかわからない

仮面ライダーと約束しているわけではないのだからたまには時間を破ろう。

再生怪人の選定ミス

再生された怪人「カニバブラー」、「ムカデラス」、「モグラング」、「アルマジロング」がなぜ選定ミスだったのか。

結果論だが「毒耐性がない怪人」だったからだ。

再生怪人の中に「ドクガンダー」、「キノコモルグ」、「ドクダリアン」のような毒耐性がある怪人をサイン会に参加させていればトリカブトの毒で返り討ちにあっても耐える事ができたはず。

まあ怪獣サイン会のメンツとして毒耐性がある怪人は毒々しすぎて子供たちにビジュアル受けしなさそうだからしょうがないか…

今回の特撮表現の面白さ

トリカブトの花表現

トリカブトの頭の葉っぱ?花?(マリ、ユリやバカップルの女性が花と言っていたので花かな?)の真ん中に棒を差し込んでそこから煙を噴出させることで毒ガスを表現している。

植木鉢に毒花を大量に用意しており、その1つをレーシングクラブに送り付け藤兵衛たちを危険な目にあわせている。

そののち五郎たちが向かったサイン会の会場でも使用されることになるのだが、植木鉢で作りすぎたのか植木鉢に植えられた毒花が天井からひもで降りてくるのはちょっとシュールで笑えた。

 

消失表現のヘルメット残し

最初のバカップルがトリカブトの花の毒ガスで死んでいるのを発見したライダーは花を目撃したためトリカブトの溶液で始末されてしまう。

トリカブトの溶液は植物らしく緑色で受けたものを溶かしてしまう。

そのライダーが溶けていく表現なのですが、ライダーの身体は溶けていくのですがヘルメットは残ったままとすることで、そこで人が謎の消失をとげたということを表現している。

消失したのは模型だけど、ヘルメット残しを狙ってやったのであれば凝ってるなと思いました。

 

高層マンションアクション

鷲沼スカイビルでトリカブトとの死闘を繰り広げる仮面ライダー。

高層マンションの屋上で洗濯干しを使ったアクションなど見応えがあります。

その中で特にあわわ!と思ったのが高層マンションの中層辺りで柵もないところでの戦闘アクション。

柵もないところで背負い投げなど「おっ!大丈夫?」って思うほど。

いや危険な撮影だけど「ありがとうございます」って感じですね。

屋上でトリカブトにライダーキックをかました後の追い打ちライダーパンチで高層マンションからトリカブトが落ちていくシーンなんか高層マンションを存分に活かした撮影をしている。

ライダーキックだけでトリカブトのライフはゼロだったのに胸ぐらを掴んでのライダーパンチは通常であれば死体蹴りだが今回は高層マンションを活かして屋上から落とす構図を撮るための演出であったのだろう。

 

特撮満足度(★で5段階評価)

特撮満足度

アクション:★★★★☆

高所:★★★★☆

火力:★☆☆☆☆

水場:☆☆☆☆☆

仕掛け:★★★☆☆

ロケ地(執筆者の調べ)

・「東急鷺沼スカイドエリングA棟」

 

次回予告より(第38話「稲妻怪人エイキングの世界暗黒作戦」)

次回のショッカーからの刺客は怪人「エイキング」。

エイの特性を持つ怪人のようだ。

この怪人は稲妻怪人なのでエイの中でも「シビレエイ目」に分類されるエイであろう。

つまり「電気エイ」だ。

シビレエイは体内に発電器官があるようで古くから麻酔や病気の治療に使われていたようで電気の存在が確認されるまでは魔術的な存在だったようだ。

世界暗黒作戦」というものをショッカーが計画しているようで「暗黒」は「暗闇」のことであれば稲妻を使うエイキングに電気系統をショートさせて世界から光を奪うつもりなのだろうか?

まとめ

今回判明したこと

・マリとユリは新聞記事チェックしてショッカーを匂わせる事件がないかで退屈をしのいでいる

・一文字にとって心がスッキリする日は「ショッカーの事件がない日と東京が青空な日」

・ショッカーが事件を起こさないとレーシングクラブメンバーは運動不足になる

・FBIはやり方がきたねえ

・マリ、ユリがレーシングクラブにいない時は五郎が常勤している?

・怪人は自分の技(状態異常攻撃など)以外の状態異常耐性はない

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