【仮面ライダー】38話「稲妻怪人エイキングの世界暗黒作戦」感想・考察(ネタバレ有) 稲妻よりしびれる絆

ネタバレがあります。

本編を楽しんだ後に閲覧することをオススメします。

東映 1971年

第38話「稲妻怪人エイキングの世界暗黒作戦」感想・考察

3日3晩の大捜索

今回はきたねえFBIを返上して一文字に怪電波の情報を共有して一緒にキャンプをしながら3日3晩バイクで走り続けていた。

滝は3日3晩の調査の疲れのためか寝坊してしまい謝罪しているが一文字は「並みの人間なら無理はない」という。

前々から思っていたがやはり改造人間は肉体の瞬発力だけではなく、持久力も常人をはるかに上回っているようだ。

一文字の体力は無限ではなく眠りもするし、あくびも時々していたことから傷の治り同様に体力の回復も早いが疲れるには疲れるようだ。

緑川博士とルリ子を思い出す

エイキング」をつくりだした「関俊彦せきとしひこ」とその娘の「関明美せきあけみ」を見ていると1話「怪奇蜘蛛男」で仮面ライダー(本郷猛)を生み出した「緑川弘」とその娘「緑川ルリ子」を思い出します。

緑川博士も娘に会いたい一心でショッカーから脱走するために隙をうかがっており、本郷猛と脱出に成功するも「蜘蛛男くもおとこ」に殺されてしまう。

緑川博士の行方不明期間は定かではないが関博士は2年と長く、決死の覚悟での脱出であることがわかる。

自身の研究が恐ろしいことに使われ、その言いなりになり、用済みであればどうせ殺されるのだから、せめてひと目でも娘に会いたかったのだろう。

この負の連鎖を断ち切らなければ!

猛とルリ子元気かな~

君のからだは100万ボルト

今回の怪人エイキングはいつものようにショッカーの科学陣がつくったというよりわざわざ外部から誘拐してきた関博士につくらせた怪人だ。

関博士は海洋生物学の博士なのであくまで監修のような立ち位置だったのだろうか。

だがそれであれば緑川博士も猛の恩師なので同様に生物学の博士だったと考えられる。

仮面ライダーに登場する科学者は明確な専門分野はあるものの基本的にさすが教授なだけあって万能な頭脳を持ち合わせており、見識が広い。

そのため科学や工学に精通する研究者も多く、その優秀な頭脳をショッカーに狙われている。

もしこれで猛同様に身体能力も優れていたら開発者ではなく改造人間にされていたかもしれない。

 

そんなエレキングだが身体からは100万ボルト以上の電気が流れる怪人で稲妻を起こして攻撃することができる。

仮面ライダーは電気を5万ボルトまでしか耐久できない。

その20倍もの電気を流し込むエイキングはかなりの強敵だ。

5万ボルトでも常人であれば黒焦げになるところを耐えられるという程度で激しい痛みは感じる。

100万ボルトとなればいくら仮面ライダーといえど黒焦げになってしまうのでは?

実際に明美を助けに入ったら学生は稲妻で影も形もなく消滅してしまった。

遠距離攻撃でいえば最強クラスの怪人では?

いくらなんでも厳しすぎないか?

一文字は関博士の娘を助けるため意気揚々と関宅に出向くが鉢合わせたエイキングとの戦闘に敗走してしまう。

意気消沈する一文字に藤兵衛はかなり厳しい言葉をぶつける。

エイキングと命がけで戦わず、追わずにおめおめと帰ってきた一文字が気に喰わないようだ。

藤兵衛は一文字に「自分自身に甘えている奴に命をかけることなんてできるもんか!」と突き離す。

滝は一文字がやられたら誰がショッカーと戦うんだとフォローするが藤兵衛は切り返す。

ワシがいる!お前も(滝)マリもユリも五郎だって立派に戦うぞ!きっと戦う!

確かにみんなは改造人間となった一文字より身体は脆く弱い。

なのに命がけで戦っている。

一文字は身体が強い、人類の唯一の希望である自分がやられたらとどこか保身的になっていたことに気づく。

藤兵衛が一文字には1回の失敗も許されないと厳しすぎる要求をしたのは後先考えて保身に走ることで今一番大切なもの、助けられたであろう命を逃す可能性がある。

失うことでなぜあの時全力で立ち向かわなかったのかと後悔するようなことをするなということだろう。

解釈を変えてみると1回の失敗で諦めたら本当にそれは失敗で終わってしまうという意味にも聞こえる。

そうならないために何度でも立ち上がり失敗を失敗じゃなくしろということだろう。

1度の失敗も許されないとは、失敗を許されないことではなく失敗を本当の意味での失敗にしないために最善を尽くせということだろう。

よくいう失敗を取り戻せという言葉の本当の意味は成功しろということではなく失敗を糧にして失敗を放置せず失敗を拾って向き合えということかもしれない。

真意を知れば愛情とも取れるが一文字のことを仮面ライダーと知らないマリ、ユリにとっては一文字ばかり責める藤兵衛が冷徹に見えてもおかしくはない。

そういう意味で最近ショッカーとの戦いが激化し怪人もどんどん強くなっているのは彼らの執念が仮面ライダーを上回りつつあるからだ。

ショッカーには鉄の掟があり1度の失敗も許されず、失敗=死を意味する。

藤兵衛の考えとは対極にあるが心意気は同じだ。

命がけで1度の失敗も許されない覚悟で向かってくる怪人に今の一文字が勝てるわけなかったのだ。

悪の組織ではあるがその執念は常軌を逸しており、一文字は実力ではなく気持ちで負けていたのだ。

 

それにしてもマリとユリは一文字を高く買っており「なんたって一文字隼人の出番よ!」という。

一方、「誰か忘れちゃいませんかね!」という滝に対しては冗談まじりだろうが「足手まといになるんじゃない?」と辛辣な発言をする。

マリとユリは仮面ライダーの正体を知らないため、仮面ライダーである一文字隼人の活躍は知らないはず。

そのため一番大事な時(仮面ライダー変身時)に一文字がいないことをわかっているはずだが、それでも一文字のほうを評価するんだから滝も嫉妬するわな…

まあ間の良い一文字に対して滝はFBIなのに少し鈍い部分もあるからなぁ…

非改造人間でも関係ない!親子の愛情

上述したように一文字に足りなかった「覚悟」を関親子は「愛情」という形で示してくれる。

娘の明美はゾル大佐に父親を呼び出すように脅されるが父親の身を案じて「こんな恐ろしい場所にお父様を戻ってくるように…死んでも言えません!」と命がけで父親を守ろうとする。

しかし、父親が戻ってこないならどの道エイキングに処刑されることを知ると関博士に戻るよう連絡をすることを了承する。

だがここでも明美は抵抗を見せる。父親に戻ってくるように伝えるのではなく逃げるように訴える。

ここでも自分の命より父親の安全を優先する明美だがこの連絡を受けたからには父親として娘を置いて逃げることなどできない。

関博士もまた命をかけて娘を助けに行くべく、一文字たちに行き先を告げずに明朝10時「生田団地いくただんち」へ向かう。

お互いを想い命をかける姿に心動かされた一文字はエイキングの稲妻を受け、怯みながらも臆せず戦い勝利する。

無条件に親子の愛情凄いではなく、愛情の裏付けとしての藤兵衛の叱咤激励や関親子の覚悟などを描いている点がポイント高いですね!

ストーリーの転換点と考察

親子の強い想いが計画阻止のチャンスを作り出す

まずは関博士脱出のタイミング。このタイミングでなければ怪電波を追って調査を行っていた滝たちに偶然出会うことはなかった。

関博士を確保することでショッカーの企みを突き止めることができた。

逆に関博士を確保したことで娘の明美に被害が及んでしまうが博士がショッカーに投降する覚悟のおかげでショッカーの「世界暗黒作戦」の目的を知ることができ、明美の救出にも成功する。

2人を助けることで第2、第3のエイキングの製造を食い止めるだけではなく、世界暗黒作戦で各国の発電所を破壊する計画も阻止することができた。

今回の特撮表現の面白さ

エイキング稲妻表現

稲妻表現は26話「恐怖のあり地獄」でも「地獄サンダー」が登場するさい使用されたものと同じ表現を流用している。

エイキングの場合それに加えてエイキングを中心に漫画の集中線のような稲妻を重ねている。

そして攻撃対象のまわりは暗くなり、稲妻の音とともにフラッシュがたかれる。

こうすることで稲妻攻撃の威力をより強力なものに見せる工夫がなされている。

 

エイキングの飛行表現

エイキングは飛行能力があり、エイのようにヒレを広げてジャンプすることで飛行を表現している。

 

細い屋根でアクション

関海洋生物研究所」のロケ地「旧多摩聖蹟記念館きゅうたませいせききねんかん」の屋根を足場にアクションを行っている。

エイキングの戦いこそ少し広い足場で行っているが仮面ライダーに変身、着地をしてエイキングを追いかける描写は細い屋根の上を走っている。

高所で狭い足場を走っているので踏み外して落ちないかハラハラする場面です。

 

デンジャーライト!?

明美を人質にして尋問を行う際に使われた道具が12話「殺人ヤモゲラス」で登場した「デンジャーライト」に似ている。

デンジャーライトよりは威力が抑えられているようだが光に当たり続けると皮膚がただれるくらいには威力があるようだ。

尋問・拷問道具として調整しているのだろうか?

 

特撮満足度(★で5段階評価)

特撮満足度

アクション:★★★☆☆

高所:★★★★☆

火力:★☆☆☆☆

水場:★☆☆☆☆

仕掛け:★★★☆☆

ロケ地(執筆者の調べ)

・「旧多摩聖蹟記念館」

 

次回予告より(第39話「怪人狼男の殺人大パーティー」)

次回のショッカーからの刺客は怪人「狼男」。

狼の特性を持った怪人だ。

ゾル大佐が命をかけて挑む作戦「狼作戦」。

ゾル大佐自身が改造人間「狼男」となり仮面ライダーに襲い掛かる。

狼特性ということは「」、「満月」などが関係してパワーアップをしたりするのでしょうか。

ヘリを使ったアクションも見どころ。

子供たちのクリスマスパーティーに仮面ライダーが訪れたり、ショッカーも仮装パーティー繰り広げる神回必至のクリスマス回!

まとめ

今回判明したこと

・改造人間は純粋な体力も常人より上

・滝はすねる時に鼻くそをほじる

・滝はショッカーに「FBIの犬」とか「FBIの若造」と呼ばれている

・一文字は1回の失敗も許されない

・ショッカーは顔が段々焼きただれる拷問機械を持っている

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