ネタバレがあります。
本編を楽しんだ後に閲覧することをオススメします。
あらすじ
ある日、サボテン博士こと「松田善一郎」の元に差出人不明の大きな荷物が届く。
妻は気味悪がるがとりあえず開けてみることに。
荷物の中から出てきたのは世にも奇妙な大きな赤いサボテン。
このサボテンは博士ですら初めて見る品種であった。
観察しているとサボテンから怪しい煙が吹き出し博士と妻は気絶してしまう。
気絶した博士は何ものかの声に覚醒して部屋を後にする。
博士が呼び寄せられたのはゲルショッカーのアジト。
ブラック将軍はサボテンに精通している博士の適正を見込み、「サボテン」と「コウモリ」の特性を博士に合成して怪人「サボテンバット」を生み出す。
早速ブラック将軍はサボテンバットに「地球平和科学者委員会」の「鈴木」と「安岡元一郎」のやっけるよう命令を下す。
人間総サボテン化作戦
サボテンに魅入られた男「松田善一郎」博士を使って怪人「サボテンバット」を生み出したゲルショッカー。
サボテンに精通した博士が合成の適任者なのはまあわかる。
ただもう1つの理由が「博士の身体にはサボテンのエキスがたっぷりと染み込んでいるから」というのがようわからん。
いや意味はわかるけど、エキスがたっぷりと染み込んでいるとは「サボテンをめちゃくちゃ触るから」なのか「食事も食用サボテンを好んで食べるなど生活スタイル全般がサボテン中心だから」なのかで大分意味が変わってくる。
少なくとも常人に比喩される表現ではなく、それだけ博士がサボテン狂なことがわかる。
石鹸もサボテン由来、傷薬もサボテンエキスなど、特に液体系は全てサボテンでまかなわれているのではないだろうかと想像できる。
ここまでいくと「私はサボテンでできている」と豪語するかもしれない。
ちなみに冒頭で博士に届いたサボテンは赤いサボテンだから博士が知らないサボテンだったわけではなさそうだ。
実際にサボテンはストレスで赤紫になるそうですし、交配で作出した「緋牡丹」という品種で赤いサボテンがあるそうです。
サボテンバットに改造された博士は「地球平和科学者委員会」という組織の会長「鈴木」博士と副会長「安岡元一郎」博士を襲うようブラック将軍に命令される。
サボテンバットは鈴木会長と秘書、そして安岡を次々と襲う。
そして襲われたものはサボテンバットの毒によりみな「サボテン人間」となってしまう。
騒ぎを聞きつけ現場に駆けつけた会長の息子「鈴木英夫」は奇妙な人間大のサボテンの前に父のパイプが落ちていたことからサボテンは自身の父親ではないかと推測する。
こんな怪奇現象を警察に相談できるわけもなく、英夫はライダー少年隊に相談を持ちかけた。
「地球平和科学者委員会」は88話「怪奇 血を呼ぶ黒猫の絵!」に出てきた「世界平和学会」に似ている。
科学の力で平和な世界を作ろうという目的をゲルショッカーはとことん嫌うらしい。
おそらくゲルショッカーは名前に平和って付いている組織は全部嫌いなんだと思う。
「地球の平和などとぬかす奴は」とブラック将軍が発言していることから間違いない。
今度からはわざと平和を願う組織でも「地球滅亡科学者委員会」と付けたほうが良いかもしれないが世論の支持は得られないだろうな…
そして委員会の重要人物2人を始末した今、ついに「人間総サボテン化作戦」が開始される。
この作戦の目的は日本中の人間をサボテン化し砂漠化させること。
サボテンがたくさんあると砂漠化するのか?砂漠のような過酷な環境に生き残ったのがサボテンだけということか?卵が先か鶏が先かみたいな話しだ。
「砂漠化」は何も辺り一面砂場になることだけを砂漠化というのではなく、劣化した土地も砂漠化と表現するそうだ。
これは環境問題の1つで環境汚染による気候変動などの影響で土地が劣化するなど深刻な問題だ。
環境破壊などのテーマを織り交ぜた話しが出てくる仮面ライダー作品にとってまさにゲルショッカーがやろうとしていることは人間による環境破壊のしっぺ返しなのかもしれない。
サボテンバットは次々に人間をサボテンに変化させてまわる。
そして当て付けなのかサボテンを愛し管理する「真鶴サボテンドリームランド」の皆さんまで襲うという松田博士が正気であれば絶対に許さないであろう悪行を繰り広げる。
何でもかんでも貰うんじゃない!
90話「恐怖のペット作戦 ライダーS・O・S!」でもナオキとミツルが知らないお兄さんに貰って来たハツカネズミが怪人「ネズコンドル」だったように、今回も差出人不明のサボテンが催眠ガスを噴出するなど怪しい贈り物には注意が必要だ。
今までショッカーならびにゲルショッカーの怪しい贈り物にはことごとく騙されてきている。
サボテンも14話「魔人サボテグロンの襲来」でサボテン爆弾が送られてきており一応経験済みだ。
と言ってるそばから今回もナオキは知らない人からサボテンをもらってくる。
サボテン人間事件の最中にサボテンを贈る人間なんて怪しいと思わなきゃ!ナオキとミツルはハツカネズミの前科があるんだから特にね…
でも子供って知らない人から物をもらっちゃうんですよね。
私も小さい頃、「○○あげるからこっちおいで事件」が流行っており、保育園、小学校などで注意喚起がなされていました。私の時代は「たまごっちあげるから」が流行ってましたね(年代バレちゃう(笑))。
子供は好奇心旺盛なので私もキラキラしたものをすぐ拾ってみようとするので親に「何でもかんでも拾うんじゃない!」とよく怒られたもんです。
そんな経緯もあるもんだから藤兵衛がサボテンを回収。しかし、誤って指にトゲが刺さってしまう。
トゲは抜けず藤兵衛の手はみるみるうちに緑に腫れあがり、やがて緑の手「サボテンの手」になってしまった。
これは噂のサボテン人間の前兆!滝は毒が全身に回らないように手首をタオルで巻き英夫に連絡。
何とか症状は手のみで済んだ。だが左手はサボテンのままだ。
ナオキは藤兵衛に謝罪し英夫にワクチンの開発を懇願。英夫は本格的にサボテン人間を元の人間に戻すためにワクチン開発に注力する。
それぞれの覚悟が生んだワクチン開発奇跡の一歩
猛、滝はサボテンバット探しとパトロール。
英夫はワクチン開発に注力していた。
猛はサボテンバットと遭遇し右爪を切断し負傷させるが自身も右手に毒を受けて藤兵衛同様に手だけサボテン化してしまう。
サボテンバットは負傷した爪を鋼鉄製にして強化。再びサボテンに化けて人を襲いはじめる。
余談だがこの鋼鉄製の爪は折られた鉄の爪から仮面ライダーの力を計算して壊れないようにつくられたもののようだ。そんな器用なことできるんだ…
でももし仮面ライダーが5割くらいの力で爪を折ったとして5割の力に耐えられる爪を作っても6割の力では破壊されてしまうのではと思ってしまう。
ようは折った時の力が仮面ライダーの100%と言い切れるならそれに耐えられる強度でも良いが、そうではなく5割の力で折っていたとしたら10割の強度で作っても5割の強度に調整しちゃうんでしょ?それが計算して作るということならもったいなくない?
ならいっそのこと力を計算して強度を調節しなくても、めいいっぱい硬い爪を作ればいいのにとは思った。材料費の兼ね合いかな…
何はともあれサボテンバットがまだ生きている以上、早急なワクチン開発が求められる中、藤兵衛はサボテン化した自身の手を切り落としてワクチン開発に使ってくれと懇願。そして同じく手をサボテン化した猛も名乗りを上げる。
譲り合った結果なのか結局誰も手は切り落とさずに猛のサボテン化した手に次々と治験を行っていく方法で開発を進めるが成果はでない。
ワクチン開発が難航する中でサボテンバットの毒が藤兵衛の全身に回り始めたのか苦しみはじめる。
英夫、猛が焦る中サボテンバットの襲撃にあい実験していた薬品を全て駄目にされてしまう。
しかし、ここで奇跡が起きる!
サボテンバットに倒された2つのフラスコから流れる薬液が混ざり合い藤兵衛の手に滴り落ちると藤兵衛の手はみるみるうちに元の人間の手に戻ったのだ!
これだ!サボテンバットのアシストもあったが(皮肉)決して運ではなく3人が必死にワクチン開発に注力したからこそ起きた奇跡だ!
後はサボテンバット!奴を倒すのみ!
知らぬが仏のサボテン博士
ワクチンの完成により右手が回復した猛はまたも真鶴サボテンドリームランドで暴れるサボテンバットに立ち向かう。
戦闘員を盾にサボテンバットはランドを動き回り入園者を次々とサボテン化していく。
改造した鋭い爪で仮面ライダーを威嚇するがついに追い詰めライダーキックで撃破。
なんかここのライダーキック時の声は本郷猛(藤岡弘)本人なのだろうか?と感じてしまった。声が裏返っているにせよ本人にはあまり聞こえないような…らしくないというか…
なんにせよ松田博士は無事元の人間に戻る。
何も知らない松田博士はみなの談笑に「サボテンバット?そんなサボテンはありませんよ」と発言。
どこまで言ってもサボテンオタクな博士。「博士は何も知らないんだな!」というナオキの発言こそ平和の証!それでいい…知らないほうが幸せなこともある。
それに今回の出来事で頼もしい科学者が誕生した。
彼は地球平和科学者委員会会長の息子「鈴木英夫」。彼はサボテンバットの被害にあった人々全てを救ったのだ!これから科学界を背負って立つ男になるだろう。
ちなみにサボテン人間から戻った人の中で左足が痛い人がいたらそれは仮面ライダーだぞ~戦闘員と戦っている時に不可抗力だが振りまわした棒で思いっきり叩いているので…お大事に!
ストーリーの転換点と考察
ワクチン開発中のライダー少年隊本部を襲撃したこと
これは運もあるがサボテンバットが倒して台無しにしたはずの2つの薬液が混ざり合い、ちょうど正解の調合となりワクチン開発に成功してしまったのだからゲルショッカーにとって運が悪かったとしか言いようがない。
ライダー少年隊本部にサボテンを贈ることで隊員をサボテン人間に変える気だったようだが滝の適切な処置により藤兵衛は手だけのサボテン化にとどめた。
これによりある意味ヒントというかワクチン開発のサンプルを与えてしまう形となる。
贈ったサボテンはサンプルにならないよう用意周到に自動爆発させたのだが、まさか藤兵衛や猛の手がサンプルとして使われるとは…
だが藤兵衛に手を切り落としてまでワクチン開発に協力するという気概(実際には切り落としてない)があったからこそのワクチン開発成功とも言えるので運だけではないとは思う。
注目の特撮表現
サボテンバット登場表現
サボテンから煙を出したり、サボテンの模型に穴をあけてそこから煙を出した後サボテンバットの顔面アップに切り替えることでサボテンからサボテンバットに変身したということを表現。
サボテン人間表現
サボテンの模型を複数個用意して関節ごとに雪だるまのように組み合わせることで人間のような形にしてサボテン人間を表現している。
サボテンバットの毒に感染した手の表現
藤兵衛は指にサボテンのトゲが刺さりサボテンバットの毒に感染する。
その手が段々とサボテン化するのだが、その経過をまず指に緑に着色した粘土?を貼り付けて毒で膨れた指先を表現。
その後、サボテンに見立てた手袋を着用させることで手のみがサボテン化したようにみせている。
これちょっと疑問だったのが藤兵衛は左手、猛は右手がサボテン化しているのを見て最初はペアルックみたいと思っていたのだが、もしかして14話「魔人サボテグロンの襲来」に出てきた「サボテグロン」の手を左右で流用しているからなのか!?私の気のせいだろうか?
特撮満足度(★で5段階評価)
特撮満足度
アクション:★★★★☆
猛烈度:★★★☆☆
敵の強さ:★★★★☆
ロケーション:★★★☆☆
仕掛け:★★★★☆
第96話の名言・迷言・珍言・失言
ゲルショッカー首領「あんな弱い怪人は始末してしまえ!」
なるほど…ゲルショッカー鉄の掟なのだろうが本当に首領は1度の失敗でも堪え性がない。
それに比べてブラック将軍はちゃんと代替え案まで用意してやり返すチャンスを与えている。
こんなにもすぐ始末してしまえを連発しているトップの組織がよくここまで大きくなったな…
まあ経営者ってそういうところあるか…
ユリ「会長の手がサボテンに!」
こんなの人生で1度もいう機会がないであろう発言だ。
ライダー少年隊に所属していれば世にも奇妙な珍言の嵐だろう。
立花藤兵衛「わしの手を切ってくれ!ワクチンを作るために使ってほしいんだ!」
うぅ…つくづく自己犠牲の塊のような男だ…
藤兵衛の神風特攻隊のような生き方はたまに危うさというか、猛にもそういった魂が受け継がれているからこそ尊くも危うい。
この男、猛には死んでほしくないのに自分は進んでお手本のように自己犠牲をいとわないのだから…子供(本郷猛)が真似するでしょ!
ロケ地(執筆者の調べ)
・「真鶴サボテンドリームランド」
次回予告より(第97話「本郷猛 変身不可能!!」)
次回のゲルショッカーからの刺客は怪人「ヒルカメレオン」。
「ヒル」と「カメレオン」の特性を持った怪人だ。
これまた懐かしい怪人がいそうな組み合わせだ。
ヒルはただでさえ小さくて吸われていることに気づきにくいのにカメレオンで迷彩されてはもうお手上げだ。
そしてついにゲルショッカー首領の登場!?登場詐欺だったら4度目なんですが今度こそですよね?
私が仮に仏でも3度までですよ!次は4度目…ついに正体を明かすのか!?
2話前に正体がわかるデータの流出を必死で食い止めたのにあっさり正体出しちゃいますか!?
さらにゲルショッカーの総力を結集して作った「変身ストップシステム」が登場。
仮面ライダーの変身機構つまりベルト破壊などではなく、絶対零度を使い変身前に凍らせてしまおうというシステムのようだ。
安直だけど効果はありそうだ。
絶対零度といえば47話「死を呼ぶ氷魔人トドギラー」で登場した怪人「トドギラー」が-300度の「冷凍シュート」を得意技として日本全土「アイス計画」を企んでいた。
絶対零度は-273.15度なのでトドギラーの冷凍シュートに比べれば暖かい?が-300度は自然界に存在しないエネルギー量であり、絶対零度が一番寒い。
そんな極寒に耐えられる生物はおらず仮面ライダーですら氷漬けにされてしまうようだ。
一体ここからどう逆転するのかが見どころですね!
感想・まとめ
今回は珍しく目に見えて改造人間である本郷猛に状態異常技が効いている希少な回だ。
いつもは回避、もしくは常人のように重症化しないため猛がサボテンの手を差し出した時の映像は凄くシュールだった。
藤兵衛とお揃いのミトンを付けているようにしか見えなかった。
そして今回判明した合成怪人適正に「○○のエキスがたっぷり染み込んだ身体」という変な条件が登場した。
今回でいうとサボテンですが、もしそういう成分が染みついている人間が素体として必要な場合、例えばヒマワリ怪人を生み出そうという時はヒマワリ好きやヒマワリシャンプーを使っている人、メジャーリーガーのようにヒマワリの種を食いまくる人を呼んで改造するということだろうか?
今回の方法ならそういうことになるよな…
なんとも奇妙な条件だが、ようは身体に染みつくほど好きだとか執着したものがあるという意味なのかもしれない。
好きこそ怪人の上手なれってことですかね。
ということはバント怪人を生み出そうと思ったらバントが身体に染みついたバントの神様「川相昌弘」氏を素体にするということか?
でもそういうことですよね!?やっぱ変だわ今回の怪人適正判断…
今回判明したこと
・合成怪人を生み出す素体の適正として「○○のエキスがたっぷり染み込んだ身体」という適正条件がある
・ナオキは知らない人から疑いもせず何でも物をもらってくる…
・ゲルショッカーは怪人の破壊された部位から相手がどのくらいの力でそれを破壊したのかを計算することができる