【仮面ライダー(初代)】90話「恐怖のペット作戦 ライダーS・O・S!」感想・レビュー・考察(ネタバレ有) ペストの使者ネズコンドル

ネタバレがあります。
本編を楽しんだ後に閲覧することをオススメします。

東映 1971年
前話の記事

あらすじ

前回カナリコブラの撃破に成功する仮面ライダー。

一方、新怪人「ネズコンドル」と戦っていた滝は空中高く投げ飛ばされてしまう。

仮面ライダーは空中を舞う滝に合わせてジャンプしてなんとかキャッチ。地面への直撃を回避。

協力して何とかネズコンドルを追い払うがそれは新たな事件への幕開けでもあった…

ネズコンドルはペット作戦第2弾として東京中にペスト菌をばら撒き占拠するために作られた怪人だ。

恐怖のペット作戦はまだ終わっていなかった…

すぐに東京中でペストの感染が多発しライダー少年隊にも被害報告が届く。

前回は序章に過ぎなかった…本命はペスト怪人ネズコンドル

私はてっきり前回がペット作戦第1弾だと思っていたのですがゲルショッカー首領の「第一次ペット作戦を開始しろ」という発言に愕然とする…

へっ!?これから始まるの?前回の「カナリコブラ」が第1弾じゃなかったの?

もしかしたら失敗した作戦のことを第一次と表現したくないのかもしれない。

失敗した作戦はカウントしない。これからが第一次だということか…

本番なのに「今の練習だから!」と言い張る小学生か!

それとも第2弾の第一次ということかな?

さて気持ちを切り替えて第一次ペット作戦の内容を見ていこう。

今回の作戦は東京中に怪人「ネズコンドル」が持つ「ペスト菌」をばら撒き、その感染者から別の人間へ次々と感染者を拡大させていく作戦だ。

まさにネズミ算式にペスト菌を感染させ、大混乱に陥れようと企んでいる。

ばら撒くと言ってもガスや液体など広範囲にばら撒くものではなく、ネズコンドルが噛みつくことでペストに感染、そして感染者が別の誰かに噛みつくことで感染。

これを連鎖的に繰り返すことで東京中にペストを広めるようだ。

ペストとは

「ペスト」とは皮膚が黒くなって死ぬことから「黒死病」とも呼ばれる感染症である。

元々、ネズミ(クマネズミ)の伝染病であり、ペストが発症したネズミの血を吸ったノミから人間に伝染することが多い。

主にヨーロッパで流行した病気で「ペスト医師」が感染対策にカラスのマスクをしている印象的な記録が残っている。

日本でも台湾などで流行した際に感染した渡航者から発見された。だが上陸前に適切に処理されたため流行には至らなかったそうだ。

ペスト流行の報告を受けた猛は驚愕する。なぜなら1927年以降、日本国内でペストの感染例はないからだ。

ネズコンドルのペスト菌に感染すると黒死病(ペスト)の特徴である皮膚が黒くなる症状が現れる。

そして次の獲物に噛みつくための長い牙が生える。

感染者のもとへ駆け付けた救急係員も噛まれて伝染しまともに救急搬送できない状況が続く。

ペストは体液からも感染するので本来は患者を隔離しなければいけないのだが、このネズコンドルの特殊なペスト菌は感染した患者が凶暴化して能動的に感染拡大させるのだから現実世界のペストよりもかなり厄介であることがわかる

警察・病院との連携

今まで警察は旧ショッカーやゲルショッカーの情報を把握しておらず、誰かが助けを求めようとしても取り合ってはくれなかった。

だが今回ネズコンドルの被害者が倒れている現場に訪れた猛が警察官に「ゲルショッカーの怪獣は?」と質問しており、警察官も「ゲルショッカーって何ですか?」ではなく、存在を把握した上で「我々が駆けつけた時にはすでに…」と話しが通じた上で応対している。

ついに警察、国家権力にもゲルショッカーの存在が浸透してきたようだ。

事件発生時には専門家としてライダー少年隊本部に警察から連絡が入るほど密に連携を取るまでになっている。

つまりはライダー少年隊はゲルショッカー対策組織として国から協力が得られるほどの組織になったというわけだ。

病院からも奇妙なペストの拡大報告なども報告が入り非常に協力的だ。

前までは猛やライダー少年隊が介入すると「なんだね君たちは!」みたいな無関係者扱いだったのだが、今は事件現場にも警察に顔パスで通れるようになっている。

これだけ国家と社会と連携が取れれば打倒ゲルショッカーも夢ではない!

ゲルショッカーは少し目立ち過ぎたな…

前回の反省わい!

前回、カナリコブラの変化に騙された滝が「きれいなかわいいカナリアだな~なんて思ったのが間違いだったんですね」とライダー少年隊の油断を反省する場面がある。

だが今回、ナオキとミツルが知らないお兄さんからハツカネズミをもらってきて、その可愛さにライダー少年隊一同またも和んでしまう。

前回の続きなのに疑いを持たずに再度騙されるまでの間が短すぎ!

いや…でも前回猛が発言していた「ペットを愛し…可愛いものに惹かれる心だけは失いたくないな…」を体現しているのがライダー少年隊とも言える。

猛も本来「少年のように無邪気」と藤兵衛に評されるぐらい純粋な心の持ち主だった。

ライダー少年隊のメンバーはこれで良いのかもしれない。

失いつつある純粋な心

上記で書いたライダー少年隊の純粋な心。

だが失いつつある心もある。それが猛の心だ。

ライダー少年隊一同はハツカネズミを見て純粋にかわいい、愛嬌があると盛り上がる。

猛も最初こそかわいいと言葉にするがすぐに疑心が生じる。

あのハツカネズミは前回のカナリコブラ同様、ネズコンドルが変化したものではないかと疑いの心が晴れない猛は滝と共に本部に引き返す。

するとやはり猛の予感は的中。藤兵衛はネズコンドルに寝込みを襲われており、駆けつけた猛と滝によりなんとか被害を回避することができた。

猛自身「ペットを愛し…可愛いものに惹かれる心だけは失いたくないな…」という想いとは逆にゲルショッカーのせいで可愛くてもまずは疑うことを習慣として身に付けてしまっていた。

そのことへの残念な想いを自身に言い聞かせる言葉でもあったのかもしれない。

純粋にかわいいと思うと同時に「もしかしてゲルショッカーの罠?」とも疑ってしまう心がもう嫌なのだろう。

強化ペストは皮膚は黒く、視界も黒く、気持ちは暗く

現在ペストは放置せず適切に治療を行えば治る病気だ。

そのため通常のペストであれば仮面ライダーがネズコンドルを抑え込んでいる間に治療を進めれば感染拡大を抑制することができてしまう。

そこでゲルショッカーはネズコンドルをさらに改造した「改造ネズコンドル」を生み出す。

改造ネズコンドルは新たにネズコンドルの顔にくちばしを取り付けられており、ペスト菌の伝染方法も噛みつきからくちばしで突くに変更される。

ネズミの出っ歯からくちばしに変わるとネズコンドルというより、もはやコンドル要素しかない。

強化前のペストの症状から凶暴化を省き、自我を保たせている。その代わり視力を奪い、恐怖心が芽生え悪夢を見続ける症状が追加されている。

なまじ凶暴化しないため恐怖心はもろ自我を直撃する。

そして麻酔が効かないため眠ることも許されない。おそらく見えない網膜には恐怖心で具現化した化物の姿が見えていることだろう。

現時点で治療法はなく、ワクチンもない状況。

だがIQ600の本郷猛にかかれば状況も急展開。強化ペストに有効な抗生物質を発見。これを元にワクチンの開発に着手する。

厳密にいうと現在(2024年)でもペストに有効なワクチンはなく、治療には抗生物質を使用する。

猛が言っているワクチンは予防ワクチンというよりかは、治療薬のことを指していると思われる。

ちなみにペスト菌の抗生物質を発見したのは2024年から日本の1000円紙幣にもなる「北里柴三郎」。強化ペスト菌の抗生物質を発見したのは「本郷猛」ということになる(空想)。本郷猛紙幣欲しいな…

だが光明が見えた一方でネズコンドルの猛攻は続いており、今度は電車のケーブルを食いちぎる電車を停止させる。

現場に駆けつけた猛だが、強化ペスト菌を注入され滝と撤退する。

この強化ペストは猛にも一部有効であり、猛の視力を奪うことに成功する。

ただその他の症状に侵されることはないようだ…

そして今度は滝が誘拐されてしまう。失明寸前の猛は絶対安静だが、滝以外で滝を救えるのは仮面ライダーしかいない!

なんとか失明寸前の微かな視力を頼りに指定された第3水門へ向かう。

ぼんやりとした視界…だが仮面ライダーの複眼キャットアイは常人の3倍もの視力を誇る。

キャットアイでなんとか視力を補填して戦えるがだんだん視力は失われていく。

0の視力を3倍にしても0…なんとか失明前に勝負をつけなければ…

失明寸前になんとかネズコンドルを倒した仮面ライダー。

その直後、視力は失われていた。

だが強化ペストの治療薬が完成したため視力は全快してめでたしめでたし!

この話しの流れを観ていると50話「怪人カメストーンの殺人オーロラ計画」で目が見えない状態をトレーニングで克服して音を頼りに戦っていた一文字隼人の心眼は神業だな!

ストーリーの転換点と考察

刃にペスト菌を仕込まなかったこと

ネズコンドルは序盤、腕の刃で滝を切り付け、切り傷を負わせている。

噛みつき攻撃だけではなく刃にもペスト菌を仕込ませておけば滝を苦しめることができたかもしれない。

だがあくまでペスト菌を感染拡大させたいので刃でそれを行ってしまうと殺してしまう可能性が高いため、生かした状態で感染拡大を狙うとなると噛みつき攻撃が有効なのかもしれない。

ただ仕込んでおいて損はなかったと思う。

ネズコンドルの顔をネズミっぽくしたこと

改造前のネズコンドルの顔はネズミの顔をしていた。

そのことから猛は「そういえばネズコンドルの顔はネズミに似ていた…」と引っ掛かりを覚える。

ネズミに似た怪人と相対した後にタイミングよく(悪く?)ナオキとミツルがどこぞの馬ともわからない兄さんからハツカネズミを貰ってきたものだからそりゃ疑うは…

かわいいものでライダー少年隊を油断させ攻撃を仕掛ける…前回のカナリコブラと似た状況だ。

結果、顔がネズミに似ているということが、もしかしたらあのハツカネズミはネズコンドルかもしれないと疑われる要因となる。

もし最初から改造ネズコンドルのように鳥頭にしていればハツカネズミとネズコンドルを紐づけられることはなかったかもしれない。

正直、名前も十分ヒントだったけどね…

強化ペストの抗生物質を発見

これは…色々としょうがないかな…

猛はIQ600だし、75話「毒花怪人バラランガ 恐怖の家の秘密」でも完全じゃないけどすぐにワクチンを作り出すほど優秀だから…

まあ強いて言えば、強化ペストの最初の感染者を猛にするべきだったかもしれない。

そうすれば、視力を失った猛が抗生物質を発見することは困難であろう。

猛の前に強化ペストの被害者が出たため菌を採取して抗生物質を発見させたことが痛手だったかな…

でも猛が感染者となる前後での影響を予測するのは難しいのでやっぱりしょうがないかな…

目をくりぬかず、突くんだ…

戦闘員に羽交い締めにされた猛に対して改造ネズコンドルが「本郷!お前の目をくりぬいて、2度と戦えなくしてやる!」と発言する。

てっきり腕の刃を構えたのでその刃で目をくり抜くのかと思いきや、くちばしで突いてペスト菌を流し込むにとどめた。

最終的に失明する結果は同じかもしれないがペスト菌の影響と物理的では全然違う。

ペスト菌の影響であれば治療薬があれば回復してしまう。実際に猛が発見した抗生物質を元に開発された治療薬で猛の視力は全快している。

もし物理的に目をくりぬいていれば、ペスト治療薬関係なく、今後一生の視力を奪うことができたはずだ。

旧ショッカーもそうだけどゲルショッカーって意外と結果より過程を楽しんじゃうんだよな…

これは感染しないんだ…

滝を誘拐したことをライダー少年隊に知らせるためにゲルショッカーはハツカネズミの尻尾に手紙を結んで送り込む。

それを見つけた藤兵衛は捕まえて尻尾から手紙を取ろうとする際にネズミに噛まれてしまう。

…?感染しない?

ハツカネズミに化けているネズコンドルならペスト菌が感染してもおかしくないのに…

それともこのハツカネズミはただのハツカネズミだったのか?

それにしても手紙を指定した場所に届けられるほどお利口な生物ではないはずだ。

お使い程度ならこなすことができるハツカネズミに改造してあったのだろうか?

いっそのこと同じ変化ができるネズコンドルが届けに行きライダー少年隊をパンデミックにしても良かったのではとすら考えてしまう。

猛は視力低下、滝は誘拐して確保。なら制圧は簡単だったのにもったいない…

今回の特撮表現の面白さ

ネズコンドルの翼展開表現

ネズコンドルの翼はアタッチメント式で通常は翼が付いていないのだが、翼を展開する時に腕を大きく広げた状態を撮影。その後、袖下に翼を付けた状態を撮影することで腕から翼が展開されたように観える。

もしくは袖にポケットがあり、その中に翼を隠しており、それを救命具のように広げた?

今回の表現がコマ割りしているとしたら結構スムーズな翼の展開だったので違和感がなく上手く表現されているなと感じた。

ハツカネズミに化けて隠れていることがわかる表現

ハツカネズミに化けてライダー少年隊本部に潜り込むことに成功したネズコンドルは藤兵衛の寝込みを襲う。

藤兵衛の必死の抵抗と猛、滝が駆けつけたことで逃走するネズコンドル。

部屋を出たネズコンドルはすぐに姿を消しており、あまりの逃げ足に唖然とするが、実はハツカネズミに変化して小さくなっていただけでまだ部屋に存在していた。

そのことを表現するために滝が空になったネズミのカゴを投げつけた先(部屋の隅)にハツカネズミを配置することで外にはまだ逃げておらずに能力で変化して隠れていたことを表現している。

ネズコンドルの刃の威力表現

ネズコンドルは両手に鋭い刃を仕込んでいる。

この刃の切れ味・威力を表現するためにパイプ?をあらかじめ切断して切断面を軽く繋いだものを用意して配置。

そうすることでネズコンドルが腕で払うだけでパイプが簡単に折れるため、まるでネズコンドルの刃がパイプを軽々と切断しているように見える。

特撮満足度(★で5段階評価)

特撮満足度

アクション:★★★★☆

高所:★★★★☆

火力:★★★☆☆

水場:★★★☆☆

仕掛け:★★★★☆

第90話の名言・迷言・珍言・失言

本郷猛「ゲルショッカーの怪獣は?」

このセリフは市民がネズコンドルに襲われた現場を訪れた際に警察官に状況を確認するために猛が投げかけた質問だ。

これは世間がゲルショッカーを認知していること、そしてその対抗組織としてライダー少年隊の存在が世間で認められていることがわかる発言だ。

ゲルショッカーに襲われた!とかゲルショッカーって組織が!と言っても世間に信じてもらえずに泣き寝入りする人々をこれまで見てきたからこそ、猛たちの活動の芽が出始めたことに感情移入せずにはいられない!

ついにここまで来たか!という感じですね。

ユリ「このハツカネズミ…誰かに似てない?」

ナオキとミツルが貰ってきたハツカネズミをライダー少年隊一同で観賞している時の発言。

結果は藤兵衛に似ていることが全会一致で判明。

これは愛嬌ある顔という意味だろうが、ちょっとディスってるよね(笑)

ロケ地(執筆者の調べ)

・「不明」

次回予告より(第91話「ゲルショッカー恐怖学校へ入学せよ!!」)

次回のゲルショッカーの刺客は怪人「ムカデタイガー」。

ムカデ」と「トラ」の特性を持った怪人だ。

ムカデのように足の多いトラとなると「となりのトトロ」の「猫バス」を思い出す。

猫バスだとかわいいもんだが、ゲルショッカーの怪人がかわいいはずもなく計画に刃向かうものはムカデタイガーの炎で焼き尽くされる。

次回のゲルショッカーはライダー少年隊に対抗して「少年ゲルショッカー隊」を結成。

ゲルショッカー戦闘員と同じスーツに身を包み整列した子供たちの横にライダー少年隊も整列しているため例のごとくまた洗脳されたのだろう。

対抗するって言っているのにライダー少年隊員を相容れないまま洗脳してどうするよ!?

旧ショッカーでも怪人教室なるもので27話「ムカデラス怪人教室」65話「怪人昆虫博士とショッカースクール」何度か結成されたが次回はそのゲルショッカー版のようだ。

奇しくも27話「ムカデラス怪人教室」の怪人はムカデだったのでその名残でムカデタイガーという選出なのだろうか?

次回の記事

感想・まとめ

私は生まれてから2019年の某ウィルスのパンデミックまで、世界的な流行病の被害に社会が巻き込まれた様子を肌で感じる経験はなかったように思う。

仮面ライダーでたびたびテーマにされる公害なども歴史上の話しとしか認識していなかった。

それはその間にワクチンの開発や環境保全など色々な人が尽力してくれた今日に私は生きているからだ。

小さい頃に受ける予防接種もその1つだろう。

それだけに2019年のパンデミックにはかなり驚いた。

私はありがたいことに運よく現在(2024年)も感染しないで生活できている。

これも色々な人々が社会に尽力してくれたおかげだ。

今回の話し猛が強化ペストの抗生物質を発見したが、仮面ライダーの使命に追われて治療薬を開発する暇がなかった。

そんな中、藤兵衛が抗生物質の発見を別の研究者に託したことで治療薬の開発に成功。

国民、そして猛をペストの恐怖から救い出すことができた。

これもライダー少年隊もとい色々な人々が尽力し、チャンスを繋いでくれたおかげだ。

今までは仮面ライダーが人知れず一方的に世界平和の使命を背負っているという構図が目立っていた。

だが今回は仮面ライダー、そして社会も一丸となった良い相互関係のもと事件を解決している様子に感動した。

今回判明したこと

・ゲルショッカー関連の事件が発生すると警察からライダー少年隊本部に連絡が入るようになる

・警察も含めて世間的にゲルショッカーの存在が認知され始めたため世間がライダー少年隊に協力的になってきている

・藤兵衛はハツカネズミの顔に似ている(ユリ談)

・藤兵衛はライダー少年隊本部のとなりの部屋に寝泊まりしている

・猛、強化ペストの抗生物質を見つける

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