ネタバレがあります。
本編を楽しんだ後に閲覧することをオススメします。
- 第84話「危うしライダー! イソギンジャガーの地獄罠」感想・考察
- ストーリーの転換点と考察
- 今回の特撮表現の面白さ
- 脳内に語りかけてくる表現
- 迷える男表現
- イソギンジャガーだと自覚させるささやき表現
- イソギンジャガーの溶解液表現
- 戦闘員のロープアクション(ターザン)
- ハトが本部にきた合図
- 隊員全員で大捜索している感を出す表現
- 本郷猛目線で追跡を追体験
- 仮面ライダーのバイクアクション
- 無音表現(バイク戦前)
- 戦闘員のバイクアクション、囲い込み表現
- ロープアクション(仮面ライダー拘束)
- イソギンジャガー登場表現
- イソギンジャガーの瞬間移動表現
- 衝撃エフェクト表現
- イソギンジャガーの触手攻撃表現
- 無音表現(イソギンジャガーと同士打ち)
- 片足のキューピー人形
- クライマックス表現
- ライダーぶら下がり表現
- 新必殺技「ライダーポイントキック」表現
- 自然の脅威と親子の愛情表現
- 特撮満足度(★で5段階評価)
- 第84話の名言・迷言・珍言・失言
- ロケ地(執筆者の調べ)
- 次回予告より(第85話「ヘドロ怪人 恐怖の殺人スモッグ」)
- 感想・まとめ
第84話「危うしライダー! イソギンジャガーの地獄罠」感想・考察
あらすじ
大海原から1人の男が歩いてくる。
彼の名は「桂木良助」。
彼の頭の中には誰かが語りかけてくる…「殺せ…仮面ライダーを殺すのだ!」と。
良助は正気と狂気の境をさまよいながら苦しむ。
そして正気が狂気に変わる時、彼は「イソギンジャガー」となってしまう。
イソギンジャガーとなった彼に良心はなく、自身の姿を見た釣り人を溶解液で殺してしまう。
そしてイソギンジャガーは海岸を背に仮面ライダー抹殺へと向かう…
チョコの親友「桂木マキ」は10日前から父親が行方不明となっている。
そう…父親の名は桂木良助。あのイソギンジャガーだ。
事件性を感じたチョコは滝を呼び出し、事情を説明する。
そこへイソギンジャガーが現れ、マキが誘拐されてしまう。
石ノ森章太郎死す!
これは仮面ライダーの原作者「石ノ森章太郎」氏の追悼ではない。
84話は石ノ森章太郎氏が監督を務めている回であり、いつもと違う表現方法、原作者が思う仮面ライダーの世界観が描かれている。
原作漫画「仮面ライダー」については今後語るとして、なぜ監督を務める彼が死ぬとか言い出したのかというと、実は今回彼がカメオ出演をしているのだ。
彼の顔は知っているので、すぐにどの役かピンときました。
それはイソギンジャガーを目撃してしまう不運な釣り人の役だ。
目撃した釣り人は必死で逃げるもイソギンジャガーの溶解液で殺されてしまう。
これで出番終了…
監督業に集中するために序盤で退場したかったのかもしれないがまさか殺され役だったとは…
原作者っぽい出演をするなら仮面ライダーにアドバイスをする謎の人物とかそういうのを思い浮かべますが、原作者ならではの自分殺し。自虐?
ちなみにセリフは「み、見ないよ~」と強いて言えば溶解液をくらった時の「ギャー!」かな?
デートの誘いと思い込むだけなら浮気じゃない?
チョコの親友「桂木マキ」は父「桂木良助」と2人暮らしの1人父子世帯。
母親がいないマキにとって父親は家族の全て。
そんな父親が10日も行方不明なら心配だ。
チョコは親友の力になりたくて滝に相談する。
滝は前回行方不明、不在であったが今回はしれっと登場。
前回仲間のピンチに駆けつけられなかったのは何か別の事件に巻き込まれているのでは?と考えていたが、そういうわけでもなくひょうひょうとしている。
しかもチョコに呼び出された理由を「デートの誘い」と勘違いしているのだから呑気なもんだ。
チョコにも冗談言っている場合じゃないと言われ、滝も承知済みだろうがこりゃ半分は本気でデートの誘いだと思っているぞ…
そりゃマキさんキレイだけれども…
まあ滝兄ちゃんを少し擁護するなら、本部など仕事場で話せば良いことをチョコがわざわざプライベート空間に呼び出せば少しはデートだと思うわな…
それよりお前さん既婚者だろ!
少年仮面ライダー隊の捜査規模
漫画でも新たな表現方法に挑戦し続けた石ノ森章太郎氏が監督なだけあって演出に気合いが入っており、映画のような演出が多い。
前半は普段短縮されているであろうライダー少年隊の捜索活動、連携の詳細を観ることができる。
しかも前半15分をみっちり使って大捜索活動を描いている。
マキがゲルショッカーに誘拐されたので滝とチョコはハトで本部に連絡。
連絡を受けたライダー少年隊総出で「赤と黄色のラリー車を探せ!」と協力を求める通信文を全国のライダー少年隊員に送る。
そして通信文を付けて飛び立つハトの多いこと多いこと…
目視で数えてみると同じハトはいるかもしれないがカットごとに数えるとざっと80~100羽はいる。
それだけライダー少年隊が各地に点在しているということだ。
滝隊長いわく隊員は全国にいるようでこんなにも多くのライダー少年隊員がいることに驚いた。
団地、農村、漁港付近など様々な場所にライダー少年隊員がいることがこの演出でわかる。
そしてナオキ、ミツルは自転車、滝はヘリ、猛はバイクで捜索。
藤兵衛は無線でも隊員に協力要請と連絡係、ユリとヨッコは通信文係と大忙し。
普段本部はゆる~い雰囲気なのでこういった任務発生時は隊員としてビシッとしてるんだぞ!とキビキビした隊員たちの場面を観ることができるのは新鮮だ。
今回、演出が豊富すぎるので演出については後述します。
ここで伝えたのは少年仮面ライダー隊が私たちが思っているより大きな組織であったということだ。
親子の絆の前に怪人の入る隙間はない
今回の怪人「イソギンジャガー」は「イソギンチャク」と「ジャガー」の特性を持った怪人だ。
野獣と軟体系との意外な組み合わせだ。柔と剛を兼ね備えたともいえる。
顔が微妙にジャガーで口がイソギンチャクという異色のデザインだ。
背中のイソギンチャクの触手から溶解液を出し、牙はジャガーのように鋭く、咬合力が高い。
口から触手を出して相手を締め付ける「触手締め」、そして触手を使った瞬間移動「触手隠れ」を使用する。
イソギンチャクなのにカミツキが強く、ジャガーなのに触手など遠距離攻撃が得意と厄介な相手だ。
そしてジャガーのスピードどころか瞬間移動してしまうその素早さ。
触手で何かに擬態して身を隠すので「触手隠れ」なら理解できるが触手で瞬間移動はもうわからん…
あまり隙が無いように思える…実際に隙が無く半ば仮面ライダーは追い込まれていたと言えるほど苦戦していた。
だがそれでもイソギンジャガーを攻略できたのは故意かは不明だがゲルショッカーは良助に自我を残していたからだ。
その残った自我、脳内にブラック将軍が「仮面ライダーを殺せ!」、「仮面ライダーを殺すことはお前の喜びとなる」と語りかけることにより、彼の中に残った良心を追い込んでいき自我を崩壊させ仮面ライダー殺人マシーンイソギンジャガーへと変貌させた。
イソギンジャガー(良助)は頭部に変身装置が埋め込まれており、その装置を通してブラック将軍が語りかけている思われる。
怪人で変身は珍しいかもしれないですが、そもそも仮面ライダーも怪人としてつくられているが変身機能を備えているので前例がないわけではない。
変身ポーズやかけ声こそないですが、人間体から姿を変える怪人は今までにもいました。
では今回なにが珍しいかというとイソギンジャガーには変身機構、つまり仮面ライダーのように変身アイテムで変身しているということが明言されているからだ。
この頭部の装置を破壊すれば変身は解除され、正気を取り戻せるかもと考えた仮面ライダーは一か八か頭部にライダーキックを放つ。
だがイソギンジャガーの正気は戻らず暴走は止まらない。
そこへ滝が救出したマキが駆けつけて父を呼びかける。
すると良助の自我がマキを認識したのかイソギンジャガーにあらがうように暴走は止まり変身は解除。
良助は自我を取り戻す。
まさに親子の絆と精神力がゲルショッカーに勝った瞬間だった。
ここで変身解除のきっかけを作ったのは仮面ライダーですが、最後の一歩は親子の絆というのが良いですね。
仮面ライダーだけの力だと自我が戻らず良助を倒す(殺す)しか方法はなかったかもしれない。
改造手術の犠牲者を殺さずに救う方法はある。そんな希望を本郷猛は感じたのではないだろうか。
原作者が伝えたかったこと戦争の恐ろしさと同じ
最後のナレーションで「ゲルショッカーの恐ろしさは戦争の恐ろしさと同じだ」と表現している。
やつらは「目的のためには平和な家庭さえもいとも簡単に犠牲にする」とも表現している。
これはゲルショッカー=戦争と考えると戦争は目的のために平和な家庭を犠牲にするものであるという原作者の考えが垣間見える。
自国の平和のために他国の平和を脅かして、自国の平和のために国民の平和を「簡単に」犠牲にする。
それが戦争だと石ノ森章太郎氏は訴えているのだ。
幸いなことに日本は戦後80年(2024年時点)戦争を行っていない。
ただ目的のために平和な家庭を脅かしていたゲルショッカーのようなやつらは日本にも存在している。
私は戦(いくさ)が恐ろしいのではなく、争いが恐ろしいと考えている。
己の信念をぶつけ合う戦(いくさ)は尊いが争いとなるとまるで誰かの自己実現ために欲望の渦中に巻き込まれるような醜さを感じるのだ。
戦争を経験していない世代を平和ボケだなんて言う人もいるが、なまじ戦争を経験しているからこそ解決手段に暴力の戦争を選択する人々の多いこと多いこと。
他国では戦争をしたいのは上の世代だけで、若い世代のほとんどは自国の利益の前にそもそも戦争なんてしたくない人々が多いように最近感じる。
昔はその国の人々、いわゆる民意で戦争をしているものだと思っていたがSNSが発達し戦争を「仕掛けた側」の人々から悲痛な叫びがあることに衝撃を受けた。
いわゆる殴っているほうも痛いということだ。
国民は殴りたいわけじゃないのに国の独裁者が権力で殴っている。
そして殴った権力者は快感を殴っていない国民には痛みだけ跳ね返ってくるのだ。
もちろん殴られた側が一番痛いし、独裁者も国民が選んだんだから戦争も民意だろとおっしゃる方もいるでしょう。
でも戦争してでも国益をもたらします!って言われて選んだわけじゃなくないですか?
目的と手段を選びません!って言われて選びますか?
国民に体裁繕って選ばれたんじゃないですか?自分の言葉に責任を持たずに国民の期待を反故にした権力者を選んだ国民が悪いなんて有り得ないと思いませんか?
今まで私は国で人を見ていた節がありました。
しかし、様々投稿を見ていると国が戦争をしたいのであって国民を一個人として見た時にこの人は国民である前に人なんだと。
たまたま産まれた国のトップが戦争したがりだったための犠牲者でもあるのだ。
この国に産まれなかったら銃を持つ必要がなかったかもと思いながら銃を撃っている人もたくさんいるでしょう。
平和ボケ最高!みんなでボケれば争いなんて起こらないでしょう平和なんだから!
ストーリーの転換点と考察
少年仮面ライダー隊総動員の大捜索
これはゲルショッカーが予想外というより、視聴者目線で予想外なことだと思います。
まさかライダー少年隊の規模がこんなにも大きかったとは!
イソギンジャガーはわざと目立つように赤と黄色のラリー車にしたと言っているがこんな小細工しなくてもこの捜査網だとすぐにでも発見されたであろう数の隊員で捜索している。
伝書バトの数も凄かったですね!あの数だけライダー少年隊がいるかと思うと割とガチなんだなと感じますね。
怪人化解除の方法発見と親子の絆
今までだと怪人となった人間は頭の先からつま先まで改造されてしまっていたので怪人を倒すこと即ち改造元の人間を殺すこととイコールだった。
だが、今回の怪人は怪人となる本人の身体は改造されておらず、脳に変身装置を仕込みその装置で変身し怪人のパワードスーツをまとうといった感じだ。
猛や一文字とは違い、最近の仮面ライダーに多い改造人間じゃないけど変身アイテムを使いパワードスーツを身に着け戦うというようなイメージだ。
そのため脳から変身装置を取り除く、もしくは破壊することで怪人化を解除(変身解除)できる可能性が浮上したのだ。
これに気づいた仮面ライダーは頭部に埋め込まれた変身装置を破壊しようと頭部にライダーキックを放つ。
だが完全な破壊は行えず万策尽きたかに思われた。
しかし、変身装置の機能が不安定となり、ブラック将軍の洗脳効力の波も激しくなった。
こうなってくると後は良助の自我、精神の強さが試される。
そのきっかけが娘のマキというわけだ。
正気と狂気が波のように押し寄せる中、マキの呼びかけで自我が覚醒し狂気を跳ね除けた良助。
滝が「彼は君のお父さんじゃなくなっているんだ!」というセリフも相まってより良助が自力で正気を取り戻しマキのお父さんに戻ったことの凄さが際立った。
たぶんこの後に処理しているだろうが、脳に埋め込まれた装置を除去しなければまた悪魔のささやきの波がくるかもしれない。
これからは怪人から正気に戻った人たちを早急に装置除去手術を手配をすることもライダー少年隊の課題となりそうだ。
これ洗脳機能さえ外せば良助自身のコントロールで変身解除を自在に操れるということかな?
戦力として欲しいがせっかく平穏を取り戻した親子にそれは酷ですよね…
今回の特撮表現の面白さ
脳内に語りかけてくる表現
桂木良助の脳内に響く悪魔のささやき。
ブラック将軍を黒い背景に立たせて語りかけることで良助の脳内、精神世界に響く悪魔のささやきを表現。
ブラック将軍の目のアップ、そこからセリフを喋りながら段々とカメラを引いていくことで段々と精神世界から現実に意識が戻っていくような様を表現している。
迷える男表現
良助をアジトで改造するシーンではなく、波が打ち寄せる海岸を歩かせたのは、目覚めたら海、脳内の謎の声、訳も分からない状況や悪魔のささやきで乱される精神状態、そして自身の中の悪魔(怪人)と対峙する不安感を予測不能な荒波で表現したのではないだろうか。
イソギンジャガーだと自覚させるささやき表現
ブラック将軍は良助にお前はもう普通の人間ではない、仮面ライダーを殺す殺人マシーンだと自覚させるために脳内に語りかける。
そして良助、イソギンチャク・ジャガーの絵、イソギンジャガーを順番に映す映像を繰り返す。
最後にイソギンジャガーを映すことで自分(良助)の中にイソギンチャクとジャガーがいて普通の人間ではないことを自覚して発狂してしまうということを表現している。
イソギンジャガーの溶解液表現
イソギンジャガーの背中のイソギンチャクの後ろから水鉄砲で水を発射させて溶解液を表現している?
戦闘員のロープアクション(ターザン)
木にロープをくくりつけ、ゲルショッカー戦闘員がターザンのようなロープアクションを行い、それを何パターンか撮って順番に移すことで戦闘員が四方八方から襲ってきているよう観える演出をしている。
そしてそれらのアクションを逆再生し再利用することで戦闘員たちが林という空間を立体に使って攻撃してきているように観える。
ハトが本部にきた合図
警報ランプとハトが飛んでいる映像を交互に映すことで伝書バトが本部にきましたよということを表現している。
隊員全員で大捜索している感を出す表現
飛び立つハトを大量に映すことで各地のライダー少年隊員に通信文を一斉に送信したことを表現。
「赤と黄色のラリー車を探せ!」という藤兵衛の無線通信音声に合わせて各地のライダー少年隊員がハトの通信文を読み上げことで各地に協力要請が続々と届くことを表現。
通信文を送る中、先陣を切って自転車でナオキとミツルが出動。
そしてライダー少年隊がこぐ自転車の前輪からバイクの前輪に画面を切り替えることで本郷猛が出動したことを表現。
滝はヘリで出動、それを見上げ隊長の出動を見守る少年隊員。
まさに全員で協力して大捜査を繰り広げている感じが伝わってきます。
本郷猛目線で追跡を追体験
今回は赤と黄色のラリー車を発見した報告を受け128号線を千葉方面追跡する様子を猛目線で表現したカメラアングルがある。
猛が追跡している景色を順番に移すことで一緒にゲルショッカーを追跡しているような追体験ができる。
特に良かったなのはトンネルの出入りを繰り返すシーンの音が良かった。
あとバイクを運転する猛を前方斜め下から映したアングルもかっこよかった。
仮面ライダーのバイクアクション
赤と黄色のラリー車を追跡する仮面ライダーの前に様々罠が仕掛けられていた。
まずは地割れ。これは土の塊か岩を砕き割れ目とピッタリと合わせ、それをパカっと開いたところを撮影することで地割れを表現している。
そしてサイクロン号で段差を走り抜ける場面を下から映すことで地割れを飛び越えたように見せている。
その後カメラを持って段差からジャンプして降りた映像にバイクの着地音を合成することで地割れを飛び越え着地した時のサイクロン号からの目線を表現している?
無音表現(バイク戦前)
静かに、それでも大きな脅威が迫ってくる。
そんな緊迫感を表現するために蜃気楼の向こうからゲルショッカーバイクチームを無音で登場させている。
バイクチームと仮面ライダーマスクのアップを交互に映すことで多くの戦闘員が仮面ライダーめがけて向かってくるということを表現している。
まさに嵐の前の静けさを表現しているように感じた。
戦闘員のバイクアクション、囲い込み表現
蜃気楼の向こうから現れたゲルショッカーバイクチームは瞬く間に仮面ライダーを囲む。
仮面ライダーを中心に円を描くようにグルグルバイクで囲んでいるのだが、その際のバイクチームの映像が残像のようにぼやけて高速で仮面ライダーを囲んでいるように観えるのだ。
どんな表現しているのだろう?
私の考察はまず仮面ライダーがサイクロン号を止めてキョロキョロしているシーンを撮影。
そこから同じ背景でバイクチームがサイクロン号が停車していた場所を中心にグルグル囲むように走行。
その後2つの映像を合成。
そしてバイクチームの映像部分だけ透過、ぼやけ表現を加えることで高速に囲んでいるため残像が仮面ライダーを囲んでいるように観えるという仕組みだと考察した。
このシーン蜃気楼、残像、そしてこの後のロープアクションも含めて工夫が面白いシーンだった。
ロープアクション(仮面ライダー拘束)
仮面ライダーをバイクで囲んだバイクチーム。
今度は仮面ライダーにロープを巻き付けてそのまま囲んで走行することでグルグル巻きに拘束するシーンがある。
拘束後、仮面ライダー目掛けて一斉にキックを放つのだが、咄嗟に上にジャンプした仮面ライダーがロープの支点となり振り子のように戦闘員が張力に引っ張られて全員同士討ちするシーンがよくできていてスカッとするなと感じた。
本郷猛のIQの高さと咄嗟の決断力、そして実行力が上手く表現されているシーンだった。
イソギンジャガー登場表現
岩の隙間からイソギンジャガーの触手を糸かなにかで勢い良く引っ張り出現させ、その後イソギンジャガーが岩の隙間から立ち上がることで仮面ライダーを威嚇しながら登場していることを表現している。
イソギンジャガーの瞬間移動表現
イソギンジャガーは「触手隠れ」という瞬間移動技があるのだが、その瞬間移動先がなぜか「行川アイランド」のトンネルやテーブルとイスが並ぶBBQ場などに移動する。
なんでこんな場所に?という場所に次々と瞬間移動一見何をしたいのかわからないが何か意味があるはず。
そう考え再度同じシーンを見るとトンネル中央にポツンと佇んだり、幾千もの廃墟に見えるBBQ場に佇むイソギンジャガーは凄く不思議でカルト映像にも見える。
つまり不思議な場所にイソギンジャガーを立たせることで瞬間移動により仮面ライダー惑わせているということを表現したかったのかもしれない。
衝撃エフェクト表現
1度しか使用されなかったが仮面ライダーにイソギンジャガーが岩に叩き付けられた時に仮面ライダーの登場音でよく使用されるピキュィーン音の後にライトが十字に照らされる映像を一瞬入れるている。
こうすることで叩き付けられた衝撃をエフェクト表現している。
イソギンジャガーの触手攻撃表現
イソギンジャガーの口に大量の触手を咥えさせてから仮面ライダーに巻きつけることで口に触手を吸い込んでから勢い良く発射していることと必殺技「触手締め」を表現している。
無音表現(イソギンジャガーと同士打ち)
イソギンジャガーが触手締めで仮面ライダーを追い込む中、仮面ライダーはなんとか振り払おうとイソギンジャガーの腹に蹴りを入れるとお互いが吹き飛ぶ。
その瞬間フっと無音になり次の瞬間静かな波音だけが響く瞬間がある。
その後お互いが変身解除されていることから、吹き飛んだ刹那に2人とも意識が飛んでしまったことを無音で表現したかったのではないかと考えた。
片足のキューピー人形
仮面ライダーとイソギンジャガーが相打ち後、少しの間静寂が流れる。
そして波打ち際には片足がないキューピー人形が1つ。
これは何を表しているんだ?ホラー的な何かなのか?
う~ん…
相打ちとなり倒れ、両者ともボロボロの状態であることをキューピー人形の欠損で表現している説。
相打ち後になぜかマキが海岸に倒れており、それが偽物のマネキン爆弾だった。このマネキンどこから用意したんだ?と思った時、あのキューピー人形がマキに擬態したという説。でもイソギジャガーがマキのマネキンを持っていた時はキューピー人形じゃなかったしな~
単にイソギンジャガーの瞬間移動表現のように不思議空間や雰囲気を表現するため?
もしくはモノローグでゲルショッカーの恐ろしさは戦争の恐ろしさと同じと表現していたので戦争の犠牲者を片足だけのキューピー人形で表現したのか?
もっと言えばキューピー人形は裸なので丸腰、武器を持たない無抵抗の人々が犠牲になってきたということを表現したいのか?
ちょっと断定はできないですね…ただ両者相打ちで吹き飛び両者の間の空間を埋めるようにポツンと存在する欠損したキューピー人形は何とも言えない味というか奇妙さと悲惨さ、そして一瞬仮面ライダーがやられたのでは!?と思わせるような表現でしたね。
クライマックス表現
海岸で戦う猛の後ろから滝とマキを乗せたヘリが近づくという渋いシーンがある。
このシーンは戦いのクライマックスが近い、もしくは猛を死地に向かわせるような緊迫感を感じるシーンとなっている。
なぜならイソギンジャガーと相打ち後、猛は岩場に倒れたマキの元へ向かおうとするのだが、そのマキは偽物でありマネキン型の爆弾だったためそのように感じたのだ。
本物のマキを救出した滝はヘリで追いながら偽物のマキであることを必死に無線で伝えようとするが声が届いおらず、ヘリが勢い良く猛に近づいていく姿がそのもどかしさも表現されている。
ライダーぶら下がり表現
マネキン爆弾で爆発に巻き込まれた猛だが、いつもの通り爆風によりベルトにエネルギーが充填され変身したことで難を逃れた。
その際に滝たちの乗ったヘリの足につかまりイソギンジャガーから距離を取っている。
遥か上空のヘリに本当にぶら下がっているかと思うと腕が震えて落下しそうな恐怖感がある。
これはマネキンじゃないよね!?
新必殺技「ライダーポイントキック」表現
イソギンジャガーの頭に変身装置があることに気づいた仮面ライダーは頭をピンポイントで狙い打ちするライダーキックを放つ。
これが「ライダーポイントキック」。
おそらく力任せに蹴る普段のライダーキックとは違い、当てたい部位を狙うコントロール重視のライダーキックのことをそう呼んでいるのだと思う。
自然の脅威と親子の愛情表現
序盤に良助がイソギンジャガーに変貌した海岸。
仮面ライダー抹殺に向かうイソギンジャガーを上空のヘリから映しながらズームアウトしていくシーンがある。
そしてそのアングルと同じシーンが後半にある。
それが良助が正気を取り戻し娘のマキと抱擁するシーンだ。
このシーンのいいところは同じ構図なのに序盤と後半で違う捉え方ができるところだ。
序盤は良助がブラック将軍の悪魔のささやきに屈してしまった後の荒波の静けさがこれから始まる大波乱を思わせるシーンだ。
後半は親子の絆で悪魔のささやきに打ち勝ち平穏な日常を取り戻した2人を祝福するように波が優しくさざめくシーンとなっている。
同じ構図、波でも全然印象が違いますね!
特撮満足度(★で5段階評価)
特撮満足度
アクション:★★★★★
高所:★★★★★
火力:★★★★★
水場:★★★★★
仕掛け:★★★★★
第84話の名言・迷言・珍言・失言
滝和也「まさかデートしてくれってんじゃ?」
マキの父親が行方不明と知ったチョコが滝に協力を要請するために呼び出した際に滝から出た第一声がこれだ。
今では上司にこんなこと言われたらセクハラやなんだのになりそうですが、チョコは問題にもせず「バカ!冗談言ってる場合じゃないのよ!」とサラッと流して対応している。
滝だからこそ言えるセリフだと思いますし、セクハラを擁護するつもりはないですが、あまり過剰に騒がず「バカな人ね!また冗談言ってるよ」ぐらいにサラッと流してコミュニケーションとってくれるのはありがたいですけどね。
まあね…身内だと冗談で済むんですけどね…そうじゃない場合は今から相談する上司がデートを条件に協力するぜとか言いそうならぎょっとしますよね…
滝和也「彼はもう君のお父さんじゃなくなっているんだ!」
簡潔だけど残酷な事実の全てを隠さず伝えているのは好感を持てますね。
結果、君(マキ)のお父さんに戻るのですが、それは結果論であってこういうことをちゃんと伝えないとかえって危険な状況になることを滝はFBIの経験でわかっているはずだ。
内容は残酷だけどハッキリと伝えるのも本人のための優しさだなと感じた場面でした。
ロケ地(執筆者の調べ)
・「行川アイランド」
次回予告より(第85話「ヘドロ怪人 恐怖の殺人スモッグ」)
次回のゲルショッカーからの刺客は怪人「ウツボガメス」。
「ウツボ」と「ウミガメ」の特性を持つ怪人だ。
ウツボとウミガメは両者とも非常に顎が強いがウツボは意外と臆病な性格だそうだ。
その弱点を補うべくカメの甲羅で防御力を上げ、カメの鈍感力で臆病な性格をシャットアウトしてしまおうというわけか?
強力な甲羅アタック、そして顔だけ自立して浮遊行動することができる能力もあるようだ。
殺人スモッグを吐き相手を苦しめる。
なんて言うんでしょう…公害のスモッグによって苦しめられた海の生物が人間に復讐にきたみたいな構図に見えますね。
今回監督を務めた石ノ森章太郎氏も戦争や環境問題について漫画で度々訴えているので原点回帰したようなテーマなのかな?
感想・まとめ
今回はいつもとひと味違う仮面ライダーを味わえる回でした。
世界一仮面ライダーを上手に動かせる原作者が漫画以外で仮面ライダーを動かしているのを観れることなどめったにないので貴重な機会ですね。
普段のんびりしたライダー少年隊も好きなんですが、緊迫感がある本部はクラブのゆるさとは違いやっぱり本気のゲルショッカー対策組織なんだなと感じます。
幹部怪人イソギンジャガーとの戦闘もいつものように前半と後半に分かれておらず、後半に集中して行われるため切れ目がなく、よりガチンコ感があり、尺も長いため仮面ライダーが普段どれほど激しい戦いをしているのかを知ることができる。
この激闘を描くことが戦争がゲルショッカーと同列なぐらい恐ろしいものだと訴えている。
正直日本が何のおかげで戦争をしない国になっているのか、その心持ちは正直わからない。
文化人が作品で呼びかけたからかもしれないし、痛いのが嫌いだからしないのかもしれない。
尊敬する人が言っていたからかもしれないし、単にポストが赤いからかもしれない。
石ノ森章太郎氏も自分が訴えたからって戦争が治まるとも思っていないだろう。
でもSNSを見ていればわかる。
それでも言わずにいられないのだ。言わなければ戦争が肯定されてしまうから。悪に対して黙っていることこそ悪を肯定し増長させるから。
だから言い続けているのかもしれない。
今回判明したこと
・今回の監督は原作者の石ノ森章太郎氏が担当
・序盤でイソギンジャガーに殺される釣り人は石ノ森章太郎氏本人
・女性隊員が本部外で滝を呼び出すと滝にデートの誘いと勘違いされる
・ライダー少年隊員は日本全国にいる(滝隊長談)
・ライダー少年隊の少年隊員には秋?冬用のユニフォームがあり、赤と緑のベスト着用している(下は短パンのまま…子供は風の子!)
・コントロール重視の新必殺技「ライダーポイントキック」
・ゲルショッカーは人間の頭部に変身装置を埋め込むことで無改造でも怪人に変身させることができるようになる科学力を持ち。
・仮面ライダー本郷猛の正体がマキにばれる?(滝が猛が爆発に巻き込まれたのを見て「本郷!」と叫んだ後に「大丈夫だ!俺はここにいるぞ!」とヘリにぶら下がる仮面ライダーが発言しており、それをヘリに同乗していたマキが目撃しているため)