ネタバレがあります。
本編を楽しんだ後に閲覧することをオススメします。
あらすじ
深夜、「片山俊作」その息子「片山コウイチ」親子2人が乗った車が急に動かなくなる。
ガス欠か?エンジンが上手くかからない。
立ち往生する2人の目の前を謎の飛行物が通る。
目を凝らすとその飛行物は化け物の姿をしていた!
2人は車を飛び出し近くの洋館へと非難する。
洋館には誰もいないのにロウソクに灯がともっている。
不気味な雰囲気の中、部屋のドアが独りでに閉まる。
おそるおそるドアを開けるとそこには恐ろしい顔をした女性が立っていた。
立花レーシングクラブでは猛と滝が不思議な事件の調査中を行っていた。
奥多摩付近の断崖で1ヶ月の間に車が3台も落ちたそうだ。
これだけであれば急カーブが多く、事故が発生しやすい場所なのではないかと思う程度だ。
ただ猛たちが目をつけているのはそこではない。
その落下した車の乗客は1人も発見されていないという奇妙な現象が起こっているのだ。
つまり死体が上がるというわけでもなく、だからといって車を捨てにきたとも考えにくい場所のようだ。
これはきな臭いと思った2人は現場に向かう。
そこで2人は奇妙なものを発見する…
滝が考える車を止めるシミュレーション
奥多摩の事件現場を調査する猛と滝。
そこで猛は「走っている車を止めさせるにはどうすると思う?」問いかける。
滝の答えは「小さい女の子が1人で手を挙げている」、「事故を起こさせる」だ。
…?小さい女の子限定?仮に小さい男の子、例えば五郎が手を挙げていても止めないのか?
こ…れ…は…結構ヤバいこと言ってない?止まれよ!
まあそれだけ「女性を守る」ということが男性の務めというか、そういう時代ですからね~
…滝兄ちゃんはやっぱり女好きだな~
ペロっ?うっ青酸カリ!?
事件現場のアスファルトに残された青い跡。
滝はその青い物質を手にとってペロっとしようとして猛に制止される。
滝兄ちゃん…コナンじゃないんだから何でもかんでも舐めちゃダメでしょ!
FBIの割に危機感があまりにないことが多い滝。
何か事件と関係があると考えた2人はその物質を持ち帰って分析することにする。
結果は「蝶の羽に付いている鱗粉」ということだ。
しかもただの鱗粉ではなく毒性が強いもので、あのまま滝が舐めていれば痙攣して即死ほどの猛毒だ。
危なかったと滝は言うが、先ほど鱗粉に触れた手も洗っておらず、ジャンバーで拭う。
ジャンバーで拭うだけ!?前回ショッカーは指先から細菌を感染させる作戦をとっていたのだから手で触れた怪しいものは警戒しないと!ジャンバーで拭うだけじゃダメじゃないか!
私も子供の頃は色んなものに興味を持ちました。
地面に落ちているキラキラしたもの(今思えばガラスとかだった)をすぐ拾ったり、美味しそうに見えるものを口に入れようとしたりと大変だったようで母に「何でもかんでも拾うんじゃない!」と注意されたものです。
滝兄ちゃんは子供じゃないんだから!
でも生物や植物学者などは研究目的で舐めてみたりするみたいですけどね。
悪いことはみんな五郎の仕業
青い物質が蝶の鱗粉、しかも猛毒を持つことがわかった。
そして2人は最近アマゾンの毒蝶を持ち帰った蝶収集家の新聞記事があったことを思い出す。
何か今回の事件と関係があるかもしれない。
早速レーシングクラブメンバー総出で新聞を漁る。
なかなか記事が見つからないのでエミは五郎が何かに使ったんじゃないかと疑い出す。
確かに一番末っ子で手のかかるいたずらっ子。
レーシングクラブのミニショッカーこと石倉五郎が疑われるのは仕方がないといえば仕方がない。
いつも疑われるものだから不貞腐れ作業を止める五郎。
それを一喝する藤兵衛は五郎の頭に乗った折カブトを取り上げて広げると目的の記事が見つかる。
すぐ五郎を疑うなんてエミの偏見だぞ!と思ったがやっぱり五郎が何かに使っていたんじゃないか…ごめんエミ…やっぱり五郎だったわ…
余談ですが、レーシングクラブに貼ってあるポスターが一瞬映るのですが、そのキャッチコピーに何となく惹かれて調べてみました。
「ふたりだけのクーペ」。
何だか男女2人占めの空間を演出するようなロマンスを感じるシンプルだけど「あぁ彼女がいればこれでドライブしたいな」と思わせるキャッチコピー。
このクーペというのは「スズキ」から発売された「フロンテクーペ」という車のことだ。
上記のキャッチコピーは販促用のキャッチコピーとしてだけではなく、実際に「ふたりだけのクーペ」という曲があるんです。
この曲も非常に良い曲で、クーペが演出するイメージもしっかり伝えているしメロディーも良い。
車体も軽自動車なのですが少しコロンとしたデザインで可愛らしくてこんな車で青春したかったなと思わせる車です。
最近のタイアップの残念なところはあまり作品や販促の意図が分かりにくいところです。
アップテンポで歌詞がよく聞こえなく、何が伝えたいかわからない。
雰囲気だけでちょっと今流行のメロディーみたいな曲が多い。
最近だとイントロやゆっくりした曲は流行らないようで、すぐサビに入ったり、早い曲、ショート動画で流行りそうな曲が多く、もっとゆったり歌い上げる名曲が少なくなっているのは残念だ。
仮面ライダーの曲もそうですが、歌詞に思いっきり作品のタイトルが入っていて、この作品でしか使えないだろ!って曲が結構好きだったりします。
もちろんそれ以外の曲も好きですがタイアップや主題歌だと分かりやすい曲がやはり心に残りますね。
今度から滝には色仕掛け作戦を!
蝶の収集家「九条みわ」の家はなんとあの車事故が多発している現場の近くだというのだ。
再度現場付近を訪れるが何かきな臭い…
2人での行動は危険だと考えてまずは滝が洋館を訪れることに。
滝はぜひアマゾンから持ち帰った蝶を拝見したいと意気込む。
その蝶は仮の名を「ギリーラ」といい、アマゾンでは「悪魔の蝶」と呼ばれ現地の住民が見つけても決して近づかない程危険な蝶のようだ。
なぜなら追いかけると逆に襲ってきて毒針を放ち毒に侵されたものは即死という大変危険な蝶だからである。
滝は九条が部屋を去るなり前歯を出して鼻の下を伸ばし「綺麗な人だ…」と一言。
綺麗な女性にめっぽう弱いなら滝には次回から色仕掛けのほうが効果があるかも!?
ショッカーさん検討してみてください。
ちなみに九条が蝶を取りに部屋を出た後、床で例の鱗粉を見つけた滝はまた素手で触ります…
おい!あぶねっていったろ!
悪魔の蝶ギリーラ
九条みわの正体は怪人「ギリーラ」。
ギリーラはアマゾンの毒蝶ギリーラに九条みわの魂を注いで生まれた怪人だ。
通常は改造対象の人間に生物の血液なり、特性の付与をすることで改造人間を生み出す。
しかし、今回は逆で生物に人間の特性を付与するという形になっている。
ショッカーは魂まで取り出せるのか…見方によっては神の領域の技術を持っていることになる。
ギリーラは今までの毒とは違い解毒剤を用意する間もなく即死するほどの猛毒針を放ってくる。
滝は写真立てでガード、仮面ライダーにはそもそも針は通らないため威力を実感するシーンはない。
ただ猛毒鱗粉を溶かした水を囚人に飲ませた時に猛の分析通り痙攣して即死したシーンを観ればギリーラの猛毒がいかに強力かがわかる。
毒水作戦
ショッカーの企む「毒水作戦」は「奥多摩ダム」にギリーラの猛毒成分を詰めたカプセルをダムに投げ込むこと。
そしてダムの水が毒に侵され、家庭に届き、それを飲んだ人々が次々と死んでいく。
毒に気づき水を避けても、生物にとって水は食事より生存に重要だ。
飲み水もなく、医療も水がなければストップしてしまう。
水を断つ、使い物にならなくすることこそが生物を滅ぼす最高の方法なのだ。
余談、それに下ネタで大変恐縮だが毒カプセルが「テ〇ガ」にしか見えない…失礼…
滝兄ちゃんの悪い癖が治った!?
洋館に先行して潜入した滝はギリーラによって部屋に閉じ込められてしまう。
そして部屋の前に洋館が吹っ飛ぶほどの爆弾を仕掛けられる。
部屋から脱出する手立てのない滝は猛の発信機に救難信号を送る。
…を!?滝兄ちゃんがちゃんと連絡した!?
あの猛と一文字に負けたくないために連絡せず単独で解決しようとするあの滝兄ちゃんが!?
滝兄ちゃんの悪い癖が治った!?
まあ今回は事件を先に発見したわけではなく、近くに猛が待機しており、救援を出さないとどうしようもない状況なので連絡をしたのかもしれない。
今後の滝の動向に注目だ。
ギリーラは馬鹿…なのか?
滝から救難信号をキャッチした猛は待機場所から洋館に向かう。
洋館の入口からギリーラたちが出てきたためそのまま戦闘開始。
そこでギリーラが「この中で滝が泣いている!(比喩)行ってみろ!」と滝が閉じ込められていることをわざわざ教えてくれる。
そして滝が閉じ込められている部屋の前の爆弾を回収して洋館の外にいるギリーラたち目がけて投げる。
するとギリーラは「しまった…次の手だ」と発言する。
いやいや…お前が教えたんやろ…と。
少し深読みをすると滝を救出に行かせて一緒に爆発に巻き込もうとしたんだと思う。
だが「二兎を追うものは一兎も得ず」となってしまう。
ギリーラは学者クラスに頭脳明晰な蝶の収集家が元となっているはずなのに馬鹿なのか!?
地獄大使も馬鹿なのか?
藤兵衛を誘拐され、滝も人質となり、そして牢屋に閉じ込められる猛。
仲間と洋館で消えた人々はダムに連れて行かれ毒水作戦の餌食になろうとしていた。
どうにかここを脱さなければと考えた猛は牢屋の目の前にある作戦用の木箱に入った毒カプセルの山を見て閃く。
そして新聞に火をつけて木箱に投げつける。
猛の狙い通りに木箱は引火してカプセルは燃え、爆発する。
あんなに高笑いして去っていった地獄大使の顔も血の気が引き、激怒する。
そんな見えるところに置いてチャンスを与えるから…
いつもならちゃんと貯蔵庫に保管しているのに今回に限って牢屋の前に不用意に放置。
今回は地獄大使も馬鹿になっちゃったの!?
ストーリーの転換点と考察
油断&油断&油断
今回は誰もがミスをしていたように思うので本当にどちらに転んでもおかしくなかった。
まず滝は2回、いや人質になったから3回死地に追い込み、追い込まれている。
滝の死地
・不用意に得体の知れない物質を舐めようとする(猛毒でした)
・部屋に閉じ込められ時限爆弾で死にそうになる(なぜかギリーラが滝の監禁を教える)
・人質となり、毒に侵された水に落とされる直前までいく(仮面ライダーの活躍により未遂)
だがショッカーは滝を3回殺し損ねた(1回は滝の毒ペロ未遂による自爆行為)。
ここまでいくと滝、ギリーラ、ショッカーが馬鹿というより、仮面ライダーの活躍機会を増やすために制作側が強引に因果を捻じ曲げているのではと思ってしまった。
ちょっと今回はみんな抜けていた。
今回の特撮表現の面白さ
ライダー同士のコミュニケーション
猛は自分のヘルメットを滝に、滝は猛に自分のヘルメットを投げ渡す場面がある。
いやいや…バイクで出動するのに自分のヘルメット相手に渡すって!?と思いましたが、これがライダー間の「行こうぜ!」っていう合図なのかもしれません。
風来坊表現
猛が長い爪楊枝を加えて渋い雰囲気を出しているが、これは1971、72年ではタイムリーな表現だ。
この爪楊枝や木の枝をくわえる渋い演出は1971年に小説として発表され、翌72年にドラマ化して人気を博した「木枯し紋次郎」が元となっていると思われる。
この作品の影響から口に何かくわえることがカッコイイというファッション的な感覚が広まり、不良が小枝や草をくわえる仕草などが作品に取り込まれるようになった。
私はタバコを吸いませんが、確かに洋画で渋い俳優がタバコをくわえているのはカッコイイですよね。
特撮満足度(★で5段階評価)
特撮満足度
アクション:★★★☆☆
高所:★★★★☆
火力:★★★☆☆
水場:★☆☆☆☆
仕掛け:★★☆☆☆
ロケ地(執筆者の調べ)
・「旧多摩聖蹟記念館」
次回予告より(第57話「土ぐも男ドクモンド」)
次回のショッカーからの刺客は怪人「ドクモンド」。
「土蜘蛛」の特性を持った怪人だ。
土蜘蛛ってなんだ?と思いましたが土の中にいる蜘蛛という意味ではなく古来「天皇に従わない領主」のことで特定の勢力のことではなく、そういう人たちのこと、という括りのようだ。
また蜘蛛の姿をした妖怪としての伝承もある。
仮面ライダーで扱われるのは後者の妖怪土蜘蛛要素だろう。
1話「怪奇蜘蛛男」の「蜘蛛男」と違うのは人間を土の中に引きずり込み「しゃれこうべ(むき出しの頭蓋骨)」にしてしまうという能力があることだ。
どちらかというと35話「殺人女王蟻アリキメデス」の「アリキメデス(アリジゴク)」の能力に近い。
地獄大使は「全ての金属を溶かす液体火薬」の秘密を奪おうと企んでいるようだ。
45話「怪人ナメクジラのガス爆発作戦」でも「ナメクジラ」がガスタンクを溶かすパワーを得るために人工頭脳を自身に埋め込むが、もうそれすら面倒くさい!そういう化学薬品が欲しい!と思っていたショッカーにとってはうってつけの液体だ。
まとめ
今回は誰もかれも馬鹿になっちゃっている。
滝兄ちゃんの車事故のシミュレーションも変、色仕掛けをしたわけではないのに綺麗な女性怪人なだけで油断する。
ギリーラは自身で監禁した人間の場所を教え、そして時限爆弾の爆発タイミングを間違える。
地獄大使は猛の見えるところに毒カプセルを放置したため燃やされる。
みんながみんな詰めが甘い。
私も父によく言い聞かされたものです…「慢心するな」と。
これは昔父が大物外国人アーティストのライブにいった時のことです。
そのアーティストは父の青春とも言えるほどのアーティストでした。
レコードやCDも何回も聴きました。
そしてライブ当日、父は驚愕しました。
「こいつ下手くそや…」
このアーティストは成功したあと、その歌声をキープするのを怠ったのです。
喉を痛めているとかそういうわけではなく、自身の成功に慢心してこの程度でいいやと思って日本に来日したのです。
あまりの下手さにアンコールもかからず、係員が煽って「アンコールして!」みたいなお願いをする雰囲気だったそうで、再度登場したアーティストは「なんだよ…お前ら帰れよ(満更でもない)」というリアクションだったそうです。
物凄いパフォーマンスをしたアーティストであればカッコイイのですが、完全に滑っていた。
その数日後、父はそのアーティストのレコードやCDを全部売ったそうです。
父は私が大きくなり、改めてそのアーティストの音源を聴くと「やっぱり良い歌詞・曲だ」といいます。
だがその慢心を見てからは全盛期後の彼を応援する気にはならなかったようです。
この出来事があったからこそ父は「慢心するな」と私に言い聞かせたのです。
慢心は一瞬で巨大なものを小さくする。
ためたま油断したとか、全盛期を過ぎたとかそういうレベルの話しではなく、自分を自慢し満足し、そして慢性的な心の油断が態度に現れてしまった。
全盛期を過ぎても彼の音楽に取り組む姿勢さえ崩していなければいくら下手でも観客はガッカリしなかっただろう。
今回のショッカーも作戦がもう成功した気になって油断している。
毎回、毎回油断しているが今回は酷い。これは油断が積み重なってついには慢心となってしまったためだろう。
ショッカーは気を引き締め直さなければいつまで経っても仮面ライダー…いや人類には勝てないだろう。
今回判明したこと
・レーシングクラブでは、いたずらや問題の疑いは全て五郎に向く
・ショッカーは人間の魂を別の生物に注入して改造人間を作ることができる