【仮面ライダー】55話「ゴキブリ男!! 恐怖の細菌アドバルーン」感想・考察(ネタバレ有) 本当の人類の敵を見誤るな!

ネタバレがあります。
本編を楽しんだ後に閲覧することをオススメします。

東映 1971年

あらすじ

深夜、ボーリング場の従業員が機械の整備をしているとボーリングのピンが倒れる音がする。

不審に思った従業員は恐る恐る音のする方へ近づくとショッカー戦闘員が現れる。

抵抗する従業員だが戦闘員に白い粉をかけられるとたちまち老化してしまう。

そして次の日、五郎、ユリ、エミ、トッコはそのボーリング場に訪れる。

なかなかピンに当たらないエミ。

となりのカップルの男性が決めるストライクに大盛り上がり。

さて次は彼女の投球順…とその時、彼女はもだえ苦しみ倒れ、やがて老化してしまった。

すると彼氏も続けて苦しみ、やがて彼女と同様に老化してしまう。

すぐにショッカーの仕業とユリは感ずき一行は慌てて猛に知らせに行く…

次のブームはボーリング

日本のボーリングの歴史は1861年に日本初のボーリング場「インターナショナル・ボウリング・サロン」ができたことから始まる。

日本でもかなり歴史が古いがブームが訪れたのは100年後。

1970年代前後にボーリングのスター選手が誕生したことでボーリング場の数は一気に増加する。

仮面ライダーの世界観も1971年からの日本なので丁度ボーリングブームと重なる。

しかもスター選手が「須田開代子」や「中山律子」と女性選手の活躍が目覚ましく、当時のウーマンリブにも拍車がかかる。

そのためユリ、エミ、トッコなど女性がボーリングにはまる・憧れる現象を起きていたのかもしれない。

その証拠にレーディスはマイボールまで買っている。

滝が「これずいぶん高いんだろう?」と言う通り、ボーリングの球は平均で3万円ぐらいで高いものでは6万円以上するものもある。

レーシングクラブのバイト代があるのならそれを全部つぎ込んだ、もしくはそれ以外ならレーシングクラブレディースは皆いいとこのお嬢さんなのだろう。

現にルリ子やひろみは「城南大学」に通うぐらいのお嬢様なので、その友人となれば皆お嬢様に違いないだろう。

それにしても16話「悪魔のレスラーピラザウルス」で出てきた「ゴーゴーダンス」もそうですが、本当に1970年代は色々なブームの始まりがドンドン出てきてなんだかワクワクする時代ですね。

人類総老衰計画

ショッカーが開発した「人間を老化させる細菌」のテスト地として選ばれたボーリング場。

なぜボーリング場かというとボーリングで使う球の穴に細菌を仕込むことで人々に悟られないようにするためだ。

穴に細菌を仕込むことで原因を特定することが難しくなり、爪の先からも細菌を感染させることができ一石二鳥。

冒頭に深夜のボーリング場でショッカーが仕込んでいたのはこれだったのだ。

地獄大使も「ショッカーの仕業とも気づかれず」と自画自賛。想定外といえばショッカー事件の経験が豊富なレディースが事件現場に遭遇したこと。ユリの勘も冴えてます。

五郎たちが感染しなかったのはボーリング場に常設されたボールを使用せずマイボールを使っていたこと。

そして感染者に触れても感染しないテスト段階の細菌だったため難を逃れた。

ゴキブリこそ人類の敵!

ゴキブリこそ人類の敵であります!」と「平尾台団地」前で豪語する2人組「黒木」と「井川」。

ゴキブリのいないきれいな団地をつくりましょう!」と間違いなく全人類の望みを巧みに利用して「ゴキコロリ」なる殺虫剤を購入させる。

なんとたったの500円!

確かにゴキブリの殺虫剤は1000円前後なので安いといえば安いのか?

当時の貨幣価値は今の4倍くらいなので今の2000円ぐらい…う~ん安…くはない!

だが確かに団地のゴキブリ問題は住民を悩ませるところ。

値段はともかく人類全体が共感するような悩みに付け込むのは上手いやり方だ。

団地の人々に飛ぶように売れるがその中身は全く効果のない詐欺商品だった。

偽物を売りつけている詐欺師とは知らないショッカーは2人を自分たちの作戦のきもであるゴキブリを消滅させようとする邪魔者だと思い込んだようだ。

ショッカーの目的は繁殖力もあり、日本全国、様々な場所に存在するゴキブリを使って細菌を撒き散らすこと。

ショッカーにとってこの2人は作戦を邪魔する厄介な奴らなのだ。

案の定目をつけられた2人はショッカーに誘拐されてしまう。

ゴキブリの敵をゴキブリに

ショッカーに目をつけられアジトに誘拐された詐欺師2人組。

兄貴分である黒木が手術台に縛りつけられ怪人「ゴキブリ男」に改造されてしまう。

ゴキブリ男はショッカーが開発した人を老化させる細菌を噴射することができる。

黒木だけにゴキブリってか?

そして弟分の井川も改造されるはずだったが、あまりに頼りなく許しをこうため無改造でショッカーに服従させることにする。

ゴキブリを人類の敵として始末しようとした人間がゴキブリになってしまう…

ミイラ取りがミイラになってしまった。

人類の敵はゴキブリではなくショッカーである。

ショッカーに服従した井川は今度は団地前で子供たちに風船を配りだす。

だが偽物ゴキブリスプレーを売ったやつだと面が割れており、五郎の友人「正子まさこ」に指摘され逃走を図る。

五郎を含む子供たちは井川を捕まえるようと追いかける。

そこへゴキブリ男が現れ、数人の子供たちを誘拐し車で逃走してしまう。

五郎は慌ててレーシングクラブに電話。

車は平尾台団地から北に向かって逃走中。

猛は急いで出動する。

バンダイ 2022年06月30日

都内で広がる老化現象

子供たちに配っていた風船の中には例の老化細菌が入っており、風船が破裂することで散布され都内では老化被害にあう人々が多発する。

今回の出来事も53話「怪人ジャガーマン 決死のオートバイ戦」でもアニマルパニック関連のニュースを読み上げた「山本アナウンサー」が読み上げている。

都内ではお馴染みのアナウンサーのようだ。

この時点でテスト細菌とは違い、細菌に感染した人に触れても感染するように強化されており、ネズミ算的に細菌は広がっていった。

まさにパンデミックだ!

デブで助かった…のか?

地獄大使にもデブと言われた詐欺師の弟分である井川。

ショッカーから逃れるために車をわざと行き止まりに衝突させて破壊。

猛とゴキブリ男の戦闘のどさくさに紛れて逃亡を図るが、裏切り行為がばれてしまい老化細菌を噴射される。

その後、病院に運ばれるも滝とともにショッカーに襲われ、窓から投げ捨てられる。

ショッカーは秘密流出を恐れたため井川を回収しようと窓から外に出したのかと思ったが普通に暗殺目的だった。

だが窓から投げ落とされても意識を保っており、無傷だった。

デブだからクッションで助かった?…いや老化細菌に感染した状態なので骨や筋肉の強度は落ちているため全身粉々になりそうだが…

これは丈夫に産んでくれた母ちゃんに感謝だな!詐欺師やって母ちゃん悲しませるなよ!

改心して親孝行するんだぞ!

太陽ビルのばらまき作戦

アドバルーンの中には老化細菌、そしてアドバルーンを破裂させるための自動爆破装置もセットされている。

この自動爆破装置はある高度まで達したら爆破されるのか、時限的に爆発されるのかどっちだ?

なんでこんなことを気にするかというと、爆破方法によって勝敗が全く違っていた可能性があるからだ。

仮にある高度で爆破するような爆破装置であれば仮面ライダーや滝が打ち上げを阻止したことに意味はある。

だが仮に時限的に爆破する爆破装置であればいくら2人が打ち上げを阻止しても戦闘の間にタイムリミットとなりアドバルーンが爆発して屋上から細菌がばらまかれる可能性があった。

高い高度ではないため散布範囲は抑えられるかもしれないが、甚大な被害が出ていた可能性が高い。

ゴキブリ男を撃破した後もバルーンを固定したまま屋上に放置して薬の供給のため急いで病院に戻っている。

後でバルーンを処理しようと思った、もしくは自動爆破装置の話しは仮面ライダーが到着する前に戦闘員が話していたことなのでそもそも知らなかった可能性が高い。

時限爆弾であれば仮面ライダーの超聴覚でカウントダウンの音が聞こえて気づいていると思うが爆弾の後処理については描かれていない。

仮面ライダーと滝の見応えのあるバルーンアクションに魅せられて忘れがちだが、そういえば自動爆破装置作動したら危なくない?よく最後まで爆発しなかったなと思った。

ストーリーの転換点と考察

詐欺師の欲が結果的に人類を救う

老化細菌に感染した人々はすぐに老衰で死ぬわけではないが持って1週間。

その間に有効な薬剤を一から作ることは不可能。

万策尽きたと思われたが詐欺師の井川が自分だけ助かるために老化細菌の治療薬を貰っており、服のポケットに入っていることが判明する。

だが井川を回収した際に殺菌目的で服は全部焼却炉に入れてしまった。

またしても頼みの綱が!と思いましたが焼却炉ではまだ服は燃やされておらず、間一髪で薬を確保。

その間にゴキブリ男に襲われた滝に投薬して効果を実証。

すぐに成分を分析して薬剤を作ることができて事件は収束に向かった。

自分だけ助かろうとした欲で手に入れた薬だったが結果的に人類を救うことになる。

井川もゴキブリ男に改造されていれば薬剤の必要性はなかったので、薬剤が猛たちの手に渡ることはなかっただろう。

最後は詐欺師としての悪行を改心したし、結果オーライ!

ニュースの時間に合わせて作戦を実行したこと

老化細菌事件の速報を伝える報道番組。

この事件に関するニュースは午後3時にお伝えすると報道する。

そしてその報道を見てか地獄大使は午後3時に太陽ビルの屋上で巨大アドバルーンに細菌を仕込み上げて破裂させ、都内全域に細菌を散布するという作戦を実行しようとする。

おそらくニュースの時間と合わせて大混乱を起こし、そのままニュースでその混乱を報道させて人類に細菌のみならず不安まで伝染させようとしたのかもしれない。

だが逆にいえば午後3時までは作戦を実行しないということ。

報道を見越しているのであれば午後2時半ぐらいに事件を起こして3時に報道してもらわないと、3時丁度だとニュースの報道には間に合わないのではないだろうか?

猛が太陽ビルでの作戦を特定して現場にかけつくまでかなりギリギリだったことを考えると上記の時間のように報道のタイムラグを考慮していれば作戦は成功していた可能性が高い。

まあ何が言いたいかというと準備ができたらサッと実行しておけってことですね。

今回の特撮表現の面白さ

老化表現

この頃は特殊メイクはまだ発展していないのか、マジックペンでシワを描いて表現している。

車の突進攻撃

突進する車を運転席視点で撮影した後、車の進行方向と同じ方向に動きながら車と仮面ライダーを撮影することで突進攻撃に追い詰められる仮面ライダーという緊迫したシーンを表現している。

アドバルーン戦闘

紐を切り離し、打ち上げられたアドバルーン。

間一髪でジャンプ一番、紐を掴み打ち上げを阻止した仮面ライダーは戦闘に集中するためアドバルーンの固定を滝に交代。

滝はアドバルーンの紐を身体に巻き付けたまま戦闘を行うことになる。

滝得意の柔軟な足技で戦闘員を蹴散らす。

滝は足技がきれいなので手が塞がっても十分に戦闘能力が高く、見事なアクションだ。

太陽ビルからの落下

太陽ビルのロケ地は「長崎屋」なのだが、スーツのみとはいえマンションより高い高層からの落下シーンはかなりいかつい。

電線とかに注意しないとかなり危なそうな撮影だ。

防護服の意味(笑)

防護服は銀のスーツに透明な手袋。

そして円柱型の防護ヘルメット。

この防護ヘルメットが…これはしょうがないのですが、本当に撮影上しょうがいなのですが。

細菌が入らないように防護してるんですが口の周辺に当たる部分に銀行の窓口みたいな穴が空いているんです(笑)

本当に笑って申し訳ないのですが、おそらくマイクで音声を拾うために穴を空けていると思われます。

分かってはいるのですが、細菌保護なのに穴空きって(笑)と思わずにいられませんでした。

しかもみんな防護ヘルメットを病室で結構気軽に外すもんだから防護服の意味(笑)と思ってしまいます。

現在の技術であればピンマイクやもっと高性能なマイクを使用するのでしょうが、昔は昔でこういった工夫が見えるのも作品鑑賞の醍醐味で面白いですよね!

ライダー反転キック表現

ジャンプした後に反転し壁を蹴りさらに勢いをつけてキックを行う新必殺技。

特撮満足度(★で5段階評価)

特撮満足度

アクション:★★★★☆

高所:★★★★☆

火力:★★☆☆☆

水場:☆☆☆☆☆

仕掛け:★★★★☆

ロケ地(執筆者の調べ)

・「平尾台団地」

・「長崎屋屋上」

次回予告より(第56話「アマゾンの毒蝶ギリーラ」)

次回のショッカーからの刺客は怪人「ギリーラ」。

毒蝶」の特性を持った怪人だ。

ショッカーとアマゾンが関係した場合、アマゾンの奥地とかで発見された新種の生物を使って悪さを考えていることがほとんどだ。

ギリーラという名前からはあまり蝶を連想させない。

毒蝶とはドクチョウ亜科に分類されるもので毒蛾のように鱗粉で毒性のものをまき散らすタイプではなく毒蝶を食べることではじめてその毒性を発揮する。

そのため蝶を食べない人間にとって特別害がある虫ではない。

だがギリーラはその毒性を毒矢に込めて吹くという。

さらにはギリーラの毒をカプセルにも込めて「毒水計画」というものも企んでいるようだ。

まさかカプセルを水道水に混ぜて家庭の水源を断つ作戦か!?

これは恐ろしい作戦だ…

まとめ

とりあえず実写のゴキブリが出てこなくて良かった…

まあ子供番組で生ゴキブリ披露は昔の自由なコンプライアンスだとしてもちょっとNGですよね。

ゴキブリ男も正面から見るとまあ見れるんですが、後ろから移されると黒光りがちょと気持ち悪い…

私自身雪国出身なので今まで生でゴキブリを見たことがありません。

が!虫嫌いの私がゴキブリにエンカウントしてしまったら声にならない叫びが…引きつった声が出るに違いないでしょう。

父親が関西出身なのですが、そのおばさんが昔家でゴキブリが出た時サッと触手を掴んで捕まえてゴキブリにライターをつけてこう言ったそうです。

アブラムシだからよう燃えるな~」と…

ゴキブリを素手で捕まえたことも凄いと思いましたが、「ゴキブリってアブラムシの一種なんだ!」と驚いたのを覚えています。

今回のゴキブリ男もライダー反転キックで屋上から落下した後地面でよく燃えて消滅した。

おばさんの話しは嘘ではなかったと思った瞬間でした。

おばさんが嘘つきと言いたいわけではなく、ゴキブリを調べると画像も出てきてしまい怖いので調べられなかったことがやっと合点がいったということです。

人類はゴキブリとどのくらい戦ってきたのだろうか?

ゴキブリ自身はそんなこと思ってないかもしれませんが、人類はゴキブリを駆除するために現在も躍起になっています。

古代から存在するゴキブリが絶滅した時、生態系はどうなってしまうのでしょうね。

ある程度は…別に悪じゃないけど必要悪というか…他の生物にとってはまたとないご馳走なわけで…

ちなみに私は両親に「蜘蛛はゴキブリを食べてくれるから蜘蛛が出たら毒蜘蛛でも無い限り守り神だから騒がずほっとけと」と言われてからある程度は崇めるようになりました。

でも虫も苦手だけどそもそも足がいっぱいある生物が苦手なので、蜘蛛もちょっと苦手…

仮面ライダー自身もそして怪人たちも虫の特性が多いので実は子供時代は仮面ライダー苦手だったんですよね…

だけどそれがあっても余りあるカッコよさが仮面ライダーの魅力であり、大きくなった私を夢中にさせているのです。

今回判明したこと

・ユリ、エミ、トッコはマイボールを買うほどボーリングにハマっている

・ショッカー科学陣も戦闘員のようにマスクを被るようになる(白いマスク)

・多摩4め27-09の車は仮面ライダー新1号を轢いたことのある車となる

・新必殺技「ライダー反転キック」

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