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第16話「悪魔のレスラーピラザウルス」感想・考察
いきなり自滅する幹部怪人
登場早々、自らの猛毒で死んでしまう初代ピラザウルス。
原因は猛毒を発射する装置が改造された人間でも耐えられないほど強力だったためだ。
幹部怪人に選ばれるぐらいだから下級戦闘員よりも高い能力を持った改造対象者ということになる。
改造対象が本郷猛や一文字隼人でも耐えられないほどの改造人間なのではないだろうか。
演出の問題かもしれないがバス内にいたマヤはなぜ猛毒ガスの影響を受けなかったのだろうか?
いや、確かにガスマスクはしていましたよ?でも密室のバスでガスが充満している。そして換気もしないままガスマスクを外して話しだす。ガス吸い込んじゃうじゃん?
仮に換気をしていたとしてもガスマスクは鼻と口しか保護していない。つまり目からガスが入り影響を受けるはずだ。
考えすぎですかね?まあ演出上省略しているだけですよね。
ショッカーにも部署がいろいろある
ショッカーには「幹部」、「科学班」、「上級・下級戦闘員」のみで構成されていると思い込んでいたがそんなことはない。
よくよく考えれば組織なのだ、他の部署・役割があって当然だ。
仮面ライダーと戦うのは幹部怪人と以下の実動部隊ばかりだったのでそう錯覚してしまった。
「マヤ」はピラザウルスの実験に関わっているのでてっきり「綾小路律子」のように女性科学者かと思ったが彼女はどちらかというと作戦参謀のような立ち位置のようだ。
そして「ハリケーン・ジョー」は改造人間のトレーナーで兼幹部のガードマンという立ち位置だ。
改造人間にもトレーナーがいたのか…確かに優秀な人材が改造人間となっても戦闘訓練は必要か…
今回はプロレスがテーマなのかハリケーン・ジョーもまるでプロレスラーのリング名のよう。
格好も昇の相手「ミスター陣羽織」のように陣羽織のようなものを着ていて下半身の服がタイツにハーフパンツにブーツ。もうこれレスラーだろ…
幹部のガードマンといっても非戦闘員専属だろう。
一文字も指摘しているがジョーは改造人間、少なくとも怪人には見えない。
おそらく少しの肉体強化と洗脳があるだけだろう。
怪人並に強化してしまうと理性が不安定になり指導もできなくなるだろう。
そもそも幹部怪人はガードマンが不要なほど強いし、部下の戦闘員もいる。
対してマヤのような幹部でも非戦闘員を守るには戦闘員たちの指導員でもあるジョーが最適なのだろう。
さらには「誘導班」という誰かを誘拐するさいの実動部隊もいる。
こうみるとショッカーにはまだまだいろいろな構成員がいそうだ。
ちなみに私の勝手な思い込みかもしれないがマヤはもしかして既婚者!?
そう思った根拠はマヤが草鹿昇の持っていた写真を拾い上げる時の左手の薬指に指輪をはめていたからだ。
国や宗教によっても違い、右手の薬指が既婚者の証であることもある。
だが日本の作品であり、日本では一般的に左手の薬指に指輪をしている場合その人は婚約中、もしくは既婚者である可能性が極めて高い。
家族持ちのショッカーとかいるんだろうか。変な話し宗教2世的な…
古代の恐竜「ピラザウルス」
南米の奥地で発見された古代恐竜「ピラザウルス」。
背ビレは赤く、体は岩のようにゴツゴツしており、尾ビレは魚、顔は恐竜。
四足歩行、小型で恐竜というよりかはワニのような爬虫類に近い見た目。
ピラザウルス同様、頭のヒレから猛毒ガスを出す。
作中ではエサとしてサソリを与えられており、ガスで殺してから食している。
このサソリはさそり男が操っていた「人喰いサソリ」の余りかな?
てっきりピラザウルスはピラニアと恐竜の特性を合成し、改造人間とした怪人と予想していたが、まさかピラザウルスという恐竜単体だったとは。
しかし、実際に怪人にすると顔はピラニアっぽくなるんだよなぁ~
この想像の恐竜はやはりピラニアから着想を得ていると考えられそうだ。
古代の恐竜を南米奥地で見つけたショッカー。
南米だから前回南米メキシコからきたサボテグロンの置き土産かな?
ピラザウルスは生きた化石「シーラカンス」のように古代から進化せず姿を変えずに現代まできた生きた恐竜で生きたまま捕まえたのか。
それとも冷凍状態や化石から復元したのか。南米だから冷凍状態は考えにくいか。
恐竜が生存していたというのも考えにくい。
考えられるのはショッカーの科学力で化石から復元したと考えると合点がいく。
やりたいをすぐ形にするショッカーってすげえな!
AIであなたにピッタリの改造対象者をマッチング!
ショッカーはコンピュータを使いピラザウルスの適合者を選びだした。
方法は100万人のデータを分析してその中から「合成体(今回はピラザウルス)」と相性が良い人物を選び出すというまさにAIマッチング。
生体データがないとピラザウルスとの適正は測れない。
考えてみれば住所や電話番号ならともかく100万人の生体データを持っているショッカー怖い!
1971年の日本の人口は1億570万程度だったようなので100万人というのは少ないように思う。
しかし、草鹿昇のデータを読み上げる際に国籍も読み上げている。つまりこの100万人のデータは全世界の国の中からの100万人のデータということになる。
おそらくショッカーが世界中の改造人間適正がありそうな人間をピックアップしてデータベースに保存していることになる。
それにしても100万人の生体データなんて研究所でもそうそうないぞ。やっぱりショッカー怖っ!
草鹿昇はアフリカゾウより強い
「草鹿昇」はプロレス界ではチャンプでありその強さから「人間マシーン」の異名を持つ。
強靭な肉体を持つ草鹿を捕らえるためにマヤは猛毒の針を使用している。
ピラザウルスの適正に選ばれた人間だ。安易な武器では通用しないと思い、ショッカーにしては油断がなく、用意周到ともいえる。
猛毒といっても所詮麻酔針。しかし、しかしだ…その針は…
アフリカゾウを10秒で気絶させるほどの猛毒針だったのだ!
いや…普通に死んじゃう…
そしてなんと!昇はその針を撃たれてもなお、ハリケーン・ジョーと3人の誘導員を倒してみせた。
マヤに飛びかかる寸前に気絶した昇だが、撃たれてから気絶までその間20秒!
単純計算で草鹿昇はアフリカゾウの2倍の体力を持つことになる。
本郷猛も6話「死神カメレオン」で睡眠ガスによって眠らされたが改造人間の体力ですぐに目覚めている。
猛でこれなのだから昇を改造人間とすればアフリカゾウの3倍、いや4倍以上の体力になると予想できる。
もはや猛毒は効かない。まさにピラザウルスの性能にふさわしい人材というわけだ。
FBIを凌ぐ捜査力
一見取材目的でプロレス会場に訪れたように見える一文字。
しかし、猛毒針が仕込まれたカメラに目星をつけマヤに接触したりとまるで何か起きると予測して会場にいたのではと思わせる行動をしている。
滝はそれに気づいていないところを見るとFBIは情報を掴んでいないようだ。
14話「魔人サボテグロンの襲来」でも滝とエージェントが接触するのをかげで見ていたり、FBIの情報がなくてもアジトの場所に目星をつけていたりとFBIを凌ぐ捜査力をみせている。
これもジャーナリズムがなせる業か。
マヤの捨てた写真を見てすぐに昇と一緒に映る男の子を弟と気づく勘の良さ。
私だったら年齢差があるので初見だと息子さんかな?って思う。
弟想いな強くて優しい兄貴
・戦績:50戦48勝2分負けなしのプロレスチャンプ
・その強さから「人間マシーン」の異名を持つ
・アフリカゾウでも10秒しか耐えられない猛毒を20秒耐えるほどの体力
・猛毒を受けながらハリケーン・ジョーその他3人の戦闘員を倒す
・必殺技は「ウルトラパンチ」、「ウルトラキック」
・VS61分3本勝負:「ミスター陣羽織」に3連勝
・VS:オリエントリーグチャンプ「ゴメイト大田」に勝利
・サターンマスクとして世界チャンピオンなる
・VS:「アイアンキッド?」に改造人間状態なのでおそらく勝利
・かわいい年の離れた弟の存在
ちなみに61分3本勝負の61分が中途半端に見える人に解説。
この半端な1分は1、2本目間にある2回の休憩時間各30秒を合わせた時間のこと。
試合時間は60分、合わせて61分というわけだ。
勝負が3回つくまで同じ相手で連戦は単純にプロレスラーの体力凄い!
上記のような強さを誇る草鹿昇。
特に目をひくのはアフリカゾウでも10秒しか耐えられない猛毒を20秒耐える体力だ。
大型動物の麻酔銃には「エトルフィン」と「アセプロマジン」の組み合わせが使われている。
特に「エトルフィン」はモルヒネの1000倍もの鎮痛活性を持っており当然人間に使用することはできない。
人間に使用すると数分以内に中枢神経系抑制による呼吸停止で死亡してしまう。
日本でも麻薬指定されているほどだ。
ゾウを眠らすにはそれほどの効果量を必要とする。
それを生け捕りしたい人間に使用するショッカーはある意味バカである。
それともピラザウルスの猛毒に耐えうる人間だからこのぐらいテストのうちということか。
しかし、結果オーライ。昇はショッカーの期待以上に耐えてみせた。
昇は大変弟想いの兄貴。
・試合でのVサインパフォーマンスは弟のため
・試合後疲れているだろうが弟の送り迎えをする
・弟の約束を破ったことがない
・改造前うなされる中、思いがめぐるのは弟の姿
・弟との写真を持ち歩く
年が離れた兄弟だからこそかわいくてしょうがないだろう。
弟の「草鹿清」も強くて優しい兄貴を五郎やまわりに自慢したくなるのも当然だ。
しかし、サターンマスクとなった昇はプレイスタイルも変わり倒れた相手をフォールせずに殴り続けるという凶暴な戦い方になる。
改造手術が簡単に!?インスタント改造
今まで改造手術は麻酔やメスを使って外科手術のような手術を行って改造人間を生み出していた。
だが今回から透明の半円カバーに電球をつけた機械の光を改造者に浴びせてカバーで被せることで手術が完了する。その間1分経っていない。
記憶消去に至ってはものの数秒で完了。
ふと疑問に思ったが洗脳ではなく、なぜ記憶消去だったのか?記憶消去で悪になるなら「性悪説」が成立してしまうのではないだろうか。それともトレーナーのジョーが「悪のセミナー」でもやって教え込んでいるのか?
インスタント改造手術!?これでは幹部クラスの怪人が量産されてしまう!
私が子供のころ仮面ライダーが観られなかったのはショッカーの手術シーンが怖かったから。
手術シーンでメスなどをじわじわ肉体に近づける描写はゾワゾワする。
武器でズバッなら平気だけどじわじわゆっくりが苦手です。
そういう意味でも手術シーンをインスタント的に表現するのはSF感が増すし優しい表現なので良い変更だと思った。
ちなみに外科ドラマも苦手。
3人娘の一文字びいき
3人娘はなにかと一文字びいき。
プロレス会場に一文字を見つけたらかけつけ、藤兵衛が一文字に冷たいとかばい、バイクで走る姿には「イカスー!」、一文字の戻りが遅いと凄く落ち込む。
理由は彼の活躍にあるだろう。特にマリとミチは一文字に助けられている。その力強さと明るいキャラクター、もっと言えば未婚であることに3人娘は惚れているのではないだろうか。
滝も力強く、明るいが既婚者だけにやや素っ気ない。
特にマリは一文字に思い入れが強そうで一文字が行方不明になったさいもユリとミチ、ひろみまでもが気晴らしにゴーゴーを踊り狂う中、意外にもそんな気分になれないと落ち込む。
マリが一番派手でチャラいのかと思っていたから意外に普通の感性でホッとした。
それよりもレーシングクラブ発会式後のダンスで踊っていなかったので、ひろみはやはり真面目タイプと思いきやゴーゴーを踊り狂う。偏見でしたかね。ひろみも女子大生で今どきのヤングだもんね。
6話「死神カメレオン」で入院中の「砂田ユミ」のリハビリについたり、子供と上手に遊んだり、今回も清にアミーゴの時のメニューかな?スパゲティを食べさせたり、ホスピタリティとか母性を感じるから勝手にみんなのお母さん的存在で真面目だと思っていた。
1960年代に流行したダンスでロックやソウルミュージックなど激しい音楽にあわせて自由に踊るダンスのこと。
ゴーゴーはフランス語で「好きなだけ」とか「非常に活発な」という意味があるそうで「活発に好きなだけ」そして「自由に体を動かして」踊るダンスは曲に乗って誰でも踊れるのが人気の理由。
私も好きな曲が頭の中で鳴り響いている時グルーブにあわせて好きなようにクネクネさせるのが好きです。ゴーゴーダンスにはそれと通ずる魅力があります。上手いとか下手ではなく感じたままに体を動かすのは楽しいです。
それにしても気晴らしにゴーゴー踊ろうといった時にうんうんと容認する藤兵衛も優しい。
発会式ではレーシングクラブでゴーゴー踊ってた時はご立腹だったのに、みんなが落ち込んでいる時には景気づけで躍らすのは懐が広い。
だが一文字がタイム計測を頼んだ時「素人に構っている暇はない」と冷たい。というよりかは一文字は仮面ライダーなのでバイクの素人ではないのでは!?
ストーリーの転換点と考察
学習するショッカー
今までは本郷猛、一文字隼人のように洗脳手術を先に行わず、身体強化を先に行ってしまい、洗脳前に逃走を許してしまった改造人間がショッカーの脅威となってしまっていた。
今回ショッカーは学習したのか草鹿昇を身体改造前に記憶の消去を行った。
学習しないショッカー
仮面ライダーを倒したはいいが死亡を確認せず、止めを刺さなかった。
その結果仮面ライダーは生きていた!なんて反応だから学習していない。
マヤの勝手な解釈でピラザウルスの鋼鉄を砕くほどのパンチで仮面ライダーは体内の構造が破壊(細胞レベルで分解された?)されたと思い込む。つまりはバラバラになったから池から浮かんでこない。だから死体を確認する必要ないよねと油断したのだ。
11話「吸血怪人ゲバコンドル」でもせっかく仮面ライダーに初勝利したのに止めを刺さないことで逆転された。
慢心。それこそ悪の弱点。
今回の特撮表現の面白さ
ピラザウルスの模型
12話「殺人ヤモゲラス」でのウサギなど実在の小動物であれば撮影で用意できるが、架空の生物だとそうはいかない。
ピラザウルスは実在しない恐竜。それを表現するには実在しない怪人を表現する方法と同じことをすればよい。
スーツのように人形をつくればよい。ピラザウルスは小さい恐竜。人が入れるほどのスーツをつくる必要はない。
だがそのかわり人のようにはスムーズに動かせないので画面外で人力で動かすなど工夫がされている。
ショッカーの科学者がピラザウルスを移動させるとき背ビレを持ってグニョグニョグニョってさせることでピラザウルスが掴まれるの嫌で暴れているみたいな表現になっていて面白いと思った。
ショッカーのコンピュータ
ショッカーのコンピュータというよりは昔のコンピュータ表現が面白い。
現代のコンピュータは入力や分析結果はモニターに映し出される。そして記録はハードディスクなどの記録媒体に保存される。
昔のコンピュータは分析結果や記録を「穿孔テープ(紙テープ)」に出力して人の目で読み取っていた。
データの内容によってコンピュータがパンチで穿孔テープに穴をあけていき、その穴の位置によって人間がデータの読み取りを行っていた。
簡単にいうと目で読み取る点字みたいなものだ。
これは当時の近未来的SF作品であればよく見る手法でコンピュータとはそういうものだったようだ。
そして回路図のようなデザインをステンドグラス風にうしろから光を当てることで近未来的なコンピュータを表現しているのも面白い。
改造手術表現
記憶消去装置は真空管や電極を繋げた透明の半円ボールをかぶせて脳にアクセスしている表現をしている。
改造手術装置は透明の大きな半円ボールに電球を取り付けた機械をかぶせることで改造手術を表現している。
光で転写するプリント倶楽部を思い出した。
もしかしてプリンターの原理で怪人のデータを人間に転写することで怪人化させているということなのだろうか?
清の人形
清がサタンマスクに投げられ宙を舞うのは清人形。
そりゃそうだ。子供をあんなに宙に投げ出したら大事故になる。
いや…大人でもダメだよね…
余談だが滝に清を頼むさいに滝が清と間違えて仮面ライダーの手を握ろうとしてしまい、そのあと戦闘員から奪った武器を仮面ライダーに清と交換みたいに「これ使って」ってな感じで渡していたのが少しクスっとなった。
特撮満足度(★で5段階評価)
アクション:★★★★☆
高所:★★★☆☆
火力:☆☆☆☆☆
水場:★★☆☆☆
仕掛け:★★★★☆
ロケ地(執筆者の調べ)
・「京王プラザホテル」
・「平尾団地」周辺
次回予告より(第17話「リングの死闘 倒せ!ピラザウルス」)
次回のショッカーの刺客も「怪人ピラザウルス」。
サターンマスクとしてリングに上がるピラザウルスこと草鹿昇。
リングの死闘というだけあって挑戦者として仮面ライダーも名乗りを上げる。
自我を失い、弟の清も忘れてしまった昇はいったいどんな結末を迎えるのか!?
まとめ
・ミチ、ツインテールを切る
・マヤは既婚者?
・ショッカーには「改造人間のトレーナー」、「幹部のガードマン」、「誘導班」がいる
・改造手術の改良でインスタントラーメンより早く改造手術が完了するようになる
・藤兵衛は一文字を仮面ライダーと知りながらバイクの素人扱いする
・ひろみもゴーゴーダンスを踊る
・ピラザウルスの鋼鉄を砕くほどのパンチを受けると体内の構造が破壊される(らしい)