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第31話「死斗!ありくい魔人アリガバリ」感想・考察
アマゾンの呪いは何に使いたかったんだ?
「アマゾンの呪い」とは怪人「アリガバリ」の体内にいる細菌のことを言うのだが使用用途が色々ばらけていてよくわからなかった。
1.アリガバリの舌からアマゾンの呪いを注入された井崎の友人「山田」は「溶解」された。
2.井崎はアマゾンの呪いに多少耐えうる肉体なので体内でアマゾンの呪いを養うための「苗床」となった。
3.アマゾンの呪うを受けた井崎が住む団地の住民はその毒性で「意識不明」となっていた。
最初、アマゾンの呪いを受けると山田のように解けてしまう「溶解液」的なものを想像していた。
しかし、井崎はアマゾンの呪いを受けても溶解せず顔色が悪くなるだけだった。
それどころか洗脳された井崎は団地のまわりのアリを食い尽くして、その栄養で体内の細菌を養っていた。
アリガバリはアリクイの特性だから蟻を食べるだろうけど洗脳された井崎が食べるんかい…
そして井崎はアマゾンの呪いを団地の人々にばらまく駒として動くのだ…が井崎が他の住民に呪いを感染させてまわるのかと思いきや結局アリガバリがついてきて呪いをばらまいていた。
それでは井崎が団地中のアリを食いまくってアマゾンの呪いを体内で維持したのは何のためだったのだろうか?
アリガバリは住民に呪いを注入する時「まもなくお前の命令者(アリガバリ)になる」と言っていた。
つまりその発言通り呪いを注入すると2話「恐怖蝙蝠男」の「蝙蝠男」のウィルスのように感染した人々を操れることになる。
だがアリガバリの命令で仮面ライダーに襲いかかったり破壊工作をした住民はおらず、ただ意識不明で倒れていただけで事件解決後にアジトにあった解毒薬で意識を回復している。
今回のショッカーの目的がいつものように毒性のものを使い人類に混乱を招きたかったのはわかる。
しかし、当初目的としていた井崎の体内でアマゾンの呪いを養わせていた目的がよくわからなかった。
細菌をもっと繁殖させてなにかに利用したかったのか…しかし、それは人間の体内ではなく適当な保存機器に蟻の栄養分でも入れて増殖させれば良かったのでは?と思った。
一つ疑問が。深夜の撮影はどのようにしたのでしょう?
いや夜に撮ればいいでしょって思うかもしれないが労基法で18歳未満の未成年者は午後10時から午前5時までは仕事しちゃいけないはず。
昔アイドルのバスロケでも18歳未満のメンバーは午後8時でお仕事終了の対応をしていました。
冬の撮影であれば午後5時、6時ぐらいで真っ暗ですが、夏休み回の流れからもまだ秋に入るか入らないかの撮影ではないだろうか。
ということは8時以降でなければ夜の団地のシーンは撮影できない。あまりCGもなかった時代に五郎など子供のシーンはどのように撮影したのだろう。
18歳未満の芸能人の深夜労働が問題視されだしたのは1980年代に夜の生放送歌番組でアイドルグループ「光GENJI」のメンバー内に中学生がいたことで段々と業界に浸透していったそうです。1970年代はそのへん緩かったのかな?
子供の友情、家族の愛情
天狗岳から帰ってきた兄をみて弟の「井崎武夫」は今までの兄と違うことを本能的に感じていた。
その悩みを五郎に打ち明けると五郎は一緒に兄の異変を突き止めようと一役買ってくれる。
深夜まで武夫と兄の寝室のクローゼットに潜んで様子をうかがっていた。
武夫の感覚は正しく、兄はショッカーに操られていた。
五郎が何か企んでいる様子に気づいていた一文字は武夫の住む団地に張り込んでいた。
仮面ライダーに変身して戦うもアリガバリには歯が立たず、敗北した仮面ライダーに代わりアリガバリに立ち向かった五郎は重傷を負ってしまう。
仮面ライダーが負けたショックとアリガバリによって負傷した身体は心も身体も壊れかけていた。
今日一杯が峠と診断されたほど五郎は衰弱していました。
友達のまるで根拠のない話しを多少否定しつつもどこかで可能性としてあると思える五郎の柔軟性と友達の悩みを一緒になって考え行動してくれるとても友達想いな少年だ。
よく五郎が「男の友情が!」と発言しているように五郎は義理堅く友情に熱い。だが男子だけじゃなく女子にも優しい。
マリたちには多少辛口だが甘えられるお姉さんである身内感覚だからこそ言葉を選ばず遠慮のないコミュニケーションがとれるのかもしれない。
その証拠にあんなに辛口を叩かれてもマリたちは五郎を大切に想っており、五郎が重傷で生死をさまよっている時には付きっきりで看病をしたほど。
ユリに至っては自分の血を全部使っていいからと助けてほしいと医者に懇願するほどだった。
そんな危篤状態でも五郎は仮面ライダーが勝つと信じてうなされながらも声援を送り続けた。
そんな想いが届きアリガバリを倒した仮面ライダー(一文字)は五郎の病室に訪れた。
気力を取り戻した五郎は峠を越えたようだ!
今回は立花レーシングクラブの仲間への愛の深さと絆、一文字涙の葛藤、そして背中を押してくれる男の友情が呼んだ勝利。
仮面ライダーの物語でこれほど喜怒哀楽が交差した回はあっただろうか!
こんなにも仮面ライダーの勝利へのありかたが重い回中々ないでしょう。
辛い時ほど厳しい
自身の無力感から五郎を危険な状態にさせてしまった一文字は珍しく心身ともに追い込まれる。
27話「ムカデラス怪人教室」でも語っていた滝同様、一文字も五郎を本当の弟のように思っている。
五郎の頼みじゃ断り切れない甘さ。五郎を心配して深夜まで見守る姿。五郎への想いの強さからくる罪悪感。そしてショッカーに対する怒りより五郎を失うかもしれない悲しみ。
そんな一文字を厳しく叱りつける藤兵衛。
仮面ライダーは五郎にとって「憧れと尊敬の的」。
その仮面ライダーが負けを認めれば本当に五郎の心は壊れて気力を失ってしまう。
しかし、一文字はアリガバリに絶対勝てない…そう認めかけた時、藤兵衛の張り手一閃!
「たった一人の子供の願いも叶えてやれずに、やれ正義だの人類を守るなどでかい口叩くな!」
「世の中に絶対なんてありゃしない!1度や2度痛い目にあったからって尻込みするほど貴様ってやつは腰抜けなのか?」
「オヤジさん!」という一文字に藤兵衛は「馴れ馴れしく呼ぶな!」と突き放す。
ここで藤兵衛はみんなの父親代わりだからこそ「そんな腰抜けは俺の家族にいない!」叱咤激励したのだろう。
なんかかんか言ってマリ、ユリ、ミチ、ひろみ、五郎、滝、そして藤兵衛も改造人間ではないのに工夫と己の持てる力と勇気を振り絞って戦っている。
仮面ライダーである一文字より負ける可能性が圧倒的に高いのに諦めず必死で戦っている。
そして五郎もだ。五郎は仮面ライダーがやられたと時、逃げるのではなく友達を守りながら1人でアリガバリに立ち向かった。無謀だが今現場にいる自分がなんとかしなけらば友達も仮面ライダーもどうなるかわからない。
五郎が目覚めた時、胸を張って会えるように一文字は前進しなければならない。
藤兵衛は28話「地底怪人モグラング」でオートレースにトラウマを抱える青年「愛川豊」にも「3度転んだくらい」と結構厳しい発言をする。
藤兵衛は七転び八起きの人生観を持っているように思えた。
藤兵衛はレーシングクラブで最年長。第二次世界大戦の戦時中ともかぶるので一文字はじめとした若い人たちとはくぐってきた修羅場も死生観も違うのかもしれない。
男の友情
絶望の果て、荒野で1人特訓を行う一文字。
しかし、どうしてもアリガバリを倒す技ができない。
そこへ五郎のもう1人の兄である滝が訪れ特訓の手伝いをする。
絶対に俺たちの弟を助けるんだ!そんな気迫がこもった特訓の末たどり着いた先には岩をも砕き、山をも揺らすほどの必殺技が完成した。しかも未変身状態でこの威力だ!
仮面ライダー2号新必殺技
アリガバリに仮面ライダーのライダーキックはまるで通用しない。
五郎も危篤状態で失意の底から滝と編み出した新必殺技「ライダー卍キック」。
ジャンプして身体を捻り、両足でキックを放つ。
そのキックのさい卍に見える事からこの名前がついたのだろう。
13話「トカゲロンと怪人大軍団」で仮面ライダー1号が編み出した「電光ライダーキック」は回転ジャンプで助走を付けて両足でキックをしている。
ライダー卍キックはその1号の技に似ており、ライダーキックのように片足ではなく、勢いをつけて両足を使いキックすることで威力を大幅に向上させている。
ストーリーの転換点と考察
五郎を傷つけたこと
もうこれに尽きるでしょう…
一時は五郎が危篤状態で一文字の心が折れかけた。
しかし、五郎を支えてくれるマリとユリ、心が折れそうな時に呼び戻してくれる藤兵衛の喝、五郎への強い想いを持つ同志滝。
素晴らしい仲間に支えられ一文字はもう一度立ち上がった!
もし一文字が1人だったらきっとこの戦い完全に負けていただろう。
それにしても心と体を同時に攻めてくるショッカーの恐ろしさよ…
今回の特撮表現の面白さ
アリガバリの右手
アリクイは長い舌を持つがアリガバリはその舌を右手に持つ。
その右手から舌を出して対象に刺すことでアマゾンの呪いを注入する。
アリガバリの左腕
アリガバリの左手は大きな爪をしている。
武夫の兄がアリガバリに抵抗してピッケルを左手にぶつけた時、アリガバリはこんな攻撃も爆発的な怪力で強引に止められるんだよ!と言わんばかりに左手とピッケルの衝突を爆発で表現している。
それだけ爪の威力は高く、団地の塀を破壊する表現もあった(板とかブロック状にして破壊していたのかな?)。
ライダー卍キック
仮面ライダーの新必殺技。
両足を揃えるだけのキックではなく、あえて両足を前後別の方向開くことで卍を表現している。
空中で前後開脚はかなり難しいアクションなのではないだろうかと感じた。
解毒剤が効いた音
アマゾンの呪いを解く解毒剤を飲ませた後に「ピヨン!」とまるで「お薬効いたよ!」みたいな効果音が入るのがちょっと面白かった。
特撮満足度(★で5段階評価)
アクション:★★★★★
高所:★★☆☆☆
火力:★★★☆☆
水場:★☆☆☆☆
仕掛け:★☆☆☆☆
ロケ地(執筆者の調べ)
・不明
次回予告より(第32話「人喰い花ドクダリアン」)
次回のショッカーからの刺客は「怪人ドクダリアン」。
ニューギニアの花というのだから色的に「ニューギニアインパチェンス」とかですかね?
しかし、人喰いと付いているし食虫植物的な花の特性を持った怪人だろうか。
「毒花のエキス」を作り出すということでこの毒を使い市民に飲ませる気か!
捕らわれのマリ、ユリを助けるためアジトに潜入するもゾル大佐の罠にかかる一文字。
ゾル大佐も失敗続きなので何とか結果を出したいところ。
このところゾル大佐の加入でかなり激戦を強いられている仮面ライダー。
新必殺技「ライダー卍キック」を手に入れた仮面ライダーのこれからの戦いはいかに!?
まとめ
・藤兵衛は落ち込んでいる時こそ厳しい優しさを見せる
・仮面ライダーは五郎にとって憧れと尊敬の的
・仮面ライダー2号の新必殺技「ライダー卍キック」