本編を楽しんだ後に閲覧することをオススメします。
第30話「よみがえる化石 吸血三葉虫」感想・考察
次はあなたの家にお邪魔します!
「志村高一郎」は古代の化石を蘇らせるための研究を行っていた。
作中では三葉虫は1800万年前に存在していたとなっているが当時まだ三葉虫が存在した時代が曖昧だったためか現在三葉虫が絶滅したと言われているのは2億5000万年前(ペルム紀末)だそうです。
どちらにせよ古代の化石から生物を復元するなど死者を蘇らせるにも等しい行為。
まさに科学は神に自然に逆らって進歩してきました。
そしてついに志村博士は化石から三葉虫を蘇らせることに成功する。
その様子を壁の向こうから覗き見るゾル大佐。
なんとショッカーは人の家の地下に無許可でアジトを設置していたのだ。
しかもおそらくかなり前から。志村博士の研究の成果がでるのを長い間待ち望んでいたらしい。
仮に志村博士の息子「志村ワタル」が小学生だとしてそれまで10余年は研究者として活動していると考えられる。
その間ずっとショッカーが見張ってたということか?それとも志村家がマイホームを建てた時からか?
せっかくのマイホームの地下、そして自分の研究部屋にアジトの入口があるのは嫌すぎる。
ショッカーは今まで数多の研究者の研究成果を狙い、スパイ、監視、脅迫、そして研究が成功した瞬間襲撃を行ってきた。
研究者の方気を付けてください…次はあなたの家にお邪魔します!
志村博士の息子ワタルの坊っちゃん喋りにも驚かされた。
「パパ、ママ。ではただいまより1泊泊まりのハイキングに出発いたします!」って私が子供の時だったら「ん~わかった!酔い止め?持った!うん…持った持った!ほ~い」とかですよ。
しかも父に気を遣って「でもパパ、うるさいのがいないのでゆっくり研究できるのと違う?」とジョークまで言えるんだから…上流階級ジョーク。
まあでも私も泊まりの行事の時「自分の分のご飯作らなくても良いから楽でしょ」とか言ってたな~
母は「みんなの分はまとめて作るから2人でも3人でも大した変わらんよ」と言われて自分がいてもいなくても楽できないんだと軽くショックを受けたことがありましたね。
論文でも読んでんのか!?
五郎は滝に世間話として本で読んだことを話す。
どうやら「古代の化石を生き返らせる研究をしている先生がいるらしいよ!」と話だ。
まあ子供が科学本を読んだぐらいの内容だと思います。
しかし、子供向けの科学本はある程度検証されて実証されたことが分かりやすく簡潔に記載されているものが多い。
その中でまだ実現していない科学技術が載った本をたしなんでいるのが五郎の凄さだ。
子供に夢を与えるために未来の技術、例えば私が子供の時は「リニアモーターカー」、「マッハジェット機」など新幹線、飛行機から次のステージを思わせる夢の技術が紹介されている科学本があった。
だが化石を蘇らせる技術が載っている本はニッチにような気がします。
書いていて子供の科学本は内容が優しいなど偏見だなと思ってきましたが、まあ何が言いたいかというと「五郎が読んでいる本の内容渋いな…論文でも読んでいるのか?」と思ってしまうほど頭の良さを感じた。
それにひきかえ滝兄ちゃんは研究に半信半疑だ。滝はショッカーに立ち向かっていて散々信じられないような科学力を目の当たりにしているにもかかわらず、いつも「そんなことあるか?」とあまり柔軟な考えができない場面が多い。良い意味でいうと常識人とも言えるが…
FBIからいつも情報もらってるのに…
さらに滝が捨てたバナナを拾い上げて「憲法17条」と言いかける。
ここでも頭の良さを垣間見える五郎。
五郎の言いたかった憲法17条は「6」のことかな。それとも「日本国憲法第17条」のことかな?
バナナを道端に捨てた滝に対して憲法17条の6「悪を懲らしめ善を励ます」、もしくは滝はFBIなので日本でいうところの「国家公務員」なので日本国憲法第17条「公務員が不法行為を行った場合には、その損害に関する賠償責任は、その公務員個人にのみ帰属するのではなく、むしろ国や地方自治体が損害賠償を行う責任を負うことを規定するものである。」と言いたかったのだろう。
これを瞬時に言えるそして大人、それもFBIを言いくるめようとする小学生って凄すぎ。やはりFBIにほしい…
私個人的に一番驚いたのは「大人は夢がなさすぎるよ!せいぜい考えたって15年払いのマイホーム建てるぐらいだからね!」という発言だ。
マイホームを15年払い(2023年現在は35年ぐらい)で返せる社会っていいな~高度経済成長期は15年でローンが完済できるほどの給与所得が考えられる時点で夢がありすぎる!
伸縮自在!血を吸いすぎても破裂しない!
ザンブロンゾは三葉虫サイズで人間に吸血することで人間サイズの大きさとなる怪人。
今回は人間を改造して改造人間とする手法ではなく、人間以外の生物(今回は三葉虫)に改造人間の血を注入することで怪人としている。つまり今までは人間に別の生物の特性を付与していたのを今回は人間以外の生物に人間の特性(改造人間だが)を付与する方式で怪人を生み出している。
そのため倒したあとは消滅ないし人間に戻るのではなくザンブロンゾを倒すと三葉虫に戻るのではなく化石に戻ってしまう。
通常蚊であれば血を吸い過ぎると破裂してしまうが、ザンブロンゾは吸血したら破裂せず伸縮して人間サイズになる。
ちょっと疑問なのは吸血量。三葉虫サイズの血液量を吸血することで大きくなれるのか。もしくは人間サイズになるのだから多量の血を吸うのか。
正直微妙なところ。三葉虫サイズの血液量吸われたのであれば、なつ江もマリもあれほどまで昏睡状態にならなかったと思う。
しかし、2人はかなり昏睡状態となっていたため多量に吸血されたのではと考えられる。
それとも吸血の際に毒でも盛られたのか?
最後に志村博士が解毒剤を開発してくれていたので、おそらくは毒系統のものだろう。
志村博士がゾル大佐との約束を果たして妻のなつ江の身体を戻してもらおうとした時にゾル大佐は裏切った。そして解毒剤は事件解決後に志村博士がつくったとなると、もとからショッカーにはザンブロンゾに吸血された人を元に戻す手だてはなく、なつ江をもとに戻すなどハッタリだったのだろう。
吸血鬼には…
ザンブロンゾに吸血されたマリの入院ベットにはレーシングクラブの仲間が吸血鬼対策として大量のニンニクと十字架を備え付けてあった。
病室内はニンニクの匂いで仲間は全員マスクをするほどだ。
マリがうなされていたのって吸血されたことだけではなくニンニクの匂いが原因じゃない!
志村博士の妻も吸血されたが症状は心ここにあらずの放心状態になっていただけで苦しんでいる様子はなかった。
臭さがマリを苦しめていたのでは!?
もしかして一文字にも葛藤が!?
ザンブロンゾ事件を解決した立花レーシングクラブは志村家に招待され、ささやかなパーティーを行っていた。
そこに一文字の姿はない。
藤兵衛は「こういう晴れがましい席は苦手らしい」、滝は「きっとハニカミ屋なんだ」とお茶を濁している。
この感じは本郷猛の時にもあり、猛は改造人間である葛藤からキラキラした普通の幸せ、特に家族を見るのに苦痛を感じていた。
あんなに明るい一文字もやはり家庭を持てない運命を呪っているのかもしれない。
もちろん誰だって改造人間にされたら呪うだろうが、猛とは違い明るい一文字を見ていると悲壮感を感じさせないので余計「一文字でも…」と思ってしまう。
ストーリーの転換点と考察
科学者の強み
21話「ドクガンダー 大阪城の対決!」では「ドクガンダー」の繭の成長剤作成を命令された「吉岡助教授」は成長剤とは逆に繭を溶かす薬を開発してショッカーの計画を阻止している。
科学者の強みは自身の研究分野なら成長や発展、強化などを行えるとともに退化や衰退、弱体化の方法も知っているということ。
そのためザンブロンゾの生命力を弱めることで活動限界を早くして自身や家族にはまだまだ利用価値があることを示してゾル大佐に殺されないように上手い立ち回りを披露した。
結果この行動が仮面ライダーがザンブロンゾを倒す助けになる。
今回の特撮表現の面白さ
マジックミラー号
志村博士の研究部屋を壁の向こうから監視していたゾル大佐。
隠しカメラを仕掛けるとかではなく壁にマジックミラーのような細工をしていたように思う。
マジックミラーなどを使って明るい志村博士の部屋からは暗いショッカーアジトは見えないようにしてアジト内から研究を見張っていたのだろう。
それにしたって壁の仕掛け部分ががあんなでっかい黒い墨汁のような汚れだったら気がつくだろ。
この黒い汚れはなんだ!と近づいて目の周りを覆って視界を暗くすることマジックミラーの向こう側が見えるのだから何年かあったらばれるだろ。まあお話しですし…
血液に浸すだけ!
ザンブロンゾは復活した三葉虫の血液を「吸血する怪人の血」に入れ替えることで完成する。
その血液入れ替え表現として三葉虫の模型をシャーレに置き赤い液体を血と見立てて流し込み浸して表現している。
「吸血する怪人」とは?吸血された人間には解毒薬の投与が必要なので吸血時にウィルスや毒性のものを相手に与える怪人といえば「蝙蝠男」。
三葉虫の血液は蝙蝠男の血液と入れ替えたのだろうか?
ザンブロンゾ三葉虫サイズの吸血表現
三葉虫の頭をアップにしたような模型のほりが深い部分を透明にして赤い液体を流し込み血を吸引しているという状況を可視化して吸血を表現をしている。
ザンブロンゾの遠距離攻撃表現
ザンブロンゾは三葉虫でいうところの鱗を剥がして投げて攻撃する。
鱗はブーメランのような形をしている。
ザンブロンゾは胸の鱗を剥がすのですが、その剥がす表現がちょっとグロイ。
例えるなら爪を剥がして生肉がむき出しになって出血したような見た目の表現だ。
そりゃそうだろ…自分の鱗をはがすんだから…27話「ムカデラス怪人教室」でも「ムカデラス」が自分の足を引きちぎって手裏剣にして投げていたがわざわざ引きちぎった部分を見せる描写はなかった。
今回は剝がした皮膚をリアルに表現しているからちょっとグロイ。ていうか痛い!ここリアルに表現するか…
謎の液体攻撃
ザンブロンゾは「最後の手段」として謎の液体を放つ。
この液体は下級戦闘員に当たる描写があるが特に溶解もしないし、燃えもしない、爆発もしない。
戦闘員は謎の液体を浴びて倒れたことから何かしらの効果はあるようだが、最後の手段として使うにはあんまり強さを感じなかった。高圧な水鉄砲みたいなものかな?
液体が赤かったので吸血した血液を噴射しているようにも見える。
その血液中になつ江やマリを苦しめたウィルス的なものが混ざっていてそれを仮面ライダーにぶつけたかったのかもしれない。
特撮満足度(★で5段階評価)
アクション:★★★☆☆
高所:★★★☆☆
火力:★★☆☆☆
水場:☆☆☆☆☆
仕掛け:★★★★☆
ロケ地(執筆者の調べ)
・羽田空港
次回予告より(第31話「死斗!ありくい魔人アリガバリ」)
次回のショッカーからの刺客は「怪人アリガバリ」。
26話「恐怖のあり地獄」では蟻の天敵「アリジゴク」の特性を持った怪人「地獄サンダー」が登場した。
次回も蟻の天敵「アリクイ」の特性を持った怪人が仮面ライダーに襲いかかかる。
「ガバリ」って何かなと思って調べたら金属板とかの「型紙」のことを言うらしい。
もしくは方言などでも画鋲のことを「画張り」というみたいだがどちらの意味だろう?
アリガバリは細菌「アマゾンの呪い」というものを使うらしい。
22話「怪魚人アマゾニア」で人類がアマゾンを開発しようとした結果、熱帯林の破壊が環境問題となり、その問題提起で自然からの報復というかたちで「アマゾニア」という怪人を描いたのではないかと書いたがそれがアマゾンの呪いとして返ってくるという物語が描かれることになるのだろうか…
まとめ
・1970年代のマイホームローンの基準は15年(2023年現在は35年ぐらい)
・滝は気持ち悪い虫は容赦なく踏もうとする
・ゾル大佐はタバコを吸う
・マリは自身のトランプ占いでは30歳まで結婚できないが今週はデートの申し込みがある(じゃじゃ馬で婚期を逃す的な表現?)
・仮面ライダーが作品として存在しない仮面ライダー作品内では「レッツゴー!! ライダーキック」が子供たちの間で流行っている