【仮面ライダー】47話「死を呼ぶ氷魔人トドギラー」感想・考察(ネタバレ有) エネルギーの限界を超えた零下300度

ネタバレがあります。
本編を楽しんだ後に閲覧することをオススメします。

東映 1971年
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あらすじ

数多の計画を仮面ライダーに阻止されたショッカー。

今回の作戦は死神博士自らが創り上げた怪人「トドギラー」を使い、日本全土を凍らせる「アイス計画」を企む。

作戦の手始めとして東京を氷漬けにする準備としてトドギラーの冷凍シュートで一般人を凍らせて誘拐し再生怪人として改造する計画を進めていた。

空き地でサッカーをしていたユリ、ミカ、エミ、五郎が誘拐現場を目撃したことで事件を知り、一文字たちは動き出す。

氷河期再来「アイス計画」

スイスを担当していただけあって40話「死斗!怪人スノーマン対二人のライダー」46話「対決!! 雪山怪人ベアーコンガー」など雪原など氷属性の作戦を得意とする死神博士。

今回は死神博士自ら開発した新怪人「トドギラー」を投入しての作戦だ。

予告では日本全土を凍らせるという作戦を企んでいるようだった。

作戦名は「アイス計画」。

その作戦の準備段階から物語は始まる。

トドギラーは「冷凍シュート」という零下300度の冷気を放つ。

この技で人間を凍らせて誘拐し、改造人間として仲間に引き入れ東京を氷の街に変えるつもりのようだ。

トドギラー単体では東京中を氷漬けにするのは難しいだろう。

そのため誘拐してきた人々をトドギラーに改造することで広範囲に冷気を散布できるようにするため人員が必要だったと考えられる。

そしてトドギラーが狙う人間は遠洋漁業帰りの漁船を狙うことが多く7隻も襲撃されている。

物語を振り返ると改造人間にするにはある程度元の人間のスペックの高さが重要となる。

そのため体力と寒さに対する耐久力を加味した場合、「海の男」に適正ありとショッカーのコンピュータが算出したのかもしれない。

しかし、それであれば五郎たちに自身の土地で遊ぶなと注意したおじさんを誘拐したのはなぜだろう?

海の男は実は関係ないのか?

海の男を待つ妻たち

ショッカーに誘拐された遠洋漁業の乗組員の中には一文字が海岸で出会う少年「和泉保雄いずみやすお」の父親もいた。

氷山にぶつかって沈んだと噂されていたが、モデルはタイタニック号の沈没を意識しているのだろうか?

そして保雄の母親「和泉ふき」は病で寝込んでいる。

だが芯は強い女性で父親の生存を諦める保雄に生きて還ることを信じるよう強く言い聞かせる。

ショッカーでなくとも海の男は荒波と戦い漁に出ているため常に命の危険と隣り合わせだ。

仕事からの帰りが命がけの夫を待つ妻は気苦労が絶えないでしょう。

海の男として死んだのであれば悲しいが納得もできるだろう。

しかし、ショッカーの欲のために犠牲ともなり、改造人間として自分の家族が悪行に利用されるのはとても辛いだろう。

そんな平穏を脅かすショッカーを許すわけにはいかない!

ショッカーの冷凍室

死神博士は誘拐した人々を改造する前に一時的に冷凍室で保管している。

これはトドギラーの冷凍が解凍されてことを防ぐためだろう。

その光景を観ると思い出すことがある。

ナチスの人体実験」だ。

ナチスドイツは過去冷酷な人体実験を行っていたことで知られている。

その中で「低温実験」というものがある。これは寒冷地での低体温症対策を研究するために行われた実験であり、生きている人間を使用した非人道的な実験である。

ショッカーはナチスドイツの研究員を科学陣に迎え入れていたり、ナチスの財宝を狙うなどナチスと密接に繋がりを持っている。

そのため非人道的なやり口に共感している部分もあるのだろう。

低温実験も相当な低温の中行われたがトドギラーは零下300度だ。

零下300度とはどのくらいの寒さか

実際に零下は300度にはならず、最高零下は273度。

零下273度を超えると熱エネルギーがなくなるためこれ以上温度は下がらないそうだ。

このことから空想とはいえ零下300度の冷凍シュートがどれほど恐ろしい技かは想像に容易い。

冷凍室の方が暖かくて冷凍が溶けるまである。

ちなみに今回は「」もキーワードとなっているが、ナチスの人体実験の中には「海水実験」という海水を飲み水として使用できないかという実験がある。

この実験は被験者を空腹状態として「海水」、「味を変えた海水」、「塩分を抜いた海水」、「水を与えない」グループに分け飲み水としての機能を検証するという実験だ。

当然海水を飲んでも人体の塩分濃度より高い海水が身体に良いわけはなくたくさんの犠牲者を出した。

塩分を抜いた海水も一見飲めそうだが、ろ過する技術が当時優れていたかは定かではない。

ショッカーはナチスドイツの冷酷さにSFをプラスしたような組織だ。

仮面ライダーの活躍により犠牲者は限りなく少なく、計画は阻止されているため感じにくいがショッカーはかなり非人道的な計画を数多く企んでいる。

私が子供時代に仮面ライダーの物語が苦手だったのはそれらの計画が「愚かな人間が考えそうなリアル」だからだろう。

いくら残酷でも「まあお話しだし…」と思える範囲であればこのように感じることはなかっただろう。

現実にありそう(再現性が高い)」ということが私の本能の危険信号に不快感を与えていたのかもしれない。

立花サッカークラブ!?

冒頭の空き地でサッカーで遊ぶユリ、ミカ、エミ、五郎。

遊びとはいえしっかりとTRC(立花レーシングクラブ)のロゴが入ったオレンジ色のユニフォーム、ソックスを履いている。

このためだけに藤兵衛がユニフォームを作ってくれたのだろうか?

いやいやさすがにそれはないだろう。

地域のサッカー大会に参加するためなのか遊びにしては五郎の口調が厳しい。

ちなみにそれぞれ背番号もあり以下の通りだ。

立花レーシングクラブ サッカー部

・ユリ:背番号1(ゴールキーパー)

・ミカ:背番号3(ディフェンダー)

・五郎:背番号5(ディフェンダー)

・エミ:背番号7(ミッドフィルダー)

サッカーは11人で1チームなのであと7人必要だ。

一文字、滝、最近見かけないがマリ、ミチ、ひろみ、監督兼選手で藤兵衛。

あと1人は誰だろう?

突如始まった立花レーシングクラブサッカー部。今後の展開はあるのか!?

それともトドギラーの必殺技が「冷凍シュート」だからサッカーに結びつけたとか。

シュートだけに(笑)。

また発作がっ!ストーキング癖が抜けない滝兄さん

滝に先んじて事件現場に向かう一文字。

それを滝は「一文字がまた俺を出し抜こうとしている」と思い込む。

そして出し抜かれないために一文字のオートバイに発信機まで仕掛ける始末。

それぞれの役割を理解して立ち回る2人は名コンビだが、ライバル意識も持っている。

特に滝のほうは仮面ライダーとして前線で戦う一文字をFBIのプライド、そして男として少し羨ましく思っている節がある。

心の中では「俺も仮面ライダーに…」なんて思っているかもしれない。

今後その一文字への憧れや嫉妬心があだとならなければ良いが…

実験用うさぎさん

うさぎさんかわいそう!

実験用といえばネズミが使用されるイメージだが仮面ライダー本編ではうさぎが実験として使われることが多い。

例えば、12話「殺人ヤモゲラス」では殺人光線の実験台に、45話「怪人ナメクジラのガス爆発作戦」では脳に人工頭脳を埋め込まれている。

そして今回は冷凍シュートで凍らされたあげく叩き割られバラバラにされる。

なんでうさぎはこんなにも動物実験に使われるか調べてみた。

うさぎはネズミ同様に飼育コスト、繁殖スピード、そして大人しいため扱いやすいため動物実験で使用されることが多いようだ。

人間に変換すると恐ろしく感じる。

少食で大人しくて学歴もなく過重労働(社会実験)に参加してくれて繁殖だけは積極的にしてくれる。

政治家の望む都合の良い少子化対策のようだ。

医療や科学の恩恵を少しでも受けている我々に動物実験を否定することは一生できないでしょうが舞台裏を見ちゃうと複雑ですね…

零下300度の溶かし方は仮面ライダー湯たんぽ!?

トドギラーの冷凍シュートで洞窟に閉じ込められた一文字、滝、保雄。

滝と保雄は冷凍シュートを受けて氷漬けにされてしまう。

2人を解凍しようと焚火をたくも零下300度の氷漬けはちょっとやそっとじゃ溶けてくれない。

そこで一文字は驚くべき方法で2人を解凍する。

それは仮面ライダーに変身して自身の身体を直接焚火で熱し、高温の身体をつくりだす。

そしてハグすることで2人を解凍するという方法だ。

仮面ライダーにしかできない斬新な方法での解凍。

雪山で遭難した際にお互いの身体で暖め合い救助を待つという方歩があるが、今回の方法はその上位互換だ。

できたに越したことはないが常人では到底不可能な方法だ。

ストーリーの転換点と考察

面白がる癖

トドギラーは仮面ライダーを氷漬けにしてショッカーアジトへ連れ帰ることに成功。

ただの氷の塊となった仮面ライダー。

このまま叩き付ければバラバラにすることが可能な状態だ。

ショッカーの勝利に思えたがいつものように冷酷ではあるが冷静になれないのがショッカー。

死神博士は解凍して変身解除した一文字をいたぶって殺してやりたいという欲が出てしまう。

いや…欲ではなく油断だ。

解凍した瞬間、仮面ライダーは目覚め、拘束を解除して形勢逆転!

あほやろ…

大いなる野望がある巨大組織に思えるが中身は人の不幸を面白がりたい集団。

普通に殺すだけじゃ面白くないと面白さを優先してしまった慢心が今回の敗走を生んだのだ。

初見殺しの死神博士

形勢逆転して死神博士を追い詰める滝。

普段、死神博士は杖をついており、車椅子に乗っている。

そのため戦闘能力は低く、滝との近接戦闘では一方的にやられている。

しかし、死神博士の催眠術で視界を歪まされ取り逃がす。

死神博士は道具と言葉の誘導を使い催眠術を行っていたが、実は道具無しの無詠唱、アイコンタクトだけでも催眠術が可能であることが判明。

当然対策してこなかった滝は術中にはまってしまうのだが、さすがに初見殺しすぎるので仕方がないかな…

死神博士の特性を裸にしていけば、さらに追い詰めることができるだろう。

今回はその一歩だ。

今回の特撮表現の面白さ

冷凍シュート表現

冷凍シュートは冷気を表現するために白い発泡スチロールのようなもの?で雪を降らせて表現している。

アイコンタクト催眠術

滝は死神博士とアイコンタクトすることで催眠術にかかり、視界を歪ませてしまう。

万華鏡のように死神博士を複数人に見せて歪んだ視界を表現している。

特撮満足度(★で5段階評価)

特撮満足度

アクション:★★★☆☆

高所:★★★☆☆

火力:★★☆☆☆

水場:★★★★★

仕掛け:★★☆☆☆

ロケ地(執筆者の調べ)

・「不明」

次回予告より(第48話「吸血沼のヒルゲリラ」)

次回のショッカーからの刺客は怪人「ヒルゲリラ」。

ヒル」の特性を持った怪人だ。

ヒルゲリラはまさにヒルのごとく生物の血を吸う。

それだけではなく血を吸った生物を奴隷にできるという特殊能力を持つ。

予告ナレーションでは「ヒルゲリラこそわが敵ショッカーが創り出した最も恐ろしい改造人間である」と評されていることからかなり強力な怪人であることがうかがえる。

最も恐ろしいのは戦闘力かその特殊能力か。それとも両方を兼ね備えているからこそ「最も恐ろしい」なのか。

わざわざそう宣言するのであれば死闘必至の戦いとなるだろう。

どんな戦いが観られるのか!

次回の記事

まとめ

何事も準備が大事です。

本番で発揮した力はその日のコンディションよりほとんどが準備の結果と言えます。

受験勉強がそうです。

準備をしっかりしていれば、本番に多少緊張したり調子が悪くても息を吸うようにできるまで準備していれば頭で考えなくても答えが出てくることがあります。

準備を怠り、調子が悪ければ基礎的な問題すら落としてしまうだろう。

悪行を行うにも準備が大事。

犯行計画や逃走ルートの確保などの重要性はドラマや映画でもよく描かれています。

今回の物語では犠牲者を1人も出すことなく事件を解決している。

つまりアイス計画に必要な改造人間を1人も生み出さなかったことになる。

ショッカーの計画を準備段階で食い止めることが出来たのである。

これがある程度計画(準備)が進んだ状態であったなら改造人間の数も多く、アイス計画の実行を阻止することは困難だっただろう。

成果が新たな成果に繋がるように悪行もさらなる大きな悪行に繋がります。

準備・予防の大切さが身に染みて感じますね。

今回判明したこと

・立花レーシングクラブのサッカーユニフォームがある

・滝は一文字のオートバイに発信機を仕掛けている(出し抜かれないため)

・死神博士は改造人間の開発を行える技術がある

・死神博士はアイコンタクトで催眠術をかけることができる

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