本編を楽しんだ後に閲覧することをオススメします。
第32話「人喰い花ドクダリアン」感想・考察
実はタンパク質大好き肉食植物
今回のショッカー怪人「ドクダリアン」はやはり食虫植物的な特性を持っており「動物性たんぱく質」を栄養源としている。植物というよりかは肉食動物のようなどう猛さを持つ。
この事実はドクダリアンが落としていった葉っぱを一文字の友人である城北大学(看板は城南大学)の「小池」に分析させたところ大量のタンパク質と毒が検出されたため判明する。
余談ですが一文字の友人「小池」ってこんな顔だっけ?と思ったのですが24話「猛毒怪人キノコモルグの出撃!」で登場した小池は「洛南大学の小池」で今回登場した小池は「城北大学(城南大学)の小池」だったようだ。
一文字は研究者の知り合いに小池が多い…
ドクダリアンはニューギニアのジャングルで200年生きた人喰い植物をショッカーが持ち帰って改造した怪人。
ドクダリアンは花屋の女性店主に変装して訪れた「女性客」に次々と「強制催眠音波を放つ花」をおまけとしてプレゼントする。
家に持ち帰った女性はその催眠音波で眠らされショッカーに誘拐されてしまう。
そして強制催眠音波を放つ花は1つしかないためか誘拐した後はキッチリ回収して再利用する。
証拠として残しておくのもなんですし、エコだし。
戦闘力は花のツルのようなムチを用いて締め付け攻撃や拘束攻撃、人間のタンパク質を吸い分解してしまう特殊攻撃は強いが格闘力はそれほど高くなくライダーキックで決めずとも草属性なので火の中にぶち込むと燃える。
結構味方でも食べたいときは無差別に人間を食らうドクダリアンだがその栄養源をもとにパワーアップといったこともなくただ燃費が悪いだけの怪人だった。
嫁入り前女性の毒薬生成工場
ドクダリアンは花屋を装い13人以上の女性を誘拐している。
女性ばかり誘拐している目的は毒花のエキスを結晶にして毒薬を生成すること。
この結晶を溶かした水一滴で100人は死ぬという恐ろしい毒薬だ。
これを霧状にして深夜の街の空中に散布すれば一晩でどんな都会でも死の都と化す。
その威力は実験用スプレーで霧状にして噴射された「実験用囚人」が瞬く間に絶命するほど。
ナチスドイツのガス部屋を大規模にしたような農薬を飛行機で散布するが如く毒薬を散布するまさに悪魔の所業である。
この恐ろしい作戦は「毒薬スモッグ作戦」と名付けられた。
なぜ女性だけと思うだろうがこの作業には「手先の器用な女性向きの作業」であることが理由のようだ。
確かにショッカーには女性戦闘員は少なそうだし、女性幹部は気が強そうだからこんな雑務はやらないだろう。
作業として描写されているのは椅子取りゲームのようにテーブルをグルグルしながら結晶化した薬品をシャーレに入れて天秤で量を測る。それだけに見える。
男性でも良さそうな作業だが、当時は花嫁修業や結婚後家庭に入る女性が多かったので必然的に料理や裁縫などが得意=細かい作業が得意というイメージだったのでしょう。
実際に今でも化粧やネイル、ドールや自作のコスプレ、編み物など女性は手先の器用そうとイメージされるものを趣味として好む傾向があります。
マリは30歳まで結婚できないと占いで出るほどだし、ユリも格闘娘。割と大雑把そうで不器用そうだ。
一文字の言う通り「なぜ若い女性ばかりを」というように手先の器用さより毒に多少抵抗力がある若い人をターゲットにしていたのでは。
毒への耐久力なら16話「悪魔のレスラーピラザウルス」で象が10秒で気絶する猛毒を20秒も耐えた「草鹿昇」を呼んでくるべきでは?
まあそんなこんなで嫁入り前の「小田切アツ子」の姉「小田切千秋」や嫁入りが30歳以降と占いで出てしまったマリとユリが毒薬工場で労働させられることになる。
毒薬生成にさいし監視の戦闘員にはガスマスクが支給されているのに対して女性作業員は布マスクのみのため毒エキスや結晶の臭気を吸い過ぎて絶命してしまう人が出るほどの超ブラック。
マリ、ユリも合わせて15人は女性を誘拐しているのに一文字が潜入した時には8人となっており、半分近くもの作業員が絶命していることになる。恐ろしい…
毒花のエキスはドクダリアンから出るエキスかと思いきやショッカーニューギニア支部から送られてくるもののようだ。
いや…ニューギニア支部で毒薬を生成して送ってもらえば良いのでは?それともエキス状態でなければ輸入で引っかかるとか?でもエキスの時点で毒エキスって言ってるしな…それとも結晶にするとなんか変な粉と思われて検査で引っかかるから?
個性的な変装
ショッカーアジトを特定するためドクダリアンに消された報告が多いであろう公園に変装して張り込む一文字、滝、藤兵衛。
一文字は、はちまきに腹巻、長靴と「農夫」もしくは「大工」のとっつぁんの格好。
滝はおそらく「ヒッピー」の格好。ヒッピーを軽く説明すると1960年代にアメリカで流行った簡潔にいうと新しいカルチャーを担おうとする「放浪人・自由主義的人々」のことを言います。
そして藤兵衛はゴミ拾いをしており「公園の管理人」みたいな格好をしている。しかし、藤兵衛が着ているハッピをよくよく見ると「新島村警防団・第八分団警防員」と書かれている。
「新島村」とは一応住所的には東京都なのですが伊豆諸島の1つで「利島村」と「神津島村」に間にある島で人口は2500人で観光が盛んな島だそうです。
そして「警防員」とは1939年から日本の1947年ごろまで存在した「警防団」のメンバーのことで警察と消防の補助として空襲や災害から地域の人々を守る団体であり敗戦後1947年ごろに廃止された。
このことから藤兵衛は戦時中に警防員であり、新島村出身である可能性が出てきた。ハッピ自体は親の形見の可能性はあるが自身が着ていたからこそ着ている可能性のほうが高い。
22話「怪魚人アマゾニア」でレーシングクラブのメンバーと伊豆に遊びにきていたが藤兵衛の故郷に近い地域なので馴染みのある海を楽しんでいたのかもしれない。
ただ1947年に廃止されたこともあり、1971年現在に変装で使うと違和感はある。
まあ作業着として物持ちよく使っているということでしょうが。
警防員は分団で一番下っ端なので藤兵衛は当時は20代ぐらいだと考えられる。
そのまま団長や副団長、班長など階級が上がらないまま敗戦して警防団が廃止されたことを考えると戦後25年経っている1971年、藤兵衛の年齢は40代後半から50代前半と考えられる。
藤兵衛の色々な知識や地域を守る正義感は警防員で地域の人々を守ってきたことによるものだったのか!
息ピッタリの連携プレー
今回滝と藤兵衛は息の合った二人三脚プレーを見せる。
お互い1つの鎖に巻かれた2人はそれを利用しお互いに距離を取りながら鎖をピンと張って突進。
鎖を上手く使い敵を転倒させつつ一文字が張り付けになっている十字架までたどり着き、戦闘員を蹴りで牽制しつつ十字架に鎖を絡めて2人で引っ張り杭を緩め、今度は十字架を押して倒し、蹴りで一文字の鎖を解いた。
この息の合った連携プレーがなかったら一文字は火あぶりになっていただろう。
役者さんたちが思ったより息ピッタリのアクションで見ていて面白かった。
きれいな花嫁
事件解決後、嫁入り前に立花レーシングクラブで花嫁衣装のお披露目パーティーを行っている。
一文字は相変わらず家族の幸せは苦手で千秋のウェディングドレス姿を見て祝いの言葉をのべるとレーシングクラブを後にする。
きれいな花嫁を見た五郎は千秋が好みだったようで花婿を羨ましがる。確かにこの時期の子供にとって年上のお姉さんって憧れの存在ですもんね!ん…待てよ?五郎の周りにはきれいなお姉さんが4人もいるだろ!またマリたちへの皮肉か!こらっ!五郎!
と思いきや滝まで「ああ羨ましい」というもんだ…お前は嫁さんもいるだろ!それにマリ、ユリの前でやはり嫌味か!まあ普段じゃじゃ馬娘を見ていればおしとやかなお姉さんが羨ましく思うのだろう(笑)ってか!
ストーリーの転換点と考察
未変身でアジトに突入
アジトに未変身で潜入した一文字。
しかし、一文字の潜入を読んでいたゾル大佐にマリとユリを人質に取られてしまう。
そこまでは良いのだがマリとユリに正体がばれてしまうためか未変身のまま戦う。
その結果一文字は網に捕まり戦闘員にナイフで刺されて一時戦闘不能になってしまう。
もし変身した状態で潜入していればその心配もなく、もっと言えば「俺に任して」なんて言わないで滝と藤兵衛と一緒に潜入していればマリとユリの救出もスムーズにいき戦闘に集中できたように思う。
それかもういっそのこと信頼している仲間には全員正体を明かすとかね。
滝と藤兵衛の連携プレー
滝と藤兵衛は鎖で拘束されながらも一文字の救出に成功する。
一文字が捕まったことで死を覚悟しはじめた滝は拘束前に「みんなと会ってから死にましょうや」という覚悟と漢気を見せる。ここかっこよかったなぁ~
どうせ逃げられないなら抵抗せずせめて友やマリ、ユリの顔を見てからと今回も家族想いな一面を見せる滝。
仲間の失敗を命がけでカバーしてくれる仲間って素敵!
でも毎回思うけど立花レーシングクラブのメンバーを大切に想えば想うほど滝さんの既婚者設定がぶれるんだよなぁ~奥さんも大事にねって…
今回の特撮表現の面白さ
強制催眠音波を放つ花の表現
花のめしべの部分に小型電球で光らせて催眠音波を出してるぞ~ということを表現している。
ドクダリアンの一つ目(めしべ部分)部分も電球で光らせておどろおどろしさを表現している。
ドクダリアンのタンパク質吸収表現
吸収される役者を少しづつ締めつけ、後半は服だけを締めつけてクシャっと人間の身体だけ消えたように描写することでドクダリアンが人間を喰ったことを表現している。
火炙り描写
役者の手前の木材を燃やして火炙りを表現している。
役者(一文字)は十字架に張り付けになり身動きがとれない状態で手前が火災になっているかと思うとかなり身体をはった撮影であることがわかる。
さらには最後ドクダリアンが燃えた木材の間に投げ込まれている。燃えている木材の間の燃えていない土が見えている部分に放り込まれるといえドクダリアンのスーツも着てるしめちゃくちゃ熱いし危険だし燃える~っていうやられアクションもを行うため少しの間その場にとどまらなければならないのでこのシーンも身体張ってるな~と思いました。
特撮満足度(★で5段階評価)
アクション:★★★★☆
高所:★☆☆☆☆
火力:★★★★☆
水場:★☆☆☆☆
仕掛け:★☆☆☆☆
ロケ地(執筆者の調べ)
・「向ヶ丘遊園 花のオランジェリー(温室)」
次回予告より(第33話「鋼鉄怪人アルマジロング」)
次回のショッカーからの刺客は「怪人アルマジロング」。
アルマジロの特性を持つ怪人。
アルマジロはスペイン語で「武装したもの」の「アルマード」に由来したものだそうだ。
アルマジロングは鋼鉄怪人、それもアルマジロなだけあって甲皮がとても硬い。
あまりの硬さに滝が悶絶しているシーンも。
破壊力も抜群のようでまさに全身武装。
新必殺技「ライダー卍キック」の威力がどれほど通用するのか…
次回のショッカーの目的はガスタンクを破壊して日本を征服すること。
ガスタンクのエネルギーを利用した悪さではなく、社会のインフラを破壊して混乱を招こうと企んでいるようだ。
まとめ
・ショッカーには実験用の囚人がいる
・ショッカーで強制労働させられている女性作業員にも制服がある(しかもわざわざOLスカート)
・藤兵衛は新島村出身で警防団に所属していたと思われる
・滝はバナナやサングラスなどをすぐ道に捨てる
・ゾル大佐の戦闘力は未変身状態の一文字と同等かそれ以下(知将で上り詰めたタイプ)