【仮面ライダー】66話「ショッカー墓場 よみがえる怪人たち」感想・考察(ネタバレ有) 神が復活祭

ネタバレがあります。
本編を楽しんだ後に閲覧することをオススメします。

東映 1971年

あらすじ

獲物がいない素潜り漁師の2人は海から引き上げようとしていた。

そこへ怪人「カミキリキッド」が現れる。

カミキリキッドは男を1人を白い粉で殺し、もう1人の男「加藤」を生きたまま捕らえた。

加藤は日本にあるショッカー墓場で怪人を蘇らせる「悪魔祭り」の生贄として捕まったのだ。

ショッカー墓場の祭壇に加藤を生贄としショッカー首領が悪魔の力を放つ。

加藤は消え「ハリネズラス」、「ジャガーマン」、「サイギャング」、「毒トカゲ男」、「ザンジオー」の5体の怪人が復活を遂げる。

カミキリキッド含めた6体はさらに多くの怪人を復活させるための生贄として仮面ライダー及び立花レーシングクラブの面々を次なる標的とする。

怪人再生墓場

ショッカーには幹部怪人専用の墓場がある。

墓場は「地獄谷」にあるとのことだが地獄谷とは「登別の地獄谷」のことを指しているのだろうか。

確かに名前はショッカーの墓場としてピッタリだが、実際の地獄谷は北海道登別市にあり、「鬼が棲む地獄のような風景」という由来とは逆にサルがのんびり温泉に浸かっている極楽風景な場所だ。

日本支部の墓場は岸壁に大きく空いた洞窟の前にあり、十字架の下に今まで仮面ライダーに倒された怪人が眠っている。

ショッカーに墓場ってあったんだ!

ショッカーに仲間を弔うという感覚があるんだと思ったが、そうでもなかった。

地獄大使は「悪魔祭り」と呼ばれる蘇りの儀式で怪人たちを復活させようと企んでいた。

墓場に眠る怪人は成仏することも眠ることも許されずに蘇らせられて再び戦うことを要求される。

復活には「生贄」が必要で岩場で素潜り漁をしていた男性「加藤かとう」がその犠牲となった。

生贄を洞窟内にある祭壇に捧げ、ガイコツで覆われた十字架からショッカー首領が遠隔?で生贄のエネルギーを抽出し怪人の死体に注入することで復活させることができるようだ。

おそらく順序はこうだ。

悪魔祭りでの怪人復活儀式のやり方

1.祭壇に生贄を用意(人間1人につき5体復活できる)

2.「ダイランメカケーユ カウロアデノアンナーノカユシノギー」と呪文を唱え祭壇の悪魔の霊を生贄に移す

3.悪魔の霊により人間のエネルギーは悪のエネルギーに変換される

4.ショッカー首領の力で悪のエネルギーを生贄から抽出

5.復活させたい怪人にエネルギーを注入すると死体が蘇る

補足:生贄が苦しむほど悪魔祭りの力が増大する(効果量不明)

人間1人に対して復活できる怪人の数は5体。コスパ良すぎ…

1つの命で5人が生き返る。そんな秘術を持っているショッカー首領はやはり只者ではない…

58話「怪人毒トカゲ おそれ谷の決斗!!」で生物を生き返らせる薬品「Xアルファー液」を狙っていたショッカーだが首領の秘術でなんとかなるではないか…

祭りと銘打っているので期間限定の儀式なのだろう。例えば満潮の時だけとか、日食の時だけなど魔術的条件が必要なのかもしれない。

そんなに連発出来れば仮面ライダーに苦戦することはないか…

カミキリキッドと復活した怪人を加え、残りの怪人を復活させるために仮面ライダーや立花レーシングクラブの面々にターゲットを定める。

このメンバー全員を生贄にすることで今まで仮面ライダーに葬られた日本支部の怪人全員が蘇るようだ。

人数が足りなくないか?と思うだろうが、おそらく仮面ライダーのエネルギーが常人の数十倍なことから抽出できるエネルギーも多いのだろう。

劇場版怪人を入れると(ザンジオー)65話までの幹部怪人は60体。

加藤の生贄で5体が復活。

立花レーシングクラブの藤兵衛、滝、ユリ、エミ、トッコの5人で5×5で25体の復活。

残りの30体の復活を仮面ライダーでまかなうと考えると、仮面ライダーは常人6人以上のエネルギーを有することになる。

ただしショッカー首領は「この墓場に眠る」と限定していたので死体がない怪人もいるのかもしれない。

また効果量は判明しなかったが生贄の苦しみが強いほど悪魔祭りのパワーは増大するという裏ワザがあるようだ。

恐怖や苦しみなど負の感情もエネルギーとして加算されると考えると1人辺りどのくらいのエネルギーが加算されるのだろうか。

悪魔のエネルギー=負のエネルギーとするならば仮面ライダーや藤兵衛たちのような正義のエネルギーを悪のエネルギーに変換するほうが手間ではないだろうか。そこは祭壇の悪魔の霊に任せるのだろう。

死刑囚を連れてきた方が効率的なような気もするが、仮面ライダーたちの抹殺と生贄が同時に行える一石二鳥作戦なのだろう。

ショッカーは毎回一石二鳥作戦で二兎負うものは一兎も得ずなんだよな~

仮面ライダー倒そう部

打倒仮面ライダーのために復活した5体の怪人と共にトレーニングを行うカマキリキッド。

負けた経験がある怪人たちとのトレーニングだからこそ得るものがあると考えたのだろう。

敗北を反省し活かそうとする悪の組織は恐ろしい。

悪は反省をしないから悪なのだ。悔い改めるなど言語道断。

だから同じ失敗を繰り返す悪が多数いるが、さすがは大幹部の地獄大使は合理的であれば敗北を血肉とすることも心得ている。

カミキリキッドはライダーキックを模倣してぶつけるようサイギャングに要求する。

サイギャングは仮面ライダー1号の変身ポーズからライダーキックを放つが威力が出ずに弾き返された時に「ライダーの本物のキックは今の十倍の力はあるんだ!」と言い訳して小突かれ、他の怪人も「やれやれ…」みたいな雰囲気になるのが部活っぽくて微笑ましい。

地獄大使も様子を見に来て「ほぉ~やっとるな!よおし!その調子だ!」と部活の顧問みたいになってる。

ちなみにサイギャングはライダーキックを受けたことがない(ライダーパンチからのライダーきりもみシュートで撃破されている)。知ったかぶりはダメだそ~サイギャングくん!知識で知っていたのかな?

だが対策も虚しく、仮面ライダーにライダーキックすら使わせられず、ライダー返し、ライダーパンチ、ライダーきりもみシュートだけで6怪人は撃破された。

恐るべし仮面ライダー!

カミキリキッドの器用貧乏とガスの謎

カミキリキッドは今回の作戦に適性がある能力を持っている。

殺傷力の高い武器として力強いハサミと遠距離攻撃の炎。

そして今回の作戦で最も重要な獲物を「生け捕り」するために相手を麻痺させるガス。

まさにオールラウンドな怪人だ。

だが仮面ライダーを苦しめるのはオールラウンドさより一点特化型の怪人が適任だ。

どうしても1対1になると分が悪い。

だからこそ今回は複数体で襲いかかりカミキリキッドの器用貧乏を埋め合わせたのかもしれない。

だがそれすら仮面ライダーには通用しなかった。

個々の怪人が弱いというわけではなく、ここ最近の仮面ライダーの勢いが複数怪人を用意せねば対抗できないほど圧倒しているということだ。

仮面ライダーに怪人たちが束になって襲いかかり、覆いかぶさってもパワーではね返してしまう。

そりゃあ次回ショッカー首領が出張ってくるわ…

…記事を書いていて疑問に思ったのだがカミキリキッドの白いガスは麻痺用で間違いないよね…と…

仮に間違いないとすると加藤じゃないほうの男性は殺されたのではなく、麻痺させられただけということになる。

だが悪魔祭りの生贄にされたのは加藤のみで復活も1人分の5体。

もし、もう1人の男が麻痺だけで済んだのだとしたら生贄2人、復活は10体ではないとおかしくないか?

逃げ惑う加藤を捕まえられたのであればもう1人の男は麻痺していたのだから、ゆっくり捕まえて生贄にできたはずだ。麻痺ガスといっても致死量をくらってしまったため死亡してしまったのだろうか?

あれ?仮面ライダーが…

滝に連絡なし。

突如として消えていた猛だが立花レーシングクラブのピンチには駆けつける。

だが猛は変身状態で現れ、声もなんか違って高い…

仮面ライダーもショッカーの誰かが変装しているのか!?と思っていたらリアルで猛が消えていたということのようだ。

出演俳優の事情により本郷猛の声は別の声優が担当し、仮面ライダーのみが出演。

この出来事の詳細はあんまり良い話しではなく、物語の世界観とは別の話しなので控えておきます(今後語るかも)。

ストーリーの転換点と考察

仮面ライダー側が怪人の死体を処理してこなかったこと

これは全ての怪人に言えることですが、死体を処理しておかないと復活して現れる可能性があることを再生怪人と何度も戦った仮面ライダーは理解していたはずだ。

ただ一般人が怪人といえども死体を処理するのは気が引ける。そこでFBIの出番だ。

FBIは正式にショッカー対策を行っているので敵の分析としてサンプルも回収できて、再生の心配もない。

そこは有効活用しないと…

そもそもすぐに処刑とかいわないの…

ショッカーは怪人が少しでもミスをすると処刑やなんだ口走るが、そもそも再利用する気があるなら、そもそも最初から処刑とかいうなってことですよ!

死ぬまで働け!だとブラック企業っぽいけど、死ね!だが生き返ろ!は色々と情緒が不安定すぎる。

ショッカーに汚点を残したくないのだろう。

今回は反省して汚点から何かを得ようとしているので良し!なのか?

非効率な生贄確保

悪魔祭りでは生贄1人につき5体の怪人を復活させることができる。

素潜り漁師の加藤だけを生贄として生け捕り、もう1人は殺害。

だが2人を生け捕りにして生贄にすれば一気に10体復活することができた。

そうすれば怪人10体を戦力として確保でき、仮面ライダーを撃破することができたかもしれない。

そもそもショッカーはいつもアジトの牢屋に何人かの囚人をストックしているので、その囚人を生贄にすれば良かったのでは?と思ってしまう。

だが囚人を確保できないほど日本支部のアジトは仮面ライダーに破壊され続けたため、ジリ貧ということでもあるのだろう。

仮面ライダーの活躍がじわじわとショッカーの戦略の幅を狭めていっていたのだ。

復活怪人の選定

これは勝敗に関係するかわかりませんが、最初に復活させた5体の選定で勝敗が分かれた可能性はあります。

まずショッカーが最初の復活に選んだのは「ハリネズラス」、「ジャガーマン」、「サイギャング」、「毒トカゲ男」、「ザンジオー」の5体。

私が65話までの怪人で最初の5体を選定するなら

私が選んだ生け捕り適正の高い怪人5選

ショッカーの目的は仮面ライダーも含めて「生け捕り」なので

・モグラング(索敵からの地中に引きずり込み、生贄を運搬)

・カメストーン(ターゲットの視界を奪う強力な光線)

・ギルガラス(デッドマンガスで仮面ライダーを痺れさせる要因)

・ミミズ男(拘束及び首絞め気絶要因)

・ハリネズラス(針の遠隔操作で壁に穴を空けてバリケードを作成、ターゲットを建物内に足止めさせる)

そして戦闘要員としてカミキリキッドというところですね。

仮面ライダーの動きを封じる実力もあり、かつ一般人をうっかり殺してしまわないような丁度よさそうな怪人を選びました。

どうですかね?

今回の特撮表現の面白さ

ショッカー墓場表現

悪魔祭りの舞台はガイコツで覆われた十字架、そして生贄を置くショッカーマークの入った祭壇がある。

周りには怪人たちが眠る墓場の十字架が点在することで悪魔の儀式場という雰囲気を表現している。

そして仮面ライダーが怪人を全員撃破した後にはドクロの十字架を避けて上から塵や瓦礫を落とし、画面手前で爆発させることでショッカー墓場崩落を表現している。

特撮満足度(★で5段階評価)

特撮満足度

アクション:★★★★☆

高所:★★★☆☆

火力:★★★★☆

水場:★★☆☆☆

仕掛け:★★★☆☆

ロケ地(執筆者の調べ)

・「不明」

次回予告より(第67話「ショッカー首領出現!! ライダー危し」)

次回のショッカーからの刺客は怪人「ギリザメス」。

ノコギリザメ」の特性を持った怪人だ。

ノコギリザメは頭から突出したノコギリのようなもので獲物を傷つけ捕獲する。

危険を察知しなければ人間には危害を加えることは少なく、大型のサメとは違い、イカや小魚を食すという温厚型。

だがそこに凶暴性を加えたなら強力な斬撃を持つ凶暴なサメとなるだろう。

次回は海外から日本に続々と幹部が押し寄せる。

そしてその中にはショッカーのトップ「ショッカー首領」もいるという。

ショッカーという組織が本当に本格的に本気で日本を潰しにきたということだ。

今回の怪人復活儀式でもわかる通り、ショッカー首領は人間?生物?を超越した存在のようで元人間なのか宇宙からの来訪者なのか正体が気になるところ。

最高機密作戦」とは一体?

ついに仮面ライダーの物語も最終章に突入か!?

まとめ

止められない止まらない仮面ライダーの勢いが!

もうそこらの幹部怪人では抑えきれないパワー、技術、バイタリティ。

まさに心技体が充実した仮面ライダーの勢いを止められるのは最高幹部…いやショッカー首領しかいないかもしれない。

今回はショッカー首領の悪魔的…いや、悪魔そのものの能力が垣間見えた。

首領の根源はやはり悪で「悪のエネルギー」を自在に操ることができ、それは生物の生死すら覆すほど。

条件は必要だが人間1人の命で5体復活など錬金術師もびっくりの等価交換を無視した理を超えた力。

非常にコスパに優れた能力を持っていることがわかった。

墓場や祭壇が壊れてしまったためしばらく再発は防げた。

だが最高幹部も各々に特殊能力を持っている中、首領ともなればこれにとどまらない凄まじい力を隠し持っているに違いない。

基本的に物理攻撃で戦う仮面ライダーは科学の最高到達点、もしくはそれを超えた能力に立ち向かう手立てはあるのか?

首領の能力、強さ、そしてどのくらいの苦戦を強いられるのか楽しみですね。

今回判明したこと

・滝は自身の部屋(317号室)への侵入を察知するためドアに針金を仕掛けている(針金が切れているということは誰かがドアを開けて侵入したという証拠)

・ショッカー墓場という幹部怪人が埋葬された墓場が地獄谷にある

・ショッカー首領は(条件はあるが)人間を生贄とし、死体に悪のエネルギーを注入することで蘇らせることができる

・仮面ライダーは立花レーシングクラブの守り神様(ということらしい…ユリいわく)

関連記事(一部広告を含む)