【仮面ライダー】17話「リングの死闘 倒せ!ピラザウルス」感想・考察(ネタバレ有) 邪気は晴れ本当のヒーローが目を覚ます

第17話「リングの死闘 倒せ!ピラザウルス」
ネタバレがあります。

本編を楽しんだ後に閲覧することをオススメします。

東映 1971年

第17話「リングの死闘 倒せ!ピラザウルス」感想・考察

FBIに欲しい人材「石倉五郎」

今回、清のために一肌脱いで活躍する「石倉五郎いしくらごろう」。

彼は江戸っ子気質でべらんめえ口調だが友人想いで行動力もある。

そして意外なことに知性がある。

例えば、ショッカーの仕掛けた出来事かもしれないが思い立ってすぐにサターンマスクの泊まるホテルと部屋番号1742号室を特定する。

そしてそれを見越していたかのように、いつかの滝に聞いた話しを思い出して部屋から「どんなドアでも開く鍵」をくすねる用意周到さ。

サターンマスク(ハリケーン・ジョー)に侵入がばれたさいは清の暴走を止めつつ機転を利かせて話術で誤魔化し逃走している。

 

五郎は自身が発言する「細工さいく流流りゅうりゅうあとは仕上げを御覧ごろうじろ」のことわざのように、くすねたという過程は良くないかもしれないが、滝は結果を見てから判断してくれるだろうと結果主義的な考えの持ち主。

私も聞いたことがないことわざでした。「細工は流流あとは仕上げを御覧じろ」って小学生が言うかい!と思いましたが、このことわざは大工や職人の間で広まった比喩だそうで江戸っ子でべらんめえ口調な五郎の父親はもしかしたら職人さんなのでこのことわざを知っていたのかもしません。

手段は問わなかったり、一般人ができないような方法で捜査するFBI。五郎がことわざ通りの人物であれば、多少の過程には寛容で結果主義なFBIは天職では!?

滝とも相性が良さそうだし責任感や度胸もある。そして常識もあり自分の理性をコントロールするのも上手い。バディとして将来FBIとかむいているかも!?

だが優秀だとショッカーに狙われる可能性もある。良い子に育ってほしい。

FBIの情報漏えい

今回、五郎はFBIの秘密アイテム「どこでも開く鍵」を滝の家の机の引き出しからくすねて友人の清のためにホテルの一室に侵入した。

確かに五郎は叱られることをしたが、そもそも鍵の情報は滝が自分で話したこと。

つまりそんな秘密アイテムの話しをFBIなのにペラペラしゃべる滝が悪い!

滝もそれがわかっていたから五郎をあまり叱らなかったのかもしれない。

滝はまだ新婚のため子供がいない。なので近所の子供がかわいいのか面倒見が良い。

清を家に送ったり、心配してバイクでプロレス会場にかけつけたり、清と五郎のためにハム?魚肉ソーセージ?入りの特製うどんを作ってくれるなど子供に優しい描写が多い。

かわいいがゆえ秘密までしゃべっちゃう。

FBIという立場を引いたら近所にいたら良い兄貴分ではある。

相思相愛兄弟と清の胆力

前回の記事では昇が清をいかに大事にしているかがわかった。

今回は清も同様に昇を想う気持ちが強い描写が多々ある。

サターンマスクのマスクの下の目を見て兄と確信したり、ハリケーン・ジョーがホテルで変装していてもホテルとリングのサターンマスクは違う人物であることを見抜く。

そして危険を冒しながらもホテルへの侵入、サターンマスクの追跡、怪人になっても兄を庇う姿など確かな兄弟の絆がそこにあった。

ちなみにサターンマスクはアメリカからきたレスラーという設定だ。

日頃の行いが良い悪運娘たち

アシベゴーゴーホール」でゴーゴーダンスを踊るマリとユリ。

「アシベゴーゴーホール」は新宿区歌舞伎町2-36 ニューアシベ会館3Fに実際にあったディスコクラブ。前回テレビに写っていたゴーゴーダンスの場所と同じ背景なので2人は同じ場所で踊っていると思われる。

一文字が約束通りにゴーゴーホールにこないため2人は「電話室」に行く。

この選択が結果的にピラザウルスに殺される危機を回避した。これは一文字のおかげか?否。

一文字が約束通りゴーゴーホールにきていたらピラザウルスが死の霧を発射する前に客を避難させられたかもしれない。

まあ一文字もまさかゴーゴーホールが襲撃されると思わなかっただろうからしょうがない。

悪運が強い2人だが、2人いわく悪運ではなく日頃の行いが良いからだそうだ。

 

それにしても「電話室」というものがあることに驚いた。

電話ボックスと同じと考えてもらっても良いが私が体験した電話ボックスとは違い、椅子とかソファがあったりと本当に部屋っていう感じだ。

電話ボックスは透明で1人しか立てないほどの広さで椅子もない。

電話室はかなり昔からあったみたいだが、時代が進みこんなに公衆電話のスペースいらんだろということで縮小されていったのだろう。あとたむろされても困るしね。

 

余談だが今回マリはコウモリ、ユリはサソリのシャツを着ている。蝙蝠男とさそり男とコラボ。

コウモリのシャツはバットマンシャツみたいだが、さそりのシャツは女子が着るにはちょっといかつい。やはり今までの怪人を意識した遊び心か。

遊び心は良いが最後、プロレス会場のマリとユリの服装と一文字と滝が五郎と清をバイクに乗せて走り去る後ろを追う時の服装が違うのが違和感ある。そこは揃えてほしかった。

最後バイクを追うシーンでは一緒にいたはずのミチを映さないのはなぜか。

ゴーゴーダンスホールに行く時もマリとユリ2人。ミチはいなかった。もちろんいつも一緒にいるわけではないだろうが、最後のシーンを見てサチがハブられているようでなんだかなぁと思った。

撮影スケジュールの関係かな?

母性の女神ひろみ、父性の権化藤兵衛

前回でも語ったひろみの母性は今回も炸裂。

藤兵衛がおてんば3人娘の不真面目さに呆れていると、ひろみに「年齢の相違ね」と言われ、「一言多い!」と結構な語気で怒鳴るがおびえる様子もなく「いつものことね」という調子にニコニコ。

藤兵衛は未婚で子供がいない。なので子供をかわいいという感覚で不真面目な3人娘も「寝顔は結構かわいらしいな」というと、ひろみには変な誤解をされて「いやな会長」とスケベな意味でとらえられてしまう。

しかしその後マリとユリの介抱を言いつけられ「はい」と素直。

藤兵衛の呼び方を「マスター」から「会長」に変えているところを見るとアミーゴに続きレーシングクラブでもバイトをしているから呼び方を変えたのかもしれない。

どちらにせよアミーゴからの長い付き合いだから無礼講でズバズバ言い合える間柄なのだろう。

献身的で母性があって藤兵衛の話しにも相づちが上手く聞き上手なものだから長年連れ添った夫婦のように見えたのかもしれない。

 

藤兵衛は家族がいないからこそレーシングクラブに出入りする若いものたちをかわいがっているのかもしれない。厳しさもあるが愛情もあり、絆があるから言いたいことを言い合える。いざとなったら命をかけて戦う。そういう意味で藤兵衛には父性を感じますね。

確かに昔はこういう近所のおっちゃん、おばちゃんの店があって密な関係があったなぁ~

最近が物騒だし近所付き合いをうっとうしく嫌う傾向にあるが、こういった信頼関係がある近所付き合いはあってもいいなと思う。

仮面ライダーの認知度

仮面ライダーがリング上に現れた時、観客は大盛り上がり。子供も大はしゃぎ。

こんなカッコいいマスクレスラーがきたらそりゃ盛り上がるだろう。

ただ1つ気になることが…

子供たちが「あ~仮面ライダーだ!」と言っていることだ。

つまり世の中に仮面ライダーが認知されているということだ。

もしかしたらちょっとしたセリフミスかもしれない。

だが一文字は猛と違いそれほど正体を明かすことに抵抗がない。そのためどこかで認知が広がっていたのかもしれない。

今回世界戦のリングに立ったことで全国放送にその姿を晒すことになる。

これで仮面ライダーも全国区だ!

インスタント改造手術の謎

ああ…これだけ相思相愛の兄弟を引き裂くのか…と思いながら視聴していた。

ピラザウルスを倒せば昇が死んでしまう…今までの怪人の末路を見てきてそう思った。

しかし、ピラザウルスを倒すと改造は解け、昇の姿に戻るばかりか消去したはずの記憶まで戻っていた。

これは仮面ライダーの能力ではなく、ショッカーが倒すと元の人間に戻る方法で改造手術をしたとしか考えられない。

つまりインスタント改造手術は今までのように人間に動物の特性を埋め込む手術ではなく人間の外側に特性を転写しただけのような手術をしたのではないかということだ。

今まではメスを入れることで本当に内部に改造を施していたため元に戻す手段がなく、倒すと消滅してしまったのだろう。

そうでなくては本郷猛や一文字隼人が元の人間に戻れないという説明がつかない。

問題は記憶のほうだ。洗脳であれば倒したことで正気に戻ったと説明できるが、記憶を消去したでは倒したあとに記憶が戻ることの説明ができない。

記憶の消去とは一時的な脳の忘却的な意味なのか。それであれば正気に戻ることで潜在的に忘却させられていた記憶が戻ったということで説明がつく。

今後のためにもそのへんをもうちょっとハッキリ知りたかった。それとも今後語られる機会があるのだろうか。

仮面ライダーも清に気遣っての言葉だろうが「昇が化け物だったのか」という清に「違う。怪人が死んでお兄さんが生き返ったんだ」と表現している。

最初から昇は怪人などにはなっていない。ピラザウルスという化け物が昇を殺し身体を乗っ取っていただけ。

本当の昇はピラザウルスの中で潜在的に生きていてピラザウルスを倒すことで生き返った(帰ってきた)と言いたいのだろう。

そもそも記憶の消去という表現が間違っていただけで、昇に悪の心を植え付け、昇の本当の心(自我)を記憶の奥に押し込めただけだったのかもしれない。それであれば悪の心(ピラザウルスの自我)を倒すことで記憶の奥にいた昇の心が復活すると考えれば辻褄が合う。

本当はこのように表現したかったのではないだろうか。

なんにせよ初めて改造者を救うことができた!

プロレス技を楽しめるアクションシーン

最終決戦はプロレスリング。

死の霧で政財界の代表を殺し日本を大混乱させ、その間にショッカーが日本を侵略するという作戦を実行に移す。

ピラザウルスの中身はあの草鹿昇。

プロレスリングでは彼の独壇場に思いましたが仮面ライダーも負けていない。

運動神経、武術の有段者の一文字は仮面ライダーのパワーも使い次々とプロレス技を繰り出す。

今回のアクションはプロレスにあわせた技の応酬が面白い。

ピラザウルス最大の必殺技「死の霧」は通じず、皮肉にも草鹿昇の得意とするプロレスによる肉弾戦のほうが結果的に仮面ライダーを追い込むことになるのも見応えがあります。

仮面ライダーを研究して弱点まで探っていたショッカーだが、まさかガスが効かないことを知らなかったとは…やはり詰めが甘いショッカーさん。

だが仮面ライダーは草鹿昇の必殺技「ウルトラパンチ」と「ウルトラキック」両方でダウンさせられている。やはり肉弾戦は強かった…

 

補足情報だが前回、古代恐竜ピラザウルスは「巨大恐竜も数秒で殺す」と説明がありましたが、今回のオープニングの振り返りでは「巨大マンモスも数秒で殺す」という追加情報があった。

そういえばホテル前、プロレス会場前で世界的人気レスラーとなったサターンマスクのサインを求める人々で溢れかえっていました。

草鹿昇のサターンマスク時代のサインってある意味激レアですよね!

補足

前回、バスの乗客白骨化事件は「平尾団地」を通り過ぎたので「東京都稲城市平尾」で発生した事件と予測しました。

しかし、今回の話しでこの事件は「神奈川県川崎市」で発生した事件という事実が判明しました。

では「東京都稲城市平尾」というのは間違いだったのか?どうやらそうでもないみたいです。

「東京都稲城市平尾」町内の南と東には「神奈川県川崎市麻布区」が接地している土地のようです。

つまり事件の発生地は平尾付近でその後、すぐ隣の川崎市でバスを捨ててマヤは逃走したと考えられる。

 

あとサターンマスクが泊まっていた「京王プラザホテル」はおそらく「京王プラザホテル新宿」だと考えられる。

根拠はサターンマスク(草鹿昇)は死の霧の実験場に「アシベゴーゴーホール」を選んでいるということだ。

このホールの住所が「東京都新宿区歌舞伎町2丁目36」、新宿のホテルと仮定すると住所は「東京都新宿区西新宿2丁目2−1」と車で10分の距離のためアクセスが良い。

ストーリーの転換点と考察

大人たちの柔軟さ

一文字、滝、藤兵衛は子供の話しだからといって頭ごなしに否定しない。

五郎、清の情報も真摯に受け止め理解を示してくれる。

滝はちょっと危険だが清にサターンマスクを追跡する任を与える。

子供の話しを真剣に聞いて信じてくれる。そして同じ目線で頼ってくれる。

この柔軟さが今回ショッカーの計画を阻止することになる。

今回の特撮表現の面白さ

ビルからビルへのショートカット

プロレス会場に公道を通っていては間に合わないとサイクロン号でビルを登り、ビルからビルへ飛び移りショートカットを行った仮面ライダー。

サイクロン号はビルを垂直で登れるほどの馬力がある。

このショートカットのほうが時間かかりそうと思ったのは無粋かもしれない。

このシーンは新オープニングでも使われており、仮面ライダーがサイクロン号に乗った模型をピアノ線で吊り上げることで垂直走りやビルの間をジャンプさせている。

 

特撮満足度(★で5段階評価)

特撮満足度

アクション:★★★★☆

高所:★★★☆☆

火力:☆☆☆☆☆

水場:☆☆☆☆☆

仕掛け:★★★★☆

ロケ地(執筆者の調べ)

・「新宿アシベ会館」

・「京王プラザホテル新宿」

 

次回予告より(第18話「化石男ヒトデンジャー」)

次回のショッカーの刺客は「怪人ヒトデンジャー」。

見た目は「アカトゲニチリンヒトデ」に近い配色、棘の構造をしている。

古代恐竜ピラザウルスはショッカーの科学力で化石を復元したのではという考察をしましたが化石男というワードが出てきてより考察の信憑性が高まりました。

やはりショッカーはまだまだとんでもない科学力を隠しているに違いない。

ライダーキックも跳ね返すと前評判だけあって岩を当てても滝が釣り竿かな?で殴ってもびくともしない。

そして手裏剣のように回転して飛行する姿はまるで星や宇宙船のようだ。

顔もサングラスにアヒルのような口からゲームの「MOTHER」に出てくる「スターマン」のようだ。

 

山奥の急流にキャンプに訪れるレーシングクラブ一同。

本郷猛と藤兵衛は山奥で修業したこともあるそうだが、今回はレジャーのようだ。

滝も同行している。発会式とかには任務でこれなかったし、FBIなので多忙と思いきや付き合い良いよな滝さん…

まとめ

今回判明したこと

・FBIが子供に情報を漏らす

・石倉五郎は優秀な少年

・滝は「世界中の全てドア開けることができる鍵」を持っている

・ひろみも藤兵衛をマスターから会長呼びに変える

・おてんば3人娘がレーシングクラブに入会した理由は「プロポーションを良くするため」

・立花レーシングクラブは命知らずの集合場所

・サイクロン号はビルを垂直で登れるほどの馬力

・滝は怪人のトレーナーを倒すほど強い

・滝は藤兵衛の呼び方を「おやっさん」から「おやじ」に変える

・仮面ライダー(変身状態)にガス兵器は効かない

・新改造手術では改造された改造人間を倒すと元の人間に戻る

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