特に後半のストーリーはネタバレ防止のためタブで隠しています。
本編を楽しんだ後に閲覧することをオススメします。
第9話「恐怖コブラ男」ストーリー
前半ストーリー
ショッカーアジト。戦闘員が理科の実験で使うシャーレを運んでくる。
なんだこれ?ティアラ?何かの器具か?
これがなんなのかショッカー首領が説明を始める。
この器具は今回の怪人「コブラ男」の「入れ牙」だった。
この牙を装着することで牙内部のA物質、がコブラ男の耳のB物質と化合して心臓のポンプを使い右腕の蛇の顔から溶解ガスを噴出できるようになる新兵器だ。
このガスは8話「怪異!蜂女」で製造されていたガスなのだろうか。しかし、その時は実験にされた人間が溶解してなかったので別のガス…それともB物質は元々コブラ男が耳に持っているので化合前のA物質か…
実験にはいつもの奴隷ではなく使い物にならない戦闘員を指名する。
溶解ガスを受けた戦闘員はみるみる溶解していく。実験は成功のようだ。
コブラ男の使命は「全世界の黄金を手に入れる」こと。
手始めに日本の金保管所、そしてアメリカ、次はイギリスと襲撃する計画のようだ。
お金じゃなくてなぜ黄金なのか?
1970年代は金(黄金)の価値基準に関わる大きな出来事があったようです。
1971年までは各国(全部)ではないが「金本位制」という制度があったようだ。
「金本位制」とは、「金を通貨の価値の基準とする制度」である。
この制度は国が金を大量に保有しなければならないデメリットがある。
逆に言えば金を大量保有することが国力になるということか?
つまりショッカーはここで世界の金を保有して国を作ろうもんなら金本位制の元であればショッカー帝国が一番の大国になってしまう(間違ってたらすみません)。
金保有数世界一のアメリカと金本位制元祖で金精錬場も多くあるイギリスを狙うというわけだ。
金と交換できる唯一の通貨がアメリカ合衆国ドルだったが、1971年当時アメリカ大統領の「リチャード・ニクソン」米ドル紙幣と金との兌換一時停止を宣言したため金本位制は縮小していった。これを「ニクソンショック」という。
この出来事が世界経済に金の価値に大きな影響を与えた歴史がある。
仮面ライダー9話は1971年5月29日、ニクソンショックは同年8月15日。まさに金の価値激動の時代ですね。
現在(2023年)は金の価値は変動制となっている。
ちょっと調べてみたが自分も少し難しくなってきた。
確かに言えることはショッカーは金の保有数が多いところ、そして手始めにショッカーの本拠地がある日本の金保管所がターゲットに選ばれたというわけだ。
ショッカーのような悪の軍団に資本が渡ってしまうと危険だということも確か。
7話「死神カメレオン 決闘!万博跡」でナチスの秘宝を逃したショッカーが次に狙うは黄金ということだ。
襲撃!大蔵省金保管所
深夜、「大蔵省金保管所」。
警備員として働く「近藤和雄」は怪しい音を聞き、振り返る保管所の壁には何もいない。壁の下に気配を感じるも警備員の同僚だった。交代の時間のようだ。さすがは金保管所。警備員は結構な数いるようだ。
和雄を労い早い帰宅を促す同僚。どうも住込みで警備員をする和雄には小さい息子がいるようだ。
家では犬を飼っているようで、和雄は警備員で帰りが不規則なため息子はすっかり犬の「ダミー」に夢中なよう。
しかしこの後、労ってくれた同僚はコブラ男の襲撃で溶解させられ、命を落としてしまう。
コブラ男は新兵器の溶解ガスを使い金庫の扉を溶解させてしまう。
ダミーが異変に気づき吠えて家を飛び出す。和雄の息子「近藤武彦」はダミーが飛び出していったのに気づくがおしっこだろうと思い、また眠りにつく。
現場についたダミーは勇敢にもコブラ男へ威嚇攻撃を行う。
抵抗するコブラ男はうっかり入れ牙を落とし現場を去る。ダミーのお手柄だ。
翌日、昨夜の事件が世間をにぎわす。警備員の謎の死、そしてダミーの活躍で金は無事なようだ。
入れ牙争奪戦
この事件を聞き猛、藤兵衛、ルリ子はショッカーの企みと察知する。
アミーゴに現れた猛と早速作戦会議。
藤兵衛は何やらルリ子に指示を出す。ルリ子は猛にロケット(アクセサリー)を渡す。
藤兵衛いわく「猫の首に鈴」でたびたび行方不明やどこかに消える猛の居場所を把握するための発信機だ。確かに猛と急に連絡を取れなくなることがたびたび発生するのでその対策だ。
和雄が家に帰ると家が荒らされている。
昨晩、コブラ男が金庫に落としていった入れ牙を取り返すため襲撃してきたのだ。
現場で自分を襲った犬が怪しいと睨んだコブラ男は近藤家に押し入ったようだ。
だが昨晩、勇敢にショッカーに立ち向かった犬のダミーは死んだというのだ。
死んだ!?コブラ男に終始一方的攻めていて攻撃も受けていないのに…もしかして現場に落ちた牙を咥えてしまい、牙のA物質で死んでしまった?しかし、コブラ男の襲撃に気づくほど賢いワンちゃんだ。毒も簡単に口にするとは思えないが…
その頃、ダミーの墓に花を添える武彦。やはり本当に死んでしまったのかダミー…
墓に手を合わせて帰ろうとする武彦の前にショッカーが現れる。
コブラ男、戦闘員に追われ大ピンチ!!
そこへ金保管所に向かう途中の猛がその現場に出くわす。
仮面ライダーに変身し武彦を連れて車で移動するショッカーを追う。
ついた先は廃ビル。これって8話「怪異!蜂女」で蜂女のアジトがあった廃ビルじゃない?
廃ビルで待ち構えるショッカーは猛の追跡に気づいていたのか、動揺も見せずに襲いかかる。
襲いかかったは良いが分が悪いのかコブラ男は回転してその力で地面に穴を掘り逃走してしまった。
仮面ライダーは4キロメートル四方までの音を正確にキャッチすることができる。
取り逃がしてしまったが猛は超聴覚を使い音を聞き分け、コブラ男が穴を掘り進め逃走する方角を正確に把握した。
さあ!その方角へ急げ仮面ライダー!
後半ストーリー(※ネタバレ有り)
後半ネタバレがありますのでご注意ください
さあショッカーのアジトの方向はわかった。急いで現場に急行する。
西南西1キロ。アジトはもうすぐだ。
アジトでは武彦が拘束され天井から吊るされている。
武彦の下にはグツグツと煮えたぎった赤い液体のプールが広がっている。
マグマかな?
赤い液体に武彦の靴が落ちると靴は燃えてしまった。武彦もここに落ちれば燃え死んでしまう!
コブラ男はダミーの飼い主である武彦に入れ牙の場所を聞くが武彦は知らないようだ。ダミーの死体と一緒にあったはずなのにいったいどこへ消えたのか。
そこへ見張り台の戦闘員が仮面ライダーの到着を知らせる。
アジトは森の中のトンネルにあり、その周りには地雷が仕掛けている。
その1つを仮面ライダーが作動し爆発するがジャンプして回避。
5話「怪人かまきり男」でも実証されたが爆弾ごときではびくともしない。それどころかその風圧で変身、パワーアップまでする。
こんな小細工では仮面ライダーは倒せない!むしろ戦闘で動き回ることでショッカー自ら地雷の餌食となってしまう。
無駄無駄無駄無駄!
コブラ男は牙の場所も知らない、そして仮面ライダーの救出目標の武彦を始末してしまおうとする。
そこに駆けつける猛。しかし、人質がいるから手出しができない。観念して投降せざるを得ない。
猫の首に鈴作戦
その頃、猛を心配した藤兵衛が猫の鈴(発信機)を頼りに救出作戦に乗り出す。猛の信号がある場所からしばらく動かなくなったためだろうか?
猛は1話「怪奇!蜘蛛男」を彷彿とさせる改造人間の手術台に縛られている。
今度こそ洗脳手術を成功させ仮面ライダーを意のままに操る。ショッカーの障害は消え世界征服にまた1歩近づく。
すでにダイナモのエネルギーが切れている、もしくは拘束具のせいかパワーが出せない!どうする!
コブラ男は武彦を「ウソ発見器」にかけたようだがやはり牙のことは知らないようだ。
激怒するショッカー。それもそのはず、入れ牙を作成するには半年かかるようだ。つまり半年、計画が遅れることも意味する。ただでさえ仮面ライダーに邪魔をされて円滑に世界征服が進まない現状。ショッカーも焦りをみせている。
そこへ猛から追い打ちをかけるように悪い知らせを聞く。
猛は入れ牙を壊して海に捨ててしまったというのだ。でた!得意のショッカーの手に届かないよう海捨て作戦!しかし、ナチスの秘宝と違って毒性のあるものを海に捨てるのはいかがなものかと…環境汚染が…
煽るだけ煽ってコブラ男の怒りは最高潮に。洗脳手術をせずとも殺してしまおうとコブラ男の手が伸びる。
とそのとき!
扉が開き藤兵衛がかけつける。間に合った!
そして藤兵衛が強い強い!いくら下級戦闘員でも改造人間となり常人より戦闘能力が高いはずだが、その戦闘員を苦にせずバッタバッタとなぎ倒す。
あれが今まで何回も気絶させられてきた藤兵衛なのか…まるで眠れる獅子を起こしてしまったような覚醒っぷりだ。この戦闘力を買われて今度は藤兵衛が誘拐されなきゃいいが…
あっという間に戦闘員を蹴散らしさらには何かを投げて手術台まで破壊する。
手術台が破壊されたことで拘束が解ける猛。
2人がかりで敵をなぎ倒し武彦を連れてアジトを脱出する。
2人を追うショッカーの後ろで手術台が爆発する。藤兵衛は鉄の筒状のものを投げていた。おそらくはお手製の手榴弾か。猛より破壊工作に長けていることが判明してしまう藤兵衛。
藤兵衛の年齢を考えると6話「死神カメレオン」の砂田元少佐同様、徴兵され戦争経験があるのではないか。
戦闘力とちょっとした軍事力、よくよく考えれば猛のために発信機まで用意してしまうのだ。もしかして元凄腕の諜報員だった?仮面ライダーの能力にも興奮していたし、バイクもメンテナンスできるし兵器に精通しているのか?でも諜報員にしてはすぐウソが顔に出るし、ルリ子にも隠し事できなそうだし…ある意味一番謎の人物だ…
何はともあれ猛の境遇にも理解があるし、これほど頼れる味方はいない!
武彦を藤兵衛に任せショッカー撃破に集中するできる。
戦闘員をなぎ倒し、コブラ男と見張り台で一騎打ち。
仮面ライダーが攻撃を受けるシーンも増え、だんだんと怪人のレベルも上がってきている。
戦いも激しさを増す。
コブラ男の伸びる右腕も回避し引き際にチョップ!これにはコブラ男もひるむ。
その隙にライダーキックでフィニッシュ!
仮面ライダーの活躍を見た武彦は大興奮!ダミーの仇を討ってくれたと大喜び。
最近だと仇討ちなんてくだらない、死者はそんなこと望んでいない復讐は何も生まないなど少しきれいごとが多いが加害者にとってはこれほど爽快で前に進ませてくれるきっかけとなることもないだろう。
殺しをしたものは殺される覚悟。
仮面ライダーもまた怪人を倒せば倒すほどショッカーからの殺意は大きくなる。命がけで戦っているのだ。
4話「人喰いサラセニアン」、6話「死神カメレオン」、今回と子供を守るために戦う回が多い。そして最後に仮面ライダーの活躍を目の当たりにし見送る。この構図は仮面ライダーが子供向けの番組で子供のヒーローとして描かれることが多い。
武彦が仮面ライダーを追いかけて転び起き上がり「平気さ!」というシーンなんかは「七転び八起き」、ヒーローの背中を見て何度倒れても立ち上がる強さを印象付けしたかったのではないだろうか。
勇者ダミーここに眠る
後日、ダミーの弔いと勇姿に敬意を表したかったのか花を添える仮面ライダー。ダミーの墓の上にはコブラ男の入れ牙があった。こんな近くにあったのか。ということは破壊して海に捨てたというのは猛のはったりか!ショッカーを煽って戦意喪失を狙ったのか。それとも最悪自分の死を覚悟して洗脳されて人を傷つけるぐらいならコブラ男を怒らせて自分を殺させようとしたのか。なんにせよ海に捨てて環境汚染はよしてくれよ…
藤兵衛、ルリ子、武彦がダミーの墓にきたので去る仮面ライダー。
武彦以外に花を添えるなど猛しかいない。そう思った藤兵衛は仮面ライダーがきてくれたことにする。
武彦は仮面ライダーに会いたかったようだ。
藤兵衛は居場所をせがまれるも何とも答えにくい。
ルリ子が機転を聞かせて会わせてあげると社交辞令。
ウソついたら針千本だからねと武彦。
子供を説得するにはほどほどに期待させうやむやにするのが良いのだろうが、ショッカーアジトのウソ発見器を使われたらルリ子針千本確定。
しかし、どうして猛は一緒にきてくれなかったのかと疑問を持つルリ子。後述に詳しく説明するが本郷猛役の「藤岡弘」氏が怪我で本人出演ができなかったためだ。といえば撮影上の出来事ですんでしまうが、問題は物語上なぜ一緒に墓参りに同行せず仮面ライダーの格好で墓参りに行ったのか。
私なりに考察するとコブラ男を退けた勇敢なダミーを同じ戦士として見送りたかったのかもしれない。まあ後付けでなんとでも言えますがそう感じました。
猛の心配をするルリ子に発信機の存在を明かす藤兵衛。
ルリ子は自分が渡したロケットに発信機がついていると知らなかったようだ。
ショッカーに怒りと憎しみを抱く猛。憎しみは何も生まないというが怒りと憎しみを原動力にしないとやりきれない気持ちもあるのだろう。
その感情が今後どのように影響してくるのか。
ストーリーの転換点と考察
勇者ダミー
金保管所襲撃を阻止したのは仮面ライダーではなく、近藤家の飼い犬「ダミー」。
毒ガス兵器を持つコブラ男に臆せず立ち向かい、金を守るだけではなく、コブラ男の武器の要である入れ牙を落とし逃走させるまでに追い込んだ。
文字通り命をかけて保管所を守ったダミー。その勇姿に仮面ライダーも脱帽。
あと犬好きの猛にとってダミーの死は特別悲しかったのかもしれない。
猫の首に鈴作戦
猛のピンチにすぐに駆け付けられるよう藤兵衛が用意した発信機。
そのおかげで洗脳手術を受けることなく、ショッカーのアジトから脱出できた。
もっというなら藤兵衛が強かった、頼もしかった。これに尽きる。
今回の特撮表現の面白さ
コブラ男の武器噴射表現
3話「怪人さそり男」でも人喰いサソリが尻尾のポンプから毒を噴出するシーンがあったが、今回は怪人幹部の右腕から直接ガスが噴出しているような表現をしている。もしかするとスーツからではなく右腕の蛇の顔を別に用意してそこからポンプで赤い霧を出して表現しているかもしれない。毒ガスを噴出するときはカメラが寄っているのでその可能性もあるかも。
頑丈なものの溶解表現
金庫の壁を溶解しているシーンは薄くて水に弱い板状のものに赤い霧を吹きかけて溶けているように表現しているのかな?
爆発消失
今回新たな消失表現として倒した敵が爆発することで撃破を表現していた。今までの表現も良かったがゆっくりだと、ライダーキック!ドカッおっやったかシュワシュワシュワシュワお!?おぉおおおおおぉ地面に吸い込まれていく!おぉ消えた倒したか…とタイムラグがありました。
しかし、爆発を使うと、ライダーキック!ドカーン(爆発)!倒した!と非常に演出のテンポも良く、仮面ライダーの攻撃の破壊力も表現できて非常にメリハリがあるシーンになる。
第9話の裏話
あれ?今回、猛の声なんかおかしい風邪かと思ったが声質が違う。最初どうしたんだろうと思った。
理由は1話「怪奇蜘蛛男」でも語ったが本郷猛役の「藤岡弘」氏は大怪我により1話目の放送時、病院で視聴していたという。この大怪我が9、10話の撮影の時に発生したため、本郷猛の映像は前話までの映像を流用して、別のセリフを声優がアテレコしているためだ。
担当声優は「納谷六朗」氏。みなさんが知っている作品でいうと「クレヨンしんちゃん」の「園長先生(初代)」といえば伝わると思います。納谷六朗氏は13話まで本郷猛の声優を担当されています。
次回予告より(第10話「よみがえるコブラ男」)
次回はなんと今回撃破したはずのコブラ男が甦り再び牙を剥く。
再度、金保管所を狙うショッカー。
コブラ男は前回にはなかった口から炎のブレスを噴く必殺技を手に入れたもよう。
なんかコブラ=火を噴くイメージありますよね。
「寺沢武一」氏のコブラでもそうだし。コブラの漢訳が竜だからでしょうかね。
さあ果たしてパワーアップして再生したコブラ男を倒せるのか!
まとめ
・仮面ライダーは4キロメートル四方までの音を正確にキャッチすることができる
・ショッカーの兵器製造、今回であればコブラ男の入れ牙は作成に半年かかる(その割には改造人間手術は早い)
・ショッカーは「ウソ発見器」を所有している
・藤兵衛は下級戦闘員を軽々と倒すことができるほどの戦闘力を持つ