【仮面ライダー】74話「死の吸血魔 がんばれ!!ライダー少年隊」感想・考察(ネタバレ有) 滝隊長就任!初任務は滝隊長を救え!

ネタバレがあります。
本編を楽しんだ後に閲覧することをオススメします。

東映 1971年
前話の記事

あらすじ

深夜、病院で夜勤につく看護婦は不気味な物陰と足音を聞く。

不審に思い部屋を出ると施錠したはずの部屋の鍵が開いている。

そして手術室から奇妙な物音がする。

そこでは床の血を舐めずり回る怪人「シラキュラス」の姿があった!

助けを呼ぶ看護婦だが院内の人間はシラキュラスの手で全滅されており、為す術もなく吸血されてしまう。

一方、夏休みを終えた立花レーシングクラブは本格的なショッカー対策として「仮面ライダー隊」を発足する。

鈍い看護婦さん

病院で夜勤につく看護婦さん。実は院内の最後の生き残り。

手術室の手術台の影で血を貪るシラキュラスを見つけ電気をつける。

尻隠して頭隠さず状態のシラキュラスだが「そこで何をしてるんです?返事をしなさい!」と全然異形のものと気づいていない様子。

シラキュラスが「見たいか?」と立ち上がるまで気がつかないとは…

この違和感はおそらくシラキュラスの能力である「透明化」によるものではないかと考えられる。

看護婦目線では物音しか聞こえないけど、視聴者には分かりやすいように視認させているためややこしくなっているのだろう。

シラキュラスの頭は水ぶくれのようなデザイン、そして看護婦の組み合わせがサイレントヒルみたいだ…

自警団「少年仮面ライダー隊」

立花レーシングクラブもとい藤兵衛はついに切り離した!

立花レーシングクラブはあくまでレーサー育成の場所。

ショッカー対策はショッカー対策本部で。

その1つの結論が「少年仮面ライダー隊本部」の発足だ。

立花レーシングクラブメンバーに加え、滝和也を隊長とし現段階で少年6人、少女4人の合計11名のチームを編成。

主な任務は関東圏を中心としたパトロール。

少年仮面ライダー隊の入隊資格(筆者想像)

・立花レーシングクラブの会員であること

・見回り範囲内(関東圏?)の小学校高学年

・世界の平和と正義を守るために、ショッカーと戦うことを誓えること

・親御さんの許可は不要?(達夫の父親は息子からの報告で入隊を知ったので)

もしショッカーと遭遇することがあれば、隊員に配られた固有の番号を持つ伝書鳩を飛ばす。

そうするとハトは本部に戻り、固有の番号をもとに隊員の住所に猛や滝が駆けつけるというシステムになっている。

現代では携帯電話や昭和でも公衆電話があり、それでも連絡は可能だが、緊急事態ではそのような猶予すらない。

これによりショッカーの悪事を捕捉しやすく無駄のない出動を行うことができる。

今までは事件を知る機会が新聞記事やFBIの報告が中心だったため初動の遅れが発生していた。

現に登録番号「5668」の「伊藤達夫いとうたつお」はシラキュラスに採血され洗脳されたガードマンの父「伊藤達也いとうたつや」や友達に襲われた時、咄嗟にハトを放つことで本部へのSOSに成功している。

こういった原始的な方法も役に立つものだ。

少年仮面ライダー隊は白い帽子に白いワイシャツ、黒の短パン、首元にはライダーカラーの赤いスカーフを巻き、首飾りには特製の仮面ライダーペンダントを付けている。

ペンダントは通信機能付き(ヨッコに連絡が入るのでおそらく無線機?)と高性能。

移動手段はサイクロン号!と言いたいところだが、子供のため自転車でパトロールや捜索活動を行う。

私だったら65話「怪人昆虫博士とショッカースクール」に出てきた「浩一こういち」君をスカウトしたい。

あの三輪車でバスを捕捉する脚力と度胸は目を見張るものがあり、もう少し大きければ文句なしの採用だったんですけどね…

あと五郎ですね…五郎に入団してほしかったけど滝兄ちゃん誘わなかったんかな?

ちなみにユリ、ヨッコ、チョコは隊員の証として青・赤・黄色と信号機のようなタンクトップを着用している。

ユリは隊員の管理事務、ヨッコは無線通信係、チョコは…今のところ賑やかし&新作のお菓子を食べる役…

そして今回少年仮面ライダー隊の最大の成果は「血液採取車の捜索と追跡」だ。

10名の隊員が手分けをして自転車でほうぼう探し回った成果だ。

これにより「ショッカー人間病院」に血液を運ぶ採取車をサイクロン号で追跡することに成功。

サラッと描かれているが自転車で子供たちが捜索し、サイクロン号が到着するギリギリまで見失わないように車を追っていたのだから大したものだ。

まさに仮面ライダー隊に相応しい活躍を見せてくれる。

二指の敬礼で「少年仮面ライダー隊!これからの活躍を誓います!

子供の天敵シラキュラス

毛ジラミ」の特性を持ったシラキュラス。

前回の予告説明でも書きましたが、毛ジラミは0~9歳児童の天敵。

私も保育園時代、髪の毛に毛ジラミの卵がないかのチェックが定期的に行われていた。

毛ジラミは共用した帽子や衣類、寝具、または集団で狭い間隔で寝ていると感染するようだ。

保育園にはお昼寝の時間があり、共用の寝具を使うため感染が多いものと思われる。

これらのことから今回シラキュラスに子供たちが対抗するという図式の物語が作られたのではと考えられる。

シラキュラスは吸血で血液の採取と洗脳を同時に行える一石二鳥な能力に強力な溶解液を持ち、透明化、そしてコンクリートを貫く吸血針と非常に汎用性が高く強力な怪人だ。

デザインがホラー映画に出てくる頭が水ぶくれした怪物みたいなので苦手な人は苦手かも…

死人?ゾンビ?お化け?洗脳?

シラキュラスに吸血されたものは洗脳される。

血液も回収できて洗脳できるなんて一石二鳥の能力だ。

だが洗脳状態で少し気になることがある。

それはシラキュラスに洗脳された看護婦には影がないという設定があるからだ。

影がないとは看護婦が既にこの世のものではないということを表している。

ようは「影がないからお化けだよね」ということだ。

達夫の父がガードマンの現場「西東京血液銀行」で警備している時に「血をください」という看護婦に影がないことを目撃している。

ということは他に洗脳された子供たちや達夫とその父は死んでしまったということか!?

だがシラキュラスの洗脳を解く解毒剤の存在、それを回収するためにアジトに乗り込んでいるので事件解決後は全員生き返った?もしくはそもそも死んでなどいなく洗脳解除された?と思われる。

この影がない設定が被害者の状態をややこしくしているように感じた。

病院でもシラキュラスは看護婦以外は皆殺しだったので影がない看護婦も例外なく死人となりゾンビ状態なのだと思っていた。

ちなみに最後に少年仮面ライダー隊が誓いのポーズをする場面で達夫がいるので被害者は全員正気を取り戻し無事なようだ。

怪人量産要件

怪人を量産するには大量の血液が必要。

逆に言えば血液があればショッカーは無限に怪人が生み出せる技術があるということだ。

そしてその血液は新しいものであればなお良い。

つまり「子供の血」を大量に確保する必要がある。

そこで地獄大使はシラキュラスを使い「血液銀行」から血の盗難を繰り返し、それと並行して子供たちをお菓子で採血車に誘い込み血液を集める活動を開始する。

そして採取された子供たちは洗脳され、他の子供たちを勧誘するを繰り返すネズミ算作戦。

ちなみに血液銀行とはなんだろうと調べると1952年4月に開設された「日本赤十字社東京血液銀行」など医療用の血液を保管する機関のことだとわかった。

1990年の完全廃止までは血液は有料採血だったようだが、同じ人が採血を繰り返し質が悪くなった血が提供され続け、その結果医療トラブルにも発展したようだ。

この質の悪い血のことを「黄色い血」と呼んで社会問題になった。

ショッカーが血液を採取する際に分散採血をしたのもそのためかもしれない。

それに洗脳もでき、複数人確保すればしばらくの間(子供時代)は採血→体内で血液生成→採血を繰り返せる。

もしこのままショッカーに囚われ続けていたら子供たちは毎食レバーだっただろう…

ちなみに怪人作成には血液の質だけが重要で血液型は関係ないようだ。

それでなければシラキュラス1体で次々と採血していたのだから色んな血液型が混ざり合い使い物にならなくなる。

怪人に血液型ってあるのかな?

ストーリーの転換点と考察

少年仮面ライダー隊の発足・活躍

少年仮面ライダー隊を発足するメリット・デメリットは以下の通り。

少年仮面ライダー隊メリット・デメリット

メリット

・地域のパトロールを分散して行える

・捜索活動(俺はこっちを探す!)が捗る

・子供たちを対等に扱うことで自主性が生まれ連帯感が高まる

デメリット

・少年少女で構成されているのでショッカーへの抵抗力がない

・バイクに乗れないのでパトロール範囲が狭く、スピード感はない

・今後ショッカーに認知されるほど狙われる可能性が高い

上記子供がゆえに危険性も多いように思うが、地域は自分たちで守ろうという自警団的意識は良いと思うし、猛たちと対等な関係で活動できるのは子供たちにとってやりがいがあるだろう。

これは現代(2024年現在)の価値観で語り合うものではないので、「子供に何かあったら!」とか「真似したら!」とかいう話しはなしだ。

確かに現実世界では心配なのも十分理解できるが、こういった憧れのヒーローのもとで活動できることの素晴らしさは誰もが抱いており、全国のライダー少年少女たちが一緒に戦っている感覚を味わえる参加型の手法としてはありだと私は考える。

同年代の子供たちが肩を並べて戦っている姿は誇らしいじゃないですか!

そしてあくまでサポートに徹する働きは滝隊長の教えの賜物だろう。

ナオキ、ミツルをまとめ役としてよく連携がとれている。

状況判断も素早く、私なんかより報連相がしっかりしている。

ショッカーも連携を組むが何というか相手への思いやりがないので、連携というか最高幹部の駒として動いているという感じで臨機応変ではない。

少年仮面ライダー隊には相手を思いやり本部の命令厳守ではなく、捜索の方法などの行動は現場感覚に任せており、信頼関係という絆の通った連携を見せてくれます。

解毒剤の奪い合い

シラキュラスの洗脳を解くために解毒剤を回収しようとアジトに潜入する仮面ライダー。

ショッカードクターに尋問するも知らんの一点張りなので仕方なく薬棚を探るがどれが解毒剤かわからない。

そこへドクターが割って入り解毒剤を持って逃走しようとする。

この時点でドクターは2つミスを冒している。

1つ目はドクターが解毒剤を持ちだそうとする行動そのものが解毒剤はこれだと教えているということ。

ドクターが解毒剤のビンに触れずに仮面ライダーに探させておけば、ビンのラベルではどれが解毒剤かは判断がつかないため時間稼ぎ&解毒剤を回収されずに済んだかもしれない。

2つ目は解毒剤をすぐに破棄しなかったこと。

シラキュラス駆けつけ後、しばらくは解毒剤を持ったドクターとの追いかけっこが始まるのだが、そもそもビンを割って床にでもぶちまけてしまえば良かったのだ。

そうこうしている内に解毒剤は仮面ライダーに奪われチャンチャンって感じです。

今回の特撮表現の面白さ

シラキュラスの登場表現

シラキュラスは透明化できる。

そしてなぜか血を噴出してから透明化を解き登場するため場所がだいたいわかる(演出だろうが)。

シラキュラスの針攻撃表現

シラキュラスの針を団地の壁を模した発泡スチロール?にサクサク刺すことでコンクリートを貫通するほどの威力があることを表現している。

少年仮面ライダー隊本部

少年仮面ライダー隊本部は立花レーシングクラブとは別テナントで活動を行っているようだ。

本部にはひと通りの事務備品、無線機、医療品そして伝書鳩の入り窓がある。

本部の壁にルール?理念?が書かれた何か条かの項目が貼られている。

内容が気になる…

そして少年隊員分の服と通信ペンダント、自転車。

これらも藤兵衛が用意してくれたとなると凄いな…

ちなみに少年仮面ライダー隊が出動する時、吸血されてしまった達夫を抜いた9名に対して自転車が8個しかない。

これは新規の子の自転車は間に合わなかったか数を間違えたか、それとも1人待機させるためか…

シラキュラスの死亡表現

シラキュラスが撃破されると口から泡を吹き出す。

そしてピンクの溶けるヒモ?みたいなものを燃やす。

さらに画面前方にメラメラと燃える火を合成し爆発音を入れることでシラキュラスが爆死したことを表現している。

迫力には欠けるが、これで火薬を使わずに安全に爆死を表現できる。

新必殺技「ライダードロップキック」

相手を投げ飛ばしジャンプし上から膝蹴り。

う~んライダーキック自体がドロップキックなのでちょっと捻りがない感もある。

下からの膝蹴りは「ニーブロック」で上からは「ドロップキック」と覚えておこう。

特撮満足度(★で5段階評価)

特撮満足度

アクション:★★★★☆

高所:★★★☆☆

火力:★☆☆☆☆

水場:☆☆☆☆☆

仕掛け:★★★★☆

ロケ地(執筆者の調べ)

・「永山団地」

次回予告より(第75話「毒花怪人バラランガ 恐怖の家の秘密」)

次回のショッカーからの刺客は怪人「バラランガ」。

薔薇(ばら)」の特性を持った怪人だ。

美しい花にはトゲがある」なんて言葉はバラからきているわけですが、あくまで美人への比喩であって本当に危険なバラを出してくるのはショッカーぐらいだ。

きれいなバラの洋館で発生する事件に仮面ライダーとライダー少年隊が立ち向かう。

作戦本部も公式に整備され、実働部隊も機能している。

新たな怪人が登場しては倒し、登場しては倒しを繰り返しイタチごっこのこう着状態だった仮面ライダー。

しかし、今度はこちらから仕掛ける番だ!

次回の記事

感想・まとめ

どういう経緯かわからないが発足した「少年仮面ライダー隊」。

確かに地域の情報を集めるのに猛と滝だけでは人手不足だろう。

それに実働部隊の2人をパトロールに専念させてしまうと事件現場への急行が遅れてしまう。

そして2人の体力の消耗も激しい。だからと言ってそれぞれの生活がある大人には頼みにくい。

そこで悪い言い方をすると放課後暇で体力を持て余した元気な子供たちに目を付けたというわけだ。

これならば猛と滝は待機し、休憩や準備に専念できる。

大人はダメなんですか?とお思いのみなさん。

多分大人もOKです!でも大人の場合は相応の信頼関係が必要になるでしょう。

ある意味少年少女の素直で純粋な志のほうが信用できる。

うっかりと秘密をばらすミスは冒す可能性は高いが裏切る可能性も限りなく低い。

子供は大きく打てば大きく応えてくれる。

ちまちま勉強しなさいと打つより、課題と目的、明確な目標を与えればぐんぐん成長する。

私も課題と目標だけ与えられても中々動けない子でした。

なぜならそれを行う必要性や効果が示されない限り取り掛からないという悪い癖というか…ただやらされるのが嫌いな子供でした。

あまり良い例ではありませんが、当時は黙って言う通りにが許せなかったのだと思います。

本当は課題や目標を与える人(指導者など)に目的を教えてほしかった…だけど大人は「いいからやりなさい」とか「大人のいうことを聞くもんだ」としかいいませんでした。

目的を知らずに煮詰まった私は自ら自分のやりたいことや周りのアドバイスの「目的」を調べるようになりました。

逆に言えば大人のいうことは調べて納得するまで信用できなくなっていました。

良くない…これは良くない…まあ大人になるにつれその辺は適当に取捨選択できるようになったのでまるできかん坊ではないですが…ちょっとこだわりは強くなってしまいましたね。

ただ言えるのはみなさんも動けない時はベネフィットやメリットなど与えられるもので動くのも良いですが、自身で動くことを前提に目的も明確にしましょう。

少年仮面ライダー隊は「世界の平和と正義のためにショッカーと戦うこと」を誓っている。

これが漠然と「ショッカーと戦え」とか逆に「世界の平和と正義のためだけに無目的で戦う」こととなると途端に目的が失われる。

ショッカーって善なの悪なのと明確でないまま戦うのは良くないし、世界の平和と正義のためだけだと誰と戦うべきかの目的がない。

無目的で戦うのは空気と戦うようなものだ。思想だって戦いの目的になる。

そして虚空に打ち上げられた弾丸は空気(無目的)をすり抜けて罪のないもの(無目標)に命中する。

彼らには…いや未来の人々には目的が重要なように思う。

目的不明な戦い…こういうのを不毛な争いって言うんですかね…

今回判明したこと

・怪人を作るには血液が必要であり、若い血液であるほど良い(理由は不明)

・滝を隊長とした「少年仮面ライダー隊」が発足される

・少年仮面ライダー隊員は男子6名、女子4名の計10名

・パトロール報告には伝書鳩に連絡文を添えて本部に送る(誰からかわかるように登録番号あり)

・少年仮面ライダー隊のペンダントには本部との通信機能付き(無線機?)

・ユリ(会員事務)、ヨッコ(通信係)、チョコ(お菓子)のユニフォームは青・赤・黄色

・シラキュラスに洗脳された人間には影がなくなる(この世のものではない?)

・新必殺技「ライダードロップキック」

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