ネタバレがあります。
本編を楽しんだ後に閲覧することをオススメします。
第54話「ユウレイ村の海蛇男」感想・考察
あらすじ
東京ー大阪間の道中、トラック運転手2人が次々と奇妙な出来事に見舞われる。
ラジオの異音、そして助けを求める「奥山村」の駐在員の言動。
駐在員は信じられないくらい恐ろしい事件に遭遇してとにかく電話連絡ができる場所に行きたいと言う。
そして3人はトンネルの向こうにある電話の場所まで向かうがトンネルを抜けても抜けてもなぜかトンネルに入る前の同じ道に戻ってしまう。
なぜなら怪人「海蛇男」が風景を変化させ「同じ道に戻ったように見せていた」のだ。
そして3人は海蛇男の煙に溶かされ死んでしまう。
無人となったトラックは走り続けてあらゆる交差点を横断したため各地で無人トラックの目撃情報が相次いだ。
次の日、五郎が深夜に奇妙なラジオを聞いたという話しから物語は動き出す。
プリズム男
風景を自由に変化させることができる怪人「海蛇男」。
ショッカーが開発した風景を自由に変化できる「プリズムアイ」を海蛇男に組み込むことでその能力を実現している。
太陽光線とプリズムアイの光線が交わることで風景を変化させているようで、いわゆる光の屈折や虹、オーロラなどのような光のマジックを使ったトリックだろう。
そして煙を吐き人間を溶かすことができる。
流石に海蛇男1人では奥山村全体の風景を変えるほどの力はないためかトレーニングキャンプ周辺には鏡を設置して、アジトにあるプリズムアイによって奥山村全体をカバーしていると思われる。
近年ではカメラで撮った写真を加工できるため写真内で風景を変化させることは容易である。
しかし、実際の風景となると話しは違ってくる。
プロジェクションマッピングなど物体に映像を投影するという表現方法があるが風景を変えるほどの効果はない。
海蛇男はプリズムアイ、煙による溶解、トレーニングキャンプにより強化された戦闘能力となかなか隙が無い。
ただ風景の変化だけで特定の人物を別人として変化させることはできないようだ。
もしそれができるのであれば味方を怪人に見せて相打ちなどを狙えたりと無双状態だったかもしれない。
立花レーシングクラブはガチで家族?
立花レーシングクラブメンバーはまるで本当の家族のような関係性だ。
藤兵衛は親父。
猛、一文字、滝は兄。
レディースは母であり姉妹たち。
そして末っ子の五郎。
あくまで「家族のような」なのだが、今回のやり取りはガチで家族のような会話だ。
藤兵衛は五郎に「宿題しながらラジオなんて10年早い」とか「早起きしてトッコの朝食の手伝いをしろ」と五郎の生活習慣を指摘。
上記の会話通りであればトッコは早起きしてレーシングクラブで朝食を作っていることになる。
この「トッコ」とは前話の自然動物園でジャガーマンを目撃した女性でエンディングでもクラブメンバーと一緒に動物園を楽しんでいたことから仲を深めたようだ。
だがこのトッコ、前回・今回とクレジットには「ミツコ」というキャラクター名になっている。
あだ名として「ミッコ」ならわかるが「トッコのト」はどこからきているのだろう?
「トから始まる苗字」例えば「東山ミツコ」で「トッコ」とか?
それにしてもレーシングクラブメンバーになるだけではなく朝食まで作る間柄になるとは…
そして藤兵衛は五郎が寝坊したことに「たるんどる」と親子関係のような指摘していることから五郎はレーシングクラブに寝泊まりしているからこその発言とも言える。
もはやトッコも五郎も住んでるのではないかと思ってしまうほど親密な関係だ。
今回はショッカーのトレーニングキャンプが取り上げられているので、立花レーシングクラブも関連して泊まり込み合宿でもやっているのだろうか?
それにしても懐かしいですね…私も昔は親に寝る時間に厳しくされていたので深夜ラジオを聴くために母親のお下がりのウォークマンで布団に隠れてラジオを聴いてました。
テレビもそうですが深夜帯のラジオは内容もちょっとディープで好きです。
今は自由に聴けますが藤兵衛のように「宿題やりながらラジオなんて10年早い!」と言われて聴いたほうが断然ワクワクしましたね。
ラジオで謎の怪電波
藤兵衛に宿題中のラジオを注意されて終わりではなくこの続きがある。
五郎はラジオの音声に違和感を感じていた。
番組音声が急に「カツヨシ…カツヨシ…」と同じ言葉を繰り返し発信していたというのだ。
奇妙ではあるが特段問題にも思えない内容で放送事故?と思うレベルである。
だがそれを聞いた猛は閃く。
「カツヨシ」後ろから読むと「シヨツカ」、「ショッカー」!。
このことからショッカーがラジオの電波をジャックして暗号を用いて何らかの秘密指令を仲間に知らせていたと推測できる。
なんかドラゴンボールの「ブウ」の生まれ変わりが逆さから読んだ「ウーブ」という名前みたいなカラクリですね。
そのうちショッカーが正義の心で生まれ変わったというキャラクターが「勝義(カツヨシ)」となり正義のために戦うとかいう設定できそう…
立花オートコーナー従業員は仮の姿…その正体はFBI捜査員
謎の怪電波の話しをもとに新聞で奇妙な事件が起きていないか確認する。
すると国道246号線で無人トラックがフルスピード走っていたという「幽霊トラック」のニュースを目にする。
国道246号線は今朝、滝が向かった方向だと藤兵衛はいう。
理由は藤兵衛が新しいモトクロス場の作る計画を依頼され、そのコース候補の現場調査に滝を向かわせたというのだ。
モトクロス場を作る計画を依頼される藤兵衛も凄いが、コースの現場調査をFBIに頼むのも凄い。
いや…むしろFBIの身分を隠すために立花レーシングクラブの従業員を装っているのだろう。
滝もレーサーなのでレーサー自身の目でコースを見極めさせるのは良い案だ。
FBI的にはどっちが正解なんだ?
コースの調査に「日本農林ヘリコプター航空株式会社」の小型ヘリ「川崎ベル47」で国道246号線付近へ向かう滝。
山あり谷あり草原ありと非常にレーサー好みの地形で現場調査はまずまず良好。
だが猛の不安通り、そこはショッカーの巣窟だった。
村民はプリズムアイによる幻影で村から逃げようにも逃げられない状態だった。
滝はヘリに向かって手を振る村民たちを不審に思いヘリを着陸させようとする。
だが村民が海蛇男に次々と殺される姿を見せられたためショッカーの巣窟であると確信する。
着陸後、応戦するが海蛇男のプリズムアイで惑わされ捕まってしまう。
人命救助か助けを呼ぶのが先か。
人命救助を優先した場合、猛への連絡・到着は遅れる。
猛に救援を要請しに戻ればその間に人命が損なわれる。
滝は前者を選んだ。
もちろんショッカーに1人で挑むより猛(仮面ライダー)を呼んだほうが良いのは滝にもわかっているだろう。
しかし、滝兄ちゃんの悪い癖が出てしまう。
一文字が日本を去った後、滝のライバルとなるのは猛だ。
猛を出し抜こう、自分が活躍してやろうと思い単独行動をする。
その証拠に猛には無線や発信機で連絡を行おうとしなかった。
滝兄ちゃんこの癖直さないと…
今回の滝兄ちゃんは思いのほかボコボコにされており、エンディングでも「あんまり元気じゃないけどね」と珍しく弱音を吐く。
下級戦闘員の能力もトレーニングキャンプで向上しているし、そろそろその意識だと危ないかも…
ショッカーの改造人間トレーニングキャンプ
今回ショッカーはトレーニングキャンプを行うという体で奥山村にアジトを構えている。
ショッカーのトレーニングキャンプということなので16話「悪魔のレスラーピラザウルス」の「ハリケーン・ジョー」のようにショッカーのトレーナーが出てくるのかと思ったがそういった構成員は登場しない。
だが確実にトレーニングキャンプの成果は出ており下級戦闘員でも能力が向上した新1号をある程度怯ませるほどの戦闘力を持ち合わせている。
仮面ライダーも3話「怪人さそり男」で能力は固定値ではなく鍛えれば鍛えるほど向上することがわかっている。
それは改造人間であれば例外はない。
下級戦闘員だろうと幹部怪人であろうと鍛えた分だけ向上する。
ショッカーも強い怪人を作っては仮面ライダーにぶち当てるのではなく、まずはトレーニングさせて潜在能力を引き出してから戦わせた方が良いと今更ながらわかってきたのかもしれない。
もしくは地獄大使はゾル大佐、死神博士の戦歴を確認して対策を立案した結果、トレーニングの重要性に気づいたのだろう。
仮に本当にそうだとしたら地獄大使はかなりのやり手だ。
会社もゾル大佐や死神博士のような即戦力ばかり求めるのではなく、ある程度は育てる大切さ知らなければならない。
猛の紳士な去り際
事件は海蛇男の撃破で解決。
村民に大変感謝される猛と滝。
事件解決の理由を猛は「恐怖にあっても頑張り続けたみなさんの力が悪い奴らを追い払ったんですよ」と称している。
全面的には仮面ライダーと滝の活躍だが、村民が苦しい中、耐え忍んだのも事実だ。
謙虚であり、村の人々の苦労を報いる良い言葉だと感じた。
昔お医者さんにかけられた言葉で「医者がいくら治療を頑張っても、本人に治す気がなければなかなか治療は上手くいかない。治った後も医者のおかげだけで治ったわけじゃない。本人も治療に辛抱強く耐えたからこそ治ったのだから自信を持って」と言われたことがある。
それと同じで猛の言葉は村民たちにとって自分たちはただ怯えて縮こまっていただけではない、決して無力ではないと思え、今後の活力、希望となるであろう。
結局無人運転はどういうカラクリだったのか不明
トラック、小型ヘリとショッカーに襲われた人々が乗っていた乗り物はその後無人の状態で動き人々を驚かせていた。
この無人運転は我々に色々な謎を残した。
無人運転と言っても本当に運転席は無人で超能力かなにかで動かしているのか、透明になれる怪人が運転しているのかが不明なのである。
海蛇男が風景を変化させてそう見せている、もしくは自身を風景で隠して透明人間のような状態となり運転しているか。
海蛇男が無人になったトラックに向かって「走れ…どこまでも突っ走れ!」と呼びかけるとトラックは動き出すので海蛇男の能力だろうか?
上記のような例が考えられるがここでそれらの考察を覆す不都合な謎が1つ出てくる。
それがそもそも「乗り物は運転ができない状態なのに動いている」ということだ。
これは滝が乗っていた小型ヘリが日本農林ヘリコプターの飛行場に帰って来た際に発覚する。
戻ってきたヘリは燃料切れしていたにもかかわらず奥山村から飛んできたのだ。
つまり無人に見えるように透明化して運転しようとしてもそもそも燃料切れなので動くはずがないのだ。
もし動くように見せるとしたら透明化した怪人が車を押して走らせたり、ヘリを持ち上げて飛行したりという方法しかない。
だがヘリはプロペラもエンジンも動いていたのでそれは有り得ない。
透明化してヘリを持ち上げて飛んでも、ヘリが空中に浮いているように見えるだけでプロペラやエンジンの動きは止まっているはずだ。
トラックにしてもフルスピードで走行していたため、いくら怪人とはいえそれほどのパワーでトラックを長距離押した、もしくは引っ張ったとは考えてにくい。
そんな怪人がいるのならとっくに仮面ライダーを倒しているはずだ。
一体どういうカラクリでどういう意図があったのか…
トラックを無人で走らせて建物にぶつけるとか、ヘリを墜落させて混乱を起こすとかそういった事件も起こせるはずなのだが、起こしていない。
何ならヘリはヘリを貸し出している会社の飛行場まで届けてくれたという形となっている。
無人の乗り物で何か悪さをしようという意思がなく、ただちょっとびっくりさせてやろうぐらいの意思しか感じないことに逆に驚かされる。
もしくはこれも地獄大使が得意な陽動作戦で猛をおびき出すための罠だったのか?
幽霊トラック事件で警戒させて、小型ヘリを無人で返すことによって滝を人質に取ったことを示唆したかった。この考察が有力そうだ。
結局なんで無人で動いていたのかはわからずじまい…
ストーリーの転換点と考察
危機管理意識が高い地獄大使と意識が低い部下
奥山村に潜入し滝と村民を救出・脱出を試みるもプリズムアイに惑わられて捕らえられる猛。
拘束される中、地獄大使にトレーニングキャンプの本当の目的を吐くように問い詰める。
今までの幹部なら「冥土の土産に教えてやる」とベラベラ喋り逆転されるというのがオチだ。
だが地獄大使は「馬鹿め!重要機密を貴様に言えるか!」と最後まで油断せず、「始末しろ!」とすぐに抹殺の命令を下す。
抹殺命令の決定も今までの幹部なら冥土の土産もそうだが「いたぶってからにしよう」とか油断して罠を解いたり、結果的に相手(仮面ライダー側)に時間を与えてしまい逆転されるパターンがほとんどだった。
そういう意味で地獄大使に慢心ということは期待できない。
だがその後、これは逆転とは直接関係ないが猛が「その装置が人間を惑わしたのか?」と問うと海蛇男は「さすがは本郷猛だな!」と答えてしまう。
海蛇男との初戦では「ショッカーのトレーニングキャンプを教えてもらおうか!」と問いただしても「教えても無駄だ…ここは貴様の墓場になるのだ!」と答えていたので、今回も黙っていれば良いものを…ここにきて油断したなと思った。
そもそも改造人間を鎖1本で拘束した気になっていることが油断している証拠だ。
情報を聞き出すためにわざとやられた振りをしたり、拘束具を解けるのに大人しくしているなどピンチでも慌てず冷静な猛の作戦勝ちだ。
夜に脱出できなかったこと
アジトのプリズムアイと海蛇男のプリズムアイは太陽光線と交わることで風景を自由に変化させることができる。
逆にいえば太陽光線がなければ風景を変えることができない。
そのためトリックがわかり、ショッカーの目さえ掻い潜れば「夜に脱出」することができる。
夜なのでなおさら闇夜に隠れて脱出できるため難易度が下がる。
ショッカーは捕まった村民をどうせ逃げられないと洞穴に放り込んでおくだけで拘束具はつけていない。
だがトリックがわからない村民は毎日村の仲間が海蛇男に殺されているという恐怖で動けなくなっていた。
この恐怖という鎖が一番の拘束具だったのだろう。
もし滝が村にきたタイミングでトリックがわかっていれば被害も最小限だったかもしれない。
結果論だが今回はショッカーの仕掛けが強力で難解だったため被害者が多発してしまった。
今回の特撮表現の面白さ
プリズムアイ表現
プリズムアイ本体は望遠鏡のような装置に青いライトが3つ付いている。
海蛇男に組み込まれたプリズムアイは自身の首に巻き付いている蛇の目を光らせて光線発射を表現している。
風景の変化表現
赤と青のぼやっとした点滅。
そして360度グルっと撮影した半透明の風景を画面上でグルグル回すことで風景が変化する様を表現している。
特撮満足度(★で5段階評価)
特撮満足度
アクション:★★★★★
高所:★★★★★
火力:★★☆☆☆
水場:★★★★★
仕掛け:★★★☆☆
ロケ地(執筆者の調べ)
・「不明」
次回予告より(第55話「ゴキブリ男!! 恐怖の細菌アドバルーン」)
次回のショッカーからの刺客は怪人「ゴキブリ男」。
「ゴキブリ」の特性を持った怪人だ。
もう…この時点で「次回みたくねぇ~怖い~」となっています。
仮面ライダーの演出で例えば35話「殺人女王蟻アリキメデス」などで本物の蟻の映像を使った演出があるのですが、私は虫が苦手なので目を背けてしまいます。
いやいや!仮面ライダー作品って仮面ライダーも含めて虫の特性を持った怪人が多いんだよ?と思うでしょう。
なんというか…仮面ライダーは虫の能力はあるけど虫を嫌悪する人々が感じている不快感を感じないカッコ良さが魅力というか…
もちろん虫ってカッコイイぜ!と思う人もいるでしょうが私は苦手で…
次回はその実写を使った表現でゴキブリ本体が出てくるのではと冷や冷やしています。
どうか本物無しで演出をお願いしたいところ。
そうは言っても私は実際にゴキブリを生で見たことないんですよね…
雪国出身なのでそこは助かったというか、慣れるチャンスを失ったというか…
話しはそれてしまいましたが、次回のショッカーは人間を老化させる白い粉(細菌)を使った作戦を企んでいる模様。
ゴキブリの生命力の高さとは真逆に生命力を減少させる「老化」がテーマとなっているのが注目ポイントですね。
まとめ
日々映像技術は進歩している。
特撮、CG、VFX、モーションキャプチャーなど実際に「モノ」を用意しなくても映像の中で加工・合成することができる。
しかし、これらはあくまでカメラで撮った映像を加工したにすぎない。
海蛇男は周囲を加工せず別の風景に見せることができる。
つまりVRを付けずとも仮想空間を再現できるということだ。
今までの記事で再三語っているが、やはりこういった素晴らしい技術も悪の手にかかれば簡単に悪用されてしまう。
「簡単に」だ。
便利にするということはみなが気軽に簡単に扱えるということだ。
その手軽さに付け込んで悪いことを考えているだけの奴にも悪用されてしまうのだ。
悪用されないためには「複雑にする」必要がある。
だがそれだと悪人のせいでせっかくの発明を多数のモラルを持った人々が享受できないということになってしまう。
便利なものを社会全体で享受するには使用者ひいては社会全体でモラルを持つ必要がある。
便利なものは理想的な使い方をしたいものです。
今回判明したこと
・藤兵衛は「毎日新聞」を読んでいる(毎日放送だから?)
・トッコは立花レーシングクラブに朝食を作りに来ている
・「ミツコ」のあだ名は「トッコ」
・五郎は深夜に宿題をする時ラジオを聴く
・滝は小型ヘリを操縦できる
・新必殺技「ライダー背面ジャンプ」からの「パイルドライバー」