ネタバレがあります。
本編を楽しんだ後に閲覧することをオススメします。
あらすじ
南部アフリカに位置する「ボツワナ共和国」はダイアモンド鉱山が点在することで有名だ。
その鉱山の1つを探し当てた「中山健造」はその地図を日本にいる孫「中山弘」に送る。
それをどこからか聞きつけた新怪人「イソギンチャック」とアフリカ支部のショッカーが健造を襲う。
だがすでに地図は日本に配送済みで健造は持っていない。
地図の行方を明かさないことに業を煮やしてイソギンチャックは健造を吸引してしまおうと凄まじい竜巻を発生させる。
健造はイソギンチャックにナイフを吸引させることで竜巻を止め難を逃れるが、力尽き崖から落ちてしまう。
そこへたまたま通りかかった本郷猛が健造を救出しその場を後にする。
本郷猛はダイアモンド鉱山の地図を狙うショッカーが弘を狙って日本に来日することを予期し一文字に電報を送る。
かくしてダイアモンド鉱山の地図争奪戦が始まる。
観測史上最大の天災が来日
ショッカーアフリカ支部から来日した新怪人「イソギンチャック」。
「イソギンチャク」の特性を持つが、イソギンチャク自体は生物界では猛獣のような脅威はない。
毒針を持つが人間の健康状態に影響を与えるほどの強い毒は持っていない種類がほとんど。
登場前の期待値は低かったが、いざ登場してみるとかなり強力な必殺技を持っていることがわかった。
その必殺技とは「圧倒的な吸引力」だ。
風速100メートルもの竜巻を起こしてあらゆるものを吸引する。
風速100メートルは日本の観測史上(2023年現在)でも例を見ないほどの威力だ。
風速100メートルの威力
平成25年フィリピンに上陸した台風30号が観測史上最大級で最大瞬間風速105メートルを記録した。
最大瞬間風速はあくまで瞬間の最大風速である。だがイソギンチャックは常時風速100メートル級の竜巻を起こすことができる。
これがどれだけ恐ろしいことかフィリピンの被災状況を見てもらえれば想像に容易い。
ちなみに日本では1966年9月5日、宮古島に上陸した台風18号が最大瞬間風速85.3メートルを記録している。
これほどの威力の竜巻を人間が耐えられるはずがない。
日本で観測されたことのない風速を日本…いや世界でも体感した人間は少ないだろう。
同じ吸引でも「ヒルゲリラ」とは違い広範囲、無差別に吸引して体内で消化してしまうのがイソギンチャックの恐ろしさだ。
ボツワナのダイアモンド鉱山
「ボツワナ共和国」はあまり聞き馴染みのない国だが、アフリカ大陸の南部に位置する。
1967年に国内で世界最大規模のダイヤモンド鉱山「オラパ鉱山」がデビアス社によって発見されたことで経済発展した国だ。
この出来事を今回の話しに落とし込んでいるように思う。
日本で意地悪な義両親の元で苦労する孫のためにダイアモンド鉱山を見つけて何とか一攫千金を果たしたい「中山健造」。
健造はダイアモンド鉱山を発見し遂に報われる日がやってくる。
今まで苦労をかけた孫の「中山弘」に鉱山の場所を記した地図と称したメダルを送る。
ここで疑問に思ったのがメダルのデザイン。
十字の先が円くなっている「クロス・ポニー」と言われる十字架に蛇が巻き付いているデザインとなっている。
このデザインは「知恵による救い」という意味がある。
知恵=地図の暗号、救い=苦労をかけた孫を救うという意味が込められているのだろうか?
さらにここで謎が深まる。
このデザインはアフリカ支部の戦闘員の服のマークと酷似している。
こちらは十字架に髑髏(ドクロ)が付いたデザインとなっている。
ドクロに十字架は元々聖職者のためにデザインされたものだそうだが、第二次世界大戦でナチスドイツがドクロのマークを使用したことからデザインから消えたという経緯がある。
ショッカーは何かとナチスドイツを関わりがあるためその影響だろうか?
だが聖職者のためのデザインをショッカーが使用しているのは嫌味であろうか。
メダルとショッカーのマークは何か関係があるのだろうか?
それともアフリカやポツワナ共和国にゆかりのあるマークなのだろうか?
これについては最後まで謎のままだった。
警戒すべきは意地悪な義両親
健造の孫、弘は養子として「金尾為吉」、「金尾さちよ」夫妻に預けられている。
この夫妻がまあ意地悪で金の亡者。
健造が弘に送った地図(メダル)を取り上げてようとしたり、良いものが送られてくると聞いて金目のものはないのかとメダルの空箱を漁ったり意地汚い。
確かにダイアモンド鉱山を見つけるために孫のそばを離れている健造の代わりに弘の面倒を見てくれているのだから、少しは金銭的援助はあっても良いだろう。
しかし、意地悪な話し方でもわかる通り、中山家に財産ができれば、養子を取っていることで多額の財産分配を要求してくるのは目に見えている。
健造はショッカーというよりかは、金尾家に鉱山の場所(金脈)を知られないため、悟られないために何の変哲もないメダルに暗号を添えて送ったのではないだろうか。
それに「かねおためきち」なんて「金を貯める」から由来しているだろうことから金の亡者であることは疑いようもない。
夫妻は弘にかなりの労働を強要しているようだが、外面は良いだけに村では弘のいうことを信じるものは少ない。
梅村に赴任したばかりの駐在さんにも弘は嘘をついて人を困らすのが好きとそれこそ嘘をついている。
ちなみに村で仲の良い女の子「宮下サクラ」はイソギンチャックに吸い込まれそうになった弘がいきなり名指しで叫んだだけで駆けつけてくれる。
やっぱり田舎は狭い。噂も助けを求める声もすぐ広がる。
この女の子もしかして6話「死神カメレオン」で出てきた「砂田ユミ」に似てない?と思ったら、同じ子役の方でした。
死神博士は人間探知機
弘はショッカーから地図を守るため一文字に手紙を残し、行方をくらます。
一文字とショッカーはお互いに弘の行方を探す。
死神博士は弘を探すために占星術を使う。
魔法陣の周りには「惑星記号」があるため「西洋占星術」を使ったと思われる。
魔法陣の真ん中で呪文を唱えると弘がいるであろう方角のロウソクが消える。
そして弘の居場所として「弘の家より西北にある森と鳥居がある場所」と導き出す。
結果、弘は森と鳥居のある「汁守神社」に隠れていた。
死神博士の占星術は本物だ。
昔テレビ番組でFBIの超能力捜査官が残留思念みたいなものや、過去の出来事を見て捜査を行っているという特集を見たことがある。
死神博士は技術的に催眠術を使いこなしていると思っていたが上記の捜査官同様、本物の超能力者だったようだ。
ミカの占いはリアルタイム対応
死神博士同様に超能力並に能力を発揮するのがミカのトランプ占い。
弘の居場所を特定したショッカーが今まさにリアルタイムで追いかけている。
弘は「半鐘塔」の上に登る。
半鐘塔とは
半鐘塔とは火の見櫓として火災の早期発見や危険の際には警鐘を発信して住民に伝えるなど見張り台のような役割を担っている。
その頃、立花レーシングクラブではミカのトランプ占いが行われていた。
占い結果は不吉なもので「弘の運命がピンチ・高い所でピンチ」というものだった。
何かに追われているというざっくりしたものであれば、今回の事件は弘が持つ地図の争奪戦なのだから追われているだろうなと誰でも予測できるだろう。
しかし、高い所でと具体的に状況を言い当てているところがミカの占いが優れているところだろう。
さすがは猛にミカの占いはよく当たると評されるだけはある。
帰ってきてまた帰る本郷猛
イソギンチャックを追って来日する本郷猛。
一文字がイソギンチャックとの死闘を繰り広げる中、何とか現場に間に合う。
2人のコンビネーションは41話「マグマ怪人ゴースター 桜島大決戦」で証明された通りまさに以心伝心。
息の合った攻撃、そして新技「ライダー車輪」を繰り出す。
ライダー車輪は1号と2号が組み合いながら回転する技なのだが、イソギンチャックの手前で止まったので最初は何のための技だ?と感じた。
威嚇技?攻撃技にしては威力があるように見えない…
そんなことを思いながら観察しているとあることに気づく。
それはイソギンチャックがムチを振り回して2人を近接攻撃可能な間合いに入らせないようにしていたことだ。
そこで2人で回転しながら前進することでムチ攻撃を弾き、近接戦闘が可能な間合いに持ち込んだのだ。
その甲斐あって「ダブルライダー返し」と「ダブルライダーキック」を放ちイソギンチャックを撃破した。
事件解決後やはり猛は別れがつらいのか立花レーシングクラブのメンバーと再会せずにヨーロッパへ帰国した。
じゃあ!また会おう!
ダイアモンド鉱山で夢を叶える
結局、鉱山の場所は地図(メダル)に記された数字がヒントのようだった。
この数字は緯度を表しており、その数字が交わる場所に鉱山があるというネタバラシしてしまえばなんてことない暗号だった。
画面上ではメダルに刻まれた数字を読み取ることができず、場所までは検証できなかった。
事件解決後、傷を癒して帰国した健造は立花レーシングクラブに訪れる。
おそらく弘はかなり小さい頃から金尾夫妻に預けられていたようで、健造が自己紹介をしたことで初めて「あっおじいちゃん!おじいちゃんだね?」と発言していることから祖父の姿をあまり知らなかったようだ。
でも健造は弘の近影写真持ってたから「おお!弘か!?」の反応はちょっとボケていたかも!?
本当に長年苦労した弘。今度こそ健造と幸せに暮らしてほしい。
あんだけかき回したにもかかわらず、メダルはもう不要で鉱山は健造がすでに発見して売り払った後だった。
恐らく、猛と作戦を練り、事件解決を猛に任せて健造はショッカーが資金源の意味をなさないよう先に自身の財産に変えてしまったのだろう。
健造はダイアモンド鉱山を売ったお金で日本の不幸な孤児を集めて、子供だけの村をつくりたいと語る。
子供だけの村。夢の国のようだが、「子供だけ」というのは何とも再現性がない感じがする。
おそらく健造が言いたいのは孤児たちが安心して暮らせる村をつくりたいという意味だろう。
時代背景的にまだまだ戦争孤児などが多い世の中で未来を託す子供たちを育つ・育てる活動は今も昔も大切だ。
ストーリーの転換点と考察
地図の送り先を教えてしまう
健造はアフリカのショッカー戦闘員に鉱山の地図を要求された際に「孫に送った!」と場所を教えてしまう。
結果、孫を危険に晒してしまう。
孫への手紙で「今までお前に何もしてやれなかった…」とあったが、何もしてやれないからって孫がショッカーに狙われるというミスはして何かやれてしまうのが今回のミスだ。
結果的に意地悪な義両親はイソギンチャックに食べられることで縁を切り離せて、事件は一文字と本郷の活躍で解決した。
だが1つ間違えば孫はひどい目にあわされたあげく、資金源をショッカーに奪われてしまうところだった。
それにしても孫と言っただけで「ニッポンにいる弘に!」と理解するあたりショッカーアフリカ支部は健造の周囲を調べていたようなので、健造が地図の場所を吐いても吐かなくても親族が狙われた可能性はある。
ただ適当に日本の裏側であるブラジルに送ったとでも言っておけば時間稼ぎができたかもしれない。
まあ報復が怖いかな…
今回の特撮表現の面白さ
イソギンチャックの竜巻吸引表現
ドリルかモーターの先から段々と竜巻のように広がった白い模型?を取付けて高速回転させることで竜巻を表現している。
消化物表現
イソギンチャックは金尾夫妻や周りのものを吸い込む。
そして吸い込んだものの中から地図を探すために死神博士の前で体内に取り込んだものを吐き出す。
その際に吐き出された胃液?消化物?を白いゼラチンのようなもので表現している。
タッグ技「ライダー車輪」表現
仮面ライダー1号、2号の2人が向かい合い両肩を掴んでしゃがみ込み片方が前転、もう片方が後転し回転する姿がまさに車輪のように見える技。
特撮満足度(★で5段階評価)
特撮満足度
アクション:★★★★☆
高所:★★★☆☆
火力:★☆☆☆☆
水場:☆☆☆☆☆
仕掛け:★★★★☆
ロケ地(執筆者の調べ)
・「汁守神社」
次回予告より(第50話「怪人カメストーンの殺人オーロラ計画」)
次回のショッカーからの刺客は怪人「カメストーン」。
「カメ」の特性を持った怪人だ。
カメの特性を持ちつつ、ストーンとなるとかなり防御力の高い怪人であることが予想される。
「アルマジロング」同様、カメであればお腹が弱点となりそうだ。
だがアルマジロングと比べてカメなので動きは鈍いというデメリットも備えているのであればショッカーに勝機はあるのだろうか?
その備えかは不明だがカメストーンはある必殺技を持っている。
それが異様な光線を放つことで死の殺人オーロラをつくりだすという技だ。
殺人オーロラとはいったい何であろう。
一文字たちが太陽を直接観察する時に使う「日食メガネ」を装着している描写がある。
カメストーンの攻撃が光線ということから光による攻撃、目くらましであることは間違いない。
しかし、オーロラをつくりだすことでどのように殺人と結びつくほど恐ろしい技となるのだろうか注目したい。
まとめ
血のつながりと育ての親どちらが「子供にとって」重要か。
それは非常に難しい問題だ。
両方あるに越したことはないが色々な事情でそういった環境で育てない子供たちもいる。
もの凄く大切に育てられたけど、ふとした時に本当の親ではないと明かされた時、心が乱れて反抗してしまう子供たちもいる。
だがそれは、もし本当の親に育てられればもっと幸せだったのではないかという期待と、今まで本当の親だと信じていた両親に対する疑念。
そして本当の子供ではないのに大切に育てられたという矛盾にも似た行いが自身の存在価値が別にあるのでは(財産狙いとか)という義両親への疑心暗鬼。
今回だと中山弘がその例だ。
弘の場合は早くに両親を無くして、意地悪な夫婦に預けられた。
祖父の健造はその苦労に報いるために一攫千金を狙って海外放浪をしていたが弘は祖父のことを恨んではいなかったのだろうか?
一攫千金より両親のいない自分のそばにいて欲しかったのではないか。
それとも親の愛情を知らないまま大きくなったので、祖父を待つというのは弘の唯一の心の支えだったのかもしれない。
恨むとか恨まないの前に物心ついた頃にはそうだったのだ。
住民の目もあり、金尾夫妻は外面は良かったことから何とかここまで生きてこれたのが幸いだ。
さくらちゃんという友達もおり、嘘つきと言われながらも身を挺して義両親とショッカーから祖父の贈り物を守る姿勢に祖父から送られてくる手紙からちゃんと愛情を受け取っていたことがわかる。
義両親の影響で心が意地悪になることはなく、祖父の手紙や村の人々を通して心が健やかに育ったのだろう。
結局血のつながり、育ての親も根本的に重要ではなく、それを含めた「環境」が子供の育成には重要だということなのかもしれない。
今回判明したこと
・ショッカーアフリカ支部が存在する
・本郷猛はジープを運転できる
・本郷猛は現在もヨーロッパを拠点に活動している
・死神博士は「西洋占星術」を使い居場所を探知できる
・ミカの占いはリアルタイムの状況も言い当てることができる