本編を楽しんだ後に閲覧することをオススメします。
第19話「怪人カニバブラー北海道に現る」感想・考察
海底地震作戦の意義
「海底地震作戦」で使われる爆弾「新水中爆弾」。
新しいってことは「旧水中爆弾」があるはずだがどこかに出てきてたっけ?
地震関連だと5話「怪人かまきり男」で今回使用されているものと同じ丸い銀の爆弾が「人工津波作戦」に使用されている。
それの水中版で地震を起こすという趣旨では同様の使い方をされているため「新水中爆弾」は「かまきりの卵」の改良型と考えると合点がいく。
しかし、今回の作戦の意義がいまいちわからなかった。
大地震で首都圏に混乱を起こすための事件はなんとなく意義はわかる。
だが今回のようにちょっと船を転覆させるほどの小規模津波では大混乱というほどの被害が出ないのではないだろうか。
ショッカー首領は大津波を起こすと言っているのだが果たして…
今回の作戦の意義は何だったのか。少し疑問に感じた。
さらに疑問だったのが最初は爆発で「室蘭半島」に津波を起こす作戦だったのだがその描写がなかったことだ。
そして後半は告知なく「小樽沖」で津波を起こす作戦に変更されている。
同じ北海道だが室蘭半島と小樽沖は真逆に位置する海。結局ショッカーアジトの位置は小樽沖だったり地震計の破壊も小樽や札幌で行っていたのでおそらく小樽が本命だったのだろう。
室蘭半島設定って結局なんだったのだろう?
大人で子供な滝和也
藤兵衛いわく滝は普段マリたちのことをボロクソに言っているらしい。
もちろん仲間だから遠慮のない発言をしているのだろうが14話「魔人サボテグロンの襲来」で怪我の治療のさいに既婚者とわかると雑に扱われたのをまだ根に持っている節がある。16話「悪魔のレスラーピラザウルス」では3人娘とのすれ違いざまに目にミチの肘打ちを食らっている。そんなおてんば娘たちの落ち着きのなさに藤兵衛同様呆れている面はある。
しかし、今回北海道旅行を紹介するなどやはり年上の兄貴として優しい振る舞いをしている。そこはやはり大人な滝さん。
最後のシーンでは一文字と神田と水着を取りに戻るため走って競争をする子供な滝さん。
神田先輩ってFBIだよね?
滝が神田先輩と言うのでてっきりFBIの先輩だと思ったがどうやら違うようだ。
神田の職業は牧場の経営者。ということは先輩というのは学生時代の先輩ということだろうか?
しかし、神田先輩の所作をみて考え直す。
すぐに岩場での違和感を察知し死体を確認、怪しい証拠の回収、滝への適切な情報伝達にショッカーから改造人間適正を認定されるほどの強固な肉体の持ち主。
表の顔は牧場の経営者で裏の顔はFBI北海道支部のエージェントなのではないだろうか?
滝も表の顔はオートバイクのレーサーだし。
頼りない幹部カニバブラーさん
カニバブラーは小型無線機を落とし、取り戻すも再度奪われ、爆発させて処理したと言い訳をすればショッカー首領に仮面ライダーを甘く見るなと怒られる。
仮面ライダーには何もできず2度敗走し、幹部でありながら業務は部下の指示ではなくアジトの見張り。
配電室の破壊も別に普通のハサミで切ることもできる配電線を切る作業。
そのくせ無駄に目立つので「気象庁小樽支所」と「札幌管区気象台」で職員にばれて殺してしまうため騒ぎになる。
これであれば戦闘員にやらせたほうがまだばれないだろう。
蟹特性のため防御力は高いが戦闘力は低い。
それに牧場に襲撃にきたさい、牛の群れの中を淡々と歩くカニバブラーはシュールで凄みを感じない。
なんとも頼りない幹部だった。
そのギャップなのか一文字の仲間たちが大変頼もしく見え、一文字の最後のセリフも相まって仮面ライダーサイドは仲間に恵まれていることを強く印象付ける回となった。
東京から北海道へ
一文字は滝の連絡なしで北海道に向かっていた。
東京の立花レーシングクラブにいたはずの一文字がとんでもない速さで北海道にかけつけた。
滝が神田に小型無線機について一文字に連絡したほうが良いと言い、神田がカニバブラーにさらわれ海岸付近まで連れ去られた段階で一文字は船で到着していた。
つまり連絡を待たずして事前に北海道に向かっていたことになる。どのタイミングで?
おそらく可能性としては北海道が震源地不明の地震による津波で遊泳禁止になっているというニュースを聞きつけ滝を探しに立花レーシングクラブへ立ち寄った後だろう。
滝もこの原因不明の津波を負って北海道に向かっているに違いないと踏んで連絡を待たずに向かったのだろう。
その証拠に滝が神田牧場についた時「隼人が!?やっぱりきてるのか隼人が」と言っていたので連絡はしていなかったことがわかる。
それにしても一文字も滝も東京から北海道にくるまでが早い。
飛行機で約1時間40分、新幹線で約4時間40分。当時は北海道に新幹線は通っていない。
それにサイクロン号、滝も愛車のバイクできているのでおそらくフェリーを使用していると考えられる。
しかし、フェリーを使うと約19時間かかる。
飛行機だと千歳空港なのでそこからバイクで小樽まで時間がかかるし、今回の舞台である小樽に直接いきたいならやはりフェリーで小樽港にいくだろう。
滝はFBIの特殊な移動手段があるかもしれないが一文字はどうやってサイクロン号と一緒に北海道まで迅速にくることができたのだろう?
怪電波の先にショッカーアジト
一文字は小型無線機が爆発するまでの僅かな時間、聞こえた信号と同じ信号を探していた。
そしてショッカーが使用する電波「極超短波384MHz」をつきとめる。
この周波数の方向を「大型方向探知機」で調べればショッカーアジトの位置がわかる。
滝は周辺の「HAM愛好家(アマチュア無線愛好家)」に無線で緊急通信を行い、怪電波の方向を探る。
電波の発信源を直接特定するのではなく、方向を色んな地点から調べて直線を結び、その直線が交差する部分で位置を特定する。
このアナログな特定方法がレトロでありパズルみたいで面白い。
・?(すでに引かれた3つの線は不明)
・函館から北北西
・釧路から西北西
・小樽から北北西
・十勝から西北西
・石狩から北北西
・宗谷から南南西
・函館から北北東
・網走から西北西
私も軽く線を引いてみたが小樽沖にはならなかった。
私の引き方が悪かったのか設定がそれほど綿密ではなく適当にそれっぽく設定したのか。
検証が必要ですね。
素晴らしい仲間たち
一文字は最後ショッカーに宣戦布告している。
「ショッカー、来るなら来い!俺はひとりぼっちなんかじゃない!こんな素晴らしい仲間たちがいるんだ…仲間たちが!」
今回一文字は滝、マリ、ユリ、神田そして藤兵衛、五郎、ひろみなどの協力を見てあらためて素晴らしい仲間だと実感していた。
滝、マリ、ユリ、神田に感謝を伝える場面もある。
本郷猛は1人で戦うという孤独感を抱えていた。なかなか正体を明かすことをせず、自分の中で抱え込むタイプだった。
逆に一文字隼人は明るく、正体を明かし協力を求める、周りを頼れるタイプだ。
対照的な2人が交わる時、どんな化学反応が生まれるのだろうか。
最後のシーンでマリ、ユリ、五郎、一文字、滝、神田が水着を取りに競争するのも素晴らしい仲間だからこその青春シーン。
そしてマリとユリが海を見てロマンを感じていると一文字は「たまにはお嬢さんたちもロマンティックになるらしいな」、そして滝は「まあな」と2人をディする。3人娘のおてんば、じゃじゃ馬っぷりを見ているからたまには乙女らしいところがあるんだということだろう。
でた!滝さんのマリたちを普段ボロクソに言っている兆候!
でも気の置けない仲間たちの冗談にも聞こえる。
確かに北海道の海はロマンティックでカニバブラーとの戦闘でも背後の海がキラキラしていて綺麗だった。
それにしても滝さんのファッションセンスよ!
北海道にきたからなのかアイヌのはちまき「マタンプシ」をしている。
そして藤兵衛はまたひろみに留守番を頼んでわざわざ北海道に単独で遊びにくるとは…
なんかかんか言ってマリたちと遊びたい藤兵衛は海に一番乗りで入りはしゃぎまくる。
一文字にもう若くないんだからと言われたから若さ爆発させているのだろうか。
今回もひろみへのお土産忘れんなよ!
ストーリーの転換点と考察
小型無線機の扱い
まあそもそもカニバブラーが落とさなければというところでしょうが、1度目に神田に回収された時に爆発させて無線機を破壊すれば、2度目に奪われた時仮面ライダーの超聴覚で信号を読み取られることはなかったはず。
資金不足で回収したかったのかもしれないし、回収ついでに改造人間にするために神田をさらうことを考えていたからかもしれません。
どちらにせよ欲張った結果、アジトのヒントを得るチャンスを与えてしまった。
最初の岩場
結局ショッカーのアジトは神田がカニバブラーが落とした小型無線機を拾った場所だった。
この岩場に目をつけて周辺を調べればすぐにアジトの特定ができ被害を最小限に抑えられたかも!?
今回の特撮表現の面白さ
カニバブラー泡攻撃表現
カニバブラーが口から吹く泡攻撃の泡はシャボン玉のおもちゃを買うと付いてくる「吹き具」を用いて表現している。
サイクロン号で海中に飛び込むシーン
サイクロン号で水中に飛び込むさいにウィリーでジャンプするシーンを模型、水中走行シーンは実際に走っているシーンとの合成かな?
水中走行は模型にしては出来が良い模型だと思ったので本物?
それにしても海水に浸かってサイクロン号が錆付きそうだ。
特撮満足度(★で5段階評価)
アクション:★★★☆☆
高所:★★★☆☆
火力:★☆☆☆☆
水場:★★★★★
仕掛け:★★★★☆
第19話の裏話
山本リンダ御一行様
今回は仮面ライダー初の北海道ロケ地。
このさい宿泊先の歓迎看板には「山本リンダ御一行様」と書かれていたそうだ。
「山本リンダ」氏はマリ役の女優さんです。
その当時、放送間もない仮面ライダーの知名度より山本リンダ氏の知名度のほうが高く、ホテル側も宣伝効果として同氏の名前で歓迎看板を出したようだ。
それに対して番組スタッフなど他の人々に失礼だと感じた山本リンダ氏は歓迎看板を「仮面ライダー御一行様」に訂正させたという話しがある。
ロケ地(執筆者の調べ)
・「山縣牧場」
・「小樽港」
・「札幌管区気象台」
次回予告より(第20話「火を吹く毛虫怪人ドクガンダー」)
次回のショッカーからの刺客は「怪人ドクガンダー」。
このドクガンダーは火を吹く毛虫。
立花レーシングクラブメンバーが張り付けとなり電気を流されている描写がある。
さすがにメンバーもショッカーに目をつけられ始めたか!?
激流荒れる大滝での決戦。
火属性、そして虫属性だとヒトデンジャー同様水が弱点のように思うのだが果たして!?
まとめ
・ショッカーは幹部の攻撃特性(火を吹くや泡を吹くなど)を他の戦闘員でも使えるように銃に攻撃特性を付与する技術を持っている
・ひろみは立花レーシングクラブで事務をしている
・一文字は同世代のマリたちは呼び捨てだがひろみは「ひろみさん」呼び(確かにひろみはさん付けしたくなる大人っぽさがある)
・滝は普段3人娘のことをボロクソに言っている(藤兵衛談)
・滝和也のFBIナンバーは「5021」
・ユリの水着は3500円した(貨幣価値が消費物価指数により1971年と現在(2023年)では4.3倍違うので2023年でいうところの15000円)
・方法は不明だが一文字と滝は東京から北海道にもの凄い速さでいける移動手段がある
・一文字は船を操縦できる
・マリは滝の指示の意図を瞬時に察する勘の良さがある(一文字の部屋も勘で特定したことがある)
・サイクロン号は海水の中も走れる
・藤兵衛の水着は囚人ボーダー水着