本編を楽しんだ後に閲覧することをオススメします。
第13話「トカゲロンと怪人大軍団」感想・考察
SF感が強い原子力研究所
「東洋原子力研究所」を襲撃するショッカー。
原子力研究所を襲い、放射能を漏らし東京を汚染することが目的のようだ。
しかし研究所の防衛システム「電磁波バーリア」にはばまれる。
電磁波で障壁を展開してショッカーからの襲撃を退けた。
改造人間の技術もSF感が強いが、それはあくまで禁忌に触れたショッカーの科学技術だけかと思っていたのだが身近にこんな技術があったなんて…
しかもこのバーリア、原水爆のエネルギーでも破れない程の強固なもの。
これをなぜ金保管所に配備しなかった…
ショッカーはバーリア対策として「バーリア破壊ボール」を開発済みだが、このボールは20メートルの距離から投げ込まないと威力を発揮しないというデメリットがある。そしてボールの重さは5キロあり20メートルの距離から投げ込める怪人は現時点でいない。
それを補うためにトカゲロンをつくり、ウルトラシュートでボールを打ち込む作戦を実行することになる。
「バーリア」って「バリア」のことですよね?「ウィルス」を「ヴィルス」と読んだり昔の言葉は現代と発音や意味も微妙に違ったりして面白いですよね。
むしろ現代のほうが略称や造語が多く、本来の日本語を使えていないのかもしれません。
本当に日本人は国民全体で略称や造語の天才ですよね。ネットスラングとか流行語の造語をすぐ使いこなすし。
私自身、造語は大好きですね。面白いから。
でもたまに昔の人の話している音声や映像を見ると正しい日本語で話すのも知的でかっこいいなとも思います。
暴君の怪人化
プロサッカーチームに所属する「野本健」。
日本でプロサッカーといえば今の「Jリーグ」が思い浮かびますが、Jリーグは1993年からです。
おそらくここでいうプロサッカーとは1965年から1992年まで存在した「日本サッカーリーグ」のことだと思います。
「殺人シュート」と呼ばれるほどの強烈なキック力を持つ選手。
子供たちにサインをねだられるほどの人気選手。
しかし野本の根底には「この弱小チームを勝たせてやっているのは俺だ、もっとあがめろ」と才能にあぐらをかき、人を見下す醜い部分がある。
試合後にはロッカールームで酒を飲むなど素行不良でチームメイトも避けている。
心の中ではなんで俺ほどの選手が弱小チームにいるんだと。だからせめて俺をお山の大将にしろという態度がみえみえだ。おそらく実力よりも、人を見下す性格から他のチームも追われてしまったのだろう。
そんな野本が怪人化すればどうなるか。凶暴な性格に凶悪な身体能力。ショッカーにとってこれほど都合の良い人材はいない。
改造手術後もその気象の荒さは変わらず再生怪人たちにも「仮面ライダーに負けた負け犬ども」と見下して幹部をこき使うお山の大将となった。
しかしやはり実力だけは確かで仮面ライダーに「負けた」と言わせた初めての相手となる。
熱血!「立花道場」
トカゲロンに敗北した仮面ライダー。
勝機を見いだすため藤兵衛とともに特訓を行う。
トカゲロンのウルトラシュートに見立てて崖から岩石を転がし、その岩石にどう対処するかを探る特訓だ。
受けて防御力をあげるか、回避するか、いなすか破壊するか。
猛が出した答え。それは「キック力を2倍にする」こと。
いつもより体をひねり助走をつけてライダーキックを放つ。
こうすることで勢いのついた岩石に力負けせず破壊することに成功する。
この特訓が1度敗北したトカゲロンに勝利する決定打になる。
男性と女性の立ち位置
滝は1970年代の女性の社会的な立ち位置をうかがわせる発言をする。
「女房教育はですよ、初めが肝心なんです。男には男の仕事ありですからね」
「ウーマンリブは女性上位の時代かもしれませんが、こういうことは男の仕事」
ウーマンリブは1960年から70年代にかけて行われた「女性解放運動」のことで簡潔に説明すると「男女平等を訴え運動」のことだ。
滝は男女平等は否定しないが男女それぞれに向き不向き、役割分業というものがあることを理解している。
男性は男性にしか、女性には女性にしかできないことを全うする。男性が向いていることは男性に任せる。女性に向いていることは女性に任せる。性差の問題はいがみ合わないほうがいい。
無理に怪人と戦わずとも男性が戦えばいい。その代わり戦いが終わったら傷ついて治療ができない男性に包帯を巻いてくれればよい。そうやってうまくやっていけばいい。
それにルリ子を危険な目にあわせたら猛にどやさせるみたいだし。
滝和也の正義感の正体
滝和也がアミーゴに訪れた理由。
なぜかショッカー絡みの事件に首を突っ込んだり協力してくれる。
いくら妻がショッカーの被害にあったとはいえあまりにも積極的に介入してくる。
むしろ妻の安全を考えるのならショッカーから遠ざけようとするはず。
理由は滝和也が「FBIの特殊捜査官」だからである。どうりで…
しかし、藤兵衛は手帳の中身を見てすぐFBIと気づいた。記載は全て英語なのに…
立花藤兵衛、やはり只者ではない。
日本の警視庁にはショッカーの情報はなく危機意識が足りない。
それもそのはず、ショッカー首領いわく日本はアメリカ、ヨーロッパに比べて侵略が進んでいない。
アメリカはショッカーの侵略が進んでいるため危機意識が高いのだろう。
そして日本に送り込まれたのが滝というわけだ。
滝はショッカーを叩き潰すことを使命としており、命も投げ出す覚悟を持っている。
滝の身体能力と妙に勘が良かったのも納得できる。
もしかして11話「吸血怪人ゲバコンドル」の結婚式場もショッカーのアジトとして当たりをつけていたのか?
そうだとしたら奥さんも捜査のカモフラージュで結婚式場を選ばれたのか。捜査官の妻は大変だな。気苦労が多いことだろう。
特訓の副産物
3話「怪人さそり男」でも改造人間は鍛えれば能力が向上するのではないかと藤兵衛が予測していました。
その予想が実際に証明され、仮面ライダーは特訓によりパワーアップしました。
特訓で身につけた力は「電光ライダーキック」だけでは?と感じる視聴者もいるだろう。
しかし、トカゲロンとの決戦前に今まで倒した10人の再生怪人を1人で倒している。
しかも性能で圧倒的に差があったゲバコンドルをも難なく倒してみせた。
これは電光ライダーキックを習得する過程で同時に基礎能力の向上という副産物も得ていたからだろう。
平和な世の中
立花藤兵衛が最後に「自分の事ばかり考えてちゃ本当に平和で幸せな世の中にはならないからな。彼はそのために戦っているんだ」というセリフを残している。
これは「自分のことを考えてはいけない」という意味ではなく、人々は支え合って生きてるいじょう、自分も他人も思いやらないといけない。
どうしても自分ばかり幸せになることを考えたら他人を不幸にしなければならない。
他人ばかり幸せにしようとすると今度は自分が不幸をかぶらなければならない。
そのバランスが「平和な世の中」なのかもしれない。
だからこそ猛が抱える不幸は猛1人で抱えるには重すぎる。
猛も平和で幸せになるためには仲間の助けが必要だ。
ストーリーの転換点と考察
新必殺技開発
新必殺技「電光ライダーキック」。
これまで「ライダーキック」や「ライダーチョップ」など視聴者にとっては新技だった。
しかし、これらの技は仮面ライダー本郷猛の中でもともと備わっていた武術を使ったにすぎない。
猛が改造前に習得していた格闘技を仮面ライダーの能力で増幅していたが、今までの技では通用しない。
仮面ライダーだからできる技が必要。
現時点で仮面ライダーに足りないのは力負けしないパワー。
しかも基礎能力を向上させるだけでは足りない。
そこでゲバコンドルの教訓として助走をつけて風圧でエネルギーをためてぶつけるという方法でライダーキックの威力を2倍にした「電光ライダーキック」が誕生する。
ゲバコンドル戦でもダイナモのエネルギーをサイクロン号に乗算しての体当たりで勝利している。
逆境に負けない精神力が今回のピンチをチャンスに変えたのだ。
今回の特撮表現の面白さ
電磁波バーリア表現
見えない壁バーリアに触れると電磁波で侵入を阻止する。
電磁表現は何かの台にライトのようなものを設置して光らせて、そこにビリビリという音声を合成しているように見える。
くもの糸
再生怪人「蜘蛛男」が野本を捕縛するさいに錦糸卵みたいな黄色い糸をはいて粘着性のある糸の表現をしている。
電光ライダーキック表現
「電光ライダーキック」の「電光」をキックの瞬間にフラッシュをたくことで表現している。
電光の由来は不明だが、今回の電磁波バーリアなど電気系にかけているのではないかと思う。
特撮満足度(★で5段階評価)
アクション:★★★★★
高所:★★★★☆
火力:★★★☆☆
水場:☆☆☆☆☆
仕掛け:★★★★☆
ロケ地(執筆者の調べ)
・不明
次回予告より(第14話「魔人サボテグロンの襲来」)
次回のショッカーからの刺客は「怪人サボテグロン」。
サラセニアンに続く植物怪人。
サボテンなのでトゲを利用した遠距離攻撃が得意なのでしょうか?
そしてなんと次回から新シリーズ!
仮面ライダーが「一文字隼人」という新たな青年となり、ルリ子の名前も消えている。
もう本郷猛は見られないのか!?
まとめ
・怪人は部分欠損を直すと再生する
・史郎は単純で人のおだてに弱い
・滝和也は洋館の門をジャンプで越えられる(洋館の門でよくある高さは3メートルほど)
・ルリ子を危険な目にあわせると猛にどやされる
・滝和也の正体は「FBIの特殊捜査官」
・藤兵衛は英語がわかる
・仮面ライダーの新必殺技「電光ライダーキック」