【仮面ライダー】11話「吸血怪人ゲバコンドル」感想・考察ネタバレ有 敗北の味は土の味

第11話「吸血怪人ゲバコンドル」
ネタバレがあります。

本編を楽しんだ後に閲覧することをオススメします。

東映 1971年

第11話「吸血怪人ゲバコンドル」感想・考察

第3次攻撃計画とは

ショッカー首領から発表された「第3次攻撃計画」。

今回が第3次だとすれば1と2は?

これまで10話で8体もの怪人が登場した。その作戦があるとすればどの回だろうか?

私が考える候補2つは…

第何次というからには大きな攻撃計画であると推測できます。

10話までで大きな攻撃と言えば

5話「怪人かまきり男」での「首都圏地震計画

8話「怪異!蜂女」の「毒ガス製造

この2回は怪人を生み出すだけではなく、日本を災害やガス兵器などで恐怖させるような大掛かりな計画でした。

6話「死神カメレオン」の「ナチスの秘宝

9話「恐怖コブラ男」の「大蔵省金保管所襲撃

も大きな事件ですが、これらは攻撃というより攻撃のために必要な資金を集める計画だったように思います。

あくまで私見ですので1話以前に1次と2次が実行された可能性はあります。

レビュー星1な結婚式場

今回ショッカーの狩場となる結婚式場というか教会。

結婚式を開きたいと訪れたお客を老シスターは顔を動かして「入れ」の合図をするだけで愛想がない。

まあ簡素な式、そしてショッカーの目的である「若い女性」を連れてきてくれるから格安なのかもしれない。

現代のSNS時代であれば速攻口コミサイトで星1が付き、人が寄り付かず若い女性狩りはできなかっただろう。

ショッカーに洗脳されるとあまり感情がなくなる、もしくは罪の意識が薄くなるからなのか、どこか淡々とした働きになり、気遣いという人間の感情を失っているのかもしれない。

オルガンを弾いている老シスターは史郎に「あの気味の悪い」と言われる始末。

8話「怪異!蜂女」でも戦闘員が店長のめがね屋でもルリ子に「陰気な店長」と言われていた。

ぱっと見は一般人と大差ないが、醸し出すオーラがそもそも怪しいのかもしれない。

神父もやんちゃ兄さんがコスプレしたみたいな色物だったし。

しかし、あの老婆、物語を盛り上げるのは上手でオルガンで「結婚行進曲(メンデルスゾーン)」を弾いていたかと思えば、戦闘員への合図で不穏な曲を弾き、場を恐怖に陥れる演出は見事だった。

仮面ライダーより強い敵の登場

10話まで色んな生物の特性を持った改造人間で仮面ライダーを苦しめてきたショッカー。

だが1対1になった時、どうしても性能が高い仮面ライダーに力負けしていた。

今回の「怪人ゲバコンドル」の性能は仮面ライダーより上。

そして仮面ライダーにやられてたが肖像画にもなっている

蜘蛛男くもおとこ

蝙蝠男こうもりおとこ

・さそり男

・サラセニアン

の長所も特性として組み込まれている。

実際に作中で使用された特性は肖像画にない「カメレオン男」の「光学迷彩化」で姿をくらます特性だけだったように思う。

蝙蝠男の飛行能力もあったが長所はウィルスであり、ゲバコンドル自体コンドルの飛行特性を持っている。強いていうなら「吸血」という部分だろうか。ウィルスも注入できれば吸血もできるし人も操れるし一石二鳥だったのに…

蜂女はちおんな」と「コブラ男」は残念ながら選外。

ゲバコンドルはライダーキックを回避し、続けざまのダブルライダーキックが命中しても怯むだけで撃破には至らなかった。とんでもない耐久力だ。

結局最後まで仮面ライダー単体の性能のみでは歯が立たなかった。

仮面ライダー初の敗北

上記でも書いたが仮面ライダーの圧倒的敗北。今までのようにウィルス、毒ガス、火炎など状態異常で苦しめてきた怪人とは違い、ゲバコンドルは仮面ライダーが得意な力勝負で真っ向から挑み勝利している。

今までは小気味よい「レッツゴー!! ライダーキック」のイントロで敵を圧倒していたが、今回は敗北時にそのイントロが終わってしまう演出があった。この演出でより仮面ライダーが敗北してしまった絶望感を表現していた。

ゲバコンドルに吸血された人はなにが元に戻らないのか?

滝和也たきかずや」の妻、「滝洋子たきようこ」がゲバコンドルに吸血され病院送りになってしまった。

その際ルリ子が「このまま元の体には戻らないのかしら?」というセリフがある。

つまり吸血された人々は何かしらの症状、後遺症があることになる。

蝙蝠男のウィルスのようなものの影響だろうか。

しかし、ゲバコンドル撃破後、洋子は元気になり滝と新婚旅行をやり直している。

ゲバコンドルを撃破してもウィルスであれば蝙蝠男の時みたいに血清がないと回復しない。

結局なにが元に戻らない可能性があったのだろうか?

戻らないのかしら?」と疑問を持っただけで実際はそうではなかったというだけかもしれないが。

製作当時の若い女性のイメージは

若い女性の生血が目的のゲバコンドル。

ゲバコンドルが襲ったのは

・ウエディングドレスの女性

・白いチャイナドレス?を着たチャイナ風の女性

・看護婦

・バレリーナ

と白を身に纏った女性ばかり。

白無垢=若い女性としたのは純粋さとか清純さを表現するためではないだろうか。

それに対比するように老婆のシスターは黒装束だった。

白=若い、黒=老人という対比なのだろう。まあそもそもシスターとかは黒い恰好だけど。

くぎを刺される藤兵衛

教会に潜入調査するため花婿役を藤兵衛、花嫁役をルリ子が演じた。

誓いの言葉の際にルリ子に「本気にしちゃダメよ」とくぎを刺される藤兵衛。

演技だとわかっているし、歳の差もあるから不自然だろうがそんなに嫌がられるのもかわいそうである。

しかもラストでルリ子はバイクで去る仮面ライダーを追いかけるため荒野に藤兵衛を1人残して車を発進させる。マスターの扱いがだんだん雑に…藤兵衛もいじられトホホなキャラになっちゃっている。

ルリ子はとんだじゃじゃ馬だ。今日こそは仮面ライダーの正体を!と思ったのでしょうね。

藤兵衛とルリ子が乗っている車がペイントだらけでちょっと怖い車だなと思ったがおそらくこれは「ブライダルカー」というものだろう。

滝のバイクもそうだが花婿、花嫁が缶を繋げてカラカラ走り去っていく車。

あれにカスタムしてメッセージなどを入れる場合もあるそうだ。

その証拠に車がアップになったシーンをみると「しっかりやり!!」とか「おめでとさん!!」、「Just Married(結婚しました)」、「OK KISS」、ハートを射抜いたマークなどメッセージが書かれていた。車まで挙式偽装するなんて凝ってますね。

サイクロン号の突進力

激闘の末、ゲバコンドルをサイクロン号の突進で倒す。

これは本当にサイクロン号の突進力のみで倒したのだろうか。

仮面ライダーの攻撃も弾丸も効かない怪人をバイクの突進力だけで倒したと思えない。

要因があるとすれば「仮面ライダーがサイクロン号に乗って突進した」ということに関係がありそうだ。

一方的にやられエネルギー切れ寸前の仮面ライダーにバイクで逃げるようアドバイスする藤兵衛。

その目的はサイクロン号の走行で風圧を受けてエネルギーを補給させるためだ。

しかし、補給後サイクロン号を降りて戦わず、突進で撃破することに成功する。なぜか?

つまりダイナモのエネルギーはサイクロン号とも連携していて走行中にエネルギーを補給したことで突進力もパワーアップしていたと考えられないだろうか。

だからこそゲバコンドルの強固な耐久力を突破し撃破に成功したのではないだろうか。

闇落ちしない猛のライバル登場

3話「怪人さそり男」で猛のライバル「早瀬五郎はやせごろう」が猛への嫉妬心から「さそり男」としてショッカーに闇落ちしてしまった。

今回のライバル「滝和也」は前年の日本モトクロス選手権の出場者。大会前に猛特訓する猛に対して、挙式を行い新婚旅行をする余裕をみせる。むしろ猛のほうが焦りがあるくらいだ。

「早瀬五郎」が地方大会決勝のライバルだとすれば「滝和也」は全国大会決勝のライバルという感じだろうか。

ストーリーの転換点と考察

初戦で仮面ライダーに止めを刺さなかったショッカー

初戦ゲバコンドルは仮面ライダーを土にめり込ませるほどの大勝利をおさめたにもかかわらず、洗脳はおろか止めも刺さなかった。

画面外で仮面ライダーがすぐに逃走したのかもしれないが土にめり込んで身動きが取れない状態で洗脳するなり止め刺すなりすればよかった。

仮面ライダーの性能を上回る怪人を生みだしたおごりか、それともいつでも倒せると見逃したのか。

ゲバコンドルは若い女性の血液採取に夢中で理性的ではなく、上手くコントローラできなかったのも敗因かもしれない。

なんにせよショッカーは詰めが甘かった。

今回の特撮表現の面白さ

ゲバコンドルの羽ばたきの力強さの表現

ゲバコンドルの足元に強風を送り、砂ぼこりで竜巻を起こすことで羽ばたきの力強さを表現している。

爆発板破壊消失表現

ゲバコンドル撃破の際に爆発の合成とゲバコンドルが印刷された板を砕くことで撃破を表現している。

特撮満足度(★で5段階評価)

特撮満足度

アクション:★★★☆☆

高所:★★★☆☆

火力:★★☆☆☆

水場:☆☆☆☆☆

仕掛け:★★★☆☆

第11話の裏話

マスクの変化

9、10話の撮影で怪我をした「藤岡弘」氏。

本人がスーツアクターを務めるシーンが多いため10話以降あたりから仮面ライダーの体格差がある。特に今回は細見の方が代役を務めたのか仮面ライダーのマスク姿が縦長だった。

ロケ地(執筆者の調べ)

・「東京都稲城市」

・「戸山教会」

次回予告より(第12話「殺人ヤモゲラス」)

次回のショッカーの刺客は「怪人ヤモゲラス」。

ヤモリの特性を備えた怪人。

ヤモリは人間にとっては害虫を食べてくれる守り神として縁起の良い動物です。

しかし、この物語において虫を捕食するとはバッタである仮面ライダーにとっては天敵となりえます。

ショッカーはゲバコンドルのように仮面ライダーより性能の良い怪人を生み出せるようになってきている。

これからさらなる激戦が予想されるだろう。

白川博士」の完成させた「デンジャーライト」というのも気になるところ。

デンジャー(危険)なライトとはどんなライトだろう?アルキメデスの熱光線みたいな熱光線ライトだろうか?

まとめ

今回判明したこと

・ショッカーは仮面ライダーより性能が高い怪人を生み出せるようになっている

・滝和也は猛のレーサーライバルで前年の全日本モトクロス選手権にも出場している

・来客専用なのか(藤兵衛とか用?)猛の部屋には灰皿がある

・滝は戦闘員程度であれば複数人で相手をしても圧倒できるほどの運動能力を持つ

・ルリ子はバイクだけではなく車の運転もできる

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