ネタバレがあります。
本編を楽しんだ後に閲覧することをオススメします。
あらすじ
深夜、画家の「田中輝夫」がアトリエで作業をしているとどこからともなく猫の怪物が現れ、襲われる。
奴は「ネコ」と「ヤモリ」の合成人間「ネコヤモリ」。
ネコヤモリに襲われた日以降、輝夫の様子に異変を感じた弟の「田中サトル」はライダー少年隊に相談。
ナオキとミツルが輝夫のアトリエの様子を監視していると輝夫は絵の具に自分の血を混ぜて不気味な猫の絵を描いていた。
この出来事を皮切りにゲルショッカーの企む「F作戦」の全貌が明らかになっていく。
またも不在の滝隊長
滝は83話「怪人イノカブトン 発狂ガスでライダーを倒せ」で不在だった時の理由は結局分からず終いだったが84話でしれっと登場していたので特に事件に巻き込まれた様子はなかった。
今回は3日も本部にきていないようだが、隊員に黙っているだけで理由がある。
それはFBIの指令で西熱海ホテルで開催される「世界平和学会」による「世界平和会議」の警護を担当しているのだ。
他の隊員にはFBIの極秘情報なので知らせていないが藤兵衛には伝えていたようで猛にも耳打ちする。
83話でもFBIの指令で不在だったと考察したが、案外正しかったのかもしれない。
83話ではその物語とは直接関係なかったので省略されたのだろう。
今回はネコヤモリ事件と関係しているため滝の様子も描かれている。
これこれ!83話もそうだったけど、わざわざキャラ不在を語るなら理由を知りたいところ。
結局83話はどんな用事だったか逆に気になる!
前回(87話)の教訓
滝はFBIの指令で西熱海ホテルで開催される「世界平和会議」の警備を担当していた。
この会議は世界中の科学者が集い、科学による世界平和実現に向けた各国の見解などを話し合う重要な会議である。
参加する科学者はいずれも世界平和の運命の握っていると言われるほどの科学者ばかりだ。
もしゲルショッカーに狙われればまずいことになる。
前回も日本を支える主要人物の暗殺と銘打って日本産業会会長「細谷勉」と日本科学アカデミー協会理事長「青野清」が暗殺されている。
それが今度は世界平和の運命を握った主要人物となるとさらにスケールアップする。
FBIは前回の教訓も活かして滝に警護にあたらせているのだと考えられる。
各国の代表が各々の科学分野が平和に寄与することをアピールする中、日本代表の博士を見て私は何か引っかかるものがあった。
もしや!と思って調べると博士は20話「火を吹く毛虫怪人ドクガンダー」で「小泉教授」を演じた俳優「野々浩介」氏と同じだったのだ。
小泉教授は20話でドクガンダーに殺され、21話で教授に変装したドクガンダーが悪事を行ったので印象が悪く、何が平和やねん!と反応してしまったのだ。
仮面ライダーは同じ俳優が違う役を演じることが多いが今回の博士と小泉教授は両者博士であり、役柄が似ていたので21話の話しの流れが続いているように錯覚してしまっていたようだ。
特徴的な俳優ほど「えっなんでここに!」みたいな反応を一瞬してしまうんですよね…
今回のキーワードは「距離」
ゲルショッカーの「F作戦」の目的は世界平和会議に参加する世界有数の科学者たちを誘拐すること。
そのためにはどうしても仮面ライダーが障壁となる。
そこで仮面ライダーを東京に足止めし、80Km先の西熱海ホテルで行われている会議へ出動できないようにする必要がある。
仮にサイクロン号で東京から西熱海ホテルに駆けつけようとするとブラック将軍は20分はかかると予測している。
20分あればことは片づくと考えたゲルショッカー。
なんとか幹部級の怪人で仮面ライダーを引きつけつつ、同時に西熱海ホテルを襲撃できないか。
普通に考えれば怪人を2体用意すれば良いのだが、それを1体の怪人で実行しようとしている。
そんな夢物語を真面目に実行できてしまうのがゲルショッカーの科学力。
なんと怪人を特定の絵から絵へ自由に移動できるようにしてしまったのである。
「悪魔の血によって描かれた黒猫の絵」を通して、「増殖細胞」が備わったネコヤモリは2次元と3次元を行き来することができ、仮面ライダーを引きつけながらも瞬時に世界平和会議が行われた会議室に移動することが可能となった。
ちなみに厳密にいうと瞬時ではなく、距離が遠いほど移動に時間がかかる。だが通常人間が使用する乗り物より圧倒的に早く移動することができる。
今回は東京から直線距離で80Km離れた西熱海ホテルにネコヤモリが移動する時間はブラック将軍いわく約2分。つまりネコヤモリは絵から絵へ「時速2400Km」のスピードで移動していることになる。
これは秒速にすると約700m。音速が秒速340m(マッハ1)なのでネコヤモリは絵から絵へマッハ2で移動していることになる。めちゃくちゃ速い!
ブラック将軍が予測した仮面ライダーの移動時間は20分だがそれでも十分速いのにさらにそれを上回る速さだ。
ちょっと調べてみたんですが、物語で東京から西熱海ホテルの距離は80Kmと明言されているが、これはあくまで直線距離の話しであり、実際に道路で西熱海まで行こうとすると100Km以上の距離がある。
つまりなんの障害もなく実質直線距離でなおかつ時速2400Kmで移動できるネコヤモリとは違い、仮面ライダーの移動手段は基本的に道路。
だがブラック将軍は仮面ライダーを見誤っている。
仮に直線距離ではなく100Km離れているとして時速400Kmの旧サイクロン号でノンストップで西熱海に向かうと15分かかる。信号やらなんやかんやで20分と仮定。ブラック将軍の予測と相違ないだろう。
しかし、現在は新サイクロン号を使用しており時速500Kmで走ることができるため、ノンストップで12分に短縮できる。それでもなんやかんやで17分と仮定。
さらに新サイクロン号はウィングで障害物を飛び越え強制的に直線距離にできるので、80Kmとした場合、到着は約10分。ウィングを使用しているので信号やらなんやかんやの障害物は考慮しなくて良いとするとブラック将軍の予測時間の半分で到着することができる。
予測より早くきた仮面ライダーにネコヤモリ驚愕!
言ってやりましたよ!「俺はいつまでも同じ力ではない!」
連続密室殺人事件の描写は必要だったのか?
仮面ライダーを東京に足止めするためにゲルショッカーは絵を使った連続密室殺人を起こして猛のの目をこちらに向けようとした。
たしかにブラック将軍の思惑通り、猛はラジオで事件を知りハッとしていた。だがその直後、猛は事件現場に向かったり調査を始めるなどの動きを見せずに帰宅。
結局、猛の家に黒猫の絵を取付けてネコヤモリを登場させ種明かし。
その後ライダー少年隊本部に絵を送り、猛を引き付けることで足止めする。
そのため「あの連続密室殺人は黒猫の絵が原因だったのか~」と殺人事件とゲルショッカーの計画との関連性を知らぬまま事件終了。
連続密室殺人事件の描写いるか?と最初は思いましたがライダー少年隊に嗅ぎ付けさせるという当初の目的ではなく、視聴者にネコヤモリはこういうことできるよ~これからこれを使って猛たちを襲うよ~苦しめるよ~と印象付けるための演出だったのではないかとポジティブに考察した。
瞬間移動ネコファイヤー!ヤモリに元気を分けてくれー!
「ネコ」と「ヤモリ」の特性を持った合成人間だ。
2つの特性を持った怪人は「合成人間」というんですね!
私が間違っているかもしれないが、初めて明言された気がするのだけれども…
ややこしいので文中では怪人で統一します。
ネコヤモリはネコの特性というか黒猫の不吉感を特性として持っており、絵から絵へ乗り移るというオカルト的な能力を持っている。
あまりに黒猫の絵の能力が印象的過ぎて見過ごされそうですが、ヤモリの特性として左腕に吸盤があり、この吸盤から相手のエネルギーを吸い取ることができる。
これにより一時仮面ライダーは力が発揮できずに追い込まれる。
滝の援護により難を逃れたが、仮面ライダーが最後に「恐ろしい計画だった…」と総括するぐらいネコヤモリの能力が作戦・戦闘ともに脅威であったことがわかる。
そして「キャットファイヤー」という口から炎を噴く技も持っている。これは「猫又の火」からくる怪火の伝承からきているのかな?
ここからもう少しネコヤモリの乗り移り能力について考察してみる。
上記で考察した通り、ネコヤモリは絵から絵にマッハ2のスピードで移動できることがわかった。
それではそこでチラッと発言されたネコヤモリの「増殖細胞」とはなんだろう?これも絵を移動する上で重要な特性なのだがあまり深く語られていない。
増殖細胞を使って自由自在に乗り移ることができる。
私の考えではこの増殖細胞は血液、今回でいうと悪魔の血に入っている細胞のことではないかと考える。
理由はこの細胞が増殖細胞という名前の通りであるなら、色々なことが説明できるからだ。
原理はこうだ。
まず増殖細胞(ネコヤモリの細胞)を絵具に混ぜて絵を描く。そして完成した絵をどこか別の場所に飾る。もしその場所に移動したい場合、その絵に何らかの方法で自身のDNA情報を発信。絵に付着した増殖細胞がネコヤモリのDNA情報をキャッチすると増殖細胞が増殖してネコヤモリを形成することでその場に実体化できるのではないかと考えられる。
DNA情報は1個体しか保持できないため発信元のネコヤモリの細胞はバラバラになるのでその場から消えたように感じるというわけだ。
この一連の出来事が今回「絵から絵へ自由に移動ができる」というものの正体なのではないだろうかと私は考える。
正確にいうと移動というより、DNA情報などを送信し、それを増殖細胞が付着した絵が受信するとネコヤモリが形成される流れがあたかも移動したように感じられるということだ。
今回のサブタイトルも「血を呼ぶ黒猫の絵」とあるので、「血(増殖細胞)を呼ぶ(DNA情報を発信)黒猫の絵(ネコヤモリ)」みたいな感じで考察をした
この考察が正しいとはならないだろう。なぜなら成立させるには欠陥がある。
仮にDNAの考察が正しかったとして、西熱海ホテルでの戦いでネコヤモリが敗れた後、憑依から開放された輝夫は本当に輝夫なのかという話し。
輝夫の血を使ったのだから輝夫のDNAも西熱海ホテルに移動したんだから当然という意見もあるだろう。
ただそれであればネコヤモリの撃破により増殖細胞の効果が切れれば輝夫を形成していた細胞も朽ち果てるので輝夫は死んでしまうのでは?ということも考慮されるべきだと私は思う。
しかし、こうも考えられる。
もしかしたらネコヤモリの憑依とは乗り移る先の人間の薄皮一枚に自分の増殖細胞を纏わせるだけでなのではないだろうか。
そのためネコヤモリを倒すと輝夫を纏っていたネコヤモリの増殖細胞が死滅して正気に戻る。
う~んでも辻褄を合わせようと思えば思うほど破綻してくるのでここで考察終了。
そもそも最初は絵から一度実体化したら元の絵に戻れないと思っていた。なぜなら本部から消えたネコヤモリは本部の絵から消えていたからだ。だが猛の家で消えた時にはネコヤモリは絵の黒猫に戻っていたのでそれはない。
などもうあらかたのミスをつつけばそもそも辻褄は合わないのだから考察やめ!
まとめると、ネコヤモリの絵から絵へ乗り移る能力は厳密にいうと移動ではなく、絵具に混ぜた自分の細胞を信号により活性化ことで増殖細胞がある場所で実体化することができるという考察だ。
ストーリーの転換点と考察
猫の絵は量産できないこと
ネコヤモリは絵から絵へに移動することができる。
だが、どんな絵でも良いというわけではない。
だが絵の内容は関係ないようにも思う。物語では同じ黒猫の絵で統一されているが、これは小道具として使い回しができるため使い勝手が良いためだろう。
関係があるのは「悪魔の血によって描かれた絵」であることだ。
輝夫の血が悪魔の血であるとは到底思えないが、解釈としては悪魔(ネコヤモリ)に憑りつかれた人間の血は悪魔の血、すなわちネコヤモリに備わった「増殖細胞を含む血」へと変化するものだと考えられる。
だがこの能力には問題がある。
それは絵が量産できないということだ。
そもそも輝夫の血を使うので血液量に限界があるということ。仮に輝夫が限界の場合、他の人に乗り移り血を供給できたとしても、今度は絵を描くスピード、クオリティが担保できない。
わざわざ画家である輝夫に憑りついたのも、ネコヤモリの能力を発揮するにはある程度、絵のクオリティが必要であるのではと考えられる。
ただ上記「増殖細胞」の考察を踏まえると絵のクオリティは関係ないようにも思う。私の考察が正しければの話しだが…
これだけ破格の能力なのだからある程度制限はないとチートすぎる…
謎の配達物を受け入れる昭和の寛容さ
これ昭和時代は普通だったのかな?
藤兵衛はお店や本部に届いた宛先不明の花やら植物、プレゼントなどをホイホイ受け取ってしまう。
怪しい荷物であれば受け取り拒否すれば良いのに割とすんなり受け入れる。
今回も注文もしていないであろう黒猫の絵が届いたのだが、早速本部に飾っている。
警戒心がないというかなんというか…
滝隊長も黒猫の絵がゲルショッカーのものとは知らなかったとはいえ警戒して爆発物がないかなど最低限チェックしていたのにライダー少年隊ちょっと緩くない?
なんか知らないけどお歳暮届いた~ラッキー!的なノリなのかな?昭和は…
ちなみに絵が飾られる前はここに注目しといてくださいと言わんばかりに今回から急に飾られ始めたサーベルがあった場所だ。
なんか模様替えしてるなと思ったらこの伏線だったか…
今回の特撮表現の面白さ
ネコヤモリが絵から飛び出す表現
黒猫の絵の目の部分を光らせて、これからネコヤモリが実体化するぞということを知らせる。
絵の黒猫が描かれていないバージョンの絵に差し替えることで黒猫が絵から飛び出したことを表現。
そして実写の黒猫を映したあと視界をボヤ~っとさせてネコヤモリの姿に切り替わることで黒猫からの変化したことを表現している。
特撮満足度(★で5段階評価)
特撮満足度
アクション:★★★☆☆
高所:★★☆☆☆
火力:★★★☆☆
水場:☆☆☆☆☆
仕掛け:★★★★☆
第88話の名言・迷言・珍言・失言
ユリ「ねっ!本郷さん?黒猫なんていないでしょ!(ドヤッ)」
猛が本部に送られた絵には黒猫が描かれているはずと言い張り本部に戻るも絵に黒猫はいなかったことが判明した時にユリが猛に言ったセリフ。
ユリって大人っぽいところあるけど、猛の勘違いをからかうところは年頃の少女だなと感じた。
確かにIQ600の猛が記憶違いしてたらちょっとからかいたくなるかも。
仮面ライダー1号「俺はいつまでも同じ力ではない!」
ネコヤモリの「ライダー!貴様どうしてここに!?」に対しての発言。
ブラック将軍の予測時間より早く現場に到着した仮面ライダー。
実は旧サイクロン号から進化していることを知らないゲルショッカーは仮面ライダーの到着時間を見誤る。
ライダー少年隊の構成や内部情報には詳しいのにいつもブイブイいわせて見せているサイクロン号の変化に気付かないなんてマヌケだな!
強くなるのはゲルショッカーだけではない!
余談ですが、このシーンで仮面ライダーに注意が向いたネコヤモリになぜか前回新しく登場したライダーフライングチョップをマネして放つ滝。効いてないけどちょっと面白かった。
ロケ地(執筆者の調べ)
・「西熱海ホテル」
次回予告より(第89話「恐怖のペット作戦 ライダーを地獄へおとせ!」)
次回のゲルショッカーからの刺客は怪人「カナリコブラ」。
「カナリア」と「コブラ」の特性を持つ怪人だ。
これは凄い合成ですね。
カナリアは毒物に敏感で毒物検知に利用されるほどなので、猛毒を持つコブラと合成したら身体の拒絶反応とか凄そう…うわ~自分の腕から毒物検知してるのに離れられへ~ん!みたいな…
次回ゲルショッカーは「恐怖のペット作戦」なるものを企んでいるようだ。
ベランダにカナリア、そしてそれを見つける男の子の構図。確かにかわいらしいカナリアがカナリコブラになったら恐怖だけど、それは他の怪人の時でも似たようなシチュエーションがあったので何か特別な趣向をこらしているのでしょう。
今回の猫の絵同様にカナリアのかわいらしさで油断させて家庭に入り込み、内部から襲撃を企んでいるのかもしれない。
カナリコブラの猛毒で東京中の人々の頭を狂わせると豪語しているということは神経毒でも使い気なのだろうか?
感想・まとめ
前回は日本を支える主要人物。
今回は世界平和の運命を握っていると言っても過言ではないレベルの科学者を誘拐しようとするゲルショッカー。
世界平和の運命を握っているレベルの科学者ってどんな分野の研究者だろう?
環境問題?食料問題?エネルギー問題?それとも軍事問題?
う~ん…この問題っているのは人類に敵なしの状態で初めて心配できる、いわゆる「贅沢な悩み」だと思う。
環境問題は人間が壊しすぎたからであって、他のどの生物にも関係ない。
食料問題は富んだ国が分け与えれば良い問題。
エネルギー問題は人間以外でこれほど自身以外のエネルギーに依存している生物もいないので節制。
軍事問題は戦争しなきゃ必要ない。
ただただ野生で今を生きる他の生物たちにとって平和など考える余地もない。
世界平和なんて食い物食べてウンコして寝れていれば今日も平和だ。
それよりまだいるだろ?人類が向き合わなければならない敵が…
ゲルショッカー。奴らに危機意識が向かなければ人類に明日はない…
奴ら自然界の怒りと人類の業の深さを煮詰めたような連中だ。
他人と思わないほうがいい…
今回判明したこと
・滝はFBIの指令で留守にする時、藤兵衛にだけ理由を報告する
・チョコは猫が苦手