ネタバレがあります。
本編を楽しんだ後に閲覧することをオススメします。
あらすじ
「大室山」の山頂を目指すライダー少年隊一行。
ライダー少年隊発足、そしてゲルショッカー誕生とここ最近忙しい隊員たちを労うための小旅行へ向かっている。
山頂で昼食を取り和やかな時間が流れる中、望遠鏡を覗く「桜井圭太」という少年が遠笠山(天城山)方面に黄色い板が人間の形に変わる奇妙な光景を目撃する。
その後、父「桜井大作」と共にバスで「天城東急ホテル」に向かうがその道すがら山火事により進路を塞がれてしまう。
乗客はバスから避難するがゲルショッカーの網により生け捕りにされてしまう。
それを見た大作は機転を利かして窓から抜け出し圭太とバスの下に隠れることで難を逃れる。
一方、東急ホテルに到着しそれぞれの余暇を楽しむライダー少年隊一行の元に「大室山を出たホテルのバスが2時間経っても着かないと大騒ぎになっている」という知らせが届く。
不審に思った一行は現場に出動。バスはあるが乗客はいないという奇妙な状況を見てゲルショッカーの仕業ではないかと捜査を開始する。
本当に久しぶりの休み
74話「死の吸血魔 がんばれ!!ライダー少年隊」で少年仮面ライダー隊発足以来、休みなく事件に立ち向かってきた隊員たち。
前は立花レーシングクラブでよく遊びに出掛けていたが、ゲルショッカーとなりパワーアップした敵を前に戦いが激化し、安易に本部を留守にすることができなくなってしまっていた。
78話「恐怖ウニドグマ+ゆうれい怪人!」でも藤兵衛は墓参りを日帰りにするほど本部を留守にすることは危険だと考えていたほどだ。
最後の休みは73話「ダブルライダー 倒せ!!シオマネキング」で夏休みにナオキの叔父のホテルに泊まりにいって以来だ。
今回の行き先は天城高原にある「天城東急ホテル」。
道中、大室山ロープウェイで山頂に向かい昼ご飯。
展望台で景色を楽しみ、ホテルで男性陣は温泉、女性陣はベゴニアガーデンを見にいくなどそれぞれが余暇を楽しむ。
天城高原にはかつて「天城高原ベゴニアガーデン」が存在したが2015年3月22日に惜しまれつつ閉園している。
天城高原ベゴニアガーデンは1969年に開園しており、本放送時はまだ3年目と新しい施設だった。
そこから46年とかなり長い間1年中ベゴニアの花が見れる施設として天城高原の観光スポットとなっていた。
ベゴニアの花は世界一美しい花と言われており、彩りが豊富で様々な品種、色や形を魅せてくれる。
薔薇に似た「ベゴニア・ダブレット」という品種もあり、薔薇より長持ちでトゲも無いという「美しい花には棘がある」を真っ向から否定するかのように「美しい花なのに棘がない」といいとこどりな花だ。
花言葉は「幸福な日々」、「愛の告白」、「片想い」であり、ゲルショッカーとの激戦の日々はまさに幸福な日々を取り戻すため。ただまだまだ平和とは片想い中。
チョコは花より団子でベゴニアが食べられないか気になるようだが、実は食べられます!
ベゴニアの花びらは「エディブルフラワー(食用花)」で酸味がありサラダやヨーグルトのトッピングとして使用されるそうだ。
呆れるユリとヨッコだがチョコには朗報!もちろんその辺に生えているものより食用で生産されたものが安心なので試す方はご注意を!
ユリが気になるベゴニアの花を見つけた際にヨッコが5万円ぐらいすると言っていた品種はどんな品種だったのだろう?
ゲルショッカーの人間狩り
今回はタイトルにもある通り人間狩りを行うゲルショッカー。
人間狩りというのだから大量虐殺でも行う気かと思いきや、改造人間手術用の人間を生け捕りするのが目的のようだ。
ワシカマギリが吐く白い泡で人間を包み、それが固まることで中に閉じ込め生け捕りにする。
こうすることで生きた状態でありながら、抵抗もしない改造人間手術用の「材料」として新鮮なまま保管することができる。
ちなみに白い泡を仮面ライダーに噴射すると「身体が熱くなる」。
改造手術の際には保管した材料に緑色の「還元液」をかけることで泡の固まりが溶けて中の新鮮な材料(人間)を取り出すことができる。
この還元液の色はワシカマギリの血液の色と同じのため、恐らくワシカマギリの技を解くにはワシカマギリのものでと言う具合にワシカマギリの血液から生成されたものではないかと考えられる。
上記のような目的があることはわかった。
ではなぜ天城高原なのか?捕獲数を確保したいのならもっと街中のほうが良いのではという考えもあるだろう。
だが天城高原は森に囲まれた場所、そして観光地であることが最大のメリットとなっている。
まず森に囲まれた場所では道が開けていないので襲撃の際に逃走が困難であること、また草木が生い茂る中、視界不良で罠にもかかりやすい。
それで大作と圭太と一緒に逃走した男や滝も罠にかかっている。
仮に公道があってもせいぜい一方通行なため逃走ルートも読みやすい。
現にホテルへ向かうバスも一方通行のため山火事を起こして道を塞げば簡単にバスを停車させることができる。
ちなみに山火事にかけると大室山には「山焼き」という観光行事がある。
昔は「良質な茅の生育の促進と害虫駆除の目的」が目的だったようだが今は観光行事となっている。
しかし、そもそも森に囲まれたいわゆる人里離れた土地では来訪者も少なく捕獲できる人数に限りがあるというデメリットがある。
そのデメリットを補っているのが、ここ天城高原が観光地であるということだ。先ほども述べた通りホテル行のバスが定期的に運行していることからある程度の人数が訪れると予測できる。
またバスの運行時間を把握しておけば待ち伏せや罠も仕掛けやすいというわけだ。
それにしても大作はよく1人で罠を解除できたものだ。滝が引っかかった時はユリと2人がかりでも解除できなかったのに…
だがそれ以上に驚いたのが罠にかかった2人とも切り傷程度で済んだことだ。
今回ゲルショッカーが使用した罠はいわゆる「トラバサミ」というもので、2つの半円にギザギザの刃が付いており、バネ仕掛けで挟み込むというみなさんが想像するようなポピュラーな罠だ。
罠の中心を踏むことで罠が作動しバネの挟み込む勢いで刃が足に食い込む。
トラバサミは昔話で扱われるときには多少足から出血するだけ拘束罠というぐらいの感じで描かれることが多い。
だが実際、トラバサミにかかると足の骨が粉砕するほどの威力があり、足に障害が残ることもめずらしくない。
この罠にかかった男と滝が無事だったのは罠の威力が弱く拘束力に特化したものだったか、はたまた2人の骨が強靭だったのか。
もしくは手術用に捕獲する人間なので欠損が大きいと材料としての質が落ちてしまうので威力を落としていたのかもしれない。
本郷猛、改造手術の回想
今回、ゲルショッカーは人間を生け捕りにしてワシカマギリから噴き出す白い泡で繭のように固めて保存し、好きな時に改造人間手術を行えるような体制を整えることが目的だ。
そしてまさに大作の改造手術が始まろうという様子を見て猛は自身が改造手術を受けた時のことを思い出す。
手術台に仰向けになる猛は頭に前回改造手術で使用されていた機械を頭に取り付けられており、頭からメスを入れられていた。
だがよくよく思い出してみると1話「怪奇蜘蛛男」で猛は眠らされていたので手術中の記憶はないはずだ。
それに脳を改造されていない猛に対して頭からメスを入れているのは不自然だ。
これはおそらく回想ではなく、現在目の前で行われようとしている改造手術を自身の体験と重ね合わせた想像だと考えられる。
もし脳まで改造されていたら…と考えただけでゾッとするが、そのもしもの分岐点から外れた事実に少し安堵しているようにも見えた。
悪いことは自分に帰ってくるの典型
ワシカマギリの特性「ワシ」と「カマキリ」の共通点は「各界の最強のハンター」であることだ。
ワシは鳥類、カマキリは昆虫の中で最強のハンターとして君臨している。
そんな2つを掛け合わせたワシカマギリはまさに生物界最強のハンター。
今回はこの特性を活かして人間を狩猟しているというわけだ。
だがそんな強力な能力が仇となる出来事が発生する。
それが「カマ攻撃による自傷」だ。ワシカマギリのカマはゲルショッカー戦闘員の首をいとも簡単に刎ねるほど鋭利であり、ブーメランのように投げて攻撃することもできる。
少しでも刃部分に触れてしまうと一刀両断されてしまうこの攻撃を仮面ライダーは必死に回避する。
だがこのままではいずれカマに命中してしまうと考えた仮面ライダーはライダーキックでカマをワシカマギリに跳ね返す。
自身に跳ね返るカマに当たったワシカマギリは衝撃でもだえ苦しみ、やがてシンメトリーに真っ二つとなる。
改造人間、それも幹部怪人級を簡単に真っ二つにできるカマであることを自身で証明してしまった瞬間だった…
ストーリーの転換点と考察
ライダー少年隊、自家用車を持つ
今まで旅行先ではバスに乗って移動していた立花レーシングクラブだがライダー少年隊発足後に藤兵衛が2グループの活動用ワゴン車を用意してくれたようだ。
これにより道中ゲルショッカーによるバスジャックにあう可能性や襲撃された際もバスのように乗客を気にせずに臨機応変な対応ができる。
その証拠に今回はバスではなく自家用車で移動したことでライダー少年隊はゲルショッカーの襲撃を受けず、無事にホテルに到着している。
もしバスに乗って移動していたら他の乗客同様、一網打尽にされ全員改造手術の材料になっていたかもしれない。
ちなみにワゴン車にはちゃんと「自家用」とプリントされている。
刃を避けてカマを蹴り返す
ワシカマギリがカマ攻撃を跳ね返されて自身のカマで自傷したなんて言いましたけど、これは仮面ライダー技ありのライダーキックがあったからこその結果なんだと改めて感じた。
高速回転するカマの刃部分を避けてライダーキックを当てなければ逆に仮面ライダー自身がカマの餌食になってしまっていたのだ。
ライダーキックのシーンを見ると刃部分はギリギリ避けており刃の裏先端を蹴っている。
これが少しでも刃部分を掠めていたら結果はまるで違っていたはずだ。
今回の特撮表現の面白さ
ワシカマギリのカマブーメラン攻撃表現
前回のウツボガメスの頭部同様、見えない糸で吊るして動かしていると思われる。
ワシカマギリの羽ミサイル表現
ワシカマギリの羽に穴が開いており、火薬で爆発させて発射を表現。
ちなみにミサイルはダーツの矢。
戦闘員にカマ攻撃が命中した時の表現
さすがに生首を直接映せるわけもなく、グロイのでカマに命中した戦闘員の足元を映し、画面上部から戦闘員の生首模型を落とし、戦闘員がガクッと膝をつくことでカマが戦闘員の首を刎ねたことを表現している。
ワシカマギルの最後
ワシカマギリは自身が投げたカマをライダーキックで自身に跳ね返され一刀両断となり撃破される。
その際に使用されたワシカマギリ模型の断面が血液の色と同じ緑色だった。
アボカドの断面かと思った…
特撮満足度(★で5段階評価)
特撮満足度
アクション:★★★★☆
高所:★★★★☆
火力:★★★☆☆
水場:★★☆☆☆
仕掛け:★★★☆☆
第86話の名言・迷言・珍言・失言
立花藤兵衛「こんなうるさい連中をワシに押し付けて…自分たちばっかり派手にやりやがって!」
猛と滝はバイクで優雅にツーリングを楽しんでいるのに自分はうるさい隊員(元気な隊員)のお守りをすることへの不満で発言してしまった言葉だ。
ユリに圧をかけられ尻込みする藤兵衛だが、ユリたちもたびたび藤兵衛と旅行することに嫌味言ってたじゃないか!(もちろん冗談だろうが)
本郷猛「おいおい!ライダー隊の隊長がそれじゃ困るよ!」
滝が隊員のはしゃぎっぷりを見て「たまの休みだ!ゆっくりさせましょうよ」という発言に対して猛が放った言葉だ。
半分冗談なので笑い話になっていたが、こういう隊員の管理も隊長の仕事。優しいじゃないか。
猛はちょっと体育会系が過ぎる…まああれだけの重圧を背負っていれば周りが甘く見えて当然か…
ロケ地(執筆者の調べ)
・「大室山」
・「天城東急ホテル(ホテルハーヴェスト天城高原)」
次回予告より(第87話「ゲルショッカー 死の配達人!」)
次回のゲルショッカーからの刺客は怪人「クモライオン」。
「クモ」と「ライオン」の特性を持つ怪人だ。
蜘蛛の糸とタテガミのハイブリットな髪型をしている怪人。
クモとライオンは捕らえた獲物は逃さないであろう拘束力がある生物だ。
今回のワシカマギリ同様にハンターの素質は十分だ。
次回は殺人予告状が届いた暗殺対象が次々とクモライオンに狙われていく物語だ。
なぜわざわざ予告状を送るのか?
普段は作戦を知られたくないゲルショッカーが挑発的なのは仮面ライダーを罠に誘いたいからだろう。
天井からトゲが降りてきて万力のように潰されそうにいなる描写があるのはその罠にハマってしまった描写であろう。
果たして仮面ライダーはこの危機を脱することができるのか!?
感想・まとめ
せっかくの休日がものの数分で終わる隊員たち。
こういった人々が休みを切り上げて緊急事態に動いてくれるからこそ守られる平和がある。
トラブルは休日だろうと祝日だろうと人生に1度の大切な時だろうと家族の不幸だろうとやってくる。
でも平和のためにそういった犠牲を払って出動してくれている。
しかし、こういった活動はいたちごっこで終わりが見えない。
仮面ライダーも着実にショッカーを追い詰めてきたからこそゲルショッカーが「この程度の組織」で済んでいるのかもしれない。
仮面ライダーがいなければとっくに世界は征服されていたかもしれない。
だが、ゲルショッカーよ…あまり人間を舐めない方がいい…人間の中にはえげつない悪もいる。
果たしてその悪に飲み込まれない悪になれるかな?
今回判明したこと
・立花レーシングクラブとライダー少年隊兼用のワゴン車がある
・ゲルショッカーの改造手術は脳みそと心臓を摘出する工程がある
・ブラック将軍は瞬間移動できる