【仮面ライダー(初代)】81話「仮面ライダーは二度死ぬ!!」感想・レビュー・考察(ネタバレ有) お前はもう死んでいるといつから錯覚していた?

ネタバレがあります。
本編を楽しんだ後に閲覧することをオススメします。

東映 1971年
前話の記事

あらすじ

仮面ライダーの敗北で絶望に打ちひしがれる少年仮面ライダー隊。

だが仮面ライダーがいなくともゲルショッカーと戦わなければならない。

立花会長と滝隊長は隊員を鼓舞し再起を図る。

そこへブラック将軍から葬式の花輪が届く。

その花輪には仮面ライダーへのお悔やみと時限爆弾が仕掛けられていた。

滝が急いで爆弾を外に退避させるが爆発の巻き添えとなる。

仮面ライダーの死をあざ笑い、あまつさえ残党に時限爆弾付きの花輪を送りつけるゲルショッカー。

こんな恐ろしい組織に仮面ライダー抜きで戦うことができるのだろうか?

隊員たちの非哀

猿島でライダー少年隊一同は島中を探すが仮面ライダーは見つからず。

あまりのショックにレディースは泣き出し、藤兵衛ですら声も出ない状況だ。

滝隊長はそんな隊員たちを元気づけようと「もしかしたら生きていて本部に帰っているかも」と励ます。

本部に戻るも仮面ライダーはおらず隊員たちは席に着くなり泣き崩れる。

それに呼応するように留守番をしていたナオキ、ミツルもワンワン泣き出す。

あのチョコですら席に着くなりお菓子を食べようと手を伸ばすも口にせず泣き出してしまう。

だが会長は諦めない!まだ仮面ライダーが死んだと決まったわけではない。

しかし、もし…もし仮に仮面ライダーが死んでもライダー少年隊はゲルショッカーと戦わなければならないと何とか隊員たちを鼓舞する。

だがそんな鼓舞を嘲笑うかのようにブラック将軍から葬式で送る花輪そして「仮面ライダーの死を心からおくやみ申し上げる」というメッセージが送られてきた。

不謹慎な煽りだがゲルショッカーならやりそうだ…そしてなぜか時計の音がする…

これは!時限爆弾だ!

急いで爆弾を外に退避させた滝だが少し巻き添えとなり負傷してしまった…

前回から妙に爆弾被害にあう滝隊長。

だが仮面ライダー亡き今、一番の脅威は滝隊長だ。

このままでは滝も葬られてしまう!

希望から絶望へ

なんとブラック将軍は首領の意に反して旧ショッカー科学者を釈放すると宣言する。

普通は首領に反旗を翻す恐れのある発言だが、ブラック将軍は首領の命令に従順な上でもっと残酷な方法で殺処分することを考えていた。

釈放の吉報を聞いた科学者たちは大喜び。

ゲルショッカーは科学者をバスに乗せアジトを後にする。

科学者たちは久しぶりの外の世界に大盛り上がり。

だが「三頭橋」に入ったところでバスは停止する。

実はゲルショッカーは最初から生きたまま釈放する気はなかったようだ。

ただ殺すだけではもったいないと考えたブラック将軍はバスの運転手の正体、怪人「サソリトカゲス」の実験台にするために釈放したのだ。

サソリトカゲスの必殺技「酸欠ガス」はアジトで実験するとアジト内の酸素が無くなることを危惧して科学者たちを外に連れ出して実験する必要があったのだろう。

浮かれていた科学者にとっては正に天国から地獄!

ただ1人、ショッカーの情報を持った我々を迂闊に釈放するわけがないと警戒していた科学者がいた。

彼の名は「峰信太郎みねしんたろう」。研究者であり1年前、南米に伝染病の研究に出かけたきり消息を断っていたが、ショッカーに捕まり科学者として働かされていたのだ。

彼はアジトを出発する前に懐にガスマスクを忍ばせており、これでサソリトカゲスが放つ酸欠ガスによる無酸素状態を回避して倒れたふりをしてバスから脱出。

妻の「峰芳子みねよしこ」が待つ「峰病院」に急ぐ。

追手もなく無事峰病院に付いて安心した慎太郎。だが突如背後からミイラに襲われる!

夢・希望・目標・息子を失う

みんなの前では年長者、会長として強く振る舞っていた藤兵衛。

だがさすがに今回は堪えたようだ…

子供のいない藤兵衛にとってライダー少年隊のみんなは自分の子供ようで、厳しくも優しく、時には命がけで守っている。

比べるわけではないがやはり本郷猛は特別で息子にして希望の光。

一心同体で修行やレースに励んできた盟友。

その猛が死んだということは半身を失った…いや息子なら全てを失ったも同然。

人の泣き言にはめっぽう厳しい藤兵衛だが仮面ライダーの修行場で花を添えながら珍しく弱音を吐く。

ブラック将軍の花輪で一番ダメージを受けたのは滝隊長(物理)ではなく藤兵衛だったかもしれない。

精神攻撃が一番堪える…私も覚えがあります…

ゲルショッカー初の大規模作戦

ゲルショッカー最初の大規模作戦の要となるのが、怪人「サソリトカゲス」。

サソリ」と「トカゲス」の特性を持つ怪人だ。

今回ゲルショッカーは「大東京無血占領作戦」という作戦を企んでいる。

おお!占領するにしても「無血」とは!ゲルショッカーはショッカーにはない平和的な解決方法を!

ってそんなわけあるかーーー!!

ゲルショッカーの無血というのはなにも血を流すだけが殺す手段じゃないという意味での無血だ。

無血開城みたいに話し合いでとかそういうことではない。

一方的に東京上空にサソリトカゲスの酸欠ガスを50キロ散布して東京都民1000万人を酸欠死させるという作戦だ。

だがこの作戦、酸欠ガスをガス管に入れて上空に運び散布するのではなく高い場所からサソリトカゲスが風向きを読み、良い風向きのタイミングで散布して東京中にばら撒くというもの。

これは戦闘機や飛べる怪人で散布すると上空も無酸素となり散布した自身も酸欠してしまうからだと考えられる。

50キロものガスを1人散布するとしたら、サソリトカゲスの体重が92キロなので散布後50キロのガスの分だけ体重が減少し185センチ42キロというカラッカラのサソリとトカゲの干物みたいになっちゃいそうだ。

さすがにサソリトカゲスは飛べないので空中散布は高台を利用するようだが、その分筋骨隆々でパワーは強く、相手を両腕で締め上げ回転投げを行う「ダブル締め」という強力な技がある。

これで投げられた仮面ライダーは回転しながら顔面から落ちてたので物凄い痛そうだった…

ちなみに弱点は「背中」であり、最後は壁を利用して後ろを取った仮面ライダーの反転キックで背中を蹴られ敗れている。

仮面ライダーバンザイ!

上記で登場し信太郎を背後から羽交い締めにした謎のミイラ。

最初は白いので旧ショッカー科学者の1人かと思いましたが、よくよく見返すとパジャマ姿をしている。

何者だと思っていたところに峰病院を襲うゲルショッカー。

峰信太郎は必ず家族の元に戻るだろうと読んだサソリトカゲスの予想は的中。

だが信太郎は謎のミイラに捕まってしまった。

妻を人質に取られていても信太郎はこないはず。

信太郎を捕まえたミイラがゲルショッカーであれば信太郎に現れることを促すサソリトカゲスの行動はおかしい…

そう感じていたが芳子が人質になった院長室へ何者かが近づいてくる気配が…

芳子は夫だと思い逃げて!と抵抗するが人質が愛する妻であれば逃げるわけにはいかない。

そして扉が開く。

そこにはあのミイラが立っていた…信太郎の変装か?いや…何のために…

するとミイラの顔の奥から聞きなれた笑い声が!?ふっはっはっはっはっはっはっはっは…

そう!ミイラの正体は本郷猛!

本郷猛は生死をさまよっている中、峰芳子に助けられこの病院で入院していた患者の1人だったのだ。

サソリトカゲスは思わずついていると発言するが、いや…ついてないだろ…やられるのはお前だ!

その後、ライダー少年隊に逃げ込んだ夫妻は仮面ライダーの生存を報告。

本部はお祭り騒ぎになる。仮面ライダーバンザイ!

それにしても上記の夫婦の報告で気になることが1つ。

それは仮面ライダーの生存の報告内容についてだ。

芳子の「そう言ってました」という発言はライダー少年隊一同にとって「仮面ライダーが生きている」という吉報となりました。

だが、そう言ってたとはどう言っていたまでわからないのだ。

そう言っていた」というのは=芳子が猛から聞いた内容ということだろう。

そもそも仮面ライダーはガニコウモルとの戦いで傷を受け、芳子に救われ病院で治療を受けていた。

つまり猛の病院送り、それすなわち猛が仮面ライダーであることを暗示しているようなものだ。

それに猛は相変わらず正体がばれないように配慮して芳子が病院を車で後にしたのを見計らってから変身している。

そのため芳子は仮面ライダーの存在を知らないはずだ。

いや世間的には子供たちが知っているので知識としてはあるが、まさか目の前の青年本郷猛が仮面ライダーなんて思いもよらないでしょう。

猛が芳子に私は仮面ライダーですと正体を明かしたとも考えにくい。

なのに芳子の報告を聞いてライダー少年隊は猛ではなく「仮面ライダー」の生存を確信している。

考えられる理由としては1つに「ライダー少年隊のみんなには正体を明かしていた」という説だ。

その説なら芳子がゲルショッカーに襲われたところ本郷さんに助けてもらい逃げてきたと報告すれば猛生存=仮面ライダーと結びつくので生きてた!と確信できる。

だが芳子は「言っていた」と表現しているので上記はなしかな…

もう1つは猛がもしゲルショッカーに襲われた時はライダー少年隊に逃げ「仮面ライダーは生きている」とだけ伝えてくれと頼んだ説だ。

芳子が猛に逃げろと言われただけで迷わず本部に向かったことが少し引っかかっていた。

なぜ逃げる先が迷わずライダー少年隊なのか。

それは猛を治療する、かくまうことでゲルショッカーに襲われるリスクがあるため猛は事前に「もしそういう組織がきて逃げる時はライダー少年隊本部に逃げて下さい。無事本部についたら「仮面ライダーは生きている」と仲間に伝えて下さい」と伝えていたのかもしれない。

この方法なら自身の正体がばれずに仮面ライダーの生存だけを知らせることができる。

これだな!

ストーリーの転換点と考察

仮面ライダー本郷猛の生存

これは本当に大きい!

仮面ライダー本郷猛が死ねば確実に一文字隼人を日本に呼び戻す必要があったでしょう。

しかし、それだと一文字が担当する南米が手薄になる。

?…でもよくよく考えたらショッカーが解体された今、一文字は南米で何と戦っているのだろうか?

今回、南米で行方不明になっていた峰信太郎は一文字隼人と科学力で間接的に対戦していたかもしれないですね。

ゲルショッカーは新興組織。旧構成員を皆殺しとなればゲルショッカー構成員だけで世界中に支部を構えられるほど人員はいるのだろうか?

そう考えると一文字は一回日本に帰国してもいいかもしれない。

猿島と陸が近いこと

猿島は無人島だが横須賀に近いためガニコウモルと相打ちとなり辛うじて生き残った仮面ライダー本郷猛はなんとか陸まで泳いで峰芳子に助けられた。

もしくは気絶していたとしても猿島は関東圏に囲まれているので、どこかの陸地に漂流したところを峰芳子に助けられたのかもしれない。

生死の境とはいえ滝隊長も猿島を脱出の際に別の島まで遠泳した経験があるため改造人間ならなんとか陸まで泳ぎきった可能性もある。

猛は救われたと恩を感じているので漂流したところ運ばれ治療された可能性が高い。

もしもっとゲルショッカー支配下の狐島が陸と離れていたり、周りに陸がなければ陸まで辿り着けずに海の藻屑となっていた可能性も十分にあり得る。

猿島決戦で良かった!

藤兵衛の自殺を止めるサソリトカゲス

思いがけずサソリトカゲスから仮面ライダー本郷猛の生存を知らされた藤兵衛はメキメキと元気になる。

生きる元気、悪と戦う望みが出てきたと思ったら、ゲルショッカーに人質とされそうになるやいなや猛のために自ら自死を選ぼうとする。

生きるんだか死ぬんだか…アグレッシブになって何よりだけど…

ただ無気力で死ぬのと希望と覚悟を持って死ぬのとでは気持ちは違うのでしょうが、あんたが死んだら猛が生きる意味を失うだろ!

そういう意味でサソリトカゲスは人質確保のために藤兵衛の自殺を止めたのはゲルショッカーにとっては悪手だったかもしれない。

藤兵衛が猛の死であそこまで無気力になるのだから逆も然りで藤兵衛が死ねば猛も大きく力を失い精神的なダメージを負うだろう。

ナイスストップ!サソリトカゲス!ナイス気絶!

今回の特撮表現の面白さ

飛行後のゲルショッカー戦闘員の着地表現

前回から登場したゲルショッカー戦闘員の布を広げて飛ぶムササビ飛行表現。

今回はこの表現がより洗練されている。

それは戦闘員が着地する場所に赤青黄色の板をザクっと真っ直ぐに立てるというものだ。

このように板の姿勢とその後布を剥いで現れる戦闘員の着地姿勢を統一することで戦闘員が布を剥がした時に違和感なくきれいに登場を表現、撮影することができる。

新サイクロン号の飛行表現

今回は珍しく藤兵衛を乗せてのサイクロン号の飛行なので仮面ライダーと藤兵衛の模型をサイクロン号に乗せて動かしている。

エンディングのゲルショッカー戦闘員

ショッカーが解体されたのでエンディングの戦闘相手もゲルショッカー戦闘員に変更される。

ゲルショッカー戦闘員が水面からザバっと出てきて、結構高い位置にある橋までジャンプしている。

これはゲルショッカー戦闘員のスペックの高さを表現しているようだ。

このシーンの撮影はまず橋の上からゲルショッカーたちがバク転して水面に飛び込む。

それを逆再生することで水面から橋の上に向かってハイジャンプしているように観えるゲルショッカー戦闘員が撮れるというわけだ。

特撮満足度(★で5段階評価)

特撮満足度

アクション:★★★☆☆

高所:★★★☆☆

火力:★★★☆☆

水場:★☆☆☆☆

仕掛け:★★★★☆

第81話の名言・迷言・珍言・失言

立花藤兵衛「いいか…もしかして…もしかして仮面ライダーが死んだとしても少年仮面ライダー隊はある!」

仮面ライダーが死に悲しみに暮れる隊員たちを鼓舞するこの言葉の裏にはもう1つの想いがあった。

それは「みんなの前じゃ強がったことを言っていたが俺はもう何をする元気も無くなりそうなんだ…」という猛に対する強い想いだ。

藤兵衛は普段みんなが落ち込んでいる時は厳しく鼓舞してきた。

そんな藤兵衛が「何もする元気がない」と隊員たちに言えるわけもなく、ただひっそりと悲しみに暮れる…

少年仮面ライダー隊がある限り戦うと言ってはみたものの「俺の夢、俺の希望…何を心の支えに悪と戦っていけばいいのか…」と心が折れそうになっている。

今まさに少年仮面ライダー隊の会長という支柱が崩れそうになった瞬間だった。

男たるものを地で行く藤兵衛でも自分を奮い立たせる言葉が見つからないこともあるんだと…いや…こういう男だからこそ想いが強くショックも大きいのかもしれない。

ただ猛が無事と分かるや否や「俺はいつ死んだって惜しい命じゃない!よおし…俺の方から死んでやる!本郷のためにも!」と死ぬ元気がMAXになって崖から飛び降りようとするんだから無茶するぜ…

ロケ地(執筆者の調べ)

・「三頭橋(奥多摩湖)」

次回予告より(第82話「怪人クラゲウルフ 恐怖のラッシュアワー」)

次回のゲルショッカーからの刺客は怪人「クラゲウルフ」。

クラゲ」と「」の特性を持つ怪人だ。

29話「電気怪人クラゲダール」で登場した「クラゲダール」同様に電気クラゲのように3万ボルトもの高電圧を武器に戦う。

狼の特性も持っているため素早い動きで電気ムチを操り仮面ライダーを苦しめるのではないだろうかと予想できる。

体調が万全でない中、峰芳子の治療、峰信太郎の助言もあり、まずはゲルショッカーに勝利をおさめた仮面ライダー。

次回は万全で挑むことができるだろうがガニコウモル、サソリトカゲス同様に死闘は必至。

だが仮面ライダー本郷猛が生きていたことでより一層少年仮面ライダー隊の士気が高まり、絆が深くなっているため、みな心身ともに充実している。

反撃はここからだ!

次回の記事

感想・まとめ

死んだと思い込んでいる猛に対して語りかける藤兵衛の一言一言が重い。

この理不尽を呪い、それでも生きなければ辛さ…

でも自分が死ねばライダー少年隊のみんなはどうする…

そのことも辛い、辛くても藤兵衛の命は藤兵衛だけのものではない。

藤兵衛が死ねば悲しむ人がいる…想ってくれる人の存在が辛くても藤兵衛を現世に繋ぎとめている。

もしかしたら死んだ先、天国のオートレースで猛との夢が叶うかもしれない。

そんな普段は考えもしないような弱気な言葉まで漏れてきそうだ。

幸い私は人生でその悲しみに直面してはいない。

これは単に固い絆で結ばれた人が少ないという皮肉でもあるのだが、人に必要とされるってそれだけで気力が湧いてくるのはわかる。

奴隷として必要とされるのは気力萎えるけど…

でも願わくばそんな辛い思いをしたくないのだが、それは私が全力で生きていない証拠かもしれない。

でも二度死ななくて良かった!

今回判明したこと

・仮面ライダーが死んでしまうとユリは1番べそをかき、ヨッコはトイレで泣き、チョコは食欲不振になる

・ブラック将軍は仮面ライダーが死ぬと時限爆弾とメッセージ付き花輪をくれる

・ゲルショッカー戦闘員は待機している時、顔の前でゲルショッカーポーズ(腕をクロスさせてバツポーズ)をしている(義務?)

・旧ショッカーの科学者は洗脳を受けていない

・何手先も見据えたブラック将軍にとって部下の分かりきった報告はくどいと感じる

・藤兵衛にとって本郷猛は夢そして希望

・藤兵衛は本郷猛が死ぬと何をする元気もなくなる

・藤兵衛は猛のためなら自分の命も惜しくない

・仮面ライダー本郷猛は怪人と相打ちになるほどの重傷を負っても適切な治療を受ければ数日で完治する

・結局、滝隊長の言う通り仮面ライダーは不死身

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