ネタバレがあります。
本編を楽しんだ後に閲覧することをオススメします。
あらすじ
ショッカーの新アジトを造る計画が紀伊半島の南端「勝浦港」で始まろうとしていた。
この作戦を任された「モスキラス」は生物の血はおろか、あらゆる液体を吸い尽くしてしまう恐ろしい怪人だ。
その頃、レーシングクラブ一行は同じ場所を目指して観光バスに揺られていた。
ナオキの叔父「北沢」が勝浦で宿を経営しておりそのご縁、そして夏休みの宿題として昆虫採集を行うナオキとミツルの引率を目的とし温泉地勝浦を訪れたのである。
到着後各々が勝浦を楽しむ中、ナオキとミツルは早速昆虫採集に向かうのだが港で一行を目にしたショッカーに待ち伏せされ誘拐されてしまう。
夕食になっても帰りが遅い2人を心配して番頭とともに一行は捜索に向かうとナオキの帽子が落ちている…
これはただごとじゃないぞ…
夏休みの宿題で温泉旅行
夏休みの宿題、それも昆虫採集のために温泉旅行!?
なんて贅沢な!と思いましたが、どうも行き先はクラブメンバーであるナオキの叔父「北沢」が経営する宿のようで、その引率として他のメンバーが招待される形になったようだ。
しかし、藤兵衛は本当に面倒見が良いというか、自身も経営者で忙しいはずなのに引率してくれるなんて…
ここまでくると親もちゃんと面倒みろよ!と思ってしまいますが、こういう信頼できる地域のおじさんは貴重ですからついつい頼っちゃうでしょうし、クラブのレクリエーションとしての引率ならまあ…って感じですよね。
それに普段お世話になっている藤兵衛に恩返しとして温泉をプレゼントしたと思えば持ちつ持たれつの良い機会かもしれません。
ただまさかショッカーもいるなんて…これはもはや誰のジンクスだ?
コナンの宿泊先では必ず殺人事件が起きるジンクスのようだ。
レーシングクラブ開業の時ちゃんとお祓いしたか?
ちなみに今回の旅行で各々の目的を抜粋すると面白い。
まずユリが「光化学スモッグよさよならね」と喜んでいるがそれはなんだ?と疑問に思いました。
「光化学スモッグ」とは「光化学オキシダント」を主成分とするスモッグ。
簡単にいうと工場や車から排出される成分と紫外線が混ざり合うことでできる汚染物質のことだ。
健康に被害を及ぼす環境汚染の一種で日本では1970年7月18日に東京立正中学校・高等学校付近で発生したことで認知されるようになる。ちなみにこの現象後7月18日は「光化学スモッグの日」となっている。
この現象後「光化学スモッグ注意報」が発令することもしばしば。
ユリたちは東京民なのでこの現象を目撃しており周囲で話題になることも多いのだろう。
このことからユリの発言「光化学スモッグよさよならね」とは「空気の悪い東京を離れて自然豊かなで空気が美味しいところへの旅行が楽しみ!」という喜びの意味を込めた発言だったということがわかる。
そして食いしん坊のチョコはアメを舐めながら那智周辺のアメを狙っていた。
この那智のアメとはおそらく「那智黒(那智の黒あめ)」のことだろう。
なぜ黒飴かというと熊野の特産に「那智黒石」という黒い石があり、それにちなんでということらしい。
那智黒石は「碁石」や「道中の安全のパワーストーン」などに利用されている。
いつも道中危険な立花レーシングクラブ全員にパワーストーンを配りたい!
そして藤兵衛は勝浦の温泉!
温泉とそれを囲んだ岩の向こうは海。
温泉と海の境界線でゆったりできるなんて贅沢ですよね!行ってみたい!
帰ってきた南米のひょうきん族
視聴者目線だとバレバレですが1号とは違い、赤い手袋をまとい登場するライダー。
あの一文字隼人が帰ってきた!
帰ってきたといっても一時帰国で南米アマゾンの奥地で開発された怪人「モスキラス」を追って日本に帰国していたのだ。
嬉しい!嬉しすぎる!
ただ登場・再会演出がちょっと物足りなかったなと感じた。
藤兵衛たちがモスキラスに襲われているところに2号が駆けつけるのだが、BGMが無音のまま淡々と黙々とモスキラスを追い払っているので、キタ!いけ!みたいなテンションにはならなかった。
その代わり無音なことで確かに本郷ライダーとは何か違うな?という感覚にはなった。
その後に仮面ライダーが変身解除して一文字隼人が現れる。ここで初めて盛り上がるBGMが流れ南米からヒーローが帰ってきた!というテンションになる。
個人的にはライダー登場から盛り上がるBGMをかけ、変身解除後は再会の喜びを表現したようなBGMにしてほしかったな~とは思った。
余談ですが、一文字の黒いシャツの左胸にバッジのような光るものを発見!
小さくてうまく確認できませんでしたが、立花レーシングクラブの仮面ライダーバッジだったら嬉しいな~
仮面ライダーバッジの製造時期は不明ですが初確認が一文字が南米に行った52話から飛んで70話で初披露されたので、その間に何かしら手紙のやり取りを交わす中で一文字にバッジを送り、それをずっと付けていたと思うとエモすぎます!
離れていても仲間の印!
これは営業成功なのか?妨害なのか?困ったら神頼み
ナオキとミツルが見つけられない一行は「熊野那智大社」で神頼みに乗り出す。
ユリとチョコは神様に「どうぞナオキちゃんたちが無事で見つかりますように」とお祈り。
ヨッコはおみくじを引くことに。
ユリとチョコのお祈りは届いたようでナオキとミツルは一応無事といえば無事で見つかる(熱湯風呂で)。
ヨッコのおみくじは大吉で「尋ね人近くに有り、待ち人きたる」と出る。
すると3人の前にナオキとミツルをお堂で保護したという坊主が現れる。
まさに尋ね人が近くにいて待ち人がきた!さすが大吉!
…と思ったのも束の間、坊主の正体はモスキラスで保護したというお堂(那智山瀧見寺廃寺)に入るなり3人を閉じ込め誘拐する。
さすがは世界遺産の熊野那智大社はお祈り効果抜群?だがおみくじは内容こそ当たったが決して大吉ではなく、むしろ大凶だった。
これを観た視聴者は「この大社のおみくじは良くない」と思った人もいるだろう。
お祈りは通じるけど、おみくじは外れるというイメージを植え付けて営業成功なのか妨害なのかよく分からない結果になってしまった。
余談だがレーシングクラブレディースがお揃いで着ているTシャツのデザインが気になりすぎる!
左胸に大きな目、腹部に唇、そして女性の手がその両脇の頬に添えられたTシャツです。
これはレディースが旅行用にお揃いで買ったのか、観光地のグッズなのか。
もしくは前回の有馬温泉で買ったお土産とか?ちょっとスピリチュアルなTシャツなんですよね。
混浴なのに地獄
今回も温泉街回!
なんと今回はレーシングクラブレディースとの混浴が拝めます!うひょー!
…
ショッカーの拷問熱湯風呂でだけど…
嘘はついてないよ?
実際にレディース3人とナオキとミツルが熱湯風呂に顔だけ出した状態で沈められ拘束されているが一応混浴だ。
しかしこうなってくるといやらしい思いは皆無になる。
熱湯風呂という名前通りなら温度は90度以上で間違いないだろう。
どのくらいこの状態だったかは定かではないが、人体の皮膚は温度45度以上で1時間、70度以上なら1秒で皮膚の破壊が始まり火傷となる。
高温は心臓にも負担をかけるため救出後は即入院しないと非常に危険な状態だ。
温泉地でこの拷問はシャレにならないレベルだ。
女性だったら火傷はトラウマレベルの被害だ。
滝がお湯に触った時点では「だいぶ熱い」という表現だったのでまだ沸騰(90度以上)には至っていない段階で阻止できて良かった…
絶対に真似しないように!
仏の顔も三度、坊主の顔は三度もモスキラス
「蚊」の特性を持ったモスキラスは当然吸血がお得意なようだ。
しかし、ただの吸血では今までの怪人と同じだ。
モスキラスは血だけではなく、あらゆる液体を吸収してしまうという特性がある。
そのため吸血ではなく、正確には「吸液」をしていることになる。
人間であれば血はもちろんのこと、水分や胃液、リンパ液など液体であれば全て吸収する。
そして最後にはからっからになった骨のみが残るという恐ろしい吸収能力を持つ。
吸収により何かパワーアップするような描写はないが、体力補給にはなっていそうだ。
この能力で猛は吸収の餌食になりかける。
そしてモスキラスにはもう1つ飛行能力もある…が前回の「アブゴメス」など虫系の怪人なら飛べてよさそうな怪人が多く、今までなんであんまり飛ばないんだと思っていましたがやっと有効活用しだしましたね。
これこれだよ!飛行能力!
今回モスキラスは坊主に変装して三度も人を騙すことに成功するが、やはり坊主姿だと安心と信頼感があるんですかね?警戒心なくついついお尋ねしてしまうんですね。
ショッカーにとって坊主の変装は有効利用できそうですね。
ストーリーの転換点と考察
次回登場の怪人を救援に出さなかったこと
今のところだいたい1話で新怪人は1体(再生怪人を除く)となっている。
しかし、今回は次回予告を待たずに新怪人「シオマネキング」が奥の手として地獄大使から紹介された。
紹介しながら吊り橋下で「仮面ライダーめ!」と言っているぐらいならモスキラスにシオマネキングを救援として出せば良かったのだ。
いつもなら次回の怪人が完成していないので救援は難しいが、今回は2体目完成してるんかーい!出さんかーい!助けんかーい!とツッコまずにはいられませんでしたね。
最近の怪人は仮面ライダー倒したい病にかかっているのか、幹部に命令されたから仮面ライダーを倒すのではなく、自分の意志で仮面ライダーを倒したいという感情がプログラミングられているような言動が多い。
これは仮面ライダーと聞いたり、見たりすると好戦的になるように作られているからではないだろうか?
「郵便ポストが赤いだけでムカつく」みたいに理不尽なキレかたをするようにみたいな。
そのため他の怪人に手柄を取られるという自尊心を傷つける行為への配慮で救援を出さないのか?
「助けはいらない自分で倒したい」っている気持ちは負けず嫌いなら理解できると思います。
プライドに配慮した結果?いや…ショッカーなら勝利優先でしょ!
しかし今回は急にダブルライダーが登場したので、ダブル怪人でも自尊心傷はつかないだろう。
むしろ「助けて…なんかもう1体完成してたじゃん…」と思っていたに違いない。
出し惜しみしていたら仮面ライダーには勝てないぞ!
今回の特撮表現の面白さ
モスキラス特有の吸血表現
モスキラスの口に管が付いておりそこへ赤い液体を流して吸血を表現している。
この表現であれば他にも似たような吸血表現が登場している。
だがモスキラスは管が頭まで続いており、その管がまるで脳みそのようにぐちゃぐちゃに絡まって配置されている。
その脳に血流が回っているような様子がまるで脳汁ドバドバ状態のようでショッカーのサイコパス的な残虐性を表しているように感じる面白い表現だと思った。
水中基地侵入表現
モスキラスとの戦闘の末「那智の滝壺」に落とされる2号。
那智の滝は落差133m、滝壺の深さは10m、毎秒1tもの水が流れる総合力日本一の滝である。
2号は熊野那智大社の「御滝拝所舞台」という那智の滝を正面から低い位置で拝めるスポット付近から滝壺に落とされたため無傷で済んだが滝の頂点から落とされていたら危なかった。
2号はこの滝つぼの奥でショッカーアジトへの入口を見つけるのだが、侵入の際に入口で室内に水が流れないように排水装置が作動する。
この装置をガラス張りの基地入口模型に仮面ライダーのフィギュアを立たせて、その中に水を流し込み、下から逃がすことで排水装置を表現している。
那智いる滝兄ちゃん…那智の滝…なんちゃって!
モスキラスとダブルライダーの空中戦
「瀞峡」方面に飛行し逃走するモスキラスを追うダブルライダー。
「谷瀬の吊り橋」に降り立ったモスキラスをダブルライダーは挟み撃ち。
たまらずモスキラスは再度飛行で吊り橋下の浅瀬へ逃走して態勢を立て直す。
だがダブルライダーの猛攻は続き、投げ技で再度橋の上に戻されたモスキラスはダブルライダーキックによって絶命する。
高低高と高低差を利用することでよりダイナミックな戦いを演出している。
蚊(モスキラス)が撃破された表現
ダブルライダーキックで吊り橋から落下するモスキラス。
いつもだと怪人は爆発して絶命するのだが、今回は蚊ということで蚊が水面に叩きつけられてプチッと潰れ、今まで吸ってきた液体が漏れ出すように水面に赤い塗料をもやっと広げてモスキラスの死を表現にしている。
夏休みの敵(蚊)撃破というやつですね…
特撮満足度(★で5段階評価)
特撮満足度
アクション:★★★★☆
高所:★★★★☆
火力:☆☆☆☆☆
水場:★★★★☆
仕掛け:★★★☆☆
ロケ地(執筆者の調べ)
・「熊野那智大社」
・「那智山瀧見寺廃寺」
・「那智の滝」
・「忘帰洞」
・「瀞峡(谷瀬の吊り橋)」
次回予告より(第73話「ダブルライダー 倒せ!!シオマネキング」)
次回のショッカーからの刺客は怪人「シオマネキング」。
「シオマネキ」の特性を持った怪人だ。
シオマネキとはあまり聞かない生物だがいわゆる「カニ」の一種であり、片方のハサミが大きく発達しているのが特徴だ。
「シオマネキ」という名前の由来は、その大きなハサミを求愛行動として振る様が「潮が早く満ちてくるように招いている」ように見えからである。
オシャレな由来ですよね。メスを招き入れるように見えるのではなく、潮が満ちるように招いて見えるという表現が神秘的ですよね。
シオマネキングは仮面ライダーを溶かしてしまうほどの泡を噴き出すようでまさに「死を招き(しおまねき)」な怪人だ。
シオマネキングは今回、予告前の物語最後に地獄大使から奥の手として紹介される珍しいパターンで登場した。
奥の手とあっちゃあ否応なしに期待しちゃいますね!
物語的には勝浦港編の続きの構成で引き続き一文字も登場。
そしてユリたちが沈められていた熱湯風呂の場所にも再来訪。
ショッカーの新アジト建設を諦めない地獄大使の次なる策とは!?
そして今回の次回予告もショッカーナレーションで地獄大使が担当。
「チャンネルを合わせようではないか!」
まとめ
世界遺産ひしめくロケーションが最高の回でしたね。
そのせいかあまり火薬を使わない構成だったように思います。
世界遺産で爆発しまくって那智の滝や寺院に損傷を与えたらリアルマネーが平和じゃなくなる。
勝浦はこれだけ開放的で名所が点在している土地なので訪れてみたいなと思いますよね?
個人的には瀧見寺が気になりますね。ここは日本か!?と思うような特徴的なデザインで、廃寺しているようですが建物は残っているようなのでいつか生で見てみたいですね。
こんな魅力的なスポットならショッカーが基地を作りたいのも納得だ。
今回は待望の一文字帰還でのダブルライダー戦線だが、勝浦の魅力をPRする意味でも最高の回だっただろう。
全体通して何度振り返っても仮面ライダーの魅力より勝浦の魅力が目立った回であり、仮面ライダーファンには複雑かもしれないが、その分本編の魅力を損なわないようにダブルライダー構成となっており、非常にワクワク感がある。
「今度は貴様を助ける番だな!」という約束通り、一文字が猛を助けるという展開が熱い!
次回も勝浦編なのでダブルライダーと勝浦の魅力を楽しめますよ!
今回判明したこと
・ショッカーは紀伊半島周辺にショッカーの海底基地を造ろうとしている
・当時(1970年代)は工場地帯が多い地域を離れることを「光化学スモッグとさよなら」と表現する
・チョコは食べることが生きがい
・ユリ、ヨッコ、チョコはお揃いの変わったTシャツを持っている
・エンディング曲がなぜか「仮面ライダーのうた」から「ライダーアクション」に変更