ネタバレがあります。
本編を楽しんだ後に閲覧することをオススメします。
第67話「ショッカー首領出現!! ライダー危し」感想・考察
あらすじ
アルプスの山小屋に潜伏するFBI捜査官「ピエール・アンドレ」は日本支部の滝和也に通信を送る。
アンドレはショッカーの重要な情報を掴んだようだ。
内容は「日本の真鶴海岸にショッカーの最高機密作戦書が送られる」というものだ。
情報内容を繰り返し確認する滝。だが妨害電波により通信が不安定となる。
山小屋からの電波をキャッチしたショッカーに妨害を受けたのだ。
アンドレは怪人「ギリザメス」に襲撃され命を落とす。
アンドレの死を悟った滝はかたき討ちを誓う。
次の日、アンドレの情報を元に滝は藤兵衛とともに真鶴海岸へ向かう。
日本支部とコンタクトを取った捜査官たちの末路
アルプスの山脈、そのどこかにショッカー秘密基地がある。
FBI捜査官「ピエール・アンドレ」はショッカーの重要な情報をキャッチし日本支部の滝に伝える。
だがショッカーは情報を盗まれたことを知ってか電波探知機でアンドレの居場所を突き止める。
そしてアンドレはギリザメスに焼かれて死んでしまった。
アンドレは滝とともにFBIの訓練を受けてきた間柄で「いい奴」だったようだ。
日本にコンタクト、救援に向かったFBIはことごとく通信をキャッチされて殺されている。
もはやジンクスでもあるのではと思うほど日本と関わるFBIは悲しい結末を迎えている。
それだけショッカーがFBIの介入を警戒している証拠だろう。
ただでさえ日本支部は仮面ライダー1人に手こずっているのにFBIに介入されては余計動きにくいのだろう。
アルプス山脈というとミカやエミ、死神博士を思い浮かべる。
ヨーロッパ、しかも死神博士の支部は猛が殲滅したと思っていたのだがまだひっそりと存在していたようだ。
通信筒争奪戦
ショッカーの機密文書はアンドレの通信から次の日、日本時間の午前10時に真鶴海岸に届く。
滝と藤兵衛は釣り人の変装をしながら文書の到着を待つ。
文書は午前10時ピッタリに輸送機から「通信筒」が投下。
それを見計らった戦闘員と滝たちは争奪戦を行う。
滝が戦闘員から通信筒を奪い藤兵衛パス。
そのまま藤兵衛が車で逃走。しかし車内にはギリザメス。バイクで追いかけてきた滝に再度パス。
藤兵衛はギリザメスに気絶させられ車はコントロールを失う。
暴走する車を駆けつけた仮面ライダーがガードレールに突っ込む寸前で阻止。
大漁に釣れた藤兵衛だが危うく魚のエサになりそうになった。
暗号にはあの人物の名前が!?
ショッカーの追手を撒いてなんとか通信筒を持ち帰った滝は自宅で暗号の解読を急ぐ。
前回も登場した滝の部屋である317号室でショッカーの最高機密作戦の内容を解読する。
滝の部屋には窓際の額縁の裏にスイッチが隠されており、スイッチを押すと壁の中央に飾られた絵がスライドし、その裏にFBIとの通信用のコンピュータがあり、これに返送がくるようだ。
ちなみにこの壁、特徴的な白い四角のタイルなのだが、前回この壁を破壊して怪人が侵入している。
ということは隠されたコンピュータごと破壊されたことになる。つまり実は壁の修繕費以外にもコンピュータ代がかさんでいたことになる。痛い出費だ…
暗号をFBIニューヨーク本部に送り、FBIのコンピュータで解析、10分で解読は終了し滝の元に返送される。
内容は「ショッカーの世界会議が東京湾上、北緯35度16分地点の島で開かれる。同会議の出席メンバーはショッカー首領以下世界各国幹部」。
緯度の地点は神奈川県にある東京湾唯一の無人島「猿島(要塞島)」を示している。
そして出席メンバーの中にはショッカー首領の名もあった。
これはショッカーの親玉を倒して一気に組織を壊滅させる大チャンスだ。
ショッカー首領の正体はユリの勘だと「普通の人間じゃない(改造人間)」、滝の勘だと「案外平凡な人間」。
女の勘が当たるか、FBI捜査官の勘が当たるか。
今までの傾向や前回の悪魔祭りの秘術など人間離れの能力を持っていることから改造人間と考えるのが妥当だろう。
だが首領がショッカーを創設した時、今ほどの規模や科学力があっただろうか?
このことから案外平凡人間という滝の予想もあながち間違いではない可能性がある。
2人の予想が両方正しいと仮定すると「平凡な人間だが生まれつき他の人にはない才能があった」と考えるとつじつまが合う。
現実の例でいうと超能力者「ユリ・ゲラー」のように念力でスプーンが曲げられる人物がいる。
ユリ・ゲラーは人外というには平凡ながらも人間としては特異な才能を持っている。
創設当初の首領もちょっとスプーンを曲げられる程度の平凡な人間だったかもしれない。
それでも普通の人間には不可能な力であり、その能力を奇跡に見立てて信者を作り、組織を大きくして科学力を高め、その後首領専用の改造手術により強大力を手に入れた。
平凡な人間がちょっとした能力で組織を大きくし、膨れ上がった力を首領自身に還元することでやがて首領は人外となってしまったのかもしれない。
世界ショッカー会議
猿島に上陸する各国幹部。
世界各国の幹部は死神博士や地獄大使のような色物ではなく、まあ小ぎれいな各国の外交官って感じのおじさんたちが集合した。
各国のショッカー幹部
・モハメド(モロッコ支部長)
・ハンフリー(ジブラルタル支部長)
・ヤン(シンガポール支部長)
・チャン・フォーティー(香港支部長)
いや~このラインナップ見て考え深くなりますね~
ジブラルタルとモロッコは近いんですけどヨーロッパの端っこというね!
つまり本郷猛にヨーロッパ支部を殲滅されすぎて端っこの支部しか生き残っていないという話しですよ!
そしてシンガポールと香港はアジア圏。
これはね~いよいよヤバいですね…日本も入れて世界会議で5ヵ国って…G7も7ヵ国ぐらいなので主要国だけってことですかね。
一文字が南米に行って暴れていると考えると南米の支部は参加できない、してる場合じゃないでしょうね…
何もかも嘘!?要塞島の「V作戦」
最高機密作戦である「V作戦」が今回の議題である「世界ショッカー会議」。
…と仮面ライダー側は思い込んでいた。
だがV作戦は議論するまでもなく「V作戦の会議をエサに仮面ライダーを猿島におびき寄せる作戦こそがV作戦そのもの」だったのだ。
まずは通信筒で滝に情報を掴ませて偽会議の開催場所に潜入させる。
そして仮面ライダーを猿島の会議室まで侵入してきたところを幹部のダミーとして用意した「仮面ライダー破壊人形」から噴出されるの「アンドロガス」とギリザメスで足止め。
アンドロガスで仕留め切れば終了。
もし屋外に脱出されてもBプランとして猿島ごと爆破して仮面ライダーを破壊する作戦に移行。
完璧に思える作戦だが、下手をすれば待ちぼうけ状態に陥っていた可能性がある。
まず前提条件として嘘の情報を仮面ライダーや滝に掴ませる必要がある。
だがショッカーはアンドレを始末した。
もしアンドレが滝に情報を伝える間もなく殺されていたら、嘘の情報を掴ませることができずに誰もいない真鶴海岸で戦闘員が嘘情報の入った通信筒を回収するだけで会議の存在は知られないことになってしまう。
そうなれば猿島でいくら待機していようと誰もこない。危うくまだかな~状態になるところだったのだ。
まあ情報を掴ませることが失敗したとしても最悪FBIに情報をくれてやれば良いこと。
だが問題はショッカー首領の「アルプスからの無線連絡、そして通信筒、その中の暗号文、全ては仮面ライダー!貴様をここにおびき出すためのものなのだ」という発言だ。
揚げ足を取るようだがこの言い方だと殺されたアンドレにスパイ疑惑が浮上する。
なぜなら「アルプスからの無線連絡」時点から罠だったとするなら、そもそもアンドレの捜索・殺害は必要がなかったからである。
もしアンドレがスパイではないのなら無線連絡は罠ではなく、ショッカーの失態であり、情報が滝に漏れたのは結果論であるからだ。
ではなぜ殺されたかというと役目を終え必要がなくなったから、もしくはやはり敵同士だっただけと考えられるだろう。
どちらにせよアンドレを殺せば親交があった滝が必ず食いつくと思ったからではないだろうか?
個人的意見だが全体を通して演技やシチュエーション的にアンドレがスパイだったとは考えにくい。
そのため脚本上の誤解だったのではないかと考えられる。言語って難しい…
なぜならアンドレは「いい奴」だったから。
嘘で塗り固められたV作戦であるが、各国の幹部と思われる人物たちまでも偽物だったのかが疑問に残る。
滝が水面で幹部上陸を見張っていることを知らずに幹部たちは戦闘員にそれぞれの担当支部名と名前を名乗っていく。
この行動すら滝が聞いていることを見越して、本物の幹部が上陸したと思わせるために偽物に名乗らせていたとすると首領はかなりに切れ者だ。
各支部長ともにゾル大佐、死神博士、地獄大使のように幹部としての凄みはなく、幹部専用の軍服らしい格好もしていない。
それにそもそも首領も海外からくるので首領の上陸が確認できない時点で偽物の可能性が高い。
各国の戦闘員、または囚人たちに幹部を名乗らせて陽動に使った線が濃厚なように思う。
アンドロガスって有名なの?
仮面ライダー破壊人形から放たれたガス。
ガスを受けた仮面ライダーは瞬時にこれは「アンドロガス」だと断定する。
アンドロガスは改造人間の肉体組織を破壊する。
物語中初登場のガスであり、首領も何も言っていないのにガスの正体を特定したライダー。このガスを浴びた経験がおありで?
名前の由来を紐解くと確かに「アンドロ(アンドロイド(人型ロボット))」=改造人間と考え、それに影響を及ぼすガスと考えれば仮面ライダーに効果ありと考えられるだろう。
だが具体的な名前が出てきたということは海外での活動中に受けたことがあるのかもしれない。
視聴者目線で観ているものとしては最初、52話「おれの名は怪鳥人ギルガラスだ!」でギルガラスが放つ改造人間専用の麻痺効果がある「デッドマンガス」ではないかと考えていた。
デッドマンガスを受けた改造人間さらにプラスして「ガンマーG」という薬品を注入することで改造人間を死に至らしめることができる。
この一連の工程を統合してより強力なものにしたガスがアンドロガスというイメージだ。
ガンマーGの効果を正確に言うと「完全に改造人間の機能は破壊する」ということなので「改造人間の肉体組織を破壊する」というアンドロガスの効果とほぼ同義であり非常に似た性能をしていると思われる。
太平洋の暴れ者ギリザメス
ギリザメスの能力で一番驚いたのはノコギリの威力でも火炎放射の威力でもない。
真に驚いたのは「アンドロガスへの耐性」だ。
アンドロガスに浸食されつつある会議室に足止めのため突入するギリザメス。
仮面ライダーという改造人間が苦しむ室内に飛び込んだ時は「いやいや改造人間のお前も食らうだろ!条件はイーブン!」と思って観ていたが妙に軽快なギリザメスを見て「こいつ…動くぞ!ガス耐性があるな!」と考えを改める。
改造人間に効果があるガスなのでギリザメスも例外ではなく効果対象なはずだ。
確かに効いていないわけではないだろう。だがその耐性が異常に高いのだろう。
これを見て本当にこの作戦に特化した怪人を投入してきたんだなと関心していましたが、首領にも最後の詰めの甘さがあり、撃破されてしまう。
最後は海での戦いなためサメに有利かと思いましたが、そこは特化していなかった模様。
その代わりかなりのテクニックを持つ。それが「キック殺し」だ。
ライダーキックをその耐久力で弾き返した怪人は多いがギリザメスはなんと技で返す。
ギリザメスはライダーキックに合わせてジャンプしてライダーキックを回避し、その刹那カウンターを仕掛ける。それが「キック殺し」だ。なんてテクニシャン…
これは他の技も対策済みであればかなりやばかった…
余談ですが滝に島が沈むことを伝えるため余所見がしたい仮面ライダーがギリザメスの角(ノコギリ)を掴みホールドするのだが、その際にギリザメスがもごもごしてるのがちょっとかわいかった…
ストーリーの転換点と考察
ショッカー首領の正体を暴くことに焦りすぎた
猿島に潜入した仮面ライダーは雑魚を滝に任せて世界ショッカー会議の現場に急ぐ。
そこでは今まさにV作戦についての議論が始まるところだった。
首領の正体を暴くことに焦った仮面ライダーは様子見をせずに間へ割って入る。
だがその会議は仮面ライダーを誘い込むための罠だった。
すぐに割り込まず少し会議の内容に耳を傾けていれば有益な情報を手に入れることができたかもしれない。
そもそもV作戦自体、罠なのだからこれ以上何も議論のしようがない。
V作戦とは何かを探るために少し首領を泳がせて、「外は騒がしいけど仮面ライダーこないな~」とか「議題を発表したけど作戦自体嘘だし話すことねえ…」とこう着状態となればV作戦は嘘だと気づけたかもしれない。
どちらに転んでもライダーなら事件を解決できたが、視聴してる側からすれば「ちょっと…ライダーもうちょい内容聞こうぜ…ちょうど始まったところだし…」と思っていたら罠でしたガスがぐるじ~からのギリザメスで足止め!と将棋倒し式に首領の思惑に引っかかっていったので慎重さには欠けていたように思う。
ガス換気しちゃってた
仮面ライダーも焦りすぎだが、首領も勝利を焦った。
アンドロガスを有効に使うにはガスの濃度が大事だ。
濃度を上げるには密室にしてガス充満させる必要がある。
首領はこれを怠ったため部屋の入口からガスが換気された状態となり、そのまま逃走路としても機能してしまった。
足止め要因のギリザメスにはガス耐性があり、サメの特性もあるため島が沈んでしまっても海を容易に移動し脱出することができる。
そのため仮面ライダーが侵入、ギリザメスが到着した時点で入口を塞いでしまえば良かったのだ。
今回の特撮表現の面白さ
ギリザメスのノコギリドリル表現
板の向こうからドリルで穴を開けることでギリザメスのノコギリドリル攻撃での壁破壊を表現している。
滝の部屋の通信コンピュータ
絵画の裏のスイッチを押すと別の絵画がスライドしてその奥にコンピュータが隠してあるという仕掛けを作ることで、いかにもFBI捜査官の潜伏先というような部屋を表現をしている。
仮面ライダー破壊人形の表現
首領や幹部のダミーとしてマスクを被せたマネキン人形を用意する。
首領のマネキンには首領らしい悪魔っぽいペイントがなされ、首領の言葉に呼応するように目が点滅するように工作されている。
首領の椅子もちょっと豪華でガイコツの装飾が施されている。
猿島の爆発
今までも本編で模型の爆発は何度も観てきた。
今回注目したいのは猿島模型の登場タイミングだ。
猿島は実在する島なので映像や画像を使うことで撮影は可能なため本来は模型の必要がない。
だが今回は猿島の模型をわざわざ用意している。なぜか?
それは「爆破する予定なので模型を用意した」が正解だ。
だが模型を映したことで「実物があるのに模型で表現したということは、この模型爆発予定だな」と分かってしまい、展開が読めてしまう結果となった。
予測通り猿島は仮面ライダーを倒すために島ごと爆破される。
まさか特撮表現が今後の展開のネタバレをしてしまうなんて…
この点に配慮がなかったことが残念といえば残念ですが、初見では分かりにくいため、まあいいのか…
特撮満足度(★で5段階評価)
特撮満足度
アクション:★★★★☆
高所:★★★☆☆
火力:★★★☆☆
水場:★★★★☆
仕掛け:★★★★★
ロケ地(執筆者の調べ)
・「猿島」
次回予告より(第68話「死神博士 恐怖の正体?」)
次回のショッカーからの刺客は怪人「イカデビル」。
「イカ」の特性を持った怪人だ。
イカなので10本の触手とイカ墨で視界を奪い触手で絡めとるという攻撃が予想される。
ただ普通の改造人間とは違い超強力な改造人間であるため何か他に秀でた能力があるはずだ。
名前の一部「デビル(悪魔)」というワードがその能力の存在を匂わせる。
ナレーションの「イカデビルの正体は誰だ」って…いつもの怪人なら何かの生物とその辺の人間の合成体であって誰かって聞いてる時点でねえ?
予告場面を見れば誰が見てもあの生物が正体とわかります。
しかもサブタイトルでまるわかり。
「その正体は!?」→「死神博士 恐怖の正体?」→「死神博士には別の側面がある」
「○○死す!」ぐらいのインパクトからの実は死なないぐらいの逆転展開はあるのか!?
まとめ
いや~出たと思ったら出ませんでしたね!ショッカー首領!
最終章を匂わせておいてからのお預け突入ですね~
やはりまだまだショッカー首領は姿を見せてくれない模様。
ただ今回分かったことはショッカー首領は部下と差別化するために赤とガイコツを好んでいること。
赤は仮面ライダーのスカーフ、そして戦隊ものだとリーダーの証。
首領は後者でしょう。
先ほど最終章はお預けと書きましたが、お預けではない可能性もあります。
なぜなら今回の作戦立案者が首領の可能性が高いからです。
根拠としてはいくらダミーとはいえ部下が首領を囮に使う作戦を立てられるとは考えにくいからです。
そんなことしたら殺されちゃう…
このことからわかるように本格的に首領が作戦に介入し、自身の登場をも辞さない覚悟で望んでくる=直接対決も考えられる。
まだ正体を明かしたくはないようだが、時期尚早とも言えない状況であることも確かだ。
やっぱり最終章は近い?(笑)
今回判明したこと
・ショッカーは作戦時間に1秒の狂いもなく実行する
・ショッカーにはライダーキック対策として「キック殺し」なる技がある
・滝の部屋にはFBIとやりとりができる隠しコンピュータがある
・FBIニューヨーク本部のコンピュータは暗号を10分程度で解読できる
・ショッカー支部は「モロッコ」、「ジブラルタル」、「シンガポール」、「香港」にも存在する
・ショッカーには「改造人間の肉体組織を破壊する」ガス兵器「アンドロガス」が存在する
・滝は猿島から離れた島に泳いでいけるほどの遠泳ができる
・滝いわく仮面ライダーは不死身