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第41話「マグマ怪人ゴースター 桜島大決戦」感想・考察
俺を燃やせるのは太陽だけ!耐熱怪人ゴースター
「桜島」と「えびの高原」を結ぶトンネルを掘るように命じる「死神博士」。
その目的は火山活動を活発にして大噴火を起こして九州を大混乱に陥れる事。
前回の怪人スノーマンはダブルライダーによって倒されたが、今度はその逆というか火山話しにピッタリの耐熱怪人「ゴースター」を生み出した。
ゴースターは5000度の高熱にも耐えられる怪人。
太陽の表面温度は6000度。地球上であればどんな熱にも耐えられる身体を持つ炎系最強の怪人だ。
マグマの温度も1400度とゴースターにとっては温泉、いやぬるま湯、いやいや下手したら氷水にでも浸る気分の温度であろう。
マグマも通さないその身体はライダーキックが効かないほどの頑強さだ。
こんな耐熱性があれば夏は天国だろうなぁ…
偽の地震観測所職員
火山トンネル開通へ向けて作業を急ぐショッカー。
しかし、火山付近のトンネル工事は温度が高く人間の身体では長く耐えられず次々と作業員が死んでいった。
その人員補充をするために偽?の地震観測所職員が硫黄谷が噴火すると嘘の情報を呼びかけ(桜島の活動が活発になっているのであながち嘘ではないが)、藤兵衛たちが宿泊するホテルの人々をバスに乗車させ誘拐した。
偽?と書いたのはバスで呼びかけをしていた研究員が前回40話「死斗!怪人スノーマン対二人のライダー」で桜島の噴火を警戒していた地震観測所職員に似ていたからだ。
もしかしてショッカーに操られたかグルだったのだろうか?
もしくは桜島の異変に気づいて東京に知らせにいった留守を狙い、ショッカーが偽装したのか。
そういうところがあかんぞ猛!
「達治」の母の誘拐を知った猛と一文字。
直ぐにショッカーの捜索を始めようとするが猛が人員は1人ずつで言いだろうと言い出す。
達治を送っていく役とショッカーを捜索をする役。
それをコインの表裏で決める。
一文字はコインが両方表ではないかと疑い表を選択。
コインは裏。一文字は達治を送り、猛はショッカーの追跡に向かう。
なんと勘の良い一文字の言った通り猛はイカサマコインを使っており両方「裏」のコインだった。
猛は最初から一文字に捜索を譲る気はなかったようだ。
もしかしたら猛は今回の事件、スノーマンを逃がしたことで日本に危険が及ぶことに責任を感じて危険な役回りを全て引き受ける気だったのかもしれない。
だが猛!そういうところ良くないぞ!
一文字と違って猛は自己犠牲願望が強すぎる。それが藤兵衛の信念である「命をかける」という意味ではその覚悟が藤兵衛に見込まれるのもわかる。
猛に比べて覚悟が足りないと思わせる場面に一文字を叱咤激励するのもわかる。
しかし、仲間を危険な目に遭わせることを極端に嫌うあまり全てを抱え込もうとしている。
藤兵衛や一文字同様にもうちょっと人使いの荒さがあってもいいのかもしれない。
五郎腕時計貰った?
五郎は「霧島屋久国立公園桜島湯之平展望所」の観光用双眼鏡で一文字を捜索していた。
藤兵衛たちが誘拐されたことも気になるが私は五郎の手首が気になった。
五郎は腕時計をしていたのだ。
それがなに?という感じでしょうが五郎は23話「空飛ぶ怪人ムササビートル」で「札幌時計台」の時間と手首にマジックで時計を描いて「合ってる(時間が)」というなんとも涙ぐましい場面がある。
その五郎が腕時計を持っているということは五郎の涙ぐましさを目撃している滝兄ちゃんがプレゼントしてくれたのだろうか?それともこの前のクリスマス会で貰ったのだろうか?
おめー穴掘れや!
今回、再生怪人として「アルマジロング」と「モグラング」が参戦。
アルマジロングは戦闘要因として有望である。当然の選抜だ。
モグラングも地中攻撃で2号を苦しめたという実績はあるものの28話「地底怪人モグラング」でも本業は穴を掘ること。
火山付近の地中熱で人手不足なのであれば耐久力があり、パワーもあるモグラングに掘らせれば良いのに死神博士は作業の工数をあくまで人間で計算しており、その割には工期を急げというブラックっぷりを発揮。
ゾル大佐が残してくれた遺産を有効活用しなきゃ!
お前のものはショッカーのもの、ショッカーのものはショッカーのもの
ゴースターにライダーキックをはじかれ噴火口に落ちてしまう1号。
マグマの中では1分ともたない1号をそのままにしていれば死亡していた。
しかし、死神博士は生け捕りにしてアジトへ連れ帰る。
ゴースターが死神博士の行動に疑問を持つのも無理はないだろう。
今までそうして逆転されてきたのだから。
死神博士は仮面ライダーは元々ショッカーが創り出したものだからショッカーのために力を尽くさねばならないという考えを持っていた。
そして悪の組織のものが「正義・平和・人類愛」を唱えてショッカーに歯向かうのが我慢できなかった様子。
そのため「脳波コントロール」で潜在意識を操り、2号と裏切り者の殺し合いをさせる気だ。
確かに悪にとって正義とか平和とか人類愛はくそくらえだろう。
悪にも正義はあるだろうが善良な正義が嫌いなのだろう。
そして悪にとって平和と人類愛は何が気に食わないのだろうか。
仮にショッカーが世界を征服した先にも平和ではなく争いを求めるのだろうか?
ショッカーだらけであれば歯向かうものがいない、それはもう争う必要がなくショッカーにとっては平和なのではないか?
それとも世界にショッカーだけになればその中でまた派閥争いが激化して分断を生むだろうか?
平和嫌いってそういうことですよね?それとも平和ボケが嫌い?
人類であり人類愛を憎むショッカーの幹部連中は何をきっかけにショッカーに転身したのか。
生まれた時からショッカーなどいないはず。
そもそも生みの親であるショッカー首領は人類なのか?
執拗に善の行いを嫌うショッカー。彼らは人類を憎むの犠牲者なのか?
動悸が気になるところだ。
正義とは…
滝の無線を使い一文字に挑戦状を送る死神博士。
五郎は罠に気付き止めるが一文字は語りかける。
「人間正義のためには罠と知っていてもいかなければならない時がある…お前も大きくなったらわかる時がくる」
守りたいものが出来れば罠だろうとなんだろうと、なんなら正義だろうが悪だろうが人間飛び込んでいくだろう。
それぐらい守りたいものというのは損得勘定を抜きにした感情が創り出すものなのだろう。
わかっちゃいるが恐怖に立ち向かうのは覚悟が必要。
自分可愛さなら絶対にできない。できない大人もたくさんいる。
だが五郎なら分かる時がくる、テレビの前の未来を担う子供たちを信じてこの言葉を送っているのかもしれない。
2人いれば洗脳無効化
潜在意識をコントロールされ洗脳されてしまう1号。
洗脳時の1号の声当てが良かったですね。
無機質で棒読み、覇気のない掛け声がいかにも「操られている」ということを表現している。
展望台に来なかった猛を心配して声をかける一文字目掛けてバイクを停止させずにそのまま突進。
洗脳されていることを知った一文字はある作戦を実行する。
それがテレパシーを使い1号の潜在意識に語りかけることで脳波コントロールされた状態を逆脳波コントロールしてやろうというものだ。
ここで新事実として本郷猛と一文字隼人は仮面ライダーの能力で何千キロ離れていてもテレパシーで通じ合うことができるという特殊能力が判明する。
ここで疑問。
猛は今回のショッカーの計画書の概要を文書で伝えようとしていた。
何千キロ離れていてもということならテレパシーで良かったのでは?
日本からスイスの直線距離は約9000キロ。何千キロの何千キロに9000キロはさすがに入っていなかったということか…
確かにほぼ1億キロですからね…
そんなわけで洗脳を解かれた1号そして2号はダブルライダーキックでゴースターを倒す。
ライダーキックを跳ね返すゴースターもさすがにダブルライダーキックは耐えきれなかったようだ。
ショッカーに改造手術を受けて洗脳される前に猛に助けられた一文字は今回逆に猛を洗脳から救った。
これで猛に借りは返せたのではないだろうか。
本当の勇者
事件が解決して藤兵衛たちは船で達治たちや九州の皆さんに見送られながら帰路につく。
しかし、船上に猛の姿はない。
猛は1人影から藤兵衛たちを見送る。
猛は事件後、ヨーロッパへ帰ってしまうようだ。
その前に一目でもみんなに会えばよいのに…
猛も藤兵衛と滝に会いたい。だが、会えば別れが辛く決意が揺らぐと感じ遠くから見送るしかなかった。
そんな猛の決意に一文字は「本当の勇者だ!」と猛を称える。
そして一文字も「日本は任せろ!」と決意の表情を見せる。
またしばらくは猛が留守の日本。
2人でやっと撃破できるほどの怪人が次々と現れる中、一文字1人で日本の防衛は大丈夫だろうか…
逆に猛は日本支部の最高幹部となった死神博士がスイスを留守にしていることでショッカーの野望を阻止しやすくなるかもしれない。
そうすれば猛の日本帰還の日も近い!
それにしても客船が出港する際にお見送りの紙テープが舞うのは風情があるなぁ~
この習慣以外にも日本でしかないそうですよ!
船に乗る人と地上で見送る人による紙テープでの握手。
こういうネット時代だと無駄に思える行いも実はちゃんと対話やコミュニケーションになっていることを現代人にも知ってほしいですね。
ストーリーの転換点と考察
子供たちも誘拐しなかったこと
子供を労働力と捉えないところに日本のショッカーの優しさ?合理性?が垣間見えた。
確かに子供ではまともにトンネル作業はできないだろう。
だが戦争時代や発展途上国などは子供を労働力としてや酷い話し少年兵なんていう扱いの子供たちもいる。
そんな中ショッカーは労働力を選んでいる。
合理的といえば合理的だが、人類の闇に比べれば生ぬるいといえば生ぬるいのかもしれない。
そして五郎たちを誘拐すれば人質として仮面ライダーの侵攻も止められたかもしれない。
ついでに誘拐するのも作戦的にありだったかも?
同じ型の仮面ライダーが2人いたこと
死神博士が脳波コントロールで1号を洗脳した。
ここまでは良かった。
しかし、まさか1号と2号がテレパシーで通じることができるという新事実が判明。
2号により逆脳波コントロールが行われて1号は正気を取り戻した。
今度からは2人同時に脳波コントロールしないとという反省点ができた。
結局人質を直ぐに葬らないで「使い道がある」と言って泳がしたのがそもそもの失敗だ。
今回の特撮表現の面白さ
棍棒ソードアクション
1話「怪奇蜘蛛男」で蜘蛛男の部下の戦闘員が使用していた棍棒プラス、棍棒の端が剣の柄の部分になっており引き抜くと剣として使える優れもの。
これを利用した棍棒を防御させている隙に剣を引き抜き切りつけるというアクションが非常に滑らかなに行われておりカッコイイアクションになっている。
1号の転落シーン
1号がゴースターにライダーキックを弾き返され崖に追い詰められている時、下から煙が立ち上っているので本当に噴火口で撮影しているのかとひやひやした。
だが一応下は地面のようで下では火か燃えており、黒い煙がたちこめている。
しかし、崖下は大火事には変わりないのでかなり危険な撮影だったように思う。
脳波コントロール
脳波コントロールを行う際に頭に装着する装置を変身状態と本郷猛状態(変身前状態)を交互に撮影することで本人(本郷猛の)の潜在意識に入り込んでいるかのような表現をしている。
火の玉ストレート
ゴースターが火炎噴射をする描写がありますが、その機能は火炎放射器ではなく噴火した火山を表現している。
噴射されたものは溶岩のように燃えた、まさに火の玉ストレートを噴射して攻撃している。
この溶岩の表現は球体にガソリンで火をつけて投げているのだろうか?
その後、地面に接地すると爆発している。
もし爆弾を投げているとすれば爆弾に火をつけるという自殺行為なので火の玉と接地面の爆発は別の仕掛けて撮影しているのではないかと思われる。
特撮満足度(★で5段階評価)
アクション:★★★★☆
高所:★★★★☆
火力:★★★★★
水場:☆☆☆☆☆
仕掛け:★★★☆☆
ロケ地(執筆者の調べ)
・「えびの高原」
次回予告より(第42話「悪魔の使者 怪奇ハエ男」)
次回のショッカーからの刺客は怪人「ハエ男」。
ハエの特性を持った怪人だ。
ハエは飛行能力が高くホバリングも優れているため偵察や物質の散布には持ってこいの性能と言えるだろう。
その特性を活かしてハエ男はハエロボットを使いカプセルを撒き散らし立花レーシングクラブの面々を次々と操り一文字の命を狙う。
公衆衛生害虫としてポピュラーなハエをショッカーはどのように駆使してくるか。
死神博士はもう火山作戦は諦めたのか。
猛もヨーロッパに帰ってしまったためやはり日本は1人で防衛することになってしまった一文字の運命はいかに!
まとめ
・ショッカーは子供を力仕事の労働力として当てにはしていない
・猛は両方裏のコインを持っている
・仮面ライダーの強靭な身体でもマグマの中では1分と耐えられない(逆に言えば1分近くは耐えられる)
・ショッカーは脳波コントロール装置で洗脳できる
・一文字と滝はお互いに通信できるように専用?の無線機を持っている
・仮面ライダー同士だと数千キロ離れていてもテレパシーで通信できる
・テレパシーが通じる同士なら片方が正気であれば潜在意識にアクセスして洗脳を解除できる
・猛はヨーロッパに帰ってしまう