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第28話「地底怪人モグラング」感想・考察
量産可能怪人
今回の怪人「モグラング」はモグラだけにやはり目が見えないようだ。
その代わりゾル大佐はモグラングに「エレクトロアイ」いわゆる「人工眼」を与える。
エレクトロアイは地上では伸縮自在、360度の視界をキャッチできる眼だ。
そのエレクトロアイを潜望鏡のように使用して地中から人間の姿をキャッチして次々とモグラ穴に引きずり込み誘拐する。
誘拐した人々は第2、第3のモグラングへ改造され穴を掘る作業員として重労働を強いられる。
この事件で40人もの人々が失踪している。それでも作業員が死んで足りないと言っていることを考えると40人以上はモグラングに改造されたことになる。
ショッカーは幹部クラスの怪人をインスタント式とはいえ量産できるところまで力をつけつつある。
綿密になっていく作戦
今回のショッカーの計画は「日本経済を破壊すること」。
そのための第1歩としてショッカーは川崎横浜東京湾の「石油コンビナート」に目を付けた。
「石油コンビナート」は石油関連企業の生産性向上のために様々な企業と連結している石油施設。
東京湾から輸入で運び込まれる石油を一ヶ所に集めることによって運送コストや石油関連企業への石油の供給がスムーズになるというわけだ。
つまりこの石油施設を破壊すれば自ずと石油関連の企業は運用をストップ、すなわち経済活動をストップせざるを得なくなる。
そうして経済を混乱させ、さらには破壊した施設の莫大な石油を一気に海上に垂れ流して火をつけ、湾内一面を火の海にするという恐ろしい作戦だ。
量産されたモグラングに石油タンクの下まで穴を掘らせて爆弾で穴を開けて石油を海に流すという計画を進めていく。
ゾル大佐加入後は純粋に力や爆撃で混乱させるのではなく、綿密な計画をもとに恐ろしいことをやろうとしている。
計画は実行より準備のほうが大事と言いますからね。
全日本モトクロス選手権
「全日本モトクロス選手権」に出場する一文字のバイクの整備を担当したいと名乗りをあげてきた若者がいる。
「愛川豊」とその弟の「愛川慎二」だ。
モトクロスライダーとして将来を有望視された豊だがレース中に3回転倒してしまったことがトラウマとなり、レースから離れていた。
それでもバイクに関わりたい豊に弟の慎二と五郎の熱心な推薦もありバイクの整備士希望として訪ねてきたのだ。
藤兵衛は整備をさせるかわりに「来年は豊がライダーとして復帰すること」と叱咤激励にも似た条件で承諾する。
しかし、大会に出場予定だった一文字はショッカーの魔の手を嗅ぎ付け大会どころではなくなってしまった。
残念がり帰宅する2人にモグラングが襲いかかり豊は誘拐されてしまう。
それを助けに行った一文字も地中に引きずりこまれてショッカーに捕まってしまう。
豊は誘拐されモグラングになると思いきや洗脳され、一文字の代わりに滝を大会に出場させバイクに爆弾の細工して爆死させるよう命令を受ける。
冥土の土産なら何でも教えてくれそうなショッカー
ショッカーに捕まり地下牢に閉じ込められた一文字。
脱出を図るもゾル大佐に見つかる。
ゾル大佐は今回の計画の概要を「知りたいか?」と尋ねると素直に「知りたい!」と答える一文字。
冥土の土産とドンドン計画を教えてくれるゾル大佐。
さらには豊を解放した理由まで教えてくれる。
ショッカーは毎度立場が強くなると色んなことを教えてくれる。
もしかしたら冥土の土産ならショッカー首領の居場所やショッカーの組織体制など教えてくれるのでは?
ショッカーの戦闘員を捕虜にして尋問するよりわざと捕まって気を良くしたショッカーから情報を聞き出すのもアジトの場所をついでに知れるのでありなのでは!?
改造手術を解く薬!?解放を望む怪人!?
今回は改造手術を解き人間に戻れる薬品が登場する。
第1モグラングが計画を成功させた暁にはこの薬品を使って元の人間に戻してくれるようだ。
ということはだ…第1モグラングは人間時の人格が残っており元の人間に戻りたいと望んでいるということだ。
第2モグラング以降は穴掘り要員として知能指数を低くしてひたすら穴を掘り続ける、まさに大型のモグラとして重労働を強いられていた。知能指数を低くしたのは叛旗をひるがえされたり、元の人間に戻りたいなど文句が多く計画が遅延するためこのような措置をしたのだろう。
第1モグラングはエレクトロアイや作戦実行用に知能指数を保っていることから特別性のモグラングということのようだ。
…?第1モグラングも含めて洗脳でよくない?
元の人間に戻れるという希望を持たせるためのプラシーボ効果の薬品かとも思ったが、仮面ライダーが回収して作業員に使用すると本当に元の人間に戻った。
薬品程度で戻るということはインスタント手術を使用したのかな?そうでなけらばあんなに幹部クラスの怪人を量産できないもんな…
それにしてもモグラング兄弟の中で最も改造解除薬に近い第1モグラングが仮面ライダーに誘い込まれてセメントに落ちてやられて他の兄弟が薬で助かるって第1モグラングなんかかわいそう…
ストーリーの転換点と考察
量産型モグラングの使い方
今度も逆!と思ったのが量産したモグラングの使い方。
穴を掘る人員のため40体以上量産したモグラング。
この40体もの幹部クラス怪人を全員仮面ライダーに当てれば良かったのでは?と思う。
仮面ライダーは地中に潜り込んだモグラングへの攻撃方法を持ち合わせてはいなかったため鉄筋の足場に追い込みセメントに落としてやっと1体倒せたというほど苦戦している。
そんな怪人が40体で襲いかかれば勝機はあったかもしれない。
冥土の土産情報で全部阻止されてしまう
冥土の土産として一文字にベラベラ情報を話すゾル大佐。
それを話さなければ、石油コンビナートのリモート爆弾のスイッチも切られず、改造解除薬の存在を知られず、さらには滝をリモート爆弾で殺そうとしていることも知られずにすんだ。
少なくとも滝の救出はギリギリのところで仮面ライダーが滝をバイクから引き離したことからゾル大佐が喋らなければ滝抹殺作戦のみでも成功させることができただろう。
全部話しことで全ての計画を阻止されてしまうことになる。
まあ仮面ライダーの解決スピードも早かったけどね…
僕がボタン押したい病
子供のころ、バスの停留所に止めてもらうためのボタン。あれ「僕が押したい!」とせがんだことありませんか?誰かに押されてしまうと少しガッカリした記憶ありませんか?
今回ゾル大佐は石油コンビナートに仕掛けた爆弾を自分の執務室で爆発させるといいリモート操作を執務室のスイッチに切り替えさせた。
執務室からのリモート操作に気づいている仮面ライダーは脱出後即リモート操作のスイッチを切り替えたためゾル大佐は執務室からのスイッチで爆破が作動せず作戦を阻止される。
ゾル大佐が「爆破スイッチ僕が押した~い!」とならなければ時限爆弾なり、他の工作員でも爆破できるようにしていれば作戦は実行できたのに…
前回はリモート爆弾が最適な時に時限爆弾を使い、今回のように時限爆弾が最適な時にリモート爆弾を使ったりとゾル大佐の作戦がことごとく裏目裏目にでている。
今回の特撮表現の面白さ
地中の感情表現
土をモコモコさせることで地中でモグラングが喜んでいることを表現している。
モグラング消失表現
今回はライダーキックのように必殺技で撃破することは難しいためセメントを混ぜる機械に落としてセメント固めにして撃破する。
モグラングの模型をセメントみたいな液体に混ぜ、抵抗するようにエレクトロアイがセメントの上から顔をだし、やがてぐったりさせて見せてモグラングの撃破を表現している。
特撮満足度(★で5段階評価)
アクション:★★★★★
高所:★★★★★
火力:★★☆☆☆
水場:☆☆☆☆☆
仕掛け:★★★☆☆
ロケ地(執筆者の調べ)
・不明
次回予告より(第29話「電気怪人クラゲダール」)
次回のショッカーからの刺客は「怪人クラゲダール」。
電気クラゲの特性を付与された怪人。
電気クラゲは実際に電気を出すわけではなく「刺胞毒」を持ったクラゲに触れると感電したような痛みが走ることから電気クラゲと呼ばれるようになったそうだ。
つまりどちらかと言うと毒攻撃を警戒すべき相手のようだ。
ゾル大佐の登場で作戦の概要が緻密になってきたので次はどんな計画で悪さをするのかが楽しみになってきた。
まとめ
・ショッカーは怪人に能力を後付けできる
・ショッカーは幹部クラスの怪人を量産できる
・作業用の量産怪人の知能指数は低く改造している
・一文字の愛読書は「CQ ham radio(アマチュア無線の専門書)」