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第43話「怪鳥人プラノドンの襲撃」感想・考察
本当の親の愛情
藤兵衛、ユリ、エミ、五郎、そして五郎の友人である「並川アキラ」はハイキングをしていた。
アキラの父親で宇宙ロケットの世界的権威である「並川博士」が海外から帰国するということで一文字は取材に滝は警護で港に言っている。ミカは不明。
アキラは父親との再会に喜び、博士はアキラにロケットのおもちゃを買って来てくれるそうだ。
それに対して不貞腐れる五郎。
五郎は父親がいないのかアキラに嫉妬しているようだ。
そういえば五郎の両親が出てくる描写は今のところない。
江戸っ子気質で大工のことわざを知っていたので父親は大工であると考察した時もあるが違ったようだ。
あまりにも不貞腐れものだから30話「よみがえる化石 吸血三葉虫」で滝がバナナの皮を捨てたことを自身で注意したのも忘れてバナナの皮を草むらに投げ捨てる。
エミが注意するが「いいだろ!」と本当にどこまでも不貞腐れている。
レーシングクラブのみんなは家族代わりどころか本当の家族のように大切にされているがやはり「本当の親」というのがいないのが五郎にとってコンプレックスなのかもしれない。
五郎は周りに恵まれてはいるがそれだけ本当の親というものは良くも悪くも何物にも代えがたい「なにか」があるのだろう。
操作するという洗脳表現が微妙に分かりにくい
今回ショッカーは滝とエミの鼓膜に受信機を仕込み怪人「プラノドン」の特殊な電波で操作することで一文字を罠にハメようとする。
この「操作」とう言う名の洗脳がなんとも設定があいまいで怪しい。
操作というよりかは特殊な電波が鼓膜に直接届くことで受信者を苦しめ、その苦しみから逃れる等価交換として命令に従わせるという洗脳というよりかは奴隷手法だ。
つまり滝もエミも自我があり、やろうと思えば抵抗もできる状態だったと考察できる。
その証拠にエミがプラノドンの登場に怯えて抵抗したり、一文字に銃を発砲してしまい罪悪感で泣き崩れるシーンがある。
滝も同様に射撃テストの際に死神博士に銃口を向けて抵抗するなど自我を保っていて、命令に従っているのはあくまで特殊電波の苦痛のせいでは?と感じる演出が差し込まれている。
しかし、情緒が不安定で自我があるように見えたと思ったらなんだか操られたようにボーっと覇気がなかったり、任務をこなすとニヤリと悪い顔になる場面もある。
それに事件解決後に滝とエミは自分たちが何をしたのかよく覚えていないと証言している。
これは自我があれば覚えていそうなことであるが実際には終始洗脳されて自我がなかったかのような釈明の仕方をしている。
それでも自我があったように思えたのがFBIでも射撃能力が高い滝はショッカーの射撃テストでも百発百中。
博士とアキラを乗せた車を襲撃したが、いくら動いている的とはいえ仮面ライダーの等身大パネルの心臓と目を一ミリのズレもなく撃ち抜いた人物にしては外しすぎだ。
これは滝の潜在意識が洗脳をわずかに拒んだ結果、親子に当たらないようにしていたとも考えられる。
つまり抵抗しようとする心がたまに自我を目覚めさせ、それが情緒不安定に見えたのかもしれない。
だが自我を取り戻したように見える場面のセリフが少なく、プラノドンが「操作」という表現を使うものだから「洗脳」か「自我はあるが仕方なく」なのか分かりにくい回だった。
プラノドンは仮面ライダーと相性不利!?
プラノドンは翼を羽ばたかせて嵐を起こし攻撃する。
プラノドンに近づけないほどの暴風を起こして敵を足止めしながら壁に叩きつけて相手を弱らせる。
しかし、よくよく考えると仮面ライダーのエネルギーの源は「風」だ。
むしろドンドンダイナモの風車を回すため風ちょうだい!となるだろう。
1号とは違い2号はシャッターを開閉式なので風を受けるにはひと手間必要だが変身してしまえばこちらのものだ。
だがプラノドンは一文字が変身した後は暴風攻撃は封印して一転口からロケット弾放つ攻撃に切り替える。
意図的かは不明だが良い判断だ。
余談だが前回の記事で考察したがプラノドンはプテラノドンの特性を持った怪人だ。
揚げ足取りではないが「プテラノドン」の「ノドン」は「歯がない」という意味だがプラノドンは牙(歯)がある。
おもちゃのロケットを弁償
事件解決後、並川親子は久しぶりの余暇を楽しんでいた。
そこへ若い男からおもちゃのロケットのプレゼントが送られてくる。
差出人は仮面ライダー。
並川博士はさすが頭脳明晰なだけあって察しが良く微笑む。
おもちゃのロケットを弁償しようと名乗りを上げるなんてカメラのフラッシュを暴発させてアキラへのお土産に穴をあけたあの青年しかいない。
これは実質一文字は並川博士に正体をばらしたようなものだ。
変に一文字の代理で仮面ライダーを名乗らず一文字隼人を差出人にしていたらそのまま「あ~あの時の青年か」で済みそうだが、一度逮捕されている手前姿を現しずらかったのかもしれない。
今回は珍しくショッカーの暗殺対象となった人物とレーシングクラブの接触が少ない、いや…ないに等しい。
フラッシュの暴発事件と滝の襲撃はあったが直接ショッカーと接触のない暗殺対象も珍しい。
ロケット弾を放つ怪人がロケット博士を小型ロケット弾で暗殺しようとしたらおもちゃのロケットに当たるとロケット尽くしの回だ。
裏で人知れず事件は解決していたことで親子は余暇を楽しめましたとさ。めでたしめでたし!
ストーリーの転換点と考察
二兎追うものは一兎も得ず
エミは洗脳されたショッカーの命令で一文字のカメラを同じ型のものとすり替える。
すり替えられたカメラには小型ロケット弾が仕込まれており、並川博士を撮影したが最後、ロケット弾で並川博士を殺害、一文字は殺人の罪で逮捕され動きを封じる一石二鳥を狙ったのが結果的に良くなかった。
アキラが父親会いたさに一文字を押しのけたためロケット弾の軌道はそれて未遂で終わった。
作戦自体は悪くなかったが失敗に終わる。
何が言いたいかというと、一文字の部屋に侵入してカメラをすり替える作戦がとれるのであれば、そのカメラで一文字を撮影、もしくは寝込みを襲うで良かったのでは?と思ってしまうのだ。
「一石二鳥」を狙ったため逆に「二兎負うものは一兎も得ず」という結果に終わってしまった。
殺人未遂で逮捕された一文字も未遂だったためFBIである滝の働きで「カメラのフラッシュの暴発事故」ということで処理され釈放される。
これが未遂ではなく殺人であれば滝も庇いきれなかったので未遂であることが幸いした。
優先順位を一文字にするべきであると言ったが今回はショッカーが不運だった。
今回の特撮表現の面白さ
プラノドンの登場表現
深夜、プラノドンは受信機を仕掛けたエミの寝室に忍び込む。
就寝していたエミは異変に気づいて飛び起きる。
すると万華鏡のような視点となりプラノドンが複数いるように見え、やがて1人となる。
この場面は寝起きで視界がぼやけているエミの視点を万華鏡やトンボの目のように視界を複数に見せることで表現している。
カメラの暴発表現
小型ロケット弾が仕込まれたカメラを表現するために、カメラ本体のフィルムを収納する場所を開きそこから光を通すことでレンズが光り、ロケット弾が発射されたことを表現している。
特殊電波表現
プラノドンの触覚の丸い部分にランプなど電飾を埋め込んで光らせて特殊電波の発射を表現している。
暴風攻撃
大型扇風機などで暴風を起こしているように表現しているのではないだろうか。
ロケット弾回避の速さ
プラノドンと荒野で最終決戦を繰り広げる仮面ライダー。
ロケット弾攻撃で牽制するプラノドンだが注目したいのは仮面ライダーの回避の速さだ。
最初は倍速で処理しているのかと思ったが倍速にしては自然だし動きが遅い。
だからと言って通常の動きかというとそれよりはスムーズで速い。
これはスーツアクターの方が凄いのかまるで軍隊上がりのように至近距離から回避した後、影に隠れほふくの姿勢になるまでに無駄な動きがない。
そしてプラノドンのスーツアクターの方もかなり危険なアクションをこなしており、仮面ライダーに巴投げされてからのそのまま斜面を転がり落ちるというアクションがかなり迫力がある。
夕陽のバック?
プラノドンを撃破した仮面ライダーが夕陽をバックにして立っている姿が凄くカッコイイ!凄くカッコイイのだが…並川親子襲撃作戦は午後12時だぞ?
いくら戦いが長引いたという設定でも5、6時間戦わないと夕陽は出ないだろう!
細かすぎるかな?凄くカッコイイんだけどそんなわけあるかい!という感じにはなった。
特撮満足度(★で5段階評価)
アクション:★★★★☆
高所:★★★☆☆
火力:★★★☆☆
水場:★★☆☆☆
仕掛け:★★★★☆
ロケ地(執筆者の調べ)
・不明
次回予告より(第44話「墓場の怪人カビビンガ」)
次回のショッカーからの刺客は怪人「カビビンガ」。
カビビンガはカビの特性を持った怪人だ。
人に寄生するカビはそれほど多くないようだが、ないわけじゃない。
カビは日本人であれば誰もが口にする日本酒や醤油、味噌など発酵食品に使われており、有害なカビだけではない。
湿度の高い場所で繁殖しやすいので風呂場など水回りで特に苦労するイメージがある。
ショッカーは双子の少女を使って日本全土に「カビ作戦」を決行する。
双子の少女たちはショッカーの洗脳は受けていないようだが何やら不思議な力を持っているのではないかというような描写がある。
双子ということはテレパシーかなにかを超能力を持っているのだろうか。
だがそれとカビがどのように関係してくるのか…
まとめ
・一文字愛用のカメラレンズは「PENTAX」の「スーパータクマー55mmF1.8」
・死神博士は立つことはできるが老齢のためか普段は車椅子で移動している