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第35話「殺人女王蟻アリキメデス」感想・考察
もったいない怪人実験
今回の怪人「アリキメデス」は人間にアリの特性を付与した怪人ではなく、アリの卵をショッカーの科学力で大きくして怪人として羽化させることに成功した怪人だ。
アリキメデスはアリのように「蟻酸」を放ち対象を溶かしてしまう。
この特性を実験するために「東南銀行城北支店」の金庫に侵入する(東なのか南なのか北なのかはっきりせい!)。
警報に駆け付けた警備員も蟻酸で溶かされてしまう。
さあ邪魔者はいなくなった!お金を盗もう!となるかと思いきやアリキメデスは金庫のお金に蟻酸をかけて燃やしてしまったのだ!
ショッカー日本支部は仮面ライダーに計画を阻止されまくって万年金欠だろうから持っていけばいいのにもったいない…
人間を使わない怪人
卵を使わない人工たまごを使ったたまごサンド。カニを使わないカニカマなど見た目や味はそれっぽく似せた食べ物ってあると思います。
アリキメデスは怪人なのですが、人間を使用して改造したものではなく、アリの卵を改造して誕生した怪人だ。
厳密には怪人ではなく知能を持つ人間サイズのアリの化け物を生んだというのが正しいのかもしれない。
この方法を使えば人間を誘拐せずとも動物の卵であればアリに限らず色んな卵に応用できる可能性が高い。
今回のショッカーの目的はアリキメデスを複数個体作り、全国に殺人アリを使役させながら人間を襲うことだ。
しかし、羽化に時間がかかるのが難点である。その代わり卵の強度は鋼鉄のように硬く、火で燃やしても燃えないため処分するのが難しい。
卵を産んだ本体(今回であればアリキメデス)を倒せば連鎖的に破壊される。
下手にアリキメデスが出張るより隠れて羽化を待ってから総攻撃かけたほうが効率良さそう。
人の悪い一文字と滝
一文字と滝は敵戦力を分析するためにショッカーアジトからアリキメデスの卵を奪取する。
分析するということは城南大学とかに持っていくのかと思えば保管先はまさかの立花レーシングクラブ。
普段は仲間たちの暴走やピンチに駆けつける一文字だが今回は自ら仲間にピンチを持ってくるとは…
その割に卵に変化があれば逃げろというんだから人が悪い。
そして無事に事件が解決しアリキメデスを倒すことでレーシングクラブに押し寄せた殺人アリも連鎖的に消滅した。
殺人アリを倒すためにレーシングクラブのメンバーは一生懸命に足踏みしているのを見て一文字は「親父さん!いい運動ですね!」とたまに見せる畜生っぷりを発揮。
藤兵衛は正体を知っているからいいけどマリ、ユリ、五郎にとっては「事件後に戻ってきていいきなもんだ…」と呆れかえっているだろう。
一文字なりに仮面ライダーと自分が重ならないようにわざとおちょけて見せてるという優しさなのか…
それにしても藤兵衛の言う通りこんないつ羽化するともかぎらない卵を保管しとけなんてやはり畜生なのか?滝もだけど…
強力な蟻酸
今までの怪人も液やガスなどを持った怪人が多く登場した。
しかし、やつらは重要な時以外あまりそれを連発しなかったように思う。
今回の怪人アリキメデスはこれでもかというほど蟻酸を連射しており、銀行の金庫の壁からお金、その警備員、レーシングクラブのドア、スパナ、そして仮面ライダーには2度蟻酸を浴びせている。
それだけ自分の武器に自信を持っており鋼鉄のように硬いアリキメデスの卵でも一瞬で溶かしてしまうほどだ。
人間は溶解してしまうが頑丈な仮面ライダーが浴びても焼けるように苦しく水場に飛び込み洗い流さないといけないほど。
あまりにも連射しまくるもんだから最後は仮面ライダーも見切り、回避した後ろの池に蟻酸が溜まり、その中にライダーキックで落とされて自らの蟻酸で溶けて絶命する。
自身の自信ある技で絶命するなんて悲しい…
ちょっと苦手な回
女王アリのため大量のショッカー特製「殺人アリ」を使役して一文字たちに襲いかかる。
そのため特撮表現として大量のアリがうじゃうじゃしているカットが多い。
虫苦手だし、正直アップはきつい…
盗んだ卵を保管していた立花レーシングクラブはアリキメデスの標的となったため外から窓から大量の殺人アリが侵入していてそれが一番怖かった。
「事実は小説より奇なり」意味がちょっと違うけどどんなに怖がらせようと演出してもリアルに勝るもの、恐怖はないということだろう。
古い家に住んでいた時これと似たようなことを経験しているのでマリ、ユリの恐怖は理解できます。
アリの卵は臭い!?
アリキメデスの卵を持ち帰りマリ、ユリ、五郎に見張りを頼む。
卵はしばらくすると臭い匂いを発する。
これが意味することは最後までわからなかったが一説には女王アリの卵にはフェロモンがあるそうで働きアリに卵を卵と認識させるためにあると言われているそうだ。
実際には果物の匂いがするらしい。
アリキメデス自身は卵が滝の仲間のもとにあると既に読んでいたのでフェロモンがなくとも卵の特定ができたであろう。
だが前述した通り、このフェロモンの最大の役割は働きアリが認識できるようにするためだ。
アリキメデスにとっての働きアリ、つまり殺人アリだ。
殺人アリはそのフェロモンを嗅ぎ付けたから立花レーシングクラブのありとあらゆる隙間から侵入してきたのだろう。
一酸化炭素注意!
アリは火が苦手だからと密閉空間で火を焚いて牽制したり、卵を保管している倉庫で籠城しているさいにいっそ卵を燃やしてしまおうとオイルをかけて卵を燃やしている。しかも卵はタイヤの上に乗せておりゴムも燃えている。
窓は殺人アリがどんどん入ってくるから不用意に開けられない。
アリキメデスにやられる前に一酸化炭素中毒になってしまうんじゃないかとハラハラしました。
一文字クイズ大会優勝確実
アリキメデスを部屋から追い出してドアを閉め籠城している時、一文字がドアを開けるよう呼び掛けてくる。
これに対応するマリに対して滝は「待て!隼人の声じゃない!」と反応する。
視聴者の私が聞く限り一文字の声なのだが滝は聞き分けたようだ。
アリキメデスが出ていったばかりなので奴らが一文字の真似しているかもしれないから開けるな!ならわかるのですがどう聞いても一文字の声なのでよく分かったなと思いまして…
滝が一文字クイズ大会に出たら間違いなく優勝できるに違いない。
友情の証なのかもしれないがその割に今回もショッカー事件を一文字に隠して潜入するなど相変わらず水臭い。
ストーリーの転換点と考察
計画の遅れを恐れて卵に固執した結果
たかが卵1個、されど卵1個ですが1個の卵に固執しすぎた。
アリキメデスの卵は残り8個あったのだからそれらの羽化を急げば良かったのだ。
奪われた卵は無理に取り返さなくても羽化しそうだったし、アリキメデスの蟻酸でなければ壊せないほど頑丈だったのだ。多少敵(仮面ライダー)の手元にわたっても問題なかったはず。
北海道→東北→中国→四国→九州とアリキメデスを増やしていきたいなら他の卵を羽化させればいいじゃないのと思うだろう。
どうも台の上に置いてあり青い光を浴びていた卵を盗まれたのが痛手だったようだ。
もしかしたらあの光をある程度浴びせると羽化する、もしくは浴びせると成長が早くなる装置に当てていたいわゆる卵を暖めている状態だったのかもしれない。
他の卵はその前段階だったので羽化しそうな卵を奪われたことで計画が遅れたのかもしれない。
暖める装置が一台しかないので並行作業ができず1つ羽化が遅れると全部遅れるかもしれない。
ごちゃごちゃ言わず次の卵暖めとけよ!
急がば回れっていうことですね。
今回の特撮表現の面白さ
アリキメデスの羽化表現
暗い部屋で手術台の光とドライアイスで「来るぞ来るぞ!羽化来るぞ!」とワクワクさせて発泡スチロールで作ったような卵の中からアリキメデスがバリンと誕生。
まわりの科学陣は実験の成功に武者震いで手をワナワナさせ感動している。
ショッカーの洋館トラップ
一文字と滝が侵入した洋館(ショッカーのアジト)はアリキメデスの研究のため警備が厳重だった。
外には戦闘員の見張りに加え「殺人光線装置」が設置されている。
殺人光線装置は半田篭手みたいな形の先っぽが光ることで光線発射を表現している。
大変強力だが2人は戦闘員を尋問してスイッチの場所を吐かせて木の幹にあるスイッチをオフにすることで直ぐに停止されて活躍機会なし。強いて言うなら最初にハトさんが撃ち落とされたこと…
他は落し蓋トゲトゲトラップ。
殺人光線装置以外はそれほど強力なトラップはない。
申し訳程度のトゲトゲトラップは逃走のさいに戦闘員が1人潰されることで活躍を披露。
アリキメデス巣穴表現
落とし穴でアリキメデスの巣穴に落とされた一文字。
巣穴は小さなクレーターが無数にあり、その1つ1つが殺人アリの巣だったようだ。
月面の表面を内側に曲げたようなデザインだ。
アリキメデスの蟻酸
アリキメデスの触覚からドボドボ赤い液を出して蟻酸の表現をしており、赤い霧を起こすことで蟻酸で物が焼けるようにジュワジュワ溶ける感じを表現している。
ドボドボと表現したが本当に蟻酸を放つときブシャーっと勢い良く出るのではなく飲み物を注ぐみたいな出方をする。
アリキメデスの卵が羽化しかける表現
アリキメデスの卵は羽化しそうになると卵が赤と青に点滅する。
視聴者に分かりやすいように点滅させているのかと思いきや物語の設定上本当に光っているようだ。
最終的に仮面ライダーに蟻酸を放つさいに卵を盾にされ溶けてしまっている。
その時に卵の中身が少し見えるのだがちゃんと幼虫らしきものが見えて細かく作ってあるなと思った(もしかしたら影かもしれないけど)。
特撮満足度(★で5段階評価)
アクション:★★★☆
高所:★★★☆☆
火力:★★★★☆
水場:★★☆☆☆
仕掛け:★★★★☆
ロケ地(執筆者の調べ)
・不明
次回予告より(第36話「いきかえったミイラ怪人エジプタス」)
次回のショッカーからの刺客は怪人「エジプタス」。
エジプトの特性?でいいのかな?4000年前のミイラが怪人として復活したようだ。
ツタンカーメンのような怪人。
次回は時価10億円の宝石をめぐる戦い。
やっぱりショッカーは金欠じゃないか!
今回もせっかくアリキメデスが銀行の金庫に侵入したのにお金を奪わずに蟻酸で燃やしてしまう。
まあ銀行の支店には10億円もないだろうし、金庫にもそんなに入っていないと思いますが物語上では1つの棚の1枠に100万円の束が10積み、それを5列ほどだったので5億はある。
画面だとそれが6枠はあるので30億円、枠によっては10積み以上のある枠もあるため相当な金額だったはず…
仮面ライダーと喧嘩して10億円の宝石など奪い合わずに大人しく銀行から持ち去っていれば良いものを…
時価10億円の宝石はエジプトに関係するもので実はピラミッドから盗掘したものでそれを取り戻すためにツタンカーメンとかが復讐のために復活したとか?
まとめ
・ショッカーは防衛システムとして一定の範囲内にショッカー以外のものが入ったら光線で攻撃する「殺人光線装置」を持っている
・ゾル大佐は隠れた人間の気配を察知するのに長けている
・ショッカーは生物の卵から怪人をつくることができるようになる
・滝は一文字の声を正確に聞き分けられる