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第29話「電気怪人クラゲダール」感想・考察
宇宙人の襲来
「鷲ヶ崎燈台」付近で「川本浩太」は愛犬の「ポチ」を探していた。
村のおじさんが草むらのほうで犬を見たという証言をもと草むらに探しに行くと、クラゲのような透明の頭に青い身体の宇宙人のような怪物が現れ先ほどのおじさんを電気ショックで倒れてしまった。
浩太は驚いて警察に相談したり友達に訴えるが誰も信用してくれない。
そこで浩太は兄のカメラを使い証拠写真を撮りに行く。
そして同じ草むらでクラゲの怪人と覆面の人物を目撃する。
怪人の名は「クラゲダール」そして覆面たちはショッカーの戦闘員。
ここでなにか悪さをする気だ。
浩太は証拠写真を撮るのに夢中で背後に迫る戦闘員に気付かなかった。
見られたと思ったクラゲダールは浩太を感電させる。
証拠写真を撮られたクラゲダールは証拠隠滅するかと思いきや仮面ライダーをおびき出すためにわざと浩太が写真を世間に公表するように見逃して去る。
それにしても他に気になることがありすぎる!
結局ポチは見つからず引き返してきて最後までポチが登場する描写もないこと。
クラゲダールによって誘拐された人々の行方不明理由が新聞では「それぞれ家庭の事情が原因と思われる」としている。
つまりクラゲダールによる誘拐はなくとも、もともと家族関係に問題があったことになる。
家庭の事情ってなんだ?
喧嘩とか家庭崩壊とか家出などでしょうか?
何かさらわれたのに家族に心配されていないのはかわいそう…
仮面ライダーが救出してそれぞれの家庭に帰っていった時どんな空気になるんでしょうか…
「えっ!帰ってきたの!」とか…
そして浩太の身体の頑丈さ。ポチ探しに夢中な浩太は草むらに隠れた崖に気づかず、結構な高さで頭から転落した。それで「いてて」で済むんだもの。宇宙教の加護かなにかだろうか?
あとなんかクラゲダールの話し方。「○○なのだ!」っていうのどこかで聞いたなと思ったら8話「怪異!蜂女」の「蜂女」の声優さん「沼波輝枝」氏でした。
女性の声なので女性怪人かと思いきや「俺の電気ショックを受けたら1時間は気がつくまい」とか独特な去り際で「また会おうぜ!」と男性言葉で発言をしているのでおそらく男性怪人だと思います。
ちょっと不思議な声質なので宇宙人感が出ててピッタリでした。
それにしてもクラゲダールと仮面ライダーのやり取り面白かったな~
クラゲダールが「仮面ライダー!今度こそお前の命をいただ~く」というと仮面ライダーが「電気クラゲの化け物め!…お前こそ死ね!」という。仮面ライダー辛辣!
今のコンプライアンスだったら前置きで「言葉を選ばずに言うと~」とか「そうはいかない!」など回りくどいか、アイドルイメージのように「ヒーローはそんなこと言わない!」という世間の声を気にして言葉選びをしそうですね。
本当は架空の話しなんだからド直球で「お前こそ死ね!」と言ったほうがわかりやすいですけどね。
まあ確かに売り言葉に買い言葉。「お前が死ねって言ったらからお前が死ね」とか「死ねっていったやつが死ぬんです~」とかまさに「バカって言ったほうがバカなんです~」みたいな子供の喧嘩感があってちょっと気が抜けますけどね(笑)。
浩太は天体信者
浩太は新聞で「宇宙教の少年川本浩太10歳」と紹介されている。
「宇宙教」とは当時だとおそらく新興宗教の「三五教」のことを指すと思われる。
日本各地に天文台を建てて信者が天体観測をしたり、教義が宇宙の神秘的な教えなどから「宇宙教」と呼ばれていたようだ。
しかし、ちょっと無理矢理感もあり、もともとポチを探しにいった少年がたまたま目撃した怪人に子供的好奇心で興味を持っただけで良さそうなのに、わざわざ宇宙教だったっていう後付けいるかな?
しかも子供信者なら保護者共々信者のような気がするがお母さんの「川本文江」は息子の宇宙人目撃を信用していないし…
最初宇宙教と聞いて天文マニアの宇宙狂いだから「宇宙狂」だと思ってしまった。
兄もいるようだしこれが本当の「宇宙兄弟」。
不思議な雰囲気怪人
ショッカーの怪人は「UMA(未確認生物)に見える」など姿見だけなら良い意味でロマンがあります。
クラゲダールはまさに我々が想像しうる宇宙人に近い姿をしている。
クラゲとも吸盤や触手のデザインからクラーケンともとれる格好は子供たちが見つけたら怪物というより宇宙人としてロマンを感じることでしょう。
しかも草むらにいるとなるとミステリーサークルのような宇宙船の着陸跡もあるかもしれません。
そんなワクワク感。そして浩太が撮った写真。これは1970年代では当たり前ですが、白黒写真なのがまたミステリー感をかもしだしてて良い!現代だと綺麗すぎて逆に謎感が消えて生々しい感じだけが残る。この荒い感じがいいんです!
私は平成初期ぐらいまでの写真の解像度が好きでした。
写真が完璧ではないと心霊写真とかになってないかとか、変な光やレンズの入り方で全体写真に鬼火みたいなものが映ったりとワクワク感がありました。
最近はきれいでなおかつ素人でも写真に加工ができる時代。その写真が持つ大きな意味を失いつつあるような気がします。
明らかに加工だろうという美容目的の加工やフェイク画像が増えたため心霊写真やUFO写真などに神秘性が失われ、「どうせ嘘や加工だろ」と言われる時代で悲しい。もちろん時代が時代だけに私自身も現代のオカルト写真は嘘のような感覚になって純粋に楽しめなくなっています。
でもまだオカルト好きです。フェイク映像でも真偽で人を傷つけるものでなければ純粋に楽しめますし、そういう純粋さを残したい。
5000ボルトに耐える人材
ショッカーはクラゲダールのように触れた相手に電気が流れる「電気人間」を作り出そうとしている。
その改造条件は「5000ボルトの電圧に耐えられる」こと。
ここで仮面ライダーが5万ボルトの電圧に耐えられるという説明の伏線が回収される。
しかし、あくまで改造状態の仮面ライダーが耐えられるだけであって5000ボルトを耐えることのできる生身の人間を探すのは至難の業。
まあ電圧というより電流がどれくらい流れているかのほうが死亡のリスクに直結しているのですが、なんとなくアンペア(電流)の単位だとインパクトないんでこのような設定にしているのかもしれません。
ピカチュウの10万ボルト!みたいな。
それに耐電体質の人は世界中で13億5000万人に1人と言われているので小規模な村で1人いたら奇跡でしょう。逆にいる可能性はあるが2人以上はいないと思います。
しかも海に近い村の人たちが耐電体質なのか疑問なところ。乾燥どころかトゥルントゥルンでみずみずしく、むしろ電気が通りやすそうな身体のような気もするが…
友好の握手!
まあSF世界なので仮に数人耐電体質の人が確保できたとしましょう。
ではこの人々を電気人間にして何をしたいか?
今回のショッカーの目的はクラゲダールのように電気人間の体内に電気を蓄えさせ、その身体に触れたものには電気が流れ死に至らしめる。この電気人間で日本政府の要人などを始末するという計画だ。
再現VTRでは要人と電気人間が握手しており、要人が電気ショックで死んでいる。
選挙とか街頭演説とかで握手してもらって始末するのか、それとも秘書とかに化けるのか。
意外とパッとしなかった作戦
結局耐電テストの成功者らしき人物はおらず、改造の被害者もいないまま仮面ライダーに救出されて失敗に終わった「電気人間作戦」。
5万ボルト耐えられる仮面ライダーに5万ボルトの電気を流す怪人をあてるのがもうナンセンス。
電気を流す触手は仮面ライダーには通じず、首絞めぐらいしか使い道がなかった。
結局は一文字に関わった人間、今回だと浩太の母である文江を人質に仮面ライダーもろともダイナマイトで爆発する作戦に切り替え、ゾル大佐の得意な「身内人質作戦」を実行したのみとなっている。
ストーリーの転換点と考察
子供の元気に感謝!
う~ん…今回は仮面ライダーが負けそうな要素が少なかった。
人質はとったもののダイナマイトなのでギリギリ感がなく、仮面ライダーの前に滝が燈台へ駆け付けた時点でショッカーの敗北は決まっていたような感じだった。
強いて言うなら浩太の耐久力だろう。浩太はとんでもない転落の仕方をしたのにほぼ無傷。
あそこで重傷だったらクラゲダールの写真も撮れず、新聞を通して一文字たちに情報が届くのは遅れていただろう。
計画を成功させてから仮面ライダーをおびき寄せれば良かったのに同時並行で作戦を進めてしまったからな~
悪運強いゾル大佐とナレーションで紹介されているが、ことごとく悪を成功できないゾル大佐が果たして悪運が強いのか?
立花レーシングクラブのメンバーのほうがよっぽど運悪いけど結局は解決、被害回避と悪運が強い。
今回の特撮表現の面白さ
クラゲダール登場表現
青い光を放ち草むらを触手でかきわけるようにしておどろおどろしさを演出している。
クラゲダールの電気攻撃表現
クラゲダールが右手の触手を使って電気を流すとき鬼火っぽい?目を凝らすと線香花火を複数ゆらゆらさせてバチバチ感を演出しているように見える。
触手が勢い良く迫る表現
触手が画面に向かってくる同じ構図を連続で見せることで勢い良く迫ってくる迫力を演出している。
特撮満足度(★で5段階評価)
アクション:★★★★☆
高所:★★★★☆
火力:★★★☆☆
水場:★★★☆☆
仕掛け:★★☆☆☆
ロケ地(執筆者の調べ)
・不明
次回予告より(第30話「よみがえる化石 吸血三葉虫」)
次回のショッカーからの刺客は「怪人ザンブロンゾ」。
三葉虫の特性を付与された怪人。
三葉虫は1970年代(仮面ライダー放送当時)は節足動物の中で最も原始的という見方があったようです。そのため当時は大型の恐竜とは別に化石採掘といえばアンモナイトや三葉虫といったものが良く図鑑にも乗ったり科学本に掲載されていました。
今は研究が進み最も原始的ではないようですが、それでも今だにポピュラーな化石といえば三葉虫が出てくるでしょう。
カブトガニは三葉虫に似ていますが子孫ではないそうで、三葉虫という種は絶滅しているようです。
カブトガニも生きた化石と言われる生物ですが三葉虫とはまた違う生き物のようで昔科学雑誌の付録的なものでカブトガニを飼育したことがありますが、カブトガニはプランクトンなどを食べるのに対して三葉虫のほとんどは腐肉食者のようです。
三葉虫のほうが凶暴そうですね…
そんな三葉虫を復活させたばかりか吸血三葉虫に変えてしまうショッカー。
これでいったいどんな悪事を働くのか!?
まとめ
・ユリは四輪車(自動車)も運転できる