本編を楽しんだ後に閲覧することをオススメします。
第23話「空飛ぶ怪人ムササビードル」感想・考察
科学の発展=ショッカーに悪用される世界
「大隅研究所」の「大隅博士」は新しい液体燃料を開発した。
これは火星ロケットを実現させるための研究だ。
博士の研究チームは小型ロケットではあるがわずか100ccでロケットの打ち上げに成功する。
通常ロケットを打ち上げるには例えば「LE-7Aエンジン」を使用すると約700ℓもの燃料を用意しなければならない。
100cc=0.1ℓなので7000分の一の燃料でロケットを飛ばせることになる。
計算方法はそう単純じゃないだろうがとんでもないエネルギー効率であることはわかる。
しかし、この研究成果がショッカーに狙われてしまった。
そのため博士は液体燃料を「放射性物質235(ウラン235)」で水レベルまで分解して使い物にならないようにしようとする。
ウランといえば22話「怪魚人アマゾニア」でもショッカーの狙いとなった物質。
ウラン325はその天然ウランの中でも0.7%しか取れないもので「核分裂を起こす」物質である。
残りの99.3%は核分裂を起こさないウラン328という物質だそうです。
ウラン325で分解するということは博士たちが開発した液体燃料には核物質が含まれるということになる。そのためその辺にばらまいて破棄するというわけにはいかないのだ。
結局700ccもの液体燃料はムササビードル撃破の衝撃で「有珠山」の火口付近で爆発して消失してしまう。
「有珠山」は「洞爺湖」の南に位置する活火山。活火山の火口付近で1キロトンの爆発とか危なすぎる…
ムササビの弱点を克服したムササビ
「ムササビードル」の性能は
・ジャンプ力:100m
・飛行力:200m
「ムササビ」の性能は
・飛行力:120m以上
・滑空時の時速:約57㎞(ウサイン・ボルト:時速約45㎞)
ムササビードルの強みはそのジャンプ力と滑空スピード。
ムササビは滑空するために高い木に登る必要がある。しかし、ムササビードルは木や建物で高所を確保する必要がなくジャンプで100mの高さを確保することができる。
そして超速で滑空することで「スリップストリーム現象」をおこし滑空した下の気圧を低下させることにより真空を発生させる。
そしてその真空の空間に巻き込まれた人間は内臓が破裂する。
プロペラを使用する航空機の後方に発生するらせん状の空気流。
または高速走行する物体の直後に発生する現象のこと。
スリップストリーム現象を起こした物体の後方は空気抵抗が少ない。
この現象を利用して自転車レースの時に先行している自転車の後方について走ることで空気抵抗を抑えて体力を温存する技術に利用したりする。
ムササビードルの性能テストで登山家がこれに巻き込まれて命を落としている。
残骸には米、ニンジン、リンゴ、バナナ…きっと夕食はカレーライスだったに違いない…
藤兵衛もこの現象に巻き込まれているが、傘で回避している。
北海道が舞台なのでエゾモモンガかと思いきやムササビでしたね。
ムササビのほうが大型なので強そうなほうにしたんでしょうか。
どっちも強いというかかわいいんですけどね。
ショッカーが札幌を狙う理由
ここ数話、北海道に執着するショッカー。
大隅研究所から残りの700ccの赤い液体燃料を奪い「札幌爆破計画」を実行に移そうとしている。
この液体燃料はTNTトンの1キロトン分の爆発力があり国会議事堂が1発で吹っ飛ぶほどの火力だ。
爆薬の爆発などで放出されるエネルギー量の質量のことをいう。
今回ショッカーが狙う700ccもの液体燃料の威力はTNTトンで1キロトン。
今回は札幌を大混乱に陥れるために液体燃料を狙っている。
なぜ札幌を?確かに札幌は北海道の県庁所在地、つまり中心地なので都会を狙って攻撃したいのだろう。
本編にはチラッと「1972年札幌オリンピック」の看板が登場した。
1972年は札幌でアジアおよび有色人種圏における史上初の冬季オリンピックが行われた。
本編では語られていないがおそらく札幌を狙う理由はオリンピックで全世界から色んな人々、政界、財界人などショッカーが始末したい人々が一手に集まるのでまとめて狙える大イベントだからではないだろうか。
FBIの仕事のついでに…
滝はFBIの任務も本当だろうが任務にかこつけてユリと五郎と旅行を楽しんでいた。
「札幌時計台」、「クラーク像の前」、「さっぽろテレビ塔」と札幌を満喫。
しかもユリと手をつなぎながら歩いている描写も!既婚者なのに!
でもまあ五郎を連れていくあたり、お兄ちゃんとしての振る舞いなのだと信じたい。
それにしてもここ数話でマリに潜りを教える約束をしたり、今回はユリと五郎を旅行に連れていくなどボロクソに言っていたじゃじゃ馬娘たちに優しい…
ちなみにマリとユリが着ていたアイヌの衣装はおそらく「チヂリ」というものだと思う。
一文字への対抗心
滝は一文字にライバル心というか対抗心を燃やしているように思える描写がある。
FBIは北海道でショッカーが怪しい動きをしていることをキャッチしたため滝は北海道へ向かう。
しかし、一文字へは知らせず協力要請もしなかった。
これを知った一文字は「滝、だが抜け駆けはないぜ!」と言われている。
滝は「それはFBIの任務としてだな…」と歯切れが悪い。
それもそのはず、テレビ塔の展望台からショッカーを見つけた時「この化け物は俺がいただきだ!」とまるで誰かに手柄を取られるのを恐れているような口ぶりだ。
もしかしたら先の事件など一文字に何度も命を救われたり良いところを持っていかれたりと少なくとも劣等感を抱いていたのかもしれない。
そのため今度は自分の力でショッカーを食い止めようと一文字へは連絡しなかったのかもしれない。
21話「ドクガンダー 大阪城の対決!」でも滝が率先して子供をあやそうとすると一文字に「滝、1人で点数稼ぎすると恨まれるぞ」と言われている。
最近じゃじゃ馬娘たちにも優しいし滝はいいカッコしいなのか?
じゃじゃ馬からズッコケトリオへ
今回はユリ、五郎は滝と一緒に北海道旅行に行く。
マリとひろみ、藤兵衛はお留守番と思いきや藤兵衛は一文字の連絡ですぐに北海道に飛ぶ。
そして留守番のはずのマリは藤兵衛に内緒で北海道へ飛ぶ。
そして合流したマリ、ユリ、五郎で藤兵衛の鼻を明かしてやろうと戦闘員捕虜を脅し、アジトの場所まで案内させようとするが逆に人質となってしまう。
藤兵衛にも呆れられて「お前たちのズッコケトリオが一緒じゃさすがの仮面ライダーも命がいくつあっても足らんだろう…」と言われてしまう。
五郎はしゃーなしについていっている感じだがマリとユリは本当に目を離すと命がいくつあっても足りない。一文字に注意や皮肉を言われても全然いうことを聞かない。
しかし、行動力はめちゃくちゃあり、それが度々ピンチを救うことや逆転のきっかけにもなるのであまり邪魔者扱いもできない。
藤兵衛の健脚
藤兵衛は一文字からショッカーの情報を電話で受け、居ても立っても居られなくなり北海道へ向かう。
千歳空港についたあと「日本放射線センター」の職員に化けて大隅研究所へ向かうショッカーを追う。
そして「定山渓トンネル」の前で張り込みをしていた。
トンネルを戦闘員、仮面ライダーが走り抜ける。その後トンネルからムササビートルが出てくる。
ムササビートルはトンネルでバイクを降りて仮面ライダーの注意をそらして逆方向に逃亡した。
それに気づいた藤兵衛は自転車でムササビートルを追いかけた。
ここからが凄い!
定山渓トンネルからムササビートルが飛び去った「昭和新山」まで自転車で8時間以上かかる。
しかも自転車でもし千歳空港から定山渓トンネルまでもこいできたとしたら3時間。
合計11時間以上自転車をこいでいる。
撮影スポットの関係上もしかしたら定山渓トンネルから昭和新山まで近い設定なのかもしれない。
しかし、そうじゃないのならスーパー健脚すぎる!
ストーリーの転換点と考察
約束を守るショッカー
昭和新山での決戦、マリ、ユリ、五郎を人質に取られて液体燃料の入ったケースを渡す仮面ライダー。
ケースを渡すと約束通りムササビードルは人質を解放してくれる。
解放された五郎がムササビートルに石を投げつけて牽制した隙をついて逆転する。
悪の組織だったらそこは液体燃料を渡しても「約束を守るわけないだろう!」とか言えよ!
悪に徹しろよ!また逆転されたじゃん!
今回の特撮表現の面白さ
打ち上げロケット表現
ロケット模型を噴出口からバーナーのように火をだしピアノ線で持ち上げて打ち上げを表現している。
スリップストリーム現象の発生表現
この現象に巻き込まれている対象はぐるぐる回転し、その上かららせん状の空気流を表すエフェクトが足されている。
火口付近でのアクション
ムササビードルとの最後の決戦は有珠山火口付近。
火口付近は現在(2023)は行くことはできないので非常に貴重な撮影風景だ。
それもそのはず、火口付近は岩の隙間から煙が噴出しており今にも噴火しそうな雰囲気。
その中でしかも激しい傾斜でのアクション。
山から落ちるんじゃないかと思われるギリギリまで使ってのアクションはお互いの力の差ではなく大自然の気まぐれ1つで勝敗が決まってしまうのではと思うほどハラハラドキドキ。
土まみれのアクションは仮面ライダーの魅力の1つですね。
最後模型の演出でしょうがムササビードルと液体燃料が火口付近で爆発するのは危な!と思いましたね。マジ噴火する…
それにしてもムササビードルの飛行中によくライダーキックを合わせて倒したな…
ムササビードルはジャンプ力100mで仮面ライダーは15mなのに…滑空して降りてきたタイミングかな?
余談だがムササビードルを倒した時に不自然に地元のお子さんたちの「やったー!」というカットが入るのがちょっとツボだった(笑)
特撮満足度(★で5段階評価)
アクション:★★★★★
高所:★★★★★
火力:★★★★☆
水場:☆☆☆☆☆
仕掛け:★★☆☆☆
ロケ地(執筆者の調べ)
・「札幌市」
・「さっぽろテレビ塔」
・「小樽市総合博物館(旧小樽市総合博物館)」
・「洞爺湖」
・「昭和新山」
・「有珠山」
次回予告より(第24話「猛毒怪人キノコモルグの出撃!」)
次回のショッカーの刺客は「怪人キノコモルグ」。
キノコ+悪=毒な感じがプンプンする。
毒ガスとは違い、胞子をばらまくということは種子をばらまくということ。
毒胞子を吸ってしまったら体内にキノコモルグが生えてくるのか?恐ろしい…
キノコモルグの「モルグ」とはフランス語で「死体安置所」を意味する。
キノコの死体安置所なんてホラー映画のテーマになりそう…
レーシングクラブ4人娘もなにやら戦闘で大活躍している描写がある。
ひろみも珍しく戦闘に参加しており単独で戦闘員を倒す描写がある。
立花レーシングクラブの事務の採用条件に「下級戦闘員を制圧できる程度の戦闘力」とかありそう。
まとめ
・五郎は超高速で飛ぶムササビードルを一瞬で見つけて怪人と判別してしまうほどの動体視力を持つ
・滝は一文字に対抗心を持っている
・藤兵衛は自転車を11時間以上連続でこぎ続けるほど健脚!?
・ショッカーは一文字、滝などは苗字呼びなのに立花藤兵衛は「藤兵衛」と名前で呼ぶ
・ショッカーも約束通り人質を解放してくれることがある。