ネタバレがあります。
本編を楽しんだ後に閲覧することをオススメします。
第87話「ゲルショッカー 死の配達人！」考察
あらすじ
深夜0時前、日本産業会会長「細谷勉」の家に手紙を投げ入れる謎の男がいた。
細谷は番犬が吠えるのを聞き窓の外の様子をうかがうが誰もいない。
ソファーに戻り晩酌を続けようとボトルを持つといつの間にか机の上に手紙が置かれていた。
内容は「われわれゲルショッカーは日本産業会会長細谷勉氏の死をつつしんでおくやみする 死亡日時十一月二十五日十二時」と死亡予告が記されている。
もうすぐ日付が変わり25日の0時になる。
細谷はいたずらだろうと自分に言い聞かせるが不気味に思い猟銃を構えてで0時を待つ。
そして0時…窓の外に死刑執行人が訪れる…
T3号計画
今回ゲルショッカーが企む「T3号計画」はブラック将軍発案によるもの。
この計画はゲルショッカーのコンピュータが日本を支えている各界の主要人物を割り出して暗殺。
現実世界だと「Forbes」の「世界を変える100人」の1人みたいな人を選定しているのだろう。
暗殺した人物と瓜二つのロボットに入れ替えることでゲルショッカーに都合が良い世の中に変えようとする計画だ。
いわゆる日本の核となる分野を内部から破壊するつもりらしい。
本人に入れ替わったロボットがゲルショッカーに都合の良い方向に権力を振るい日本を狂わすため、人目にはゲルショッカーの仕業ではなく、入れ替わられた本人の責任と世論は判断するだろう。
そうして日本人同士が争い、自滅することで労せず日本を手に入れることができるというわけだ。
T3号作戦の「3」はおそらく暗殺対象が3人であるためだろう。
暗殺対象1人目は日本産業会会長「細谷勉」、2人目は日本科学アカデミー協会理事長「青野清」、そして3人目は立花レーシングクラブ兼少年仮面ライダー隊会長「立花藤兵衛」？
藤兵衛は確かに会長であり、ある意味仮面ライダーと日本を支える主要人物である凄い人物だが、世間的に影響力があるほどだろうか？確かにゲルショッカーにとっては一番厄介な相手という意味では暗殺したい人物の1人ではあるだろう。
そしてT3号の「T」はなんだろうか？「ターミネーター（終結）のT」かな？
3人を終結（暗殺）させる…まあ筋は通っているか…T3って見るとダダンダンダダン！が頭をよぎったためこの考察に至りました（笑）
まとめると財界、科学界、仮面ライダー界の重鎮をどうにかしたいってことですね！
1人目の細谷勉は死亡予告状通り11月25日0時に自宅前にて警官に助けを求めるも戦闘員の変装であり拘束。その後クモライオンに絞殺される。
2人目の青野清は11月26日15時？の死亡予告が届くが本人はいたずらだと否定。だがそれを見た秘書でライダー少年隊のミツルの姉でもある「今井冷子」がミツルの活動を思い出してライダー少年隊本部に相談。
猛と滝が緊急出動し一時は青野博士を確保するが戦闘員との戦闘中に現れたクモライオンによりこれも絞殺されてしまう。
3人目はなんと「立花藤兵衛」で11月27日0時の死亡予告が届くも未遂…と思いきや予告状から藤兵衛の名前が消え、本郷猛の名前が浮かび上がる。
3人目の藤兵衛はブラフであり、本当の暗殺対象は「本郷猛」だったのだ！
なるほど！日本の安全を支えている主要人物だ！
これ、よくよく考えると藤兵衛がコケにされているのがわかるだろうか…
俺はあの各界の主要人物と肩を並べて暗殺対象なんだエッヘン！と思っていたら違うのね…そうなのねって…安心したというか、でもちょっとガッカリなような複雑な気持ちだっただろう。
滝さん「俺は主要じゃないの！？」（笑）
ちなみに冷子がなんで封筒を見ただけで誰かが亡くなったのかと青野博士に問いただしたのか不思議だったが、私の勉強不足でした。
封筒には黒い枠線があるのですが、これは黒枠広告（死亡広告）を連想させるもので、新聞のお悔やみ欄が黒枠で囲まれることからきているようだ。
ゲルショッカーの本当の狙い
T3号作戦最後の締めは藤兵衛ではなく本郷猛…いや仮面ライダー1号の暗殺が目的であることが判明。
それを知らない仮面ライダーは藤兵衛の警護として怪しい死の配達人の後をつけた結果まんまとゲルショッカー第13処刑室に監禁。睡眠ガスで眠らされてしまう。
そして仮面ライダーの処刑日は同日11月27日明朝に執行される。
…色々ツッコミたいのだが…まずはなぜすぐに暗殺しない？ということ。
仮面ライダーを眠らせたとはいえ改造人間の再生能力を考慮したら睡眠ガスの効果時間はかなり短いはず。
だが今回の睡眠ガスはかなり強力なもので仮面ライダーが0時から明朝およそ6、7時まで眠らせることができるものだった。
確かにこれであれば逃げたり抵抗される心配はない。だ・か・ら・こ・そ！今でしょ！
今すぐ処刑するべきなのに相変わらず時間厳守のゲルショッカー。
手段は選ばないのに時間には厳しい…よく言えば規律がしっかりしている。悪く言えば柔軟性がない。
6話「死神カメレオン」で同じことをした際に猛は速攻目を覚ましていたので、今回の睡眠ガスは常人であれば致死量となるほどの効果だったのではと想像できる。
それだけに何やってんの？と思わずにいられない。悪なのになんか歯がゆい…
そして明朝となり死刑執行。
仮面ライダーが目を覚ましてから実行してあげるんだから優しいもんだ。
第13処刑室の床と天井から大針が出現。そして天井がゆっくりと動きだし仮面ライダー、そして一緒に閉じ込められた死の配達人に迫る。
暗殺者タイプの夜行性クモライオン
怪人「クモライオン」は「クモ」と「ライオン」の特性を持った怪人だ。
クモの能力を持ち、ライオンの体力を有する怪人。
T3計画での役割は暗殺者で暗殺対象を強靭なクモ糸で絞殺する。
クモライオンは主に深夜に暗殺を行う。これは深夜の方が人目につかないという理由もあるだろうがおそらくライオンが夜行性である特性がクモライオンにも表れているのだろう。
ライオンは暑い日中は体力温存のため眠り、涼しい夜に狩りをする。
この特性からクモライオンも夜に活動的だったのかもしれない。
今回の敗因はもしかしたら仮面ライダーとの戦闘が2回とも日中だったことも少しは関係しているのかもしれない。
ストーリーの転換点と考察
青野博士を滝に保護させないまま単独で逃走させたこと
ミツルの姉の冷子の相談で青野博士の保護へ急ぐ猛と滝。
一時は保護に成功するが猛が隙を作って青野博士を単独で逃走させる。
だがこれにより青野博士はクモライオンに殺されてしまう。
いつもであれば滝に「滝！○○さんを頼む！」と保護対象を単独で行動させることはない。
そして滝に保護された対象はだいたい死なない（確かではないので今度検証してみます）というジンクス的なものもある。
ところで青野博士が死亡したことで冷子は失職してしまったのだろうか？
刺殺ではなく圧殺にするべきだった
旧ショッカー時代からゲルショッカーは時間厳守の作戦実行のため一度決めた時間は、今仮面ライダーを始末できるチャンスが舞い降りても絶対に実行はしない。
そのため仮面ライダーに時間的猶予とチャンスを与えてしまい失敗に終わることが非常に多い。
今回も例に漏れずに仮面ライダーを眠らせた時点で死刑執行してしまえば良かったものを作戦実行時間を厳守して明朝まで放置したのだ。
このせいで失敗すれば目も当てられないと思っていたが目も当てられなかった…
仮面ライダーの苦しむ姿が見たいのはもう悪人側のポリシーとしてもわかった。
四方八方を塞ぎ床と天井から迫るトゲでプレスしてしまおう。これも良かった。
だがなぜ完全にプレスしないまま天井を上げてしまったのか？
ゲルショッカーはトゲが仮面ライダーに刺さっているだろう高さまで天井を降ろした時点で満足して天井を上げてしまった。これが全てもの間違いだ。
仮面ライダーはトゲを破壊して隙間を作り、そこで死んだふりをしておりトゲは刺さっていなかった。
トゲが仮面ライダーでも破壊できるほどの耐久力しかなかったというミスは許そう。
だが、その後に仮面ライダーを完全にプレスするまでは天井を降ろし続けていればトゲによる刺殺は回避できても、天井の降下をパワーで抑えきれない仮面ライダーに圧殺を回避する方法はなかったのでそのまま圧死させることができた。
そもそも壁にトゲを生やすのではなく、そのまま平らな壁にするべきだった。
下手にトゲを付けたものだからそのトゲの高さの分だけ隙間が生まれ、仮面ライダーがプレスを回避できる隙間を作ってしまったのだ。
平らな天井であればトゲの隙間も生まれずそのまま圧死させることができたはず。
まさか迫りくる壁にトゲを装飾をしたことで脱出する隙を作ってしまったとは…しかし、他の人であればこの状況を冷静に分析して回避行動を行えただろうか？
おそらく恐怖でそれどころではないだろう。現に一緒に閉じ込められた死の配達人（ゲルショッカー構成員）は慌てふためくだけで回避方法を見出せず、刺殺されてしまっている。
天井が上がるのを感じた仮面ライダーは必死に笑いをこらえていたことだろう。
そしてクモライオンが処刑室に現れた時、満を持して笑うのだ！
計画阻止？なのか？
最後の暗殺対象である本郷猛暗殺は失敗に終わった。
一件落着に思えるが本当にそうだろうか。
今回の目的を振り返ってみよう。
ゲルショッカーの目的は日本を支える主要人物の暗殺およびその人物に成り代わるロボットを送り込むこと。
つまり経済、科学に影響力がある細谷会長、青野博士を暗殺した時点でほぼ作戦は成功しているといえる。
後は2人に成り代わるロボットを送り込み世間を混乱させれば良い。
本郷猛暗殺はあくまで今までの因縁にピリオドを打ちたいがため「ついで」だ。
経済に影響力があるわけでもないし、科学会を揺るがすほどのIQを持っており、将来有望だがまだ若いので権威はない。
だから今回仮面ライダーは計画を阻止したというよりかは自身の暗殺を回避しただけに過ぎない。
細谷、青野両名は暗殺したのでロボットを送り込むことができるはず。
真実を知る猛があの2人は偽物でゲルショッカーのロボットと入れ替わっているんだと訴えても聞く耳を持つものはいるだろうか？
それどころか気が狂っていると思われライダー少年隊の信用が失墜する可能性もある。
今後この2人のロボットが暗躍する機会はあるのだろうか？
あるのならゲルショッカーにとってチャンスかもしれない。
今回の特撮表現の面白さ
クモライオンのクモの糸表現
クモライオンの口から噴出される糸は赤いビニールテープで表現されている。
暗殺済みの暗殺対象のリストにバツをつける動作
ブラック将軍は暗殺対象の死亡が確認された際に暗殺リストに赤で斜線を入れるのだが、その入れ方が独特でカッコイイ。
赤ペンで斜線を引くのではなく、自身の手のひらをリストの左下から対角線上に撫でるように動かすことで赤い斜線を引いている。
まるで目が開いたままの死体の目を閉じさせる動作のように暗殺対象の人生をスッと終わらせたかのような動作が独特だ。
おそらく手のひらに小さな赤ペンを仕込んで手の甲を上にして紙をなぞることで斜線を引いているのではないだろうか？
予告状の変更表現
藤兵衛の死亡予告状から藤兵衛の名前が消えていた。
その後、猛の名前が浮かび上がってくるのだが、これは何も書いてない予告状とその予告状に猛の名前を書いてものを撮影して切り替えることで猛の名前が浮かび上がる予告状を表現している。
新必殺技「ライダーフライングチョップ」表現
ジャンプ（フライング）しながら腕を交差させてそのまま腕でチョップしながら体当たりする。
特撮満足度（★で5段階評価）
特撮満足度
アクション：★★★☆☆
高所：★★☆☆☆
火力：★☆☆☆☆
水場：☆☆☆☆☆
仕掛け：★★★☆☆
第87話の名言・迷言・珍言・失言
立花藤兵衛「それじゃ、お寺に予約でもするか…」
ゲルショッカーから死亡予告状が届き自身が暗殺対象となった時にでたボケ発言。
あまりのブラックジョークっぷりに滝隊長ガチギレ（笑）
猛と滝に全幅の信頼があるからこそこういうジョークも言えるというわけだ。
ロケ地（執筆者の調べ）
・「不明」
次回予告より（第88話「怪奇 血を呼ぶ黒猫の絵！」）
次回のゲルショッカーからの刺客は怪人「ネコヤモリ」。
「ネコ」と「ヤモリ」の特性を持った怪人だ。
「みなさんこんばんは！本郷猛です」から始まる次回予告。
今でこそ日朝スーパーヒーロータイムで朝の放送枠ですが、昔は夜にやっていたためこんばんはだったんですね。
しかも藤岡弘としてではなく、本郷猛として「次回のお話しを」とか言ってしまうのだ（笑）
だが、今まで怪人やブラック将軍が予告ナレーションで「面白い話し」とか言っていたんだからおかしくはないか…
むしろ満を持して仮面ライダー側が予告ナレーションを担当という感じだろう。
いつもの通りのナレーションではなく今回、そして次回の監督を担当する「塚田正煕」監督が次回のお話しを紹介！
次回の怪人ネコヤモリは猫の絵から飛び出す怪人。
「みなさんの家に猫の絵がありませんか？ひょっとしたら怪人ネコヤモリが飛び出すかもしれないよ？」、「怖～いお話しですよ」と子供たちを脅す塚田監督。
猫の絵から飛び出すなんて一休さんのトラの屏風のようだ。
現代は猫の絵とまではいかなくとも猫グッズを持っている人はもの凄く多い。
だからそこからネコヤモリが飛び出すかもしれないよ？
感想・まとめ
○○の重鎮や○○界のトップなど国を動かすほどの権力を有する者が狙われるというのは頭ではあるあるの話しだ。
しかし、日本に住んでいると実際にそんなことあまり感じない。
戦前「五・一五事件」や「二・二六事件」などいずれも政治腐敗や政治不信によりそのような事件が起きていたりなどしたが、私の生きている時代はあまりそういった事件をリアルタイムで見てきた経験がないのでいまいちピンとこない。
なのに権力者＝狙われると考えてしまうのはちょっとドラマなどフィクションのイメージに毒されてしまっているなとは感じる。
だが令和に入り「安倍晋三銃撃事件」などが起きた時、私の中で暗殺はフィクションから一気にノンフィクションとなった。
権力者が狙われる理由はなにも権力を私利私欲のために好き放題しているからだけではない。
今回の細谷会長や青野博士のように別の誰か（ゲルショッカー）の私利私欲のために消されることもあるということだ。
権力者は責任と自身が狙われ続ける運命を受け入れる覚悟が必要だ。
だが、狙われない安全な国だと国民をバカにして好き放題権力を振りかざす人々もたくさんいる。
権力者って嫌な言葉になりましたね…権力者は国民にはできない裁量を持って導いてくれる指導者であると嬉しいのですが、権力者と聞くと自分の幸福とは関係ない人だが、不幸とは関係ある人というイメージなんですよね…
歴代仮面ライダーのキャラクターで指導者になってほしいキャラクターランキングとかできそう…
今回判明したこと
・ミツルには青野博士の助手をしている「今井冷子」という姉がいる（姉の苗字が判明したことでミツルの苗字も判明（既婚者であれば結婚相手の苗字かもしれないが））
・ライダー少年隊は冬服として女性がオレンジのセーター、肌色のブレザー、子供隊員は赤色のブレザーが支給される
・ライダー少年隊の本部には正義の団体らしく「みんなで暴力をなくそう」、「善良と勇気で明るい町に！」という啓発ポスターが貼ってある
・新必殺技「ライダーフライングチョップ」
