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第26話「恐怖のあり地獄」感想・考察
幹部が怖れるものまね幹部「ゾル大佐」
開始早々、道路を「人工蟻地獄化」して作戦を着々と進める「地獄サンダー」。
今回はこいつが派手に暴れるのか!と思ったが一転、小物化してしまう出来事が起こる。
それは「ショッカー中近東支部長」の「ゾル大佐」という人物が「日本支部総指揮官」に任命されたとの報告から始まった。
それを聞いた地獄サンダーと戦闘員は怯えはじめた。
ショッカー関係者であればこの人物が何ものかを知っているようだ。
ゾル大佐は「ショッカーで最高の実権を持つ」というショッカー内では超大物。
残虐非道なショッカーの最高幹部。そりゃ下のものにとってさぞ恐ろしかろう。
FBIもゾル大佐が「ショッカー中近東支部」から日本支部に向かっていることをキャッチしていた。
FBI日本支部の滝のもとにも連絡が入る。
今までゾル大佐を追った腕利きのFBIもかなりの数やられているらしい。
これは間違いなく強敵だ。
ゾル大佐は「服装のたるみは精神がたるんでいるという証拠だ!」と昔の鬼○○的なスパルタ人間を彷彿させる考えを持ち「ムチ」を使って部下を正す。
まさに恐怖で統率している。独眼竜で格好も独裁者そのもの。
そんなゾル大佐の能力は「変装」。
変装…?結構他の幹部、なんなら下級戦闘員までもが本物と見間違うほどの変装を度々披露している。
ふむ…わかった!今までの変装はこの世に存在しない人物となっていただけで「誰にでもなれる」わけではなかった。
ゾル大佐は「この世に存在する誰にでもなれる」という能力を持つ。
「変装」というよりは「ものまね」が得意なのだ!
その証拠に滝の写真と一言しか録音されていない滝の音声のみで完璧になりきってみせた。
バイクの車種まで同じなんて手が込んでる。
この「ものまね」で敵の中に味方を潜入させることで中近東での邪魔者を処理してきたという実績がある。
・中東および近東:イスラエル、イラク、シリア、トルコ、パレスチナ、ヨルダン、レバノン
・中東:アラブ首長国連邦、イエメン、イラン、エジプト、オマーン、カタール、クウェート、サウジアラビア、バーレーン
・拡大中東:アフガニスタン、アルジェリア、キプロス、北キプロス、スーダン、チュニジア、サハラ・アラブ民主共和国、ジブチ、ソマリア、パキスタン、モロッコ、モーリタニア、リビア
・近東:アゼルバイジャン、アルメニア、ジョージア
14話「魔人サボテグロンの襲来」の感想でもショッカーの支部が存在していると思われる地域を書き出したが、20ヶ国支部に対してゾル大佐は中近東32ヶ国で大暴れしていることになる。
「サボテグロン」も海外で優秀な実績を持っている幹部だったがゾル大佐は大幹部だけあってスケールが違う…
ついにショッカーが本気を出したか…
幹線道路被害
今回のショッカーの目的は日本の「幹線道路」を「人工蟻地獄」で混乱させ、そのすきに日本に交戦を仕掛けること。
私は実家の親も自分でも車を持ったことがないので車のことはあまり詳しくなかったので「幹線道路」もこの機会に初めて知りました。
ようはインフラ的道路で高速道路や地域間を橋渡しをするような重要な道路のことのようです。
そう考えると警察が犯人をその地域から逃がさないために封鎖する道路も幹線道路ということなのでしょうか?幹線道路を塞げば県外に出れないみたいな?
幹線道路が封鎖されると首都圏から地方にも救援ができない。その逆もしかり。
1970年代でもこんなに混乱になるのだからネット通販の増加やトラックのドライバー不足が深刻な現代(2023年)だったらさらにインフラがパニックを起こしそうですね。
ひどい目にあってもドッキリコン!
前回滝さんに「ちっとは懲りたか!」と言われるも「全然!」と言い放ったユリさんが登場。
ドッキリスリルを求めているのはマリだけだと思ったがユリの口からも「スリルを味わえると思ってドッキリコンだったのに」と全然懲りていない様子がうかがえる。
いくら今時(1970年代)の若者で刺激を求めているからといってこのセリフを言い続けられるのは大した精神力ではある。
ひろみやマリの友人だから結局は類は友を呼ぶということなんですね。
この「ドッキリコン」は昔の若者言葉ですかね?ニュアンスは伝わりますね。
サイクロン号と愛車は違う?
一文字の愛車のバイクが人工蟻地獄で身動きが取れなくなってしまった。
仮面ライダーに変身して戦うが蟻地獄の砂に足を取られて自力で脱出できないシーンがある。
その時に一文字は自動操縦でサイクロン号を呼び出して縄を射出させ、その縄で蟻地獄から脱出している。
私は今まで一文字も本郷猛同様、愛車のバイクを変身と同時に変形させてサイクロン号にしていると思っていた。
しかし、今回のシーンを見ると愛車は蟻地獄で身動きが取れなくなったのでバイクを降りて戦っている。その後動くはずの無い愛車が自動運転でサイクロン号としてくるとは考えにくいのだ。
つまり愛車とは別にサイクロン号が存在することになる。
もしかしてこのサイクロン号は14話「魔人サボテグロンの襲来」で藤兵衛を迎えにきた猛のサイクロン号なのか?
猛のサイクロン号を一文字が藤兵衛の店に返しにきていたのでそこから呼び寄せたのだろうか?
そうなるとサイクロン号はそもそも1台しか存在しなかったことになる。
それとも身動きが取れなかっただけで一文字の愛車にもサイクロン号に変形する機構があり、今回は代車として猛のサイクロン号があるじゃん!と思いついて呼び寄せたのだろうか。
そう思ったがサイクロン号のデザインが仮面ライダー2号のサイクロン号のデザインなのでやはり一文字のバイクか…
仮面ライダー2号が中心となってからの話しではサイクロン号に変形するシーンがなく、変身したらいつの間にかサイクロン号になっている、もしくは乗っている状態なので今までこの違和感に気がつかなかった…
それか無理矢理のこじつけかもしれないが、一文字がバイクから降りたことによって体重分だけ身軽になり、サイクロン号(一文字用)の自車の重みだけなら自動運転で蟻地獄から脱出することができた。
その結果サイクロン号が1台しかないという誤解と取れるシーンになってしまった。
そうじゃなきゃその後愛車を蟻地獄に捨てたまま別のサイクロン号で去ることになりますからね…
日頃の行いが幸いして…
滝(ゾル大佐)に頭をかち割られ、顔面に火傷のような傷ができるまでボコボコにされた警察は滝(本物)を「公務執行妨害罪」で逮捕する。
ユリも五郎も「滝は死刑になるのでは?」と心配するが公務執行妨害は「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」なのでさすがに死刑にはならないです。しかし、このまま滝の罪を認めるわけにはいかない。
普段ショッカーが騒動を起こしてもショッカーの仕業だと気づかない警察が滝(ゾル大佐)の顔をやられた直前一瞬見ただけ滝(本物)を見るなり逮捕に踏み切るなんて…まあそれだけ悪いトラウマ的記憶は定着しやすいですからね…
だが滝の日頃の行いと人望、夏休みの点数稼ぎが幸いして仲間内で分断をうむ出来事は起きなかった。
ユリや五郎も滝の無実を信じていたし、一文字も偽物と見抜いて偽物を本物として接し敵を欺いている。
身分もFBIなのですぐに釈放された。
蟻地獄自体が強かった
ゾル大佐の登場でなんとなく影が薄いまま退場してしまった「地獄サンダー」。
実力もまあまあ幹部クラスの強さは持っていましたがゾル大佐の登場でいまいち脅威を感じませんでした。
しかし、「人工蟻地獄」の性能は凄まじいものがあった。
あたり一面の道路が短時間でサラサラの砂に変えて交通網を破壊する能力は戦闘力以上に脅威でした。
これを道路のみならず山とかにやられたら地盤が緩くなり豪雨なんてきた日には土砂崩れがそこら中で起きて大災害となったでしょう。
「地獄サンダー」の地獄は「蟻地獄」、サンダーは何かな?と思ったのですが地獄サンダーの登場前に雨のような砂嵐とともにカミナリが発生するのでそのサンダーかな?
ストーリーの転換点と考察
爆弾の選択
ゾル大佐は一文字のバイクに爆弾を仕掛けて一文字ごと爆発させようとした。
しかし、その爆弾の種類が選択ミスだった。
ゾル大佐が選んだ爆弾は「時限爆弾」。
いつ乗るのかわからないバイクにだ。
爆弾を仕掛けたあとに一文字に滝の偽物だとばれてしまったが爆弾の存在はばれてはいなかった。
ゾル大佐のもくろみ通り時限爆弾を仕掛けたバイクに乗り込みゾル大佐を追う一文字。
結局時限爆弾が爆発すると同時にたまたま仮面ライダーに変身した一文字は難を逃れる。
運が良かっただけのようにみえる。
しかし、もしゾル大佐が「時限爆弾」ではなく「リモート式爆弾」のような任意で爆発できる爆弾を仕掛けていれば変身前の一文字のバイク姿を確認できしだい爆発することができればワンチャン大ダメージを与えることができたかもしれない…
そもそも仮面ライダーの変身者に爆弾は効かない?
仮面ライダーに変身して爆発を逃れたというのは1つの考えにすぎないのかもしれない。
「変身したから爆発から身を守れたのか」、「爆発した爆風で変身したから身を守れたのか」の2つの可能性が考えられるからだ。
5話「怪人かまきり男」でも本郷猛が落とし穴に落とされた時に敵が仕掛けた爆弾の爆風を受けてダイナモが回転することで変身することができ難を逃れている。
この前提でいくとそもそも仮面ライダーの変身者にはある程度小規模な爆弾の爆発はそれがきっかけで変身するのでそもそも効かないのでは?ということになる。
それでも一文字がたまたま助かったと書いたのは一文字の変身ベルトが「開閉式」だったからだ。
本郷猛のベルトはシャッターがないため爆発した時点で爆風を受けられるが、一文字のベルトは変身のかけ声とポーズ、つまり任意でシャッターを開けないと風が当たらない。
つまりシャッターを開く前の一文字であれば爆弾は通用する可能性があるのだ。
一文字はゾル大佐がバイクに仕掛けた時限爆弾に気づいていなかった。そもそも気づいていたらそのバイクに乗ってゾル大佐を追跡しなかっただろう。
そのため「たまたま変身した」という表現を使い書きました。
でも滝(ゾル大佐)が「この時限爆弾で一文字隼人を吹っ飛ばせば我々は勝てる!」というセリフに対して一文字が「そううまくいくかな?」と返している。やはり気づいているのか?それじゃあなんで時限爆弾付のバイクに乗ったんだ?このへん本当に曖昧。
これらを考えるとショッカーは仮面ライダーに対して「爆弾が通用する」という考えをアップデートして別の方法を模索するべきかもしれない。
もしくは一文字がシャッターを開く前に爆弾を当てるタイミングと工夫が必要だ。
今回の特撮表現の面白さ
カミナリ表現
カミナリの形にくりぬいたシートの裏から光を点滅させて表現している?
砂が降り注ぐ表現
役者の砂がかかってないところを見ると映像の上からなにか加工している?
一文字が砂嵐に巻き込まれている時には一文字に少しキラキラしたものをかけていた。
アリジゴク表現
砂に落とし穴表現を用意して板をかませて、その板を破ることで砂が落とし穴に落ちていき蟻地獄のさまを表現しているのではないだろうか。
また一面が砂浜の土地で土手っぽいところから転がり落ちることで蟻地獄に落ちていく表現をしている。
本物、偽物表現
滝和也の本物と偽物の違いを視聴者に判別がつくように工夫をしている。
本物はいつもの滝。
偽物は悪人の変装とわかるように滝のまぶたと目もとにアイシャドーっていうのかな?で黒くしていつもの滝より少しダークな感じに表現している。
さらに声のトーンを低くして明るい滝とは差別化をして視聴者にわかりやすいようにしている。
2人同時存在表現
滝と滝(ゾル大佐)が出会った時、同じ場所で1人の役者さんが別々の化粧、格好で演技している。
砂浜アクション
砂浜といえば「鳥取砂丘」しか思い浮かばない知見の低さ。
今回のロケ地は静岡県御前崎市の「南遠大砂丘」の一部「浜岡砂丘」。
鳥取県の「鳥取砂丘」、静岡県の「南遠大砂丘」、鹿児島県の「吹上浜」が日本3大砂丘と言われています。
泥まみれになりながら戦うアクションが魅力な仮面ライダー。
今回の蟻地獄と砂浜は仮面ライダーアクションに相性が良い。
特に一文字役の「佐々木剛」氏が主演の「柔道一直線」でも主人公「 一条直也」が得意とする「地獄車」を砂上の急斜面で繰りだしているのが凄い迫力だった。
蟻地獄の中で地獄車と洒落た演出だ。
特撮満足度(★で5段階評価)
アクション:★★★★☆
高所:★★☆☆☆
火力:★★★☆☆
水場:☆☆☆☆☆
仕掛け:★★★★★
ロケ地(執筆者の調べ)
・「浜岡砂丘」
次回予告より(第27話「ムカデラス怪人教室」)
次回のショッカーからの刺客は「怪人ムカデラス」。
ムカデの特性を付与した怪人のようだ。
ムカデラスは催眠音波を使いなんと優秀な子供たちを操り「ジュニアショッカー」なるチームをつくり作戦に利用しようとしている。
その中には五郎の姿も!やはり五郎は優秀だったんだ!
しかし、優秀なだけじゃない。子供ということで一文字たちも易々と手が出せないだろう。
今回から登場した大幹部ゾル大佐が加わったことでさらにショッカーとの戦いは激化しそうだ。
まとめ
・ショッカーの上層部は服装の着こなしに厳しい
・ユリもバイクに乗れるようになる(これでひろみ以外の3人娘は全員バイクに乗れるようになる)
・サイクロン号からは縄が射出できる
・滝は警察の牢屋では体操や身体を鍛えるタイプの囚人
・ユリは虫も殺さないレディー(虫嫌いのためか?)
・大幹部ゾル大佐の執務室は少し豪華?