【仮面ライダー】77話「怪人イモリゲス じごく牧場の決斗!」感想・考察(ネタバレ有) バッタの大群全国に散らばる

ネタバレがあります。
本編を楽しんだ後に閲覧することをオススメします。

東映 1971年

あらすじ

伊香保いかほ」に住むライダー少年隊員「とおる」。

隊員になってから全然遊んでくれないとすねる牧場娘「三上ひとみ」に透は諭す。

ここ最近、伊香保の人々が次々と行方不明になる事件が相次いでいた。

それをショッカーの仕業だと透は睨んでおり、原因を探っているのだ。

早朝、また一組の夫婦が襲われ女性は死亡、男性は誘拐されてしまう。

それをパトロール中に目撃した透はハトに報告文を付け本部に飛ばす。

連絡を受けた滝は伊香保に急行する。

その事件の裏でショッカーは着々と牧場の地下で秘密飛行場の建設を進めていた。

各地に生息するバッタたち

今回本部がSOSを受けたのは登録番号「512」、伊香保在住の隊員「」くん。

伊香保は群馬県渋川市にあり温泉で有名な観光地で滝も出動する際に「温泉に行ってくるわ」と発言するぐらい温泉で有名な土地だ。

ちなみに伊香保温泉は「千と千尋の神隠し」のモデルになったことでも有名な温泉街である。

透とその友達「三上ひとみ」は群馬県渋川市金井にある「伊香保グリーン牧場」周辺に住んでおり、ヒロコは牧場主である「三上茂一みかみしげかず」の娘さんだ。

透は勘が良く、今回の誘拐事件をショッカーのものだと予想し、パトロール中にショッカーは事件の首謀者であることを突き止める。

ライダー少年隊員には登録番号がある。

その登録番号が1から順に割り振られているとしたら登録番号「5668」の「伊藤達夫」くんを基準に考えると全国に6000人近くライダー少年隊員が存在することになる。

今回、群馬の透の存在で少なくとも関東地方全域に会員が存在するのではということが判明した。

この会員番号の数がそのまま会員数だとするとショッカーは全国の小さなバッタたちに監視されていることになる。

ショッカーよ…仮面ライダーという概念はもう1人じゃないぞ…

伊香保から全国へ

伊香保のショッカー誘拐事件は決まって男性ばかり狙われている。

なぜ男性ばかり…勘の良いみなさんならお気づきだと思うが肉体労働力確保のためだ。

今度は何を企んでいる?資源採取のためのトンネル堀り?地下施設建設?

答えは牧場の地下に「地下飛行場」を建設することだ。

これが完成すれば数百機もの超音速機が格納でき、ここを中心に日本全国に一気に出動し爆弾を落とそうと企んでいる。

34話「日本危うし!ガマギラーの侵入」ではショッカーの「秘密飛行場」が出てきたが、今回の計画は人目につかない地下での建設だ。

牧場の男性だけではなく近隣の「ホテル天坊」などの従業員を狙われ、市民は次々と県外に逃げる準備をしている。

ホテルの従業員は県外でも転職可能かもしれないが、牧場で働く人々はそうはいかない。

牧場は自分たちの命。手放すわけにはいかないので何とか踏ん張って残るがそれはショッカーにとって好都合だ。

地下建設なので「仮面ライダーも気づくまい」と豪語する地獄大使だが、実は透の報告よりずっと前からライダー少年隊でアジト建設を予想していた可能性があるのだ。

それは75話「毒花怪人バラランガ 恐怖の家の秘密」の記事で書いたライダー少年隊本部の「ショッカー出現地図」の「アジト予定地」についてだ。

アジト予定地の印の中に今回地獄大使が見せていた地下飛行場の模型に似た形の印が群馬付近を囲っていたのだ。

上記でも書いたが少なくとも関東圏はライダー少年隊の監視下である。

いくらショッカーが暗躍しようとも日本の子供たちが見逃してはくれない。

もはや日本のショッカー情報に関してはFBIおも上回る勢いかもしれない。

もしアジト予定地として伊香保牧場に目をつけていて、その監視として透を隊員していたのなら少年仮面ライダー隊はとんでもなくできる組織だ。

流体なのに硬いイモリ

イモリ」の特性を持つ怪人「イモリゲス」。

イモリは水田など水源に生息しているという特性を活かしてイモリゲスは水のように流体となり、移動することができる。

そのため蛇口などから家に侵入することができる。

武器は長い舌で相手を捕らえ、舌から出る溶解液で相手を溶かす。

今までの溶解液攻撃は命中精度に問題がありましたが、イモリゲスは舌で相手を捕らえその武器から直接溶解液を出すことで確実に命中させることができる。

この攻撃で仮面ライダーを捕らえて溶解液を命中させることで相手は脱出に集中できず舌に絡まれてながらじわじわと追い込まれていった。

今回は滝やライダー少年隊の活躍で難を逃れたが、仮面ライダー1人では危なかったかもしれない。

そしてこのイモリゲス、見た目に反して防御力が非常に高く、ライダーキックを受けても撃破できず、新必殺技「ライダースクリューキック」で辛うじて撃破することができるほど硬い(スクリューキックを受けても1度立ち上がってきた)。

少年でもライダー少年隊である以上、責任は重い

牛小屋から牛の声が絶えず響いているのでひとみの父親「三上茂一」が様子を見に行く。

すると牛小屋のシャッターの隙間から赤い液体が出てくる。

次の瞬間イモリゲスが現れて茂一を襲う。

父親が襲われているのを目撃したひとみは逃げて逃げて逃げて捕らえられそうになったところを伊香保に到着した猛に救出される。

その後猛たちは「ホテル天坊」に身を置きひとみを治療後、牧場に送る予定だった。

しかし、ひとみは姉の「三上ヒロコ」に黙って出ていったため心配しているから帰ると猛と滝に黙ってホテルから出て透と帰宅する。

透とひとみがいないことを知り、見張りを頼んでいたライダー少年隊の失態に叱責する猛。

いくら子供とはいえライダー少年隊の一員。任せられたことに責任は持ってやり遂げる。

こういった叱責も子供だからといっておろそかにしてはいけないのかもしれません。

まあ猛は超聴覚持ちなんだからひとみが後ろを通った時の音で気づけよとは思いましたけど。

だがこの子たちは強い!反省して「そのうち名誉挽回しようぜ!」なんて言ってのけるのだから大したものだ!

さすがは伊香保に自転車できたエリート隊員の2人だ。

あっ!ちなみに東京から伊香保までは車で2時間かかります。

滝がホテル天坊に寄ったとはいえ、ナオキとミツルはバイクより先に到着して透と合流して「国定忠治くにさだちゅうじ」のコスプレまでしているのだ。

国定忠治とは群馬県伊勢崎市出身で侠客で有名だ。

最初は藤兵衛にでも車で送ってもらったのかと思ったが、隊の自転車を持参していたためガチで!チャリで!バイクより早く!伊香保にきていたのだ。

74話「死の吸血魔 がんばれ!!ライダー少年隊」では、途中でばてて「もう走れないな!」と言っていたので体力的にどうなのと思うかもしれないが、そもそも追跡していたのは車なのだから良く食らいついていたなと思っていたのに、まさかこれほどの脚力だったとは…

失礼ですが、こいつら改造人間じゃないの?

滝隊長、隊員無双の活躍

ナオキとミツルが目を離した隙に牧場に帰る透とひとみ。

ひとみのお姉さんと合流するがイモリゲスが尾行していたのであっさりと誘拐されてしまう。

人質を取られたライダー少年隊。

猛はショッカーに人質を盾に次の日の早朝、1人で呼び出される。

人質がいるため手が出せない猛だが人質の解放を訴える。だがショッカーが約束を守るわけがなく、火炙りの刑が始まる。

そこへナオキとミツルがしていた国定忠治のコスプレをした謎の人物が人質を救出する。

その正体は滝和也!

滝が手際よく戦闘員を撃破して人質を解放してくれたため、猛はイモリゲスとの戦闘に集中することができた。

今回はイモリゲスの舌に捕まり、ピンチの場面で滝の救援、そしてライダー少年隊の石攻撃でイモリゲスを滝の下に滑り落とすことに成功するなど、援護射撃に助けられるシーンが多い。

普段途中でやられてしまう滝兄ちゃんだが、滝隊長になってからドンドンと頼もしくなっている。

やっぱ立場は人を変えるんですね~

KADOKAWA 2021年03月26日

ストーリーの転換点と考察

少年仮面ライダー隊の連携

伊香保に住む隊員透の報告、仮面ライダーを救援、人質の救出。

これ全てライダー少年隊の成果だ。

もちろんイモリゲスを仕留めた仮面ライダーの戦果は大きいものの、そこに至るまでの過程でライダー少年隊の活躍は必要不可欠だった。

ショッカーも仮面ライダーに注力したいが、ライダー少年隊の活動にも警戒しなければならないほど脅威となっている。

もっと早くに仮面ライダーに注力していれば…

ショッカーが慢心しているうちにライダー少年隊は着々と巨大化する。

子供の成長は早いぞ~

今回の特撮表現の面白さ

地下飛行場模型表現

牧場の模型の中央付近の地形を持ち上げると地下飛行場に設計図面が出てくる。

イモリゲスの出現表現

イモリゲスは赤い液体に変化して移動することができるので、出現前に赤い液体をドバドバと垂らして、液体が移動しているように見せたところで軽く火薬で爆発。

その煙が収まらない内にイモリゲスを立たせて液体から実体化する変化を表現している。

新必殺技「ライダースクリューキック」

横に回転しながらジャンプの映像後、空中前回りからのライダーキックを行うことでスクリュー感を表現している。

イモリゲスの撃破表現

ライダーキックに耐えたイモリゲスはライダースクリューキックを受けてもまだ立ち上がってくる。

だがさすがに耐えられなくなったイモリゲスはその場で硬直する。

その硬直状態は立ったまま死んでる!?っていう演出でもあるが同時に模型でもあるため動かないのだ。

この模型に取りつけた火薬を爆発させ、模型を破壊しながら引火させることでイモリゲスの肉体がバラバラになっていく様を表現している。

特撮満足度(★で5段階評価)

特撮満足度

アクション:★★★★☆

高所:★★★★☆

火力:★★★☆☆

水場:★★★★☆

仕掛け:★★★☆☆

ロケ地(執筆者の調べ)

・「伊香保グリーン牧場」

・「ホテル天坊」

次回予告より(第78話「恐怖ウニドグマ+ゆうれい怪人!」)

次回のショッカーからの刺客は怪人「ウニドグマ」。

ウニ」の特性を持った怪人だ。

棘皮動物のウニはその鋭い針で身を守る。

予告で仮面ライダーが顔面ぶん殴っているけど痛くないのかな?

ドグマ」は宗教の教えを体系化したいわゆる教義と呼ばれるものだが、ウニドグマのドグマがそのドグマに該当するかは不明。

宗教的というかスピリチュアル的要素として不気味な墓地で光る木箱の謎やゆうれい怪人なるものも登場するため、それと何か関係があるのだろうか?

ライダー少年隊も新隊員が入団してどんどん活気づいており、各地にも隊員を配置して今回の事件発覚を察知することができた。

これはショッカー崩壊も近い!?

感想・まとめ

滝兄ちゃんってどうしても仮面ライダーが奮起するための起爆剤として扱われているような感じで残念だったイメージが定着していた。

だが少年たちのリーダーになることで元々見栄っ張りな滝が俄然やる気となり、みんなのお手本となるカッコイイリーダーであろうと奮起している。

みんなのヒーローは仮面ライダーであることは代わりないが、ライダー少年隊にとって一番信頼できるのはこの滝隊長だろう。

仮面ライダーは憧れだが、滝隊長は目標であり、尊敬でき、頼れるリーダーなのだ。

猛だけ強いのはダメだ。俺たちにもできることがある。

この精神は立花レーシングクラブ会長の立花藤兵衛の姿を見てきた影響もあると思う。

オッサンで普通の人間、なのに損得勘定抜きで接してくれる。

FBIで学んだことも多いだろうが、日本でレーシングクラブに出会ったことが滝をここまで成長させたと感じられる回だった。

今回判明したこと

・全国各地にライダー少年隊員がいる

・伊香保にはライダー少年隊の隊員番号512「透」隊員がいる

・新必殺技「ライダースクリューキック」

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