【仮面ライダー】48話「吸血沼のヒルゲリラ」感想・考察(ネタバレ有) 奴隷の血は緑色

ネタバレがあります。
本編を楽しんだ後に閲覧することをオススメします。

東映 1971年

あらすじ

沼でザリガニ釣りを楽しむ3人の少年。

少年たちはふと自分の身体にヒルが張り付いていることに気付く。

なぜ顔や肩に?と戸惑っていると大量のヒルが木の上から落ちてきて少年たちを襲う。

気を失った少年たちに巨大ヒルが近づく。

やつこそ新怪人「ヒルゲリラ」。

ヒルゲリラは子供たちの血を吸い欲を満たしショッカーアジトへ誘拐する。

行方不明の子供たちの中には一文字のカメラの先輩である「山崎秀夫やまざきひでお」の息子「山崎ヒサシ」もいることもきっかけとなり立花レーシングクラブは調査に乗り出す。

ヒルゲリラは血液の量を減らすだけ?予告との相違でイメージが変わる

予告でヒルゲリラは血を吸った生物を奴隷にできるという説明がある。

しかし、本編を観たところそれは正確ではなかったようだ。

正確にはヒルゲリラが血を吸うことで血液量を減らし、その空きスペースに死神博士が開発した緑色の薬液を注入することで奴隷人間にできるということのようだ。

予告では「ヒルゲリラこそわが敵ショッカーが創り出した最も恐ろしい改造人間である」と表現もされていたので奴隷状態にするという能力がヒルゲリラのものではないとなると思ったより過大評価だったようだ。

それでも戦闘力自体は非常に高くサラセニアン同様、いやそれ以上にツルのムチを使いこなし仮面ライダーを追い込んでいる。

薬液は輸血のように輸血パックや注射ではなく薬液を直接口から飲ませることで注入することができる。

血中に薬液を注入して血流で全身に巡らせればよいのではないか?と思ったが血液と薬液を入れ替えることが重要なようだ。

ともかく薬液を注入するとその生物は「原始猿人に等しい頭脳になり奴隷となる」ようだ。

原始猿人の頭脳とは分かりにくい例えだが、人間であれば知能を取り去り、本能だけを残した。そして簡単な道具程度なら扱えるといったところだろう。

一番原始猿人と感じられた場面は山崎母子が奴隷状態として現れた時、秀夫の妻「山崎英子やまざきえいこ」が 息子タダシの頭のゴミやフケを取って食べている場面だ。

親子猿の「毛づくろい(グルーミング)」のようだ。

毛づくろいは親愛の証であり、猿人状態の親子だから発生した行動だろう。

ここは妙に設定が細かいと感じた。

親子間では猿人の特徴を見せたが、他の奴隷となった人々は手を前にだらんと差し出して呻くすがたはゾンビに近い状態だった。

よく悪役が人類のことを蔑む時「このサルどもが!」と下に見る表現をする。

つまりショッカーは自分たち(幹部のみ?)以外を猿状態にして「猿の惑星」を創造する気だったのかもしれない。

ちなみに赤い薬液を飲ませると奴隷状態が解除され元に戻る。

それって血液って言わない?

これは使える!電撃水中コンボ

ヒルゲリラをライダーキックで沼に蹴り落とされ爆発でフィニッシュかと思いきや爆発しない…

これでは取り逃がしてしまうのでは?と思ったその時!

ヒルゲリラを逃がすまいと新必殺技を繰り出す。

ダイナモの回転で体内に蓄積された電気エネルギーを放出する技だ。

水は電気を通しやすいので電撃が沼全体に広がり、ヒルゲリラを仕留めた。

純水は電気を通さない!?

自然界の水にはカルシウムなど様々な不純物が混じっているため電気が通りやすくなる。

そのため実験などで使用する純水(不純物がほとんどない水)は電気を通さない。

海など広い場所では効果が薄いが、川、湖、沼など面積が狭い水フィールドならこのコンボは今後活躍しそうだ。

発信機の精度とともにストーカー度も向上

緑の薬液が注入されたことで奴隷状態となってしまう一文字。

その刹那、滝の腕時計が光を放つ。

それを見て滝は「隼人が危ない!」と言う。

滝の発信機は発信者(一文字)の場所どころか状態異常(健康状態?)まで検知して危険を知らせてくれる。

この機能のおかげで一文字を奴隷状態から救うことができた。

滝は47話「死を呼ぶ氷魔人トドギラー」で一文字のオートバイに内緒で発信機を仕掛けている。

今回、滝はオートバイだけではなく一文字本人にも発信機を取付けていたことが判明する。

9話「恐怖コブラ男」で藤兵衛が本郷猛にペンダント型発信機を送っているが本人に許可をとっている。

結果オーライに見えるが風邪をひいても腹痛でもその状態が滝に全て筒抜けということだ。

メンヘラ彼女の「彼くんのスマホにGPSアプリ入れるね」どころの話しではない。

隼人くん自身にヘルスケア付きGPS入れるね」と言っているようなものだ。

いや…一文字に黙って仕掛けているのだから言ってはいないか…

重いぜ…滝兄ちゃん…

勝利の胴上げ

事件解決後、変身解除してみんなの前に現れた一文字はなぜか胴上げされることになる。

滝と藤兵衛(本郷猛とショッカーも)以外に一文字が仮面ライダーであることを誰も知らない。

毎回事件解決後に何食わぬ顔で現れる一文字の活躍は所詮と言ったら失礼だが仮面ライダーほどの活躍とは誰も認識していないだろう。

前回も一文字が仮面ライダーに助けられたというと五郎に「まったく頼りねえんだなぁ隼人兄ちゃんは(笑)」と言われてしまう始末(半分冗談で日常会話みたいなものだろうが)。

今回は序盤で滝が吸血で貧血状態となり、終盤まで病院で寝込んでいたことから一文字単独で事件解決したのだと思い胴上げに至ったのではないだろうか。

それにしても締めに困ったのか唐突な胴上げがシュールだった。

ストーリーの転換点と考察

奴隷状態の解毒薬の存在を自らばらす

自分で電話をすれば良いものをわざわざ奴隷状態の秀夫を解毒薬で正気に戻して電話させている。

このことにより秀夫に解毒薬の存在を知ることとなり、脱出の際に解毒薬を盗み出されてしまう。

もし、一文字をおびき寄せる電話を死神博士が行っていれば秀夫は奴隷状態のまま解毒薬の存在は知られていなかったかもしれない。

知られたとしても一文字の解毒が遅れて味方同士が相打ちとなった可能性もある。

死神博士でも良いような連絡役を秀夫にさせたことがそもそもの間違いだった。

原始猿人並の頭脳で変身不可にしてしまったこと

一文字を奴隷とすべく、変身前にヒルゲリラに吸血させ、薬液を注入。

見事、一文字を奴隷にすることに成功した死神博士。

だが誤算が生じる。

滝と藤兵衛が一文字の状態変化に気づきアジトに駆けつける。

そして先に脱出した秀夫に解毒薬を託された滝は一文字を正気に戻すことに成功する。

しかし、この大逆転を許した一番の要因は一文字を「原始猿人並の頭脳にしてしまった」ことだ。

猿人並の頭脳となった一文字は知能の低下で変身アイテムを扱えなくなる。

そのため滝に制圧され解毒薬の注入を許す。

もし、知能がそのまま、もしくは常人並で操ることができ、仮面ライダーに変身できれば滝と藤兵衛2人がかりでも抑え込むことはできなかっただろう。

それに変身状態となればマスクが邪魔だったり、ボディが頑丈なため解毒薬を注入することは極めて困難であったと考えられる。

つまり知能を故意に下げる(馬鹿になる)薬液を使ってしまったことがショッカーの敗因である。

沼の水をアジトに流し込むスイッチの破壊

今回のアジトには沼の底を抜くスイッチがある。

これを起動するとアジトに沼の水が流れ込み、アジト内にいるものは溺れ死んでしまう。

そのスイッチを藤兵衛が間一髪それはもう適当に無茶苦茶に破壊したことによりスイッチが起動できない状態となる。

もしスイッチが起動していたら一文字、滝、藤兵衛はギリギリ脱出できたかもしないが、牢屋で奴隷状態となり捕らえられている人々は溺れ死んでいただろう。

今回の特撮表現の面白さ

ヒルの表現

ヒルゲリラは身体中にヒルを飼っている。

ねんどのようなもので成形して着色しているように見える。

ヒルは緑色であることから「チスイビル」がモデルになったと考えられる。

チスイビルは古くから水田などに生息していたが、現在農薬などの発展により数が減少して京都府では準絶滅危惧種に登録されている。

ヒルゲリラの吸血表現

少し見にくいのだが、ヒルゲリラ左手の円い吸盤?の口をアップにすると、その中心に透明の管が通っている。

そこから管から赤い液体を流すことで吸血を表現している。

貧血・奴隷状態表現

顔に白塗りすることで貧血状態を表現している。

奴隷状態では顔を青白くペイントしている。

磁力で張り付く超小型爆弾表現

一文字は牢屋の鍵を開けるために超小型爆弾を使用している。

形状はフィルムケースのようで鉄製の南京錠に磁力で張り付くようになっている。

電撃表現

ヒルゲリラを仕留めた電気攻撃は38話「稲妻怪人エイキングの世界暗黒作戦」でもエイキングの電撃攻撃で使用されたエフェクトで表現されている。

特撮満足度(★で5段階評価)

特撮満足度

アクション:★★★★☆

高所:★☆☆☆☆

火力:★☆☆☆☆

水場:★★★★☆

仕掛け:★★★★☆

ロケ地(執筆者の調べ)

・「三宝寺池」

次回予告より(第49話「人喰い怪人イソギンチャック」)

次回のショッカーからの刺客は怪人「イソギンチャック」。

イソギンチャク」の特性を持った怪人だ。

イソギンチャクは無脊椎動物であり、口の周りに毒針がある。

だが人体に影響を与えるほど強力毒ではない。

怪人にしてもそれほど強力とは思えません。

だがイソギンチャックは大きな口を活かして風速100メートルもの竜巻を発生させ様々なものを吸い込むことができるという強力な能力があるようだ。

予告にはダブルライダーキックの描写がある。

もしかしてまた本郷猛との共闘が観れるのか!?楽しみだ!

まとめ

生物を「上手に操る」のは非常に難しい。

人間のように理性があり感情があるといつ心変わりをして反旗を翻されるかわからない。

だからと言って理性を奪うと暴走し兼ねないし、感情を奪うと無気力になる。

反抗できないように知能を下げて洗脳しても今度はちょっと高度なこと(人間であれば簡単なこと)が行えないようになってしまう。

今回で言えば、ショッカーは薬液で一文字を奴隷状態にして知能を原始猿人並に低下させたことで変身することができず(うまく道具を扱えない状態)、本来の戦闘力を発揮できなかったのが良い例だ。

操るとは、ある意味自己洗脳をさせることが一番都合が良いのかもしれない。

例えば仕事で上司が誘導せずとも「会社に迷惑がかかる」とか「自分がいないと仕事が回らない」と思い詰めてしまう部下がそうだ。

本人が勝手に会社に都合の良い人間になってくれるのだから。

それは働かせすぎだと上司が部下の監督責任を問われても、自発的に行ったとして自己責任とも片付けられやすい。

だが、最初から相手に都合の良い自己暗示で自身を追い込んでいるわけではない。

入社前はまっさらな心だったはずだ。

会社の空気。つまり社風がそうさせているのだ。

社会的洗脳は怖い。洗脳に至るまでの過程が洗脳をより強いものにするからだ。

ショッカーのように科学で強制的に洗脳するには何かと不都合がある。

仮に科学で強制的に相手から尊敬される状態をつくりだしたとしよう。

周りは無条件であなたのことを尊敬するようになる。

だが、無条件とは尊敬されるまでの過程がないため相手に「○○さんのどこを尊敬しているのか」と問うても「理由が思い当たらない」のだ。

なんかよくわからないけど尊敬している」という状態だ。

そうなると理性や感情、知能がある人間はその内こう思うだろう。

なんであの人のことを尊敬しなければならないのか?」と。

その疑問が積もり積もって反抗するきっかけとなり、洗脳状態でも上手く操れなくなってくるかもしれない。

そういう意味では科学で強制的に洗脳するのは持続性はあるが、効果は段々薄くなっていくだろう。

薬に対して免疫ができてあまり効かなくなる状態と一緒だ。

つまり「洗脳する」と「上手に操る」は全く別次元の話しということだ。

そのぐらい難しいことなので「相手が思い通りに動いてくれない」などあまり考えないことだ。

期待し過ぎると疲れるだけだ。

長期的な信頼関係の元、悪いこと吹きこんだり、相手に都合が良い条件ばかり提示してくる人には注意しよう。

その人はあなたにとってのショッカーかもしれません。

間違っても「上手に操られない」ように。

今回判明したこと

・立花レーシングクラブでトランプ遊びをする時にはミカのでかい占いトランプを使う

・滝と藤兵衛は血液型が同じ(滝に輸血をする際に藤兵衛が血を提供していたため)

・一文字は鍵を破壊するための超小型爆弾を持っている

・死神博士は瞬間移動、暗闇に溶け込む、催眠術で相手の意識を別に向けるなどのように見える逃走技術を持っている(明確な方法は不明)

・新必殺技「水面にダイナモの発電エネルギーを放出して広範囲の雷撃を放つ」

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