【仮面ライダー】44話「墓場の怪人カビビンガ」感想・考察(ネタバレ有) 等身大のしつこいカビ

ネタバレがあります。

本編を楽しんだ後に閲覧することをオススメします。

東映 1971年

第44話「墓場の怪人カビビンガ」感想・考察

珍しい被写体

一文字は珍しくレーシングクラブレディースのユリ、ミカ、エミを被写体に写真を撮っている。

登場初期なんてマリが「モデルにして」と押しかけてきても「女はダメ」と突っぱねていたのに珍しいこともあるものだ。

これは雨、嵐、いや…ショッカーが降ってくるかもしれない。

そしてその通りに事件の予兆は出始めていた。

ここ2、3日滝がレーシングクラブに姿を表さない。

ということはFBIからショッカーの情報をキャッチしているためレーシングクラブにきている暇がないということ。

逆に言えば暇さえあればレーシングクラブに遊びに来ているということだ。

レーシングクラブはショッカー対策本部兼憩いの場だからなぁ。

一文字が写真を撮っていたのも仕事というより憩いの場での平和な日常をカメラに収めたいという感覚なのだろう。

殺人カビの培養

今回のショッカーの目的は怪人「カビビンガ」の特殊なカビを大量に培養して世界中にばら撒くこと。

このカビが生物に触れるとその生物はたちまち溶けてしまう。

溶けるという表現は少し違うか…正確には生物を肥料として吸収することで溶けたように見える。

そして吸収した栄養を元にカビは成長して増殖する。

普通のカビ同様に湿気の多い場所でも増殖するが、生物を肥料にしたほうが増殖は早いため次々と人間を襲撃して培養を重ねていく。

つまり湿気の多い場所に人間を置いて肥料にすればカビの増殖をさらにブーストされる。

墓場の墓石にカビが付着していることが多い。

そのイメージからカビビンガのアジトは墓場になったのだろう。

ただショッカーよ…お前たちは「川島家」の墓石をアジトの入口にしているなんて罰当たりな!

末代まで呪われるぞ!

長い付き合いだとわかる家族心

言葉は同じでもその人の人柄によって捉え方は違います。

例えば「あの馬鹿が!」という言葉は別々の人間が聞いたら違う意味に聞こえるでしょう。

発言者の人柄を知らずに聞けば言葉通りに「馬鹿だと罵倒している」ように聞こえます。

しかし、近親者が聞けば「本人の行いを自分のことにように悔いてもの凄い心配している」ともとれます。

五郎が一文字と滝が墓場の調査に向かったが帰りが遅いため「真面目にやってるかな?あの2人」と発言します。

エミはもちろん真面目に調査しているだろう2人を小馬鹿にしているように聞こえたため「馬鹿なことをいうもんじゃないわ!」とご立腹。

だが付き合いの長いユリは「五郎ちゃんだって心配のあまりなのよ」と言葉の裏を読み理解を示す。

エミは付き合いが浅いため言葉通りに受け取ったが、ユリは五郎の発言のクセを知っているためぼやく時は心配している時だと知っていてくれてるのだ。

ユリもおてんば娘なんて言っていたが最近はショッカーに捕らえられながらも他の人を励ましたり、子供たちを指導したりなどお姉さんらしい一面も多く見受けられる。

こういう言葉のニュアンスを読み取って寄り添ってくれる人が近くにいるのは恵まれていますね。

相手に強要するのは良くないがなんとなく波長が合うのは家族って感じがします。

エミを責めているわけではありません。

むしろスイス人なのにかなり日本語が流暢だ。

エミもその内「立花レーシングクラブの空気」がなんとなくわかってくるだろう。

前回もバナナの皮を投げ捨てる五郎を注意していたし、これはこれで叱ってくれるお姉さんというのもまた貴重な存在です。

立花レーシングクラブは多様性のある価値観のメンバーが集まる良い場所ですね。

私も家族同士だとジェスチャーで通じたり、家族間言語とか挙動で理解し合うことができます。

その楽さのあまり外で同じことをしないように気を付けないといけませんね。

死神博士の特殊能力

死神博士は登場以来、洗脳による作戦を数多く披露してきた。

考察通りやはり死神博士は洗脳技術に長けておりそれで組織でのし上がってきたのだろう。

今回は死神博士自らの技で双子に洗脳を施す。

ロウソクに火をともし暗示をかける。いわば「催眠術」の類で洗脳を行えるようだ。

博士と言われるぐらいなので「脳科学」や「神経学」、「心理学」など人心掌握に長けているように思う。

死神は見た目かな?

洗脳は死神博士の手を離れてもその道具(ロウソク)をみせるとたちまち暗示にかかるようで、カビビンガがロウソクを持ってマコを操るシーンがある。

これができるとした振り子などでも催眠術がかけられそうだ。

今後どのような洗脳・催眠術を見せてくれるのか楽しみだ。

双子を使いかく乱作戦

墓場でかくれんぼする双子の姉妹で姉の「並木なみきジュンコ」、妹の「並木マコ」。

2人は墓参りをする男性がカビビンガに襲われるところを目撃しており殺されそうになる。

しかし、双子ということで使い道を見出され死神博士に洗脳されてしまう。

マコは一文字たちを墓地におびき寄せるための陽動をジュンコは一文字たちと入れ替わりでレーシングクラブに虚偽の事件解決報告を行い、お礼と称して睡眠薬入りの饅頭を食べさせる役割を担う。

レーシングクラブメンバーを眠らせてその場にとどめることで饅頭箱の下に仕掛けたカビが増殖してメンバーに接触させることで栄養を吸収できてメンバーも殺せる一石二鳥作戦だ。

一文字たちと入れ替わりで作戦を決行したのは一文字は改造人間のため睡眠薬の効果時間が短く、直ぐに覚醒して作戦を阻止される可能性が高いためだろう。

なかなか考えられた作戦だ。

カビは生物を肥料にする以外は湿気が多い場所で増殖する特性がある。

しかし、レーシングクラブの部屋はショッカーアジトの「カビ培養室(洞窟)」ほど湿気があるようにも思えない。

その割にはやけに増殖が早い。

これは饅頭箱の底板が溶け出してカビが現れたことから、何かしら特殊な肥料としての役割を果たしていたためだろうか?あと1個余った睡眠薬入りの饅頭も一緒に溶けてたのでその栄養とか?(微々たるものだろうが)

死神博士の意外な権力

仮面ライダーを仕留め損ねたカビビンガに対して死刑宣告をするショッカー首領。

カビビンガ自体は戦闘力が高く、仮面ライダーを崖下に落として退却させるなど追い詰めていたのにシビアだな…

しかし、ショッカー首領の言葉とは裏腹に死神博士は首領の許可も取らずにカビビンガにもう一度チャンスを与える。

ショッカー首領の決定は最高裁の判決ぐらい絶対だと思っていたのに意外だ…

これが年の功というやつか…

そのかわり部下の戦闘員は始末させてることで責任を取らせた。

部下の責任は上司の責任ではなく、個人の責任として一文字を取り逃がした戦闘員本人たちを始末するとは…

ショッカーは組織的に見えて意外と個人主義なのかもしれない。

それかショッカーは下の失敗にはチャンスを与えない厳しさがあるが上であればあるほど何度もチャンスを与えられる。

つまり部下にはチャンスを与えず、成功は上官の手柄、失敗は部下の責任とした悪質なタイプの縦社会なのだ。

カビの弱点

カビの弱点は「」、「紫外線」、「塩素系のカビ除去剤」などだ。

墓場の下にアジトを構えているのは「涼しい」、「紫外線なし」、「湿気が多い」などカビの増殖に適しているためだろう。

そんなカビビンガのカビには意外な弱点あった。

それは「オイル(油)」だ。

思いがけずに発見したカビの弱点。

オイルは「油汚れ」など汚れるイメージですが「クレンジングオイル」など保湿などに油が使われることが多いですよね。

カビは熱に弱いのでカビビンガにオイルかけて点火すれば一発KOですね!

もう爆弾やめ~や

チャンスを得たカビビンガは確実に一文字を始末するために作戦を決行する。

作戦の内容はアジトの上にあるお寺の「鐘楼しょうろう」に爆弾を仕掛けて を使い一文字を誘い出す。

そして鐘の下にきたところを爆発させる作戦だ。

だが爆発作戦を行うと決まってその爆風でダイナモが回転して変身することで回避されてしまうことは1号の時も嫌という程体験したはず。

なのにショッカーはそれで仮面ライダーが倒せると思い続けている。

もはや爆風が発生する以上、爆弾攻撃はほぼ無意味。

せめて「破片手榴弾はへんしゅりゅうだん」など爆風の威力で別に内部から飛び出す金属片で攻撃したほうがまだ通用するのではないだろうか。

まあショッカーの考えもわかる。

本郷猛のダイナモとは違い、一文字のダイナモは開閉式。

そのためダイナモが開閉する前であれば爆弾は通用するだろうと考えたのであればショッカーの狙いは正しいだろう。

しかし、今回悲しいことに開閉式の2号でも爆弾攻撃は通用しないことが判明してしまう。

FBIの観察眼と天性の勘の良さ

最後一文字と滝は双子の姉妹当てゲームを行う。

意外と天然な滝は不正解、一文字は勘の良さで正解する。

ちなみにヘアアクセサリーが青の方がマコ、ピンクがジュンコだ。

確かにヘアアクセサリー以外あまりにも似すぎているので見分けるのが難しい。

だがFBIなら捜査対象の特徴を見抜く能力は欲しいところ。

ストーリーの転換点と考察

藤兵衛の不注意

マコのふりをしたジュンコがお礼に持ってきた睡眠薬入りの饅頭には箱の底板の下にカビを仕込んでおり藤兵衛たちの殺害とカビの肥料としての一石二鳥作戦を実行するショッカー。

ショッカーの作戦成功するに思えたが、思わぬ形で作戦は阻止される。

一文字と滝がレーシングクラブに帰宅してドアを開けると足元にはオイルの缶が置いてあった。

一文字はオイル缶を蹴ってこぼしてしまうがそれがたまたまカビにかかる。

するとカビはたちまち消滅したのを見てオイルが弱点だと気がつく。

急いで部屋全体にオイルを撒いてカビの増殖を食い止め、藤兵衛たちも難を逃れた。

後での掃除が大変そう。

ここに火なんて灯そうものなら爆発して違う意味で一網打尽にできただろう。

オイルはカビビンガ怯ませる手段としても有効であり、動きを鈍化させてライダーキックで勝利している。

通常であれば火事の元になるため扱いは十分に注意するべき、それも藤兵衛はバイク屋の店主なのだからなおさらのこと。

しかし、今回に限ってはそのおっちょこちょいが作戦阻止の最大ともいえるきっかけとなる。

今回の特撮表現の面白さ

カビの表現

コットンを緑色に染色してカビを表現している。

コマ割りで段々とコットン(カビ)を足すことで増殖していくさまを表現。

このコットンを少しずつ動かすことでカビが増殖していくさまを表現。

コットンをちぎり投げる事でカビビンガのカビ攻撃を表現。

人間の服装(今回はジャージ)の下に風船か何かを仕込み、少しづつしぼませることでカビが栄養を吸収することで人間がしぼんでいくさまを表現。

特撮満足度(★で5段階評価)

特撮満足度

アクション:★★★☆☆

高所:★★☆☆☆

火力:★☆☆☆☆

水場:★☆☆☆☆

仕掛け:★★★★☆

ロケ地(執筆者の調べ)

・「大谿山 豪徳寺」

次回予告より(第45話「怪人ナメクジラのガス爆発作戦」)

次回のショッカーからの刺客は怪人「ナメクジラ」。

ナメクジ」と「クジラ」の特性と持った怪人と思いきや「ナメクジのみ」のようだ。

語尾のジラはゴジラのジラ的な意味合いだろう。

ナメクジはカタツムリの殻が退化した進化でその理由は外敵から身を隠す為、狭い所にも入りやすいように進化したと言われている。

だが、身体はカタツムリと一緒なため塩や砂糖をかけると縮んでしまう。

ナメクジラはそれらの攻撃が有効であるのだろうか。

そしてナメクジラは「矢島博士」の発明した「人工頭脳」を搭載している。

今までの怪人も人間並の頭脳を備えているため「怪人」として機能していた。

それをわざわざ人工頭脳を搭載するということはAIなど高度な処理能力が可能な脳であるということだろうか。

石油や発電所などあらゆるインフラを狙ってきたショッカーの次なる狙いは「ガスタンク」。

33話「鋼鉄怪人アルマジロング」で失敗している作戦をもう一度実行するということか。

まとめ

今回判明したこと

・一文字は被写体を女性にすることもたまにある?(対象外と言っていたこともあるので)

・2、3日滝がレーシングクラブにこないとショッカーの企みが起こる前兆

・死神博士はロウソクを使い催眠術をかけることができる

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