【仮面ライダー】62話「怪人ハリネズラス 殺人どくろ作戦」感想・考察(ネタバレ有) 針のとばっちり

ネタバレがあります。
本編を楽しんだ後に閲覧することをオススメします。

東映 1971年

あらすじ

夜道を歩く男女カップルは草むらで不気味な物音を聞く。

草むらを凝視していると闇夜から黒光りするものが揺らめく。

揺らめく物体が立ち上がるとそこには全身針に覆われた怪人「ハリネズラス」が現れる。

男性、女性とハリネズラスの「殺人針」で身体が溶けて白骨死体と化してしまう。

そして女性の悲鳴を聞いて駆け付けた警官2名もハリネズラスの餌食となってしまう。

その被害は都内全域に広がり猛の部屋、立花レーシングクラブにも謎の動く針が襲来する。

ショッカーの思惑通り殺人針によるヴィルス実験は大成功。

本格的な作戦実行のため地獄大使は本部から大量にヴィルスを輸送してもらうよう手配する。

だが到着当日、輸送機はエンジントラブルにより「三浦海岸」に不時着。

ショッカーはヴィルスが一般人の手に渡らぬよう直ちに回収に急ぐ。

そしてショッカーの通信を傍受した猛と滝もまた三浦海岸に向かうのだった。

仮面ライダーに必ず会えるクラブ

五郎は経験則で立花レーシングクラブにいるとなぜか仮面ライダーに会えると感じ始めていた。

視聴者視点だとそりゃ本郷猛と一文字隼人が仮面ライダーなんだからと思うだろう。

また五郎視点であってもクラブ内はショッカー対策本部(仮)であり、ショッカー殲滅のためにFBIから送り込まれたエージェントである滝兄ちゃんも出入りしておりショッカーとの因縁が深い。

そのためショッカーの現れる場所に仮面ライダーあり!となればおのずと遭遇率は高くなると予測できるだろう。

仮面ライダーと遭遇する?には絶好のロケーションというわけだ。

今回は学校の友達「ナオキ」、「ミツル」に仮面ライダーに会えるクラブとして立花レーシングクラブを紹介する。

だが、クラブに入る=ショッカー被害にあう危険性が高くなるということだ。

そんなクラブに誘う五郎はすでに一般人と別次元におり、危険を冒してでも仮面ライダーに会えることにメリットを感じている。

純粋っちゃ純粋ですが、もうこの歳にして一通りの死線を越えて来てネジがぶっ飛んじゃった感はありますね。

処刑されそうになったこともあります。毒にうなされた入院生活。洗脳され殺人未遂もあります。ショッカーから友達を守るために大怪我をしたことも。電気人間になったこともあります。

これら全てがトラウマにすらなってないのも強い。

それだけ五郎は仮面ライダーをはじめ、周り大人たちの優しさや正義感、心の強さに影響されているのでしょう。

いい夢見ろよ!

藤兵衛の現在の、いや…長年の夢は「世界グランプリレースで本郷猛を優勝させること」だ。

藤兵衛は日夜トレーニングコーチ、整備士、経営者、立花レーシングクラブの親父として活動している。

こう書き連ねると藤兵衛はかなり多忙な身だ。

なのに休みをとっては五郎たちを色々な場所に連れていって人生経験させてくれる良い親父さんだ。

嫁さん子供がいない藤兵衛にとってやはりレーシングクラブのメンバーは可愛くてしょうがないのだろう。

話しを戻すと夢に向けて頑張る藤兵衛は寝言まで生きがいでいっぱい。

五郎たちがクラブに訪ねた時、寝ている藤兵衛は寝言で「いけ!猛!」、「ゴールまであと1周だ」、「やった!」と言ってソファーから落っこちる。

おっさんになってもこんな夢に出てくるほどの生きがいがあるのは羨ましいですね!

2種類の針使いハリネズラス

ハリネズラスの武器は生物を溶かしてしまう「殺人針」だけかと思いきや、もう1つ爆発する「爆発針」の2種類を使い分ける怪人だった。

殺人針は体毛をむしり取って投げる方法だが、爆弾針は投げても使えるし複数針を遠隔操作もできる優れもの。

まるでファンネルのように飛び交い、針に触れると爆発する。

そして自身の体毛を他人にむしらせることで手榴弾としても利用可能になる。

遠隔攻撃に特化しており、火力、状態異常攻撃を併せ持つ厄介な相手だ。

だがハリネズラス自身が壁にぶつかるなど強い衝撃を受けると自身の体毛(爆弾針)が爆発し自爆攻撃となってしまうという弱点がある。

防御力は高くライダーキックを跳ね返すほどだが、自爆攻撃で怯んだところを仮面ライダーの新必殺技「ライダー稲妻キック」の前に破れた。

漁村民へのとばっちり

ショッカーのミスで輸送機を墜落させたにもかかわらず墜落先の漁村で大暴れするショッカー。

漁村民に恐喝をし輸送箱を隠していると決めつけた挙句「この欲張りども!」と逆上し本当に何も知らない村民を1人殺害して子供たちを人質に。

そして子供たちを満潮になると海に沈む岩に立たせ知りもしないことを自白させようとする。

回収だけだったらショッカー得意の気の良いおじさんの変装で漁村民に協力を求めたら箱を拾った「雪夫ゆきお」から案外早く回収できたかもしれない。

猛と滝を騙すためには気の良い漁師の男に変装していたのだが、そっちには頭が回らなかったか…

村民に「あんたたちは鬼だ!畜生だ!」と言われるのも納得だ。

エンジントラブルさえなければ夫を失わずに済んだ今や未亡人が不憫すぎる…

な?五郎…漁村の子供たちは仮面ライダーに会えたけどショッカー被害にあっただろ?

友達にクラブ入会をおすすめしないほうがいいぞ…

ストーリーの転換点と考察

ヴィルスを積んだ輸送機がエンジントラブルで不時着したこと

輸送機トラブルはショッカーにとっての不幸というより、仮面ライダー側にとっての不幸だったように思います。

なぜなら、ショッカーの通信を傍受していたため輸送機がエンジントラブルを起こそうが、無事に目的地で着地できようが「着地地点はわかる」わけです。

なので輸送機の場所に駆けつけること自体は難しくはなかったでしょう。

むしろ漁村に不時着したことで関係ない漁村民が被害にあい、死者まで出てしまったことが不幸だ。

もし、輸送機が無事に目的地に着地していればそのまま輸送を阻止することができ、漁村民に被害が及ばなかったかもしれない。

漁村民の代わりに別の一般人が被害にあったかもと言われてしまうとその通りですが、不時着位置をわざわざ人目の付く場所にするとは考えにくいので被害は少なかった可能性も高いです。

たた漁村に落ちたことでヴィルスの回収に手間取り、結果ハリネズラスは漁村に足止めとなり都内での被害があれ以上拡大しなかったことを幸運に思うしかないか…

雪夫のせいではないが箱を隠さなければショッカーが直ぐに回収してバイバイという可能性も捨てきれないのでどの判断が良かったかは難しいところ。

う~ん…漁村の人々が被害にあったのだから完全な勝利というわけではないが、被害は最小限というところか…結果論ですかね…

仮面ライダー側に通信を傍受されたこと

ショッカーの通信を傍受した猛と滝は輸送機のエンジントラブルと同時に三浦海岸に向かうことででき、事件の解決に至った。

やはり情報を制するもの事件を制する。

いつも海外から日本にFBIがくる時はその通信をショッカーに傍受され、エージェントが到着前に殺されるというパターンが多かった中、今度は仮面ライダー側が傍受し返すという珍しいパターンだ。

仮面ライダーの耐久力を把握しているようでしていなかったこと

ハリネズラスは仮面ライダーと滝を崖から落とした(仮面ライダーが爆弾針に当たる前に自ら飛び込んだ)時「いかに仮面ライダーとてここから落ちては助かるまい」と発言するがそんなわけない。

何度も高所から谷底に落とされても復活してきた仮面ライダーがこんなことで死ぬはずがない。

むしろ落ちた先が固い地面ではなく、海なので多少クッションとなり衝撃を吸収しているだろう。

そりゃいくら水面とはいえ高いところから叩きつけられたら物凄い衝撃だ。

だが仮面ライダーが死ぬほどかというと今までの傾向から可能性は低い。

滝が一緒に落ちたので滝の方が心配だが、仮面ライダーが事前に身体につかまるよう指示していたので上手く滝を庇いながら落ちたのだろう。

2人が浮いてこないので死んだと思い込んだのだろうが死体になれば普通は浮いてくるはず。

それが分かっていたからこそ仮面ライダーは崖から見えない場所まで水中を移動してから浮上したと思われる。そうすることで自分たちの生死を曖昧にしてショッカーを油断させたのだ。

確かに川や海に落ちた生き物の生存確認はめんどくさいですからね…水中はショッカーから逃げるのに最適なことは今までの傾向で実証済み。

ショッカーは水中に落ちたらまず死体確認をしない!

ヴィルス表現はめんどくさい?

ハリネズラスが漁村に向かってから殺人針を使用しないことに少し疑問を感じた。

子供たちを人質にした際にはこの針は人間を溶かすヴィルスが仕込まれてるぞと脅していたが使用はされていない。

漁村民がヴィルスの輸送箱の行方を隠していると思い込み腹いせに漁村民を1人殺すが使用したのは爆弾針だ。

もちろん爆弾針も強力なので多用するのもわからないでもないが、仮面ライダーの対戦や立花レーシングクラブを襲う際には殺人針のほうを使用したほうが勝率が高かったように思う。

なぜだ?その疑問を考察するとゲスな答えが顔を出す。

殺人針を使用すると死亡表現としてガイコツを使用する。

もしかしたら「ガイコツの模型を海のロケ地まで持っていくのが大変だったから」漁村シーンでは殺人針を使用しなかったのでは?と考えてしまう。

殺人針を使用するということは刺された人間が溶けることを煙で表現後、ガイコツだけが残るため標本設置する必要がある。

爆弾針であれば針を刺し、人物を移動させた後に火薬でドーン!とやれば爆弾針での殺害表現ができる。

火薬であれば様々なシーンで使用するため常備するが、殺人針のシーンを撮るためにわざわざ模型をロケに常備するのは重労働、もしくは面倒だったのかもしれない。

違ったらスタッフの方々ごめんなさい!ただ爆弾に対する耐久力が高く、今までも通用したことのない爆弾(爆弾針)を使い、殺人針を対仮面ライダー戦で使用しなかったことが少し違和感を感じたのです。

あと立花レーシングクラブを襲った針も最初殺人針だと思っていたら爆弾針だったので脅威が薄れたというか。

それだけ序盤の殺人針によるカップルと警官の死に方が恐怖へのフリとなっていたので殺人針じゃないのか…と思った瞬間ハラハラドキドキがおさまってしまい惜しいなと感じました。

今回の特撮表現の面白さ

針攻撃の表現

ハリネズラスの針攻撃にはいくつかパターンがある。

針の模型を投げることで投てきによる遠距離攻撃を表現。

針を何かに吊るして暗い場所で移動させることで針攻撃が遠隔で操作可能なことを表現。

板を針が貫く描写をアップで撮ることで室内の壁から針攻撃を受けていることを表現。

針を部屋の壁に貼り付け、俳優が後ずさりし壁を突き破る音を入れることで段々と針がこちらに迫ってくることを表現。

針を刺した人間が煙を出してガイコツになることで殺人針を、針に接触すると火花を出すことで爆弾針の表現をそしてハリネズラスが2種類の針を使い分けていることを表現している。

新必殺技「ライダー稲妻キック」の表現

電光キックと似たニュアンスの技だが、この技はジグザグにジャンプしてステップを刻むことで稲妻を表現している。そしてその勢いを利用してライダーキックを行うことで威力アップがアップしている。

特撮満足度(★で5段階評価)

特撮満足度

アクション:★★★★☆

高所:★★★★☆

火力:★★★★☆

水場:★★★☆☆

仕掛け:★★★★☆

ロケ地(執筆者の調べ)

・「不明」

次回予告より(第63話「怪人サイギャング 死のオートレース」)

次回のショッカーからの刺客は怪人「サイギャング」。

サイ」の特性を持った怪人だ。

サイは表皮が非常に硬く動物界一と言われるほど。

だが人間に乱獲された歴史があり、現在は絶滅危惧種となっている。

理由はサイの角が高く取引できるためだ。

シカにしろイッカクにしろ立派な角がある生物は漢方や服飾のために乱獲され、数が減少した歴史がある。

動物界一頑丈な皮膚を持つ動物を乱獲できる人間が恐ろしいわ!

そんなサイが人間に復讐するためにギャングとなった的な!?

サイにとっては人間のほうがギャングでしょうね…

次回ショッカーはバイクで攻めてくるようで、その様相からサイのように強力な突進力でギャングのように暴走させてバイクを乗り回すといった意図がサイギャングの怪人名から感じられる。

そして死神博士も登場。本格的に地獄大使と両面作戦で日本を叩き潰しにくるのか!?

世界の前にまず日本を…そして仮面ライダーを倒さないことには何も進まないとやっと危機感を持ち始めたようだ。

猛は日本帰国後、初のオートレース大会に参加。

そういえば今回藤兵衛が作業服のまま寝ていて、猛のレースについて寝言を言っていたのは夜な夜な猛のマシンをチューニングしていたからかもしれない。

伊豆高原レース場で繰り広げられるサイギャングとの死のレース。

また大会中にショッカーからの横やりが入るのか…グランプリへの道は猛の実力以前に大会を無事に行えるかにかかっているな…

まとめ

立花レーシングクラブって考えてみれば柔軟なクラブですよね。

表向きはレーサー育成クラブだが、ある時はダンスクラブ、ある時憩いの場、ある時はショッカー対策本部と様々な顔を持つ。

レーシングクラブが特殊というより地域、地区って元々村の大きいバーションであり、その中で交流があったり情報を共有したり一ヶ所に集まることは当たり前といえば当たり前ですよね。

繋がりたい人とだけ繋がれる現代社会になり近所付き合いも希薄になっていく世の中。

今は口頭で情報共有しなくても頼まずとも誰かが発信しているので嫌でも情報が目に付きます。

現代(2023年)にショッカーが暴れ回ろうもんなら直ぐにアジトの場所を画像特定班が見つけたり、面白がって殴り込みに行くやつや、煽るだけ煽るやつなんかもいそうですね。

人間は安全なところで野次馬したい生き物なんでそんな勇気というか無謀なやつは少数でしょう。

地域性の希薄さの原因が厄介者など人間関係っていうのもわかります。

でも少なくとも子供時代は地域の繋がりがあった方なので良さもわかるだけにもったいないと思うこともあります。

今回の漁村民も村の繋がりが強く、意見というかショッカーに村全体で反抗するという一体感があります。

我が身可愛さに村の中で寝返る人もいてもよさそうな中、自分たちの土地は全員で守るという心強さを最近は感じません。

現代はその地域に住んでいるというよりかは、そこの一画にたまたま住んでいるという意識で地域を守るという意識はありません。

それだけ平和であり地域の役目を他の方法で担うことができるので便利ではあります。

私は両方の文化の中間地点なので、地域の繋がりも良いと思いつつ、変な繋がりも面倒だと思うタイプでもあります。

なんというか立花レーシングクラブには程よい距離感があり、そこが良いなと思うのかもしれません。

確かに近すぎる人は苦手かも…

今回判明したこと

・藤兵衛の寝顔は意外とかわいい

・藤兵衛は寝言で猛とレースに出ている(おそらく世界グランプリ)夢を見ていることがわかる

・五郎にとって立花レーシングクラブは「必ず仮面ライダーに会えるクラブ」

・ショッカーは三浦海岸近くの漁村民いわく「鬼畜生」である

・仮面ライダーの新必殺技「ライダー稲妻キック」

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